非常食、炭水化物だけで大丈夫?薬剤師が教える栄養バランスと1週間の備え

薬剤師が解説|災害時の栄養と備蓄

非常食は「量」だけでなく、栄養の組み合わせまで備える。

災害直後は、まず安全を確保し、食べられるものからエネルギーを取ることが最優先です。 しかし、避難生活が数日から1週間続くと、米・パン・麺などの主食に偏り、 たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しやすくなります。

この記事では、非常食を 「主食・主菜・補助・水分」 の4つで組み立てる方法と、玄米酵素・クロレラを食事の補助として取り入れる考え方を、 現代栄養学と中医学の両面から解説します。

※本記事の「新型栄養失調」は、エネルギーは確保できていても、 体に必要な栄養素が不足しやすい状態を分かりやすく表した言葉で、正式な病名ではありません。

結論|まずは「主食に、たんぱく質を1品」

おにぎりだけなら魚缶を。パンだけなら大豆食品を。
“1品足す”ことが、災害時の栄養対策の第一歩です。

完璧な献立を目指す必要はありません。 主食だけで終わらせず、魚・肉・卵・大豆などのたんぱく質源を加え、 さらに海藻・きのこ・乾物・玄米酵素・クロレラなどを、 体調と保存条件に合わせて組み合わせます。

糖質・脂質・たんぱく質の三大栄養素と主な食品例を示した図
糖質・脂質・たんぱく質は、それぞれ役割が異なります。 非常食も主食だけに偏らせず、組み合わせて備えましょう。

なぜ非常食は栄養不足になりやすいのか

災害時の食品は、保存性、配りやすさ、調理のしやすさが優先されます。 そのため、主食は確保できても、肉・魚・豆類、海藻、きのこなどが少なくなりやすい傾向があります。

厚生労働省も、災害時は食品の種類や調理方法が限られ、 たんぱく質、ビタミン・ミネラル、食物繊維が不足しやすい と案内しています。

不足しやすいもの

  • たんぱく質:筋肉・血液・皮膚などの材料
  • ビタミン・ミネラル:体内の代謝を支える
  • 食物繊維:腸内環境と便通を支える
  • 良質な脂質:細胞膜やエネルギー源になる
  • 水分:循環・体温調節・排泄に必要

起こりやすい背景

  • 冷たい食事や早食いで胃腸に負担がかかる
  • 水分やトイレを我慢しやすい
  • 活動量が減り、便通が乱れやすい
  • 睡眠不足や不安で食欲が落ちる
  • 普段と違う食品でお腹が不安定になる
脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの種類を分かりやすく示した一覧
ビタミンは種類によって働きや保存性が異なります。 特定の食品だけに頼らず、普段から食べ慣れた備蓄食品を組み合わせることが大切です。
ほどよい堂の視点: 食べた量だけではなく、①栄養が入ること、②血流に乗って巡ること、 ③胃腸で受け取れることの3つを一緒に考えます。

ほどよい堂式|体調を守る3本柱

① 栄養

細胞の材料を切らさない

細胞は、食べたものを材料にして入れ替わっています。 エネルギー源だけでなく、たんぱく質、良質な脂質、 ビタミン、ミネラル、食物繊維を少しずつ組み合わせます。

② 循環

水分と軽い動きで巡りを保つ

水分を少量ずつ取り、可能な範囲で足首を動かし、深呼吸をします。 長時間同じ姿勢を避けることは、災害時の体調管理でも重要です。

③ 吸収=腸活

食べられる腸・受け取れる胃腸を守る

一口30回を目安に、できる範囲でゆっくり噛みます。 よく噛むことは消化の準備を助け、 中医学でいう「脾=土」の負担を減らす養生につながります。

まず3日 安全・水分・食べられるものを優先し、主食にたんぱく質を足します。
次の3週間 ローリングストックを習慣にし、日常食と備蓄をつなげます。
3か月 食事・休養・運動を整え、災害時にも崩れにくい土台を育てます。

非常食は「主食・主菜・補助・水分」で考える

農林水産省は、備蓄食料品を主食と主菜の組み合わせで、 最低3日分、できれば1週間分程度確保するよう案内しています。 ほどよい堂では、そこに「栄養・腸活を支える補助」と「水分」を加えて整理します。

分類主な役割備蓄例選ぶポイント
主食活動のエネルギーパックご飯、アルファ化米、乾麺、餅、オートミール、保存パン加熱不要か、必要な水量・調理法を確認
主菜筋肉・血液・皮膚などの材料魚缶、肉缶、豆缶、高野豆腐、豆乳、大豆加工食品1食につき1品を目安に組み合わせる
補助不足しやすい栄養と腸活を補う海藻、乾燥きのこ、切り干し大根、玄米酵素、クロレラ食事の代わりではなく、足りない部分の補助として使う
水分循環・体温調節・排泄飲料水、麦茶、汁物用の水飲用と調理用を合わせて準備

今日からできる5つの小さな対策

主食にたんぱく質を1品足す

ご飯に魚缶、パンに大豆食品、麺に肉や豆のレトルトなど、 まずは1品足す発想にします。

海藻・きのこ・豆・乾物を備える

一物全体の考え方で、複数の栄養を含む食品を少しずつ備えます。 水分が必要な乾物は、調理条件も一緒に確認します。

味噌汁やスープを定番にする

水と熱源、衛生環境に余裕がある場合は、 温かい汁物が水分補給と食べやすさを支えます。 持病がある方は塩分量に注意してください。

よく噛み、少量ずつ食べる

食欲が落ちているときは一度に詰め込まず、少量を回数に分けます。 よく噛むことを「消化のスイッチ」と考えましょう。

普段から食べて、使った分を補充する

特別な非常食だけで固めず、普段使う食品を少し多めに買い、 古いものから食べて買い足すローリングストックを基本にします。

1人1週間分|体調を守る備蓄チェック

農林水産省の目安では、飲料水と調理用水を合わせて1人1日約3リットル、 1週間で約21リットルです。 カセットボンベは使用状況により変わりますが、 1人1週間当たり約6本が一つの目安として示されています。

水分・熱源・衛生用品
  • 水:約21リットル(1人・7日分の目安)
  • カセットコンロと対応するボンベ
  • 鍋・やかん・缶切り・キッチンばさみ
  • 紙皿・紙コップ・箸・スプーン
  • 食品用ラップ・ポリ袋・使い捨て手袋
  • ウェットティッシュ・手指衛生用品

※必要量は家族構成、季節、調理回数、器具の燃費で変わります。 使用期限と保管場所も定期的に確認してください。

主食|合計21食をどう分けるか

7日×3食を一つの目安に、味や食感が異なるものを組み合わせます。

  • パックご飯・アルファ化米
  • 乾麺・即席麺
  • 餅・オートミール
  • 長期保存パン・クラッカー

商品によっては加熱や水が必要です。 「そのまま食べられるか」「必要な水量」「調理時間」を購入時に確認しましょう。

主菜|たんぱく質を毎食に近づける
  • サバ・イワシ・ツナなどの魚缶
  • 焼き鳥缶・肉のレトルト
  • 大豆・ひよこ豆などの缶詰やパウチ
  • 高野豆腐・かつお節
  • 常温保存できる豆乳や大豆加工食品
北海道産大豆商品の特徴と選び方を見る
補助|海藻・きのこ・玄米酵素・クロレラ
  • 焼きのり・乾燥わかめ・ひじき
  • 切り干し大根・乾燥きのこ
  • 豆・ごま・ナッツ類
  • 玄米酵素:食物繊維や発酵素材を取り入れる選択肢
  • クロレラ:食事が偏るときの「緑のまるごと食品」という選択肢

健康食品は食事や水分の代わりにはなりません。 平常時から少量で試し、保存方法、賞味期限、服薬との相性を確認しておきましょう。

乳幼児・高齢者・持病がある方の個別備蓄

乳幼児

液体ミルク・粉ミルク、離乳食、使い慣れた容器、 アレルギー対応食品などを準備します。

高齢者・飲み込みに不安がある方

やわらかい食品、お粥、とろみ調整食品、ゼリー状食品など、 普段から安全に食べられるものを備えます。

糖尿病・腎臓病・心疾患などがある方

病状に合う食品、薬、お薬手帳、緊急連絡先をひとまとめにします。 塩分、糖質、たんぱく質、カリウムなどの制限がある場合は、 主治医や管理栄養士に事前確認してください。

水分補給と経口補水液の注意

経口補水液は、普段の飲み物ではありません

普段の水分補給は水やお茶を基本とします。 経口補水液は、下痢、嘔吐、発熱、大量の発汗などによる 脱水時の食事療法として用いる飲料です。

高血圧、心臓病、腎臓病などがある方は、 ナトリウムやカリウムの摂取に注意が必要な場合があります。 自己判断で日常的に飲み続けず、医師・薬剤師・管理栄養士へ相談してください。

玄米酵素・クロレラは「食事の補助」として備える

災害時は、手に入る食品の種類が限られます。 食事の基本を優先したうえで、普段から食べ慣れている玄米酵素やクロレラを、 足りない部分を補う食品として備える方法があります。

吸収=腸活を考える

玄米酵素

玄米と麹由来の発酵素材を取り入れたい方に向く選択肢です。 中医学では、食べ物を気・血・津液へ変える「脾=土」の働きを重視します。

避難生活で食事が単調になりやすいときも、 食物繊維や発酵素材を日常の延長で取り入れやすくなります。

※商品ごとの原材料、アレルゲン、摂取目安、保存方法を確認してください。

玄米酵素を詳しく見る
栄養の土台を考える

クロレラ(バイオリンク)

クロレラは、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、 食物繊維、クロロフィルなどを含む藻類食品です。 ほどよい堂では、食事が偏りやすいときの 「緑のまるごと食品・細胞の基礎食」という位置づけで案内しています。

少量から始める維持量と、体調や食事内容を確認しながら整える量を分け、 無理なく続けることを大切にします。

クロレラを詳しく見る
クロレラ・バイオリンクの栄養成分と食品としての特徴を紹介する資料
クロレラ・バイオリンクの商品資料。 実際の原材料・栄養成分・摂取目安は、最新の商品表示と専門家の案内をご確認ください。
服薬中の方へ

ワルファリンを服用している方は、 ビタミンKを含むクロレラを摂取できません。 その他の薬を服用している方、妊娠・授乳中の方、治療中の方も、 事前に医師または薬剤師へ確認してください。

中医学で見る|災害時に崩れやすい3タイプ

中医学では、同じ非常食を食べても、胃腸の力、冷え、ストレス、 体力によって現れ方が異なると考えます。 証を組み立て、背景を考え、養生を選ぶ「弁証論治」の流れで整理します。

脾虚=消化吸収力が弱ったタイプ

証: 食欲低下、食後の眠気、お腹の張り、軟便、疲れやすさが目立ちます。

背景: 冷たい食事、早食い、ストレス、睡眠不足などが重なり、 「脾=土」の働きが弱っている状態です。

治則・養生: 温かくやわらかいものを少量ずつ。よく噛み、汁物やお粥を利用します。 六君子湯は、胃腸の気を補い、食欲不振や胃もたれなどの 脾胃気虚に用いられる方剤です。

気血両虚=エネルギーと栄養が不足したタイプ

証: 強い疲労感、顔色の悪さ、立ちくらみ、動悸、息切れなどが見られます。

背景: 食事量やたんぱく質が不足し、睡眠不足や心身の消耗も重なった状態です。

治則・養生: 主食に魚・肉・大豆を加え、食べられる範囲で回数を分けます。 十全大補湯は、気血ともに不足し、 疲労や虚弱が目立つ証に用いられる方剤です。

気滞=ストレスで巡りが滞ったタイプ

証: 胸や喉のつかえ、お腹の張り、ため息、イライラ、 食欲のむらが現れやすいタイプです。

背景: 緊張、不安、情報過多、環境の変化により、気の巡りが滞っています。

治則・養生: 長く息を吐く呼吸、短い散歩、温かい飲み物、 人やペットとのつながり、情報から離れる時間を組み合わせます。 加味逍遙散は、気滞に血の不足や熱感が重なり、 イライラや月経関連症状などが見られる証に用いられる方剤です。

食事だけでなく「休養」も備える

避難生活の疲れは、空腹だけでなく、寒さや騒音などの物理的ストレス、 衛生環境などの化学・生物的ストレス、 不安や役割負担などの心理・社会的ストレスが重なって生じます。

休息と軽い運動

  • 目を閉じる時間をつくる
  • 足首を動かす・背伸びをする
  • 深呼吸で息を長く吐く
  • 眠れなくても横になる

心と環境の切り替え

  • 人やペットと声を掛け合う
  • 短時間でも好きな音楽や読書を取り入れる
  • 情報を見る時間を決める
  • 役割を一人で抱え込まない

非常食の栄養バランス|よくある質問

非常食は3日分と1週間分のどちらを準備すればよいですか?

最低3日分、できれば1週間分を目標にします。 乳幼児、高齢者、食物アレルギーがある方、持病がある方は、 支援物資で代替しにくい食品や薬を多めに備えましょう。

お米と水があれば十分ですか?

発災直後のエネルギー確保には役立ちますが、 数日続くとたんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しやすくなります。 魚缶、豆、海藻、乾物などを組み合わせてください。

玄米酵素やクロレラだけで栄養を補えますか?

食事や水分の代わりにはなりません。 主食・主菜・水分を確保したうえで、 不足しやすい栄養や食物繊維を補う食品として取り入れます。 災害時に初めて試さず、平常時に体調との相性を確認しましょう。

経口補水液は毎日飲んだ方がよいですか?

日常の水分補給には水やお茶を使います。 経口補水液は脱水時の食事療法用です。 持病や服薬がある方は、自己判断で常用せず専門家へ相談してください。

賞味期限が長い専用の非常食だけを選ぶべきですか?

専用非常食だけでなく、普段使う缶詰、レトルト、乾物、 大豆食品などを少し多めに備え、食べた分を補充する方法が続けやすいです。 食べ慣れていることも重要な備えです。

自分や家族に合う備蓄を、平常時に確認しませんか?

持病、服薬、胃腸の弱さ、冷え、食物アレルギーなどによって、 必要な備えは変わります。 ほどよい堂では、漢方・薬膳・腸活の視点から、 無理なく続けられる養生をご提案しています。

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まとめ|非常食は「栄養の穴」を小さくする

主食・主菜・補助・水分。
まず1つ足すところから始めましょう。

  • 最低3日分、できれば1週間分を備える
  • 主食だけで終わらず、魚・肉・大豆などを足す
  • 海藻・きのこ・乾物を日常食として回す
  • 玄米酵素・クロレラは食事の補助として使う
  • 水分、よく噛むこと、休養まで一緒に考える

備蓄は、買って終わりではありません。 3日で試し、3週間で習慣にし、3か月かけて家族に合う形へ育てることが、 いざというときの安心につながります。

執筆・監修

河邊甲介
薬剤師・中医薬膳師・薬膳素材専門士・ペットフーディスト
漢方薬局 ほどよい堂 代表

宮崎県川南町で「漢方×薬膳×腸活」を軸に、 栄養・循環・吸収から整える健康相談を行っています。

最終更新:2026年7月11日

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Supervisor / Reviewer

監修者情報

ほどよい堂|漢方×薬膳×腸活のトリプルメソッド(監修者紹介イメージ)

監修:河邊 甲介(薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト)
漢方薬局「ほどよい堂」代表

宮崎県川南町にて、漢方 × 薬膳 × 腸活のトリプルアプローチによる健康相談を行っています。 体質の言語化と、日常で“続く整え方”をセットでご提案しています。

  • 栄養:細胞は“食べたものでしか作られない”
  • 循環:巡りが整うと、酸素・栄養が届きやすくなる
  • 吸収(腸活):食べるだけでなく“吸収できる腸”を育てる
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所在地:〒889-1301 宮崎県児湯郡川南町川南26197-1(峠の里内)
TEL:0983-32-7933
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