【薬剤師解説】災害後の頭痛・めまいは大丈夫?危険サインと今すぐできる対処法
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避難所・車中泊・在宅避難では、脱水、暑さ、睡眠不足、 食事や服薬の乱れ、緊張などが重なり、 「頭が重い」「ふわふわする」「立つとクラッとする」 といった不調が起こりやすくなります。
一方で、脳卒中、熱中症、一酸化炭素中毒、頭部外傷など、 急いで医療につなぐ必要がある症状が 混ざることもあります。
この記事では、漢方薬局ほどよい堂の薬剤師が、 「まず確認する危険サイン」と 「避難生活でできる安全な対処」を順番に解説します。

- 突然、顔の片側が下がる・ゆがむ
- 片方の手足に力が入らない、しびれる
- ろれつが回らない、言葉が出ない、会話が理解できない
- 突然始まり、短時間で最大になる激しい頭痛
- 物が二重に見える、支えなしでは立てない・歩けない
- 意識がぼんやりする、返答がおかしい、けいれんがある
- 頭を打った後に頭痛・嘔吐・眠気が強くなってきた
- 暑い環境で、自力で水分を飲めない、体が熱い、反応がおかしい
- 発電機や燃焼器具の近くで、複数人が同時に頭痛・吐き気・めまいを訴えている
意識がはっきりしない人には、無理に飲み物を飲ませないでください。 嘔吐や誤嚥の危険があります。症状が出た時刻を確認し、救急隊に伝えましょう。
目次
頭痛・めまいで最初に確認する危険サイン
災害時は「睡眠不足だから」「ストレスだから」と自己判断しやすくなります。 しかし、頭痛やめまいには、時間を争う病気が隠れる場合があります。
脳卒中は「ACT FAST」で確認
- F:Face 笑ったときに顔の片側が下がる
- A:Arm 両腕を上げると片方が下がる
- S:Speech 言葉が出ない、ろれつが回らない
- T:Time 症状が始まった時刻を確認して119番
一度症状が消えても、脳卒中の前触れである可能性があります。 「様子を見る」より、医療者へ伝えることを優先してください。
「突然の激しい頭痛」は我慢しない
これまで経験したことがない強い頭痛や、 1分以内に痛みがピークになるような頭痛は、 くも膜下出血などの二次性頭痛も考慮する必要があります。
一酸化炭素中毒を見逃さない
一酸化炭素は無色・無臭です。 頭痛、めまい、吐き気、強い眠気など、 風邪や疲労に似た症状から始まることがあります。
同じ場所にいる複数人やペットが同時に具合を悪くした場合は、 直ちに屋外の安全な場所へ移動し、119番へ連絡してください。 原因確認のために室内へ戻らないでください。
避難生活で頭痛・めまいが起こる7つの原因

トイレを気にして飲水を控える、食事量が減る、 発汗や下痢・嘔吐があるなどの理由で、 自覚以上に水分が不足することがあります。
口の乾き、尿量減少、濃い尿、立ちくらみ、だるさは 水分不足の手がかりになります。
夏の避難所、停電中の室内、車中泊では、 屋内でも熱中症が起こります。
めまい、頭痛、吐き気、大量の汗、筋肉のつり、 強い倦怠感があるときは、涼しい場所への移動と冷却が必要です。
明るさ、余震、人の気配、床の硬さ、騒音などで睡眠が浅くなると、 緊張型頭痛や片頭痛が起こりやすくなることがあります。
首肩のこり、目の疲れ、音や光への過敏が伴う場合もあります。
食事の間隔が空くと、空腹感、冷や汗、手の震え、 動悸、ふらつき、集中力低下が現れることがあります。
特に糖尿病治療薬やインスリンを使用している方は、 食事量の変化を医療者へ伝えてください。
血圧薬、片頭痛薬、抗不安薬などの中断や、 普段飲んでいたコーヒーを急にやめたことが、 頭痛や体調変化に関係する場合があります。
お薬手帳や薬の写真を用意し、避難所の医師・薬剤師へ相談しましょう。
実際には揺れていないのに、床や体が揺れているように感じる状態は、 一般に「地震酔い」と呼ばれます。
余震への警戒、睡眠不足、視覚と平衡感覚のずれなどが 複合的に関係すると考えられています。
脳卒中、くも膜下出血、頭部外傷、一酸化炭素中毒、 重い感染症、心臓の病気などでも頭痛やめまいが現れます。
突然の発症、意識異常、麻痺、会話の異常、 歩行困難を伴う場合は救急対応が優先です。

症状から考える見分け方の目安
次の表は、原因を自己診断するためのものではありません。 医療者へ状態を伝えるときの整理にご活用ください。
| 現れ方 | 考えられる状態 | 最初の対応 |
|---|---|---|
| 立ち上がったときにクラッとする、尿が少ない | 脱水、血圧低下、食事不足など | 座る・横になる。少量ずつ補水し、改善しなければ医療者へ |
| 暑い環境で頭痛、吐き気、だるさ、大量の汗 | 熱中症の可能性 | 涼しい場所へ移動、衣服をゆるめて冷却。飲めなければ119番 |
| 揺れていないのに、ふわふわ・ゆらゆらする | 地震酔い、睡眠不足、不安反応など | 座って安全確保。固定した物を見る。休息し、長引けば受診 |
| 光や音がつらい、ズキズキする、吐き気がある | 片頭痛など | 暗く静かな場所で休む。いつもと違う強さなら受診 |
| 首肩がこり、締めつけられるように痛い | 緊張型頭痛、睡眠不足など | 静かな環境で休む。強いめまい中の無理な運動は避ける |
| 発電機・炭・暖房器具の近くで複数人が頭痛 | 一酸化炭素中毒の可能性 | 直ちに屋外へ避難し119番。室内へ戻らない |
| 突然の麻痺、言葉の異常、歩行不能、激しい頭痛 | 脳卒中などの可能性 | 発症時刻を確認し、直ちに119番 |
避難生活で今すぐできる安全な対処法
- 転倒しない姿勢をとる
まず座るか横になりましょう。 めまいがある状態で一人歩きや階段移動をすると、 転倒や頭部外傷につながる危険があります。 - 発電機・燃焼器具・排気ガスの有無を確認する
一酸化炭素の可能性が少しでもあれば、 原因を探すより先に屋外の安全な場所へ移動してください。 - 暑ければ、涼しい場所へ移動して体を冷やす
衣服をゆるめ、首まわり、脇の下、足の付け根などを冷やします。 暑さが原因と考えられるときに、腹巻きやカイロで温めないでください。 - 意識がはっきりしていれば、少量ずつ補水する
一度に大量に飲むより、ひと口ずつ繰り返す方が 吐き気がある場合にも取り入れやすくなります。 - 症状と時刻を記録する
いつ始まったか、何をしていたか、食事・水分・尿・服薬状況、 頭を打っていないかをメモすると、医療者へ伝えやすくなります。
水・スポーツ飲料・経口補水液の使い分け
水やお茶、汁物などを少量ずつ。 食事が取れている場合は、必ずしも毎回塩分を追加する必要はありません。
水分とともに電解質も失われるため、 食事や汁物、状況に応じてスポーツ飲料などを利用します。
経口補水液は、水分と電解質を補うために調整された飲料です。 少量ずつ摂り、飲めない場合は医療機関につなぎます。
心臓病、腎臓病、高血圧などで水分や塩分の制限を受けている場合は、 自己判断で量を増やさず、医師や薬剤師へ確認してください。
経口補水液は「健康のための日常飲料」ではありません。 脱水時の補水に適した組成ですが、 一度に大量に飲むとナトリウムを摂りすぎる可能性があります。
刺激を減らして脳と平衡感覚を休ませる
- 座るか横になり、急に頭や体を動かさない
- スマートフォン画面を見続けない
- アイマスクやタオルで光をやわらげる
- 耳栓などで音を減らす。ただし避難情報が聞こえる状態を保つ
- 鼻から無理なく吸い、吐く息を少し長くする
- 首を大きく回す、勢いよく立つなどの動きは避ける
揺れていないのに揺れる「地震酔い」とは
大きな地震や余震の後、 実際には揺れていないのに「ふわふわする」「床が動く」 「船に乗っているように感じる」という訴えが増えることがあります。 一般に地震酔い、医学文献では地震後めまいなどと呼ばれます。
- まず座り、足裏や背中が触れている感覚を確認する
- 柱や壁など、動いていない物をしばらく見る
- スマートフォンや流れる映像から目を離す
- ゆっくり息を吐き、肩や顎の力を抜く
- 睡眠と食事、水分を少しずつ立て直す
地震酔いと思われる場合でも、 激しい回転性めまい、片耳の急な聞こえにくさ、 強い耳鳴り、物が二重に見える、手足の異常、 歩けないほどのふらつきがある場合は、 耳や脳の病気を除外する必要があります。
中医学で見る「頭が重い・めまい」のタイプ
突然の激しい頭痛、麻痺、言葉の異常、意識障害、 一酸化炭素中毒や重い熱中症が疑われる場合は、 漢方薬を試して様子を見るのではなく、救急対応を優先してください。
危険な病気が除外された後は、中医学では、 気・血・津液の偏りと、脾=胃腸の働きを組み合わせて状態を整理します。
頭が重い、むくむ、吐き気がある、 雨天や湿度で悪化しやすい、舌に厚い苔があるなど。
治則:水分代謝を整え、脾を助けて余分な湿をさばく。
胸や喉がつかえる、ため息が多い、肩がこる、 不安やイライラで悪化しやすいなど。
治則:気を巡らせ、呼吸と緊張をゆるめる。
食欲がない、食後に眠い、疲れやすい、 軟便、力が入らない、顔色がさえないなど。
治則:脾を補い、食べたものから気血を作る力を支える。
立ちくらみ、動悸、息切れ、疲労、 食事不足、顔色が白い、眠りが浅いなど。
治則:気と血を補いながら、胃腸の吸収力を整える。
めまい・頭重で検討される代表的な漢方薬
漢方薬は「めまい」という症状名だけでは選びません。 体質、尿量、口渇、胃腸の状態、冷えや熱、 持病、服用薬などを確認して選択します。
- 五苓散: 口渇や尿量の偏り、吐き気、頭痛などを伴う 「水分代謝の乱れの証」に用いる方剤。 単なる水分不足を補う薬ではありません。
- 苓桂朮甘湯: 立ちくらみ、動悸、ふらつきなどを伴う 「水飲・気逆の証」に用いる方剤。
- 半夏白朮天麻湯: 胃腸虚弱、頭重、吐き気、ふらつきなどを伴う 「脾虚・痰湿の証」に用いる方剤。
妊娠・授乳中、持病のある方、ほかの薬を服用している方は、 医師または薬剤師へご相談ください。
ほどよい堂では、気・血・水、胃腸の状態、 普段の薬や生活背景を確認しながら、 防災時にも使いやすい養生や漢方の選び方を整理します。 相談後の購入は任意です。
避難後の回復を支える「3日・3週間・3ヶ月」
からだは、一度乱れたら終わりではなく、 食事・睡眠・活動を少しずつ整えながら、 バランスを取り直していく動的なシステムです。
危険サイン、補水、体温、睡眠、食事、服薬を確認。 「我慢しない」「一人で歩かない」を優先します。
起床・食事・排便・軽い運動の時間を整え、 生活のリズムを少しずつ取り戻します。
防災袋、常備薬、お薬手帳、栄養の備蓄を見直し、 次の災害に備えた体の土台を作ります。
ほどよい堂の3本柱|栄養・循環・吸収
おにぎりやパンだけが続くと、 タンパク質、良質な脂質、ビタミン、ミネラル、 食物繊維が不足しやすくなります。
缶詰、豆、大豆製品、卵、魚、海藻、野菜ジュースなど、 手に入るものを1品ずつ足しましょう。
長時間同じ姿勢を避け、体調が安定しているときに 足首を動かす、ふくらはぎを軽く動かすなど、 無理のない範囲で巡りを支えます。
食べるだけでなく、消化吸収できる胃腸を守ることも大切です。 中医学では脾=土が整うと、 全身の気血水を作り巡らせやすくなると考えます。
食べられる環境なら、汁物やスープに 豆・海藻・きのこ・野菜を加え、 1口ずつよく噛みましょう。
よく噛むことは、消化のスイッチを入れ、 脾=胃腸の負担を減らす小さな工夫になります。
平常時に見直したい栄養・腸活の備え
災害直後の治療や経口補水の代わりではありません。 普段の食生活や防災備蓄を見直す際の参考情報です。
防災袋に入れておきたい体調管理用品
- 飲料水と、必要に応じた経口補水液または粉末タイプ
- 普段の薬と予備、お薬手帳のコピー・スマートフォンの写真
- 体温計
- マスク、耳栓、アイマスク
- 携帯トイレ
- 常温保存できるタンパク源と食物繊維を含む食品
- 緊急連絡先、持病、アレルギーを書いたカード
避難生活の頭痛・めまい|よくある質問
水だけを飲めば大丈夫ですか?
通常の水分補給では水やお茶でも構いません。 ただし、多量の発汗、下痢、嘔吐などがある場合は、 水分と電解質の両方が失われるため、 状況に応じて経口補水液などを利用します。
意識がはっきりしない、自力で飲めない、 飲んでも吐いてしまう場合は、無理に飲ませず医療につないでください。
地震の後から揺れている感じが続きます
地震後に、実際には揺れていないのに ふわふわ・ゆらゆら感じることがあります。 まず座って転倒を防ぎ、固定された物を見て、 睡眠と水分を確保しましょう。
症状が続く、悪化する、聞こえにくさや耳鳴り、 神経症状を伴う場合は、耳鼻咽喉科や脳神経系の診療につなげます。
市販の頭痛薬を飲んでもよいですか?
普段から使用している薬でも、脱水、腎機能低下、 胃腸障害、妊娠、抗凝固薬の服用などによって 注意が必要になる場合があります。
ほかの風邪薬や鎮痛薬との成分重複にも注意し、 避難所の医師・薬剤師へ薬の名称を伝えて確認してください。 突然の激しい頭痛に、鎮痛薬だけで対応して様子を見るのは避けましょう。
めまいがするときは歩いた方がよいですか?
急にめまいが起こった直後は、 無理に歩かず、座るか横になって転倒を防ぎます。
症状が落ち着き、危険な病気が否定された後は、 長期間まったく動かないことを避け、 医療者の指示のもとで少しずつ活動を戻します。
災害時のめまいに漢方薬は使えますか?
緊急性がなく、脱水や熱中症への対処を行ったうえで、 水滞、脾虚、気滞などの証に合えば 漢方薬が選択肢になることがあります。
漢方薬も体質や持病によって向き不向きがあります。 症状名だけで選ばず、医師または薬剤師へご相談ください。
まとめ|まず安全確認、その後に補水・休息・胃腸の立て直し
- 突然の麻痺・言葉の異常・激しい頭痛・意識異常は、 直ちに救急対応
- 発電機や燃焼器具の近くで複数人が不調なら、 一酸化炭素中毒を疑い屋外へ避難
- 暑い環境では熱中症を考え、涼しい場所への移動と冷却を優先
- 意識がはっきりしていれば、少量ずつ補水
- 地震酔いでは、座って固定物を見て、光・映像・緊張を減らす
- 緊急性がない不調は、栄養・循環・吸収=腸活から 少しずつ土台を整える
参考資料・公的情報
監修者・免責事項
本記事の信頼性を高めるため、監修者情報と免責事項をまとめています。 体質の整理(中医学)と、現代の栄養学・生活習慣の視点を両輪で扱い、誠実な表現を心がけています。
Supervisor / Reviewer
監修者情報

監修:河邊 甲介(薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト)
漢方薬局「ほどよい堂」代表
宮崎県川南町にて、漢方 × 薬膳 × 腸活のトリプルアプローチによる健康相談を行っています。 体質の言語化と、日常で“続く整え方”をセットでご提案しています。
- 栄養:細胞は“食べたものでしか作られない”
- 循環:巡りが整うと、酸素・栄養が届きやすくなる
- 吸収(腸活):食べるだけでなく“吸収できる腸”を育てる
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療・処方の代替ではありません。 症状が強い/長引く/不安が大きい場合は、医療機関・専門家へご相談ください。
- 体質・状態・既往歴により、最適な対処は異なります。
- 妊娠中・授乳中・服薬中・通院中の方は、自己判断での実施を避け、必ず確認してください。
- 記事内容は、予告なく更新・変更する場合があります。

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