災害時の車中泊、本当に大丈夫?血栓・熱中症から命を守る7つの対策【薬剤師解説】
災害時の健康管理
車中泊避難で体調を崩さないために
地震や大雨などの災害時には、避難所の混雑、感染症への不安、ペットとの同行などを理由に、車の中で避難生活を送ることがあります。
車中泊はプライバシーを保ちやすい一方で、 血栓症・熱中症・低体温・一酸化炭素中毒 など、命に関わる健康リスクにも注意が必要です。
- 脚や足首をこまめに動かす
- 水分を我慢しない
- 座ったままではなく、脚を伸ばして眠る
- エンジンをかけたまま眠らない
- 車中泊していることを避難所や自治体へ伝える
片脚だけの急な腫れや痛み、突然の息苦しさ、胸の痛み、失神、唇の色が悪いなどの症状がある場合は、セルフケアで様子を見ず、救護所や医療機関へ相談してください。
目次
結論|車中泊は一時的な避難手段として考える
災害直後、命を守るために一時的に車へ避難することはあります。しかし、長期間の車中泊は、運動不足、睡眠不足、脱水、衛生環境の悪化などが重なりやすく、身体への負担が大きくなります。
安全な避難所や受け入れ先が確保できた場合は、できるだけ早めに移動を検討しましょう。
車中泊を続ける場合も、避難所の受付や自治体へ居場所、人数、持病、服薬状況を伝え、健康確認や物資支援を受けられる状態にしておくことが大切です。
最初に確認したい駐車場所と寝床
「車を停めやすい場所」ではなく、災害の種類に対して安全性が確認できる場所を選びます。大雨や津波の危険が迫ってから車で移動すると、冠水や渋滞に巻き込まれるおそれがあります。

- 津波や高潮の浸水区域ではないか
- 洪水や土砂災害の危険区域ではないか
- 倒木や落下物の危険がないか
- 緊急車両の通行を妨げないか
- 安全に使えるトイレがあるか
- 脚を伸ばして眠れるか
- 座席の段差を埋められるか
- 換気と温度調整ができるか
- 水と常用薬を手元に置けるか
- 排気口の周囲が塞がれていないか
川南町では、津波、洪水、土砂災害、高潮、ため池の浸水想定区域などを掲載した防災ハザードマップが公開されています。
エコノミークラス症候群を防ぐ5つの対策
エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢で脚を動かさないことや、水分不足などにより、脚の深い静脈に血栓ができる状態です。
血栓が肺の血管へ移動すると、肺血栓塞栓症を起こし、突然の息苦しさや胸の痛みにつながることがあります。
- 車内でも足首をこまめに動かす
つま先とかかとの上げ下ろし、足首回し、足の指の曲げ伸ばしを、無理のない範囲で行います。 - 安全を確認して身体を動かす
日中に安全が確保できる場合は、車外へ出て少し歩きます。余震、豪雨、夜間など、危険がある状況では無理に外へ出ないでください。 - 水分を我慢しない
トイレを減らす目的で水分を控えないことが大切です。水やお茶を、一度に大量ではなく少量ずつこまめにとります。 - 脚を伸ばして眠る
運転姿勢のまま眠ることはできるだけ避け、後部座席や荷室を使って、膝と股関節を伸ばせる寝床をつくります。 - 締め付けの少ない服装にする
きついベルトや衣類をゆるめます。弾性ストッキングは、サイズや使用方法を医療従事者へ確認して使用しましょう。

特に血栓症へ注意したい人
- 過去に深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症を起こしたことがある
- 最近、手術、骨折、長期入院をした
- がんの治療中である
- 妊娠中、出産後である
- 経口避妊薬や女性ホルモン製剤を使用している
- 高齢、肥満傾向、下肢静脈瘤がある
- 歩行や身体の移動が難しい
該当する方は車中泊を長期化させず、早めに避難所の保健師、看護師、医師などへ相談してください。
片脚だけに急な腫れ、痛み、赤み、熱感がある場合は、強く揉んだり運動を続けたりせず、医療スタッフへ相談してください。
熱中症・低体温・一酸化炭素中毒を防ぐ
熱中症と脱水を防ぐポイント
車内は、外気温がそれほど高くない日でも、日差しによって短時間で暑くなることがあります。
- 暑さを避けられる安全な場所へ移動する
- サンシェードを使い、直射日光を遮る
- 水やお茶を少量ずつこまめにとる
- 汗を多くかいたときは水分と塩分を補う
- 子ども、高齢者、ペットだけを車内に残さない
意識がぼんやりする、自力で水を飲めない、呼びかけへの反応がおかしい場合は、直ちに救急要請を検討してください。
寒さと低体温を防ぐポイント
- 床に断熱マット、段ボール、毛布を重ねる
- 寝袋や防寒着を使用する
- 首、手首、足首を保温する
- 汗や雨で濡れた衣類は早めに着替える
- カイロを同じ場所へ長時間当てない
強い震えが止まる、受け答えがおかしい、動きが極端に鈍い場合は、低体温症の可能性があります。速やかに救護所や医療機関へ相談してください。
一酸化炭素中毒を防ぐポイント
排気ガスが車内へ流れ込むと、無色・無臭の一酸化炭素による中毒を起こす危険があります。
- 積雪時はマフラー周辺をこまめに確認する
- 泥、雪、落下物で排気口が塞がれていないか確認する
- 壁や他の車へ排気口を近づけない
- 閉鎖された車庫や換気の悪い場所でアイドリングしない
- 寝袋や断熱用品で、エンジンに依存しすぎない準備をする
すぐに医療へ相談したい症状
- 片脚だけ急に腫れた
- ふくらはぎが痛む
- 赤みや熱感がある
- 左右の脚の太さが明らかに違う
- 突然の息苦しさ
- 胸の痛みや圧迫感
- 冷や汗、失神
- 唇や顔色が悪い
漢方相談やLINE相談は緊急対応の代わりにはなりません。命に関わる症状が疑われる場合は、救急対応を最優先してください。
災害時の栄養・腸活|食べるだけでなく吸収できる身体へ
災害時は、おにぎり、菓子パン、カップ麺など糖質中心の食事に偏りやすくなります。カロリーが足りていても、たんぱく質、良質な脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足する「新型栄養失調」に注意が必要です。
ほどよい堂が大切にする3本柱
- 栄養:細胞の材料を確保する
- 循環:栄養と酸素を身体のすみずみへ届ける
- 吸収=腸活:食べたものを自分の力に変えられる腸を支える
非常食は「主食+たんぱく質+汁物」を意識
- ご飯、乾パン、オートミールなどの主食
- 魚缶、豆、大豆食品、卵などのたんぱく源
- 海藻、きのこ、豆を含む汁物や保存食
- 水、常温保存できる飲み物
食べるときは、可能な範囲で一口30回を目安によく噛みます。よく噛むことは、消化のスイッチを入れ、中医学でいう「脾=消化吸収の土台」を助ける養生です。
日頃の備えをクロレラ・玄米×麹で補う
災害時の栄養を健康食品だけでまかなうことはできませんが、通常の食事が十分にとれないときに備え、日頃から扱いに慣れた食品を準備しておく方法があります。
クロレラは、たんぱく質、クロロフィル、ビタミン・ミネラル、食物繊維などを含む「緑のまるごと食品」です。
ほどよい堂では、細胞の材料を「つくる・守る・巡らす」日常の基礎食としてご案内しています。
玄米と麹を取り入れた食品は、食事が偏りやすいときに、玄米由来の栄養や食物繊維を補う選択肢になります。
十分な水分と一緒にとり、食事そのものを置き換えるのではなく、補助として活用します。
持病がある方、妊娠中の方、食物アレルギーがある方、ワルファリンなど食事の影響を受ける薬を使用中の方は、事前に医師または薬剤師へ相談してください。
中医学で考える車中泊避難の体調変化
中医学では、身体を「気・血・水」が互いに支え合う動的なシステムとして考えます。車中泊では、緊張、冷え、運動不足、食事の偏りなどにより、気血水の巡りが乱れやすくなります。

気滞は「緊張で気の巡りが滞るタイプ」、瘀血は「血の巡りが悪くなりやすいタイプ」です。ストレス、同じ姿勢、運動不足などが背景になります。
水滞は「身体の水分が偏りやすいタイプ」です。むくみ、頭重感、めまい、胃のちゃぷちゃぷ感などが現れることがあります。
脾虚は「胃腸の消化吸収力が弱ったタイプ」です。食欲低下、軟便、食後の眠気、疲れなどが起こりやすくなります。
陽虚は「身体を温める力が不足した冷えタイプ」です。冷え、疲労、下痢、むくみなどが重なることがあります。

車中泊時に相談されることがある漢方薬
五苓散
水滞=水分の偏りがあり、口渇、尿量の変化、むくみ、頭重感などを伴う証に用いられる方剤です。
真武湯
陽虚水滞=冷えと胃腸虚弱、水分代謝の低下が重なる証に用いられる方剤です。
漢方薬は、エコノミークラス症候群を直接予防・治療する薬ではありません。水分補給、運動、寝姿勢の改善、医療機関への相談を優先してください。
車に備えておきたい健康管理用品
水分・食料
- 飲料水
- 経口補水液
- 常温保存できる主食
- 魚缶、豆、大豆食品などのたんぱく源
- 味噌汁や野菜スープなどの汁物
- 普段から食べ慣れている栄養補助食品
睡眠・保温用品
- 寝袋、毛布、防寒着
- 断熱マット、段ボール
- 座席の段差を埋めるクッション
- アイマスク、耳栓
- 使い捨てカイロ
- 着替えとタオル
衛生・排泄用品
- 携帯トイレ
- トイレットペーパー
- ウェットティッシュ
- 歯ブラシ、口腔ケア用品
- 手指衛生用品
- ごみ袋、生理用品、おむつ
薬と健康情報
- 常用薬を最低3日分、可能なら余裕をもって準備
- お薬手帳または服薬内容の写真
- マイナ保険証や資格確認書
- 持病、アレルギー、緊急連絡先を書いたメモ
- 体温計、マスク、救急用品
薬が不足しても、自己判断で服用回数を減らしたり中止したりせず、避難所の医療スタッフや薬剤師へ相談してください。
車中泊避難についてよくある質問
車中泊は絶対にしてはいけませんか?
災害直後に命を守るため、一時的に車へ避難することはあります。ただし、健康リスクがあるため、安全な避難所や受け入れ先が確保できたら移動を検討してください。
どのくらいの間隔で運動すればよいですか?
「必ず30分ごと」など一律に決めるのではなく、車内では足首やつま先をこまめに動かします。周囲が安全な時間帯には、歩く時間もつくりましょう。
脚がむくんだら揉んでもよいですか?
両脚の軽いむくみで、痛み、赤み、熱感がない場合は、足首を動かしたり、脚を少し高くして休んだりします。
片脚だけの急な腫れ、痛み、赤み、熱感がある場合は、強く揉まずに医療スタッフへ相談してください。
経口補水液を日常の水代わりに飲んでもよいですか?
経口補水液は、脱水時の水分と電解質補給を目的としたものです。普段の水分補給は水やお茶を基本とし、下痢、嘔吐、多量の発汗など、状態に応じて利用します。
心臓病、腎臓病、高血圧などで水分や塩分の制限がある方は、医師や医療スタッフへ相談してください。
漢方薬で血栓を予防できますか?
漢方薬だけで血栓症を予防できるとはいえません。水分補給、脚の運動、脚を伸ばす寝姿勢、避難環境の改善が基本です。
漢方薬は、冷え、胃腸不調、むくみなどについて、体質と症状を確認したうえで補助的に検討します。
まとめ|水分・運動・寝姿勢を優先する
- 脚と足首をこまめに動かす
- 水分を我慢しない
- 脚を伸ばして眠る
- エンジンをかけたまま眠らない
- 車中泊していることを避難所へ伝える
身体は、一度体調を崩したら終わりではなく、日々の水分、食事、睡眠、運動によって少しずつ入れ替わっています。
災害時こそ、「栄養・循環・吸収」の土台を守り、できることを一つずつ重ねていきましょう。
避難生活後の冷え・胃腸不調・眠りについてご相談ください
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相談だけでもご利用いただけます。商品の購入は任意です。
本記事は一般的な健康情報を提供するものであり、個別の診断や治療を目的とするものではありません。強い症状、急な体調変化、意識障害、呼吸困難、胸痛などがある場合は、漢方相談よりも救急対応を優先してください。
参考資料
監修者・免責事項
本記事の信頼性を高めるため、監修者情報と免責事項をまとめています。 体質の整理(中医学)と、現代の栄養学・生活習慣の視点を両輪で扱い、誠実な表現を心がけています。
Supervisor / Reviewer
監修者情報

監修:河邊 甲介(薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト)
漢方薬局「ほどよい堂」代表
宮崎県川南町にて、漢方 × 薬膳 × 腸活のトリプルアプローチによる健康相談を行っています。 体質の言語化と、日常で“続く整え方”をセットでご提案しています。
- 栄養:細胞は“食べたものでしか作られない”
- 循環:巡りが整うと、酸素・栄養が届きやすくなる
- 吸収(腸活):食べるだけでなく“吸収できる腸”を育てる
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療・処方の代替ではありません。 症状が強い/長引く/不安が大きい場合は、医療機関・専門家へご相談ください。
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