クロレラはがんに効く?研究結果・限界・治療中の注意点を薬剤師が解説
薬剤師が科学的根拠を整理
クロレラはがんに効く?研究結果と分かっていないこと
クロレラとがんに関するヒト研究、細胞・動物研究、治療中の注意点を整理し、 「分かっていること」と「まだ分かっていないこと」を分けて解説します。

「クロレラを飲むと、がんが小さくなるのでしょうか」
「抗がん剤治療中にクロレラを飲んでも大丈夫ですか」
「体力や食欲が落ちている家族に、何かしてあげたい」
ほどよい堂では、このようなご相談をいただくことがあります。 がんと診断されたとき、ご本人やご家族が 「治療以外にも、体のためにできることはないだろうか」 と考えるのは自然なことです。
最初にお伝えしたい結論
現在の研究では、クロレラが人のがんを治す、がんを小さくする、 再発を防ぐ、生存期間を延ばすとは証明されていません。 [1]
クロレラは、標準治療に代わる治療薬ではありません。 治療中に使用する場合は、栄養補助として必要かどうか、 治療薬との併用に問題がないかを確認することが大切です。
一方で、クロレラの成分や抽出物については、がん細胞や動物を使った研究、 健康な人の免疫指標、乳がん患者の生活の質を調べた小規模研究があります。
大切なのは、研究を「効く・効かない」の二択で判断せず、 どの段階まで分かっていて、どこから先がまだ分からないのか を分けて考えることです。
「がんに効く」には、いくつかの意味がある
「がんに効く」という表現には、がんそのものを治療する働きと、 治療を受ける体を栄養面から支える働きが混ざっています。 この2つは分けて考える必要があります。
がんそのものに対する効果
医学的にがん治療として有効と判断するには、ヒトを対象とした臨床試験で、 次のような結果を確認する必要があります。
- 腫瘍が小さくなる
- がんの進行が遅くなる
- 再発や転移が減る
- 生存期間が延びる
- 標準治療の効果が高まる
クロレラについて、これらの効果を人で明確に示した十分な臨床データはありません。
治療を受ける体を支える働き
もう一つは、がんそのものを治すのではなく、
- 食事で不足しやすい栄養を補う
- 栄養状態の維持を支える
- 生活の質を支える
- 治療中の体力維持を補助する
という栄養補助・支持の位置づけです。 一部研究はありますが、誰にでも同じ結果が得られるとはいえません。
クロレラとは
クロレラは、淡水などに生息する単細胞の緑藻です。 製品や株、培養方法、加工方法によって違いがありますが、 タンパク質、食物繊維、クロロフィル、カロテノイド、 ビタミン、ミネラルなどを含む食品として利用されています。
ほどよい堂では、クロレラを 「緑のまるごと食品・細胞の基礎食」 という位置づけで考えています。 ただし、栄養を含むことと、がんを治療できることは別の話です。
研究では、Chlorella vulgaris、 Chlorella sorokinianaなどの異なる種類が使われ、 粉末、粒、顆粒、熱水抽出物など、使用される形も異なります。
ある種類や抽出物の研究結果を、すべてのクロレラ製品へ そのまま当てはめることはできません。

ヒトを対象とした研究では何が分かっている?
乳がん患者の生活の質を調べた小規模研究
2014年に、乳がん患者45人を対象として、 クロレラ顆粒、クロレラ熱水抽出物の飲料、 ビタミン混合錠を1カ月摂取する研究が行われました。 最終的に36人が解析されています。 [2]
クロレラ顆粒群では、乳がんに関連する生活の質の一部項目に変化がみられました。 熱水抽出物群でも、疲労感や乾燥肌などについて、 よい変化があったと回答した参加者がいました。
この研究を読むときの注意点
- 調べた中心項目は生活の質や自覚症状
- 腫瘍縮小、再発、生存期間は検証していない
- 研究期間が1カ月と短い
- 最終解析人数が36人と少ない
- 参加者と研究者が摂取内容を把握する非盲検試験
- 企業関係者の関与と試験品の提供がある
この研究からいえるのは、 クロレラが乳がんを治したということではなく、 生活の質を支える可能性を検討した初期段階の研究がある というところまでです。
健康な人の免疫指標を調べた研究
2012年には、健康な成人を対象として、 1日5グラムのクロレラまたはプラセボを8週間摂取する 無作為化二重盲検試験が行われました。 [3]
クロレラ群では、NK細胞活性やインターフェロンγなど、 一部の免疫指標に変化がみられました。
ただし、この研究の対象は がん患者ではなく健康な成人です。 免疫指標が変化することと、がんが小さくなることは同じではありません。
免疫は単純に「高ければ高いほどよい」ものではなく、 必要な場所で適切に働くバランスが重要です。 この研究だけから「クロレラでがん免疫が高まり、がんが治る」 と結論づけることはできません。
細胞・動物研究では抗腫瘍作用が報告されている
クロレラやその抽出成分を培養したがん細胞へ直接加える研究では、 次のような結果が報告されています。
- がん細胞の増殖を抑える
- アポトーシスと呼ばれる細胞死を誘導する
- がん細胞の移動を抑える
- 腫瘍周辺の免疫反応に影響する
2025年の子宮内膜がん細胞を使った研究では、 クロレラ抽出物による細胞増殖・移動の抑制と、 細胞死の誘導が報告されました。 これは培養細胞を使った基礎研究であり、 人のがん治療への有効性を確認した研究ではありません。 [4]
肺がん細胞とマウスを使った研究でも、 Chlorella sorokinianaによる細胞死の誘導や、 移植腫瘍の成長抑制が報告されています。 [5]
反対の結果を示した動物研究もある
クロレラの動物研究は、すべてが同じ方向の結果ではありません。
乳腺腫瘍を移植したマウスの研究では、 Chlorella vulgarisを特定量与えた群で、 腫瘍体積や血管新生の増加がみられ、 腫瘍の成長を促進した可能性が報告されています。 [6]
この一つの動物研究だけから 「クロレラは人のがんを悪化させる」と断定することもできません。 少数のマウスを使った特定条件の実験であり、 人へそのまま当てはめることはできないためです。
一方で、抗腫瘍作用を示した研究だけを取り上げ、 「天然だから安全」「免疫に作用するからがんに効く」 と判断することも適切ではありません。

細胞に効いたことは、飲めば人のがんに効くことを意味しません。
現在、まだ分かっていないこと
クロレラとがんについては、次の重要な点が十分に分かっていません。
がんを小さくできるか
ヒトを対象として、腫瘍縮小効果を明確に示した臨床データはありません。
再発や転移を防げるか
再発率や転移率を下げることを証明したヒト研究はありません。
生存期間を延ばせるか
全生存期間や無増悪生存期間を改善するという十分なデータはありません。
どのがんに適しているか
がんの種類、遺伝子の特徴、進行度による違いは分かっていません。
適切な種類と摂取量
がん治療中の人に対する標準的な種類、摂取量、安全な上限量は確立していません。
治療薬との相互作用
個別の抗がん剤、分子標的薬、ホルモン療法薬、 免疫チェックポイント阻害薬との相互作用は十分に分かっていません。
米国国立がん研究所も、食品・サプリメントとがん治療薬の相互作用について、 研究が限られているものが多く、薬の吸収、代謝、排泄などへ 影響する可能性があると説明しています。 [7]
がん治療中のクロレラは、どのように位置づける?
ほどよい堂では、クロレラを がんの治療薬ではなく、必要に応じて栄養を補助する食品 として考えます。
がんやその治療では、吐き気、口内炎、味覚の変化、下痢、便秘、 食欲低下などが起こり、十分に食べられなくなる場合があります。 食事量の低下や体重減少は、低栄養につながる可能性があります。 [8]
ただし、食事量が落ちている人にクロレラだけを増やしても、 必要なエネルギーやタンパク質を十分に確保できるとは限りません。

栄養|つくる
まず優先したいのは、食べられる範囲でエネルギーとタンパク質を確保することです。 卵、魚、肉、豆腐などから、体調に合うものを少量ずつ取り入れます。
循環|届ける
水分不足、貧血、運動不足などは全身の巡りに影響します。 主治医の許可を得たうえで、軽い歩行やストレッチを無理のない範囲で行います。
吸収|受け取る
吐き気や胃もたれ、下痢が強いときは、栄養価が高い食品でも負担になる場合があります。 今の胃腸が受け取れる形と量を優先します。
中医学では「脾=土」を整える
中医学の「脾」は、解剖学的な脾臓そのものではなく、 食べたものを消化・吸収し、気・血・津液へ変える働きを表します。
治療中に食欲低下、胃もたれ、軟便、倦怠感などがある場合は、 脾気虚=消化吸収力とエネルギーが不足したタイプ のような状態として整理することがあります。
温かい味噌汁や野菜スープ、軟らかいご飯、豆腐、卵料理など、 胃腸が受け取りやすい形から整えます。 ただし、口内炎、下痢、腸閉塞の可能性、感染対策などにより、 適した食品は変わるため、治療中は医療者の指示を優先してください。
治療中の食事や併用について、一度整理してみませんか?
服用薬、治療内容、食欲、便通、胃腸の状態を確認しながら、 クロレラを含む健康食品の位置づけを薬剤師と一緒に整理します。
がんの診断・治療方針については、必ず主治医へご相談ください。 ほどよい堂の相談は、標準治療に代わるものではありません。
クロレラを始める前に確認したい注意点

標準治療の代わりにしない
国立がん研究センターは、健康食品やサプリメントで がんそのものへの効果が科学的に証明されたものはなく、 標準治療の代わりにはならないと説明しています。 [1]
使用していることを医療者へ伝える
「食品だから伝えなくてもよい」と考えず、 商品名、メーカー名、摂取量、開始日、摂取目的を 医師や薬剤師へ伝えてください。
ワルファリンを服用している人
クロレラにはビタミンKを含む製品があり、 ワルファリンの抗凝固作用を弱めたと考えられる症例報告があります。 [9]
ワルファリン服用中は、自己判断でクロレラを開始・中止・増減しないでください。
メトトレキサートを使用している人
クロレラそのものを対象とした報告ではありませんが、 クロロフィルを含む補完製品の使用後に、 メトトレキサートの排泄遅延が疑われた症例報告があります。 [10]
一症例の報告であり、クロレラとの相互作用を証明したものではありません。 ただし、メトトレキサート治療中は、クロロフィルを含む健康食品について 事前に主治医や薬剤師へ確認してください。
アレルギーや消化器症状
クロレラ摂取後の重いアレルギー反応が報告された例があります。 [11]
また、人によっては便秘、下痢、腹部膨満、吐き気などが起こる可能性があります。 かゆみ、じんましん、息苦しさ、強い腹痛などが現れた場合は摂取を中止し、 医療機関へ相談してください。
免疫療法中・自己免疫疾患・移植後
クロレラと免疫チェックポイント阻害薬、免疫抑制薬との併用について、 安全性や有益性は十分に分かっていません。
免疫療法中、自己免疫疾患がある人、臓器移植後に免疫抑制薬を使用している人は、 特に主治医への確認が必要です。
主治医に相談するときの伝え方
「クロレラをがん治療の代わりではなく、栄養補助として検討しています。 現在の治療薬と併用して問題がないか確認していただけますか」
できれば、商品容器や成分表示の写真を見せましょう。 次の情報があると確認しやすくなります。
- 商品名とメーカー名
- 原材料と栄養成分表示
- 1日に摂る予定の量
- 摂取したい目的
- 現在使用している薬
- 今後予定されている治療
クロレラとがんに関するよくある質問
クロレラを飲めば、抗がん剤の副作用が軽くなりますか?
疲労感や生活の質を調べた小規模研究はありますが、 抗がん剤の副作用を確実に軽減するとは証明されていません。
吐き気、口内炎、下痢、しびれ、強い倦怠感などには、 支持療法の薬やケアで対応できる場合があります。 まずは医師、薬剤師、看護師へ相談してください。
たくさん飲んだほうがよいですか?
がん治療中の有効量や安全な上限量は確立していません。 動物研究では、条件や摂取量によって異なる結果も報告されています。 自己判断による高用量摂取は避けてください。
治療が終わっていれば自由に飲めますか?
治療後もホルモン療法薬、抗凝固薬、免疫抑制薬などを 継続している場合があります。 現在の薬や治療後の経過を確認してから開始することが大切です。
バイオリンクもがんに効くのでしょうか?
バイオリンクを含むクロレラ製品は、がん治療薬ではありません。 製造管理、使用する株、加工方法、摂りやすさなどは、 栄養補助食品を選ぶ際の確認事項ですが、 これらが「がんを治す」ことを意味するものではありません。
栄養補助として必要かどうかを、食事量、胃腸の状態、 服用薬、治療内容を確認したうえで個別に判断します。
まとめ|「治す食品」ではなく、体を支える選択肢として
- クロレラが人のがんを治すことは証明されていない
- がんの縮小、再発予防、生存期間延長を示す十分な臨床データはない
- 細胞・動物研究では抗腫瘍作用を示した報告がある
- 特定条件の動物研究では、反対方向の結果も報告されている
- 乳がん患者の生活の質を調べた小規模研究がある
- 治療薬との相互作用は十分に分かっていない
- ワルファリンなど、特に注意が必要な薬がある
大切なのは、クロレラを「がんを治すもの」として過大評価することでも、 「食品だから意味がない」と切り捨てることでもありません。
治療の中心は標準治療。クロレラは必要に応じて、 栄養・循環・吸収を支える選択肢の一つです。
「飲んでよいか」だけでなく、 「今の体に本当に必要か」 「食事で先に整えられることはないか」 「現在の薬と併用して問題がないか」 を確認しながら取り入れることが大切です。
クロレラを始める前に、薬と体調を確認します
お薬手帳や商品の成分表示を確認しながら、 漢方・薬膳・腸活の視点を組み合わせて、 今の体に合う栄養の整え方を一緒に考えます。
参考文献・公的情報を確認する
- 国立がん研究センター がん情報サービス
「がんと民間療法(健康食品・サプリメント・食事療法を中心に)」
公的情報を確認する - Noguchi N, et al. The Influence of Chlorella and Its Hot Water Extract
Supplementation on Quality of Life in Patients with Breast Cancer. 2014.
論文を確認する - Kwak JH, et al. Beneficial immunostimulatory effect of short-term
Chlorella supplementation. 2012.
論文を確認する - First Look at Chemopreventive Properties of Chlorella Extracts
in Endometrial Cancer Cells. 2025.
論文を確認する - Lin PY, et al. Chlorella sorokiniana induces mitochondrial-mediated
apoptosis in human non-small cell lung cancer cells. 2017.
PubMedを確認する - Khalilnezhad A, et al. Effects of Chlorella vulgaris on tumor growth
in mammary tumor-bearing mice. 2018.
PubMedを確認する - National Cancer Institute.
Cancer Therapy Interactions With Foods and Dietary Supplements.
NCIの情報を確認する - National Cancer Institute. Nutrition During Cancer Treatment.
NCIの栄養情報を確認する - Ohkawa S, et al. Warfarin therapy and Chlorella. 1995.
PubMedを確認する - Brooks SL, et al. A case of delayed methotrexate clearance following
administration of a complementary medication containing chlorophyll. 2014.
PubMedを確認する - Abasszade JH, et al. Anaphylaxis following enteral exposure
to Chlorella vulgaris. 2020.
PubMedを確認する
この記事の監修者
漢方・薬膳・腸活の視点から、
薬剤師が内容を確認しています。
現代の医学・栄養学と中医学の両面を大切にしながら、
日常生活に取り入れやすい情報提供を心がけています。

SUPERVISOR
河邊 甲介
薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト
漢方薬局「ほどよい堂」代表
宮崎県川南町の漢方薬局「ほどよい堂」で、 漢方 × 薬膳 × 腸活の視点から
健康相談を行っています。
体質だけでなく、食事・胃腸・生活習慣まで一緒に整理し、
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免責事項
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、 医師による診断・治療・処方の代替を目的とするものではありません。
- 体質・症状・既往歴・服薬状況などにより、 適切な対応は異なります。
- 症状が強い場合、急激に悪化した場合、 長期間続いている場合は、 医療機関への受診をご検討ください。
- 妊娠中・授乳中・服薬中・通院中の方は、 漢方薬・健康食品・サプリメント等を利用する前に 医師・薬剤師などの専門家へご相談ください。
- 掲載内容は、 新しい知見等に応じて更新・変更する場合があります。
思ったら
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