よもぎ(艾葉)とは?漢方・薬膳での働き、飲み方・注意点を薬剤師が解説
よもぎ(艾葉)とは?漢方・薬膳での働き、飲み方・注意点を薬剤師が解説
草餅でもおなじみの「よもぎ」は、日本人にとって身近な和の植物です。
乾燥した葉などは、生薬の世界では「艾葉(がいよう)」として扱われます。
さらに、よもぎの葉を乾燥・加工・精製したものは、お灸に使う「艾(もぐさ)」の原料になります。
ほどよい堂では、よもぎを「強い変化を求めるもの」ではなく、温かいお茶や汁物として毎日の養生へ取り入れやすい素材としてご紹介しています。
よもぎには独特の芳香とほのかな苦みがあります。
冷たい飲み物を減らしたい時や、温かい一杯を生活の定番にしたい時にも取り入れやすい茶材です。

よもぎが毎日の養生に取り入れやすい4つの理由
よもぎの魅力は、特別な健康法として構えなくても、日々の食事や飲み物へ取り入れやすいことです。
「お茶にする」「汁物に少量加える」「香りを楽しむ」というシンプルな方法で続けられます。
ほどよい堂では、3日で自分に合う濃さや飲み方を確認し、3週間で習慣を整え、3ヶ月で食事・巡り・吸収の土台を見直すという時間軸を大切にしています。
1.和の香りで「温かい飲み物」を定番化しやすい
よもぎには特徴的な芳香とほのかな苦みがあります。
甘い飲み物や冷たい飲み物を完全に禁止するのではなく、1日1回を温かいよもぎ茶へ置き換えるところから始めると続けやすくなります。
2.「冷え」と「巡り」を意識するきっかけに
中医学では、艾葉は温性の生薬として整理され、冷えが関係する証で用いられてきました。
食品としてのよもぎ茶は治療を目的とするものではありません。
温かい一杯を選ぶ生活習慣として考えると取り入れやすくなります。
3.脾=消化吸収の土台をいたわる食事と組み合わせやすい
腸活は、よもぎだけで完結させるものではありません。
味噌汁・野菜スープ・海藻・きのこ・豆・発酵性食物繊維などを毎日の定番にしていくことが基本です。
よもぎを温かい汁物の香りづけとして少量使う方法もあります。
4.「食べる・飲む・灸」の歴史をもつ身近な植物
よもぎは食材として親しまれてきました。
乾燥した葉などは生薬「艾葉」として扱われます。
さらに葉を加工・精製したものが「艾(もぐさ)」として灸に使われます。
同じよもぎ由来でも、食品・生薬・灸材では目的と扱いが異なります。
まず1つ変えるなら、「冷たい一杯を温かいよもぎ茶へ」
養生は、全部を一度に変える必要はありません。
まずは朝や食後の飲み物を1回だけ温かいよもぎ茶へ置き換えてみましょう。
香りが強く感じる場合は、薄めから始めると自分に合う濃さを見つけやすくなります。
「よもぎ」「艾葉」「艾(もぐさ)」は何が違う?
「よもぎ」「艾葉」「もぐさ」は、同じ植物をもとにしているため混同されやすい言葉です。
それぞれの位置づけを整理すると、使い方の違いが分かりやすくなります。

| 呼び方 | 主な位置づけ | 使われ方 | ほどよい堂での考え方 |
|---|---|---|---|
| よもぎ | 植物・食材・茶材 | 草餅、料理、お茶、汁物など | 毎日の温かい養生へ取り入れる食品素材 |
| 艾葉(がいよう) | 乾燥したよもぎの葉などを基原とする生薬名 | 漢方処方の構成生薬など | 中医学・漢方での伝統的な位置づけを理解する際の名称 |
| 艾(もぐさ) | よもぎの葉を乾燥・加工・精製して作る灸材 | お灸 | 飲用する茶材とは別用途。 火を使うため安全管理が必要。 |
日本薬局方での「ガイヨウ」:
ヨモギ Artemisia princeps またはオオヨモギ Artemisia montana の葉および枝先と定義されています。
ほどよい堂で販売する商品は食品としての茶材であり、医薬品としての効能・効果をうたうものではありません。
中医学でみる艾葉|「冷えて巡りにくい」証を考える生薬
中医学の生薬学では、艾葉は一般に辛・苦、温の性質をもち、肝・脾・腎との関わりで整理されます。
伝統的には、温めながら寒を散らす方向で考えられてきた生薬です。
代表的な伝統的作用として、温経止血(おんけいしけつ=経脈を温め、冷えに伴う出血を考える)、散寒止痛(さんかんしつう=寒を散らし、冷えに伴う痛みを考える)などがあります。
陽虚・虚寒タイプ|冷えが前面に出る
陽虚(ようきょ=温める力が不足するタイプ)や虚寒(きょかん=不足を背景に冷えるタイプ)では、温める方向の養生を考えます。
食品として取り入れる場合は、温かく・薄めからが続けやすい方法です。
瘀血タイプ|冷えと巡りの停滞を意識
瘀血(おけつ=血の巡りが滞りやすいタイプ)では、温かい飲み物だけに頼らないことが大切です。
軽い運動、入浴、十分な水分、たんぱく質や鉄などの栄養の見直しを組み合わせます。
脾虚タイプ|胃腸が弱く冷えやすい
脾虚(ひきょ=消化吸収の力が弱りやすいタイプ)は、濃いお茶を大量に飲むよりも食事全体を整えることが優先です。
温かい味噌汁や野菜スープなど、脾=消化吸収の土台をいたわる食事を意識します。
陰虚・熱タイプ|温めすぎに注意
陰虚(いんきょ=潤い不足タイプ)で、ほてり・のぼせ・口の乾きなど熱感が目立つ場合は、温性素材を漫然と増やしません。
薄める・頻度を下げる・別の素材を選ぶなどの調整を考えます。
- ① 証を組み立てる: 冷えが主なのか、熱が主なのか、虚が主なのか、巡りの滞りが主なのかを確認します。
- ② 背景を考える: 食事不足、睡眠、運動不足、ストレス、胃腸の弱りなどを重ねて考えます。
- ③ 治則・養生を決める: 温めることだけに偏らず、栄養・循環・吸収=腸活を一緒に整えます。
漢方処方にも使われる「艾葉」|よもぎ茶とは目的が違います
艾葉は、漢方処方の構成生薬としても使われています。
代表例の一つが芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)です。
医療用製剤では、艾葉のほか、地黄・芍薬・当帰・甘草・川芎・阿膠などを組み合わせた処方があります。
大切な区別:
「艾葉を含む漢方薬がある」ことと、「食品のよもぎ茶が漢方薬と同じ働きをする」ことは別です。
漢方薬は証(体質・症状)を考えて方剤全体で用いるものであり、単一の食品素材へ医薬品と同じ働きを期待するものではありません。
芎帰膠艾湯:
血虚を背景に、冷えや出血傾向などを伴う証で検討される方剤の一つです。
実際の適否は、症状・出血の原因・服薬状況などを確認して判断します。
ほどよい堂では、よもぎをこんな方の「生活習慣づくり」に

冷たい飲み物が多く、温かい習慣を作りたい方
まずは1日1回だけ温かいお茶へ置き換えてみましょう。
完全禁止ではなく、続けられる置き換えから始めるのがポイントです。
よもぎの香り・和ハーブが好きな方
香りは、毎日の習慣を続けるうえで大切な要素です。
濃くしすぎず、「また飲みたい」と思える濃さを基準にします。
季節の冷えや巡りを意識したい方
温かい一杯だけで完結させず、歩く・伸ばす・入浴するなどの軽い循環ケアを組み合わせます。
生活全体で巡りを整える意識が大切です。
自分の体質に合う薬膳素材を知りたい方
陽虚・瘀血・脾虚・陰虚など、同じ「冷え」でも背景は異なります。
迷う場合は、体質セルフチェックやLINE無料漢方相談をご活用ください。
「よもぎが合う?ほかの素材が合う?」迷ったらLINEで相談
冷えがあるから、すべての方によもぎが合うとは限りません。
ほてりや乾燥が強い方、胃腸が繊細な方、服薬中の方などは、体質や生活背景を見ながら量・頻度・組み合わせを調整することが大切です。
よもぎのおすすめの取り入れ方
よもぎ・艾葉は、特徴的な香りとほのかな苦みをもつ茶材です。
最初から濃くするより、薄めから始めて「香り・苦み・飲んだ後の感覚」を確認しながら調整するのがおすすめです。

まずは蒸らして香りを確認
200〜300mL程度のお湯で、3〜5分を目安に蒸らします。
香りが強い場合は、茶材を減らすか抽出時間を短くして調整します。
煮出し・汁物にも少量
煮出す場合は、水400〜800mLで弱火5〜10分程度を目安にします。
味噌汁や野菜スープには少量から加えると、よもぎの香りを活かしやすくなります。
3日・3週間・3ヶ月で見直す
3日で濃さとタイミングを確認します。
3週間で習慣として続けやすいかを振り返ります。
3ヶ月で、栄養・循環・吸収=腸活まで含めた生活全体を見直します。
- よもぎ × 生姜: 温かさを意識したい朝の一杯に。
- よもぎ × 陳皮: 香りを整え、食後の切り替え茶に。
- よもぎ × 焙じはとむぎ: 香ばしさを加え、よもぎの個性をやわらげたい時に。
- よもぎ × なつめ: やさしい甘みを足して、飲みやすくしたい時に。
- よもぎ × 玫瑰花: 香りを重ね、気分転換の時間を作りたい時に。
- よもぎ × 味噌汁・野菜スープ: 毎日の「温かい定番」へ組み込みたい時に。
よもぎだけに頼らない|ほどよい堂の3本柱で整える
よもぎは、毎日の養生を始めるきっかけにはなります。
ただし、からだの土台づくりは一つの食品だけで完結するものではありません。
ほどよい堂では、栄養・循環・吸収=腸活の3本柱で考えます。
① 栄養|細胞の材料をそろえる
温活をしても、たんぱく質・良質脂質・鉄・亜鉛・ビタミン・ミネラル・食物繊維などが不足していれば、からだの材料が不足しやすくなります。
カロリーは足りているのに必要な栄養素が不足する「新型栄養失調」を意識し、まず食事全体を確認します。
② 循環|温めたら、軽く動かす
温かいお茶に加えて、散歩、ふくらはぎ運動、ストレッチ、入浴、深い呼吸などを組み合わせます。
血液の巡りは、栄養や酸素を全身へ届ける大切なルートです。
③ 吸収=腸活|「食べる」から「吸収できる」へ
腸活は、プロバイオティクス(善玉菌)・プレバイオティクス(菌のエサ)・バイオジェニックス(菌が作る有用成分)の三位一体で考えます。
さらに、腸のバリアを守る視点も大切です。
味噌汁、海藻、きのこ、豆、発酵性食物繊維を毎日の定番にします。
1口30回を目安によく噛むことも、脾=消化吸収の働きを助ける基本です。
よもぎを取り入れる時に注意したいこと
よもぎは身近な食品素材ですが、濃ければ濃いほどよいわけではありません。
香りや苦みが強く感じる場合は、薄め・少量から調整してください。
キク科植物などでアレルギー経験がある方は、慎重に取り入れてください。
妊娠中・授乳中の方、服薬中・治療中の方は、継続的に取り入れる前に医師・薬剤師などへ確認することをおすすめします。
お灸として使う場合:
このページで紹介している茶材を、そのまま燃やしてセルフ灸へ使用することは想定していません。
艾(もぐさ)を用いる灸には、火傷や火災のリスクがあります。
専用製品の説明に従い、必要に応じて鍼灸師など専門家の指導を受けてください。
よくある質問
よもぎと艾葉は同じものですか?
日常では「よもぎ」、生薬の名称では「艾葉(がいよう)」と呼ばれます。
ただし、生薬には基原や品質の規格があります。
食品として販売されるよもぎ茶材と医薬品原料としての艾葉は、名称が似ていても同一の扱いではありません。
艾葉と艾(もぐさ)は同じですか?
同じよもぎ由来ですが、用途が異なります。
艾葉は生薬として用いられる名称です。
艾(もぐさ)は、乾燥したよもぎ葉を加工・精製して作る灸材です。
よもぎ茶は毎日飲んでもよいですか?
食品として少量から取り入れ、体調や香りの感じ方を見ながら頻度を調整してください。
「毎日必ず飲む」と決めるより、体質・季節・食事との相性を見ながら続けることを大切にします。
どんな体質に合いやすいですか?
中医学の考え方では、冷えが前面に出る陽虚・虚寒タイプなどで候補になりやすい素材です。
一方で、ほてりやのぼせなど熱感が強い場合は、温める素材を増やしすぎないよう調整します。
生理中や妊娠中でも飲めますか?
体質や出血の状態、妊娠経過、服薬内容によって判断が変わるため、一律にはおすすめしていません。
特に妊娠中・治療中・出血症状がある場合は、自己判断で濃く継続せず、主治医や薬剤師へご相談ください。
体質に合うか分からない時はどうすればよいですか?
「冷えるけれど、のぼせもある」「胃腸が弱い」「月経の状態も気になる」など、複数の要素がある場合は弁証が役立ちます。
LINE無料漢方相談または体質セルフチェックをご活用ください。
よもぎを、毎日の「ほどよく温める習慣」に
大切なのは、よもぎだけで何かを変えようとすることではありません。
温かい一杯をきっかけに、食事・巡り・胃腸・休養まで少しずつ整えていくことです。
まずは自分が「おいしく続けられる濃さ」から始めてみてください。
体質に合うか迷う場合は、ほどよい堂へお気軽にご相談ください。
参考:
日本薬局方名称データベース「ガイヨウ(Artemisia Leaf)」、PMDA「ツムラ芎帰膠艾湯エキス顆粒(医療用)」、ほどよい堂EC「よもぎ・艾葉」。
※生薬としての伝統的な説明は、食品としての効果効能を示すものではありません。
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、医療行為や診断を目的とするものではありません。
症状が強い場合、出血がある場合、妊娠中・授乳中、服薬中・治療中の方は、医師・薬剤師などの専門家へご相談ください。

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