災害時の腸活|避難生活の便秘・下痢・栄養不足から胃腸を守る備え方
宮崎県川南町|漢方薬局ほどよい堂の防災・腸活コラム
災害時や避難生活では、食事の偏り、水分不足、冷え、ストレス、睡眠不足、運動量の低下が重なり、便秘・下痢・胃もたれ・食欲低下が起こりやすくなります。 中医学では、胃腸の働きを「脾=土」と考え、食べたものを気血水へ変える土台として重視します。
この記事では、現代栄養学の「たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維不足」と、中医学の「脾虚・寒湿・気滞」の視点を合わせて、災害時に腸を守る備え方を整理します。

目次
災害時に腸が乱れやすい理由
災害直後は、おにぎり・パン・カップ麺・菓子パンなどの炭水化物中心の食事になりやすく、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しやすくなります。 カロリーは足りているのに、細胞をつくる材料や腸を動かす栄養が不足する状態は、ほどよい堂では「新型栄養失調」として重視しています。
腸を動かす材料が不足しやすい
- たんぱく質不足で粘膜や筋肉の材料が不足しやすい
- 野菜・海藻・きのこ・豆類不足で食物繊維が減りやすい
- 水分不足で便が硬くなり、血流も滞りやすい
- 睡眠不足や緊張で自律神経が乱れやすい
脾=土が弱ると、全身の巡りが落ちる
中医学では、胃腸の消化吸収力を「脾」として見ます。 脾が弱ると、食べても気血水に変えにくくなり、だるさ、むくみ、便秘、下痢、食欲低下につながりやすくなります。
ほどよい堂の考え方: 災害時の腸活は、単に「便通を整える」だけではありません。 ①栄養、②循環、③吸収=腸活の3本柱で、体調の土台を守ることが大切です。
まず確認したい危険サイン|セルフケアより受診を優先するケース
次のような症状がある場合は、漢方・薬膳・腸活よりも医療機関への相談を優先してください。
- 血便、黒い便、激しい腹痛、強い嘔吐がある
- 水分が取れない、尿が極端に少ない、意識がぼんやりする
- 高熱、呼吸困難、胸痛、片側の麻痺、ろれつが回らない
- 乳幼児、高齢者、妊娠中、持病・服薬中で急な体調変化がある
- 下痢や嘔吐が続き、脱水が心配な状態
災害時は「我慢しすぎない」ことも大切な防災です。不安が強い場合は、避難所スタッフ、医療・保健担当者、地域の相談窓口につながりましょう。
中医学で見る|避難生活で起こりやすい腸トラブル3タイプ
同じ「お腹の不調」でも、背景は人によって違います。 中医学では、証を組み立て、背景を見て、治則と養生を考えます。 災害時の腸トラブルでは、特に次の3タイプを意識します。
1. 脾虚タイプ|消化吸収力が落ちるタイプ
脾虚とは、胃腸の消化吸収力が弱り、食べたものを気血へ変えにくい状態です。 食後に眠い、胃もたれ、食欲低下、軟便、疲れやすい方に多い傾向があります。
治則:補気健脾。胃腸を助け、気を補い、食べたものを力に変えやすくします。
養生:冷たいものより温かい汁物、少量ずつ、よく噛む、たんぱく質を毎食少し足す。
2. 寒湿タイプ|冷えと水分停滞タイプ
寒湿とは、冷えと余分な水分が重なり、胃腸の動きが鈍くなった状態です。 お腹が冷える、温めると楽、下痢しやすい、むくみやすい方に見られます。
治則:温中散寒・化湿。お腹を温め、余分な水をさばき、胃腸の働きを助けます。
養生:腹巻、温かい味噌汁・スープ、生ものや冷たい飲料を控えめにする。
3. 気滞タイプ|ストレスで腸が張るタイプ
気滞とは、緊張や不安で気の巡りが滞る状態です。 お腹の張り、げっぷ、便秘と下痢を繰り返す、眠れない、胸がつかえる方に多い傾向があります。
治則:疏肝理気。緊張で滞った巡りをほどき、胃腸と自律神経の負担を軽くします。
養生:深呼吸、首肩をゆるめる、温かい飲み物、香りのよい薬膳茶、情報を見すぎない時間を作る。

症状別に詳しく読む|この記事は“災害時の腸活ハブ記事”です
このページでは、災害時の腸活を全体像として解説します。 便秘、下痢、脱水、不眠、子どもの避難生活など、個別症状は専門記事で詳しく確認できます。
非常食に足したい腸活備蓄リスト
災害時の食事は、主食だけでなく「主菜・副菜・水分・温かさ」をそろえることが大切です。 農林水産省の食品ストックガイドでも、炭水化物に偏りすぎず、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維を意識することが紹介されています。

| 備えるもの | おすすめ例 | 腸活・中医学的な意味 |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 魚缶、肉缶、大豆製品、充填豆腐、レトルト豆、乾燥高野豆腐 | 粘膜・筋肉・血液の材料。中医学では気血を作る土台になります。 |
| 発酵性食物繊維 | わかめ、ひじき、切干大根、きのこ、豆、オートミール、寒天 | 腸内細菌のエサになりやすく、便通や腸内環境を支えます。 |
| 温かい汁物 | 味噌汁、野菜スープ、フリーズドライスープ、だし、梅干し湯 | 脾胃を温め、水分と塩分を少しずつ補いやすくします。 |
| ビタミン・ミネラル | 野菜ジュース、ドライフルーツ、海苔、ごま、ナッツ、青汁系食品 | 新型栄養失調対策。カロリー以外の栄養を足す視点です。 |
| 水分・電解質 | 水、経口補水液、麦茶、薄い味噌汁、スープ | 便通だけでなく、血流・体温・疲労感を守る“巡りの土台”です。 |
まず1つ変えるなら「温かい汁物」を定番に
非常食に味噌汁や野菜スープを足すだけでも、水分、塩分、温かさ、消化のしやすさをまとめて補いやすくなります。 よく噛むことも、消化のスイッチを入れて脾を助ける大切な養生です。目安は1口30回です。
災害時の腸活は「プロバイオ・プレバイオ・バイオジェニックス」で考える
腸活は、善玉菌を入れることだけではありません。 菌そのもの、菌のエサ、菌が作る有用成分を合わせて考えると、非常時でも無理なく備えやすくなります。
プロバイオティクス|善玉菌を含む食品
プロバイオティクスは、健康に役立つ可能性のある微生物を含む食品や製品を指します。 災害時は冷蔵が難しいこともあるため、常温保存しやすい発酵食品や、普段から自分に合うものを確認しておくことが大切です。
例:味噌、ぬか漬け、発酵食品、乳酸菌系食品など。体質に合わない場合はお腹が張ることもあるため、普段から少量で試しておきましょう。
プレバイオティクス|腸内細菌のエサ
プレバイオティクスは、腸内細菌に利用されることで健康に役立つと考えられている成分です。 非常食では不足しやすいため、乾物・海藻・豆・きのこ・オートミールなどを備えると役立ちます。
例:水溶性食物繊維、発酵性食物繊維、オリゴ糖を含む食品など。便秘気味の方は水分と一緒に増やすことが大切です。
バイオジェニックス/ポストバイオティクス|菌が作る有用成分の視点
バイオジェニックスは、腸内環境や体調維持に役立つと考えられる成分に注目する考え方です。 国際的には、ポストバイオティクスという表現も使われます。
災害時は食事内容が単調になりやすいため、普段から体に合う発酵系食品や栄養補助食品を確認しておくと、備蓄に取り入れやすくなります。
リーキーガットは「腸管バリア機能の低下」としてやさしく考える
リーキーガットは、一般的には腸のバリア機能が乱れ、腸管透過性が高まりやすい状態を指す言葉として使われます。 ただし、医療機関で一律に診断される病名というより、腸管バリア機能に注目する考え方として捉えるとよいでしょう。
災害時は、ストレス、睡眠不足、食事の偏り、感染症リスクなどが重なりやすいため、腸のバリアを支える食事・休養・水分・衛生管理が大切です。
3日・3週間・3ヶ月で整える|災害後の腸ケア
まず3日|水分・温かさ・消化しやすさ
災害直後は、完璧な食事よりも「脱水を防ぐ」「温かいものを少し入れる」「食べられるものを食べる」が優先です。 味噌汁、スープ、経口補水液、温かいお茶などを少量ずつ取り入れます。
次の3週間|便通と食欲のリズムを戻す
体調が落ち着いてきたら、海藻、きのこ、豆、野菜スープ、発酵食品、たんぱく質を少しずつ戻します。 食事時間、睡眠、トイレのタイミングを整えることで、腸のリズムが戻りやすくなります。
そして3ヶ月|体質の土台を立て直す
災害ストレスは長引くことがあります。 だるさ、眠りの浅さ、便通の乱れ、食欲低下が続く場合は、脾虚、気滞、血虚、陰虚などの体質を見直し、食事・休養・漢方相談を組み合わせて整えていきます。
漢方薬を備える場合は「体質に合うか」を先に確認
漢方薬は、症状名だけでなく体質、冷え・熱、虚実、胃腸の強さによって合うものが変わります。 たとえば、胃腸虚弱タイプに用いる方剤、冷えを伴う腹痛タイプに用いる方剤、ストレスで胃腸が乱れるタイプに用いる方剤は、それぞれ考え方が異なります。
ほどよい堂では、漢方薬を1包から購入できるため、災害時の備えとして「まず自分に合うか試しておく」こともできます。 妊娠・授乳中、小児、持病・服薬中の方は、自己判断ではなく専門家に確認してから備えましょう。
よくある質問
災害時の腸活で、まず何を備えればいいですか?
まずは水、経口補水液、味噌汁やスープ、魚缶・豆類などのたんぱく質、海藻・きのこ・切干大根などの乾物を備えるのがおすすめです。 主食だけでなく、たんぱく質・食物繊維・温かい汁物を足すと、胃腸の負担を減らしやすくなります。
避難生活で便秘になりやすいのはなぜですか?
水分不足、トイレを我慢すること、運動不足、食物繊維不足、ストレスが重なるためです。 便秘対策では、水分をこまめに取り、温かい汁物、海藻・豆・きのこなどの食物繊維、軽い足踏みや腹部の保温を意識しましょう。
下痢のときも腸活をしていいですか?
下痢のときは、まず脱水を防ぐことが優先です。 水分が取れない、血便、高熱、激しい腹痛、意識がぼんやりする場合は、セルフケアより受診を優先してください。 落ち着いてきたら、消化のよい温かい食事から少しずつ戻します。
リーキーガット対策として何を意識すればいいですか?
リーキーガットは「腸管バリア機能の低下」という視点で考えるとわかりやすいです。 災害時は睡眠不足、ストレス、食事の偏りが重なりやすいため、たんぱく質、発酵性食物繊維、温かい汁物、休養、衛生管理を整えることが大切です。
漢方薬は防災用に備えてもいいですか?
漢方薬は体質や証により合う・合わないがあります。 胃腸が弱い方、冷えやすい方、ストレスでお腹が乱れやすい方では、備える内容が変わります。 ほどよい堂では漢方薬を1包から購入できるため、災害時の備えとして事前に体に合うか確認することもできます。
まとめ|災害時の腸活は「食べる備え」から「吸収できる備え」へ
災害時の体調管理では、非常食をそろえるだけでなく、食べたものを吸収し、巡らせ、体の力に変える胃腸の土台が大切です。 ほどよい堂では、漢方・薬膳・腸活の視点から、あなたの体質に合わせた備え方を一緒に整理します。
まずは3日。次に3週間。そして3ヶ月。 小さな備えの積み重ねが、災害時にも日常にも役立つ体調管理につながります。
参考情報:
- 農林水産省|災害時に備えた食品ストックガイド
- 厚生労働省関連資料|避難生活を少しでも元気に過ごすために
- 厚生労働省関連資料|避難生活で生じる健康問題を予防するための栄養・食生活
- ISAPP|Prebiotics
- Frontiers in Physiology|Intestinal barrier permeability, gut microbiota, nutrition, and exercise
本記事は健康情報の提供を目的としたもので、診断・治療の代わりではありません。強い症状、持病、服薬中、妊娠・授乳中、小児・高齢者の不調は医療機関や専門家にご相談ください。
監修者・免責事項
本記事の信頼性を高めるため、監修者情報と免責事項をまとめています。 体質の整理(中医学)と、現代の栄養学・生活習慣の視点を両輪で扱い、誠実な表現を心がけています。
Supervisor / Reviewer
監修者情報

監修:河邊 甲介(薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト)
漢方薬局「ほどよい堂」代表
宮崎県川南町にて、漢方 × 薬膳 × 腸活のトリプルアプローチによる健康相談を行っています。 体質の言語化と、日常で“続く整え方”をセットでご提案しています。
- 栄養:細胞は“食べたものでしか作られない”
- 循環:巡りが整うと、酸素・栄養が届きやすくなる
- 吸収(腸活):食べるだけでなく“吸収できる腸”を育てる
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療・処方の代替ではありません。 症状が強い/長引く/不安が大きい場合は、医療機関・専門家へご相談ください。
- 体質・状態・既往歴により、最適な対処は異なります。
- 妊娠中・授乳中・服薬中・通院中の方は、自己判断での実施を避け、必ず確認してください。
- 記事内容は、予告なく更新・変更する場合があります。

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