災害時、子どもの便秘・下痢・不眠にどう備える?薬剤師が教える避難生活の体調管理
災害後の子どもの不調は、
「お腹・眠り・心」に現れやすくなります。
避難所、車中泊、親戚宅、在宅避難など、普段と違う環境では、 子どもに便秘、下痢、腹痛、不眠、食欲低下、甘え、イライラなどが現れることがあります。
- 便秘や腹痛が続く
- 下痢や嘔吐がある
- 食欲が落ちている
- 夜泣きや悪夢が増えた
- 急に甘えるようになった
- 元気がなく遊ばない
子どもは、自分の不調を正確に言葉で説明できるとは限りません。 「いつもより元気がない」「顔色が違う」「遊ばない」といった 普段との違いを観察することが大切です。
ぐったりしている、水分を飲めない、呼吸が苦しそう、けいれん、 意識や反応がおかしいなどの症状がある場合は、 食事・健康食品・漢方によるセルフケアよりも、 医療機関、救護所、避難所の保健師などへの相談を優先してください。

目次
子どもの危険サイン|セルフケアより相談を優先する状態
子どもは大人より体が小さく、下痢、嘔吐、発熱などによる水分の変化が 体調へ影響しやすい傾向があります。
次のような状態がみられる場合は、 食事や漢方で様子を見続けず、医師、看護師、保健師、薬剤師などへ相談してください。
- 呼びかけへの反応が弱い、ぐったりして遊ばない
- 水分をほとんど飲めない
- 飲んでも何度も吐いてしまう
- 尿が極端に少ない、長時間出ていない
- 口や舌が乾いている、泣いても涙が出にくい
- 血便、黒い便、強い腹痛がある
- お腹が強く張り、嘔吐を伴う
- 呼吸が速い、息苦しそうにしている
- 高熱、けいれん、意識状態の変化がある
- 保護者が「いつもと明らかに違う」と感じる
災害時は「周囲に迷惑をかけたくない」と我慢しがちです。 しかし、子どもの状態は短時間で変化することがあります。 迷ったときは早めに救護所や巡回医療スタッフへ相談しましょう。

なぜ避難生活で子どもの胃腸や睡眠が乱れるのか
避難生活では、普段の暮らしを支えている 「食べる・飲む・出す・動く・眠る」というリズムが崩れます。
- 水分摂取量の減少
- 非常食中心による栄養の偏り
- 寒暖差や冷え
- 運動量の低下
- 睡眠時間の乱れ
- トイレへの不安や我慢
- 騒音や照明、人の気配
- 余震への恐怖
- 保護者の緊張を感じ取る
- 自分で選べない状況が続く
中医学では「脾=消化吸収の土台」を重視します
中医学では、食べたものを消化・吸収して、 全身を支える「気・血・津液」をつくる働きを 脾(ひ)と表現します。
子どもは成長の途中にあり、胃腸の働きも環境変化の影響を受けやすいため、 食事、水分、睡眠、緊張の乱れが、腹痛、便秘、下痢、食欲低下として 現れやすいと考えます。
- 栄養:細胞は、食べて吸収した栄養からつくられます。
- 循環:血流が保たれることで、栄養と酸素が全身へ届きます。
- 吸収=腸活:食べるだけでなく、吸収できる胃腸の土台を育てます。
避難生活で子どもが便秘になったとき
災害時の便秘は、食物繊維不足だけでなく、 水分不足、トイレの我慢、運動不足、緊張などが重なって起こります。
1.安心して排便できる環境をつくる
避難所のトイレは、暗い、臭い、音が怖い、知らない人がいるなど、 子どもにとって大きなストレスになる場合があります。
可能な範囲で大人が付き添い、 「出なくても座れたら大丈夫」と声をかけ、 急かさずに見守ります。
2.水分は一度に大量ではなく、少量をこまめに
起床時、食事中、遊んだあとなど、飲むタイミングを決めると 水分を確保しやすくなります。
水やお茶だけでなく、利用できる場合は、 温かい味噌汁や野菜スープも水分、塩分、栄養を補う選択肢になります。
3.食べられる範囲で豆・海藻・きのこを足す
非常食に加えやすい食品として、豆や大豆粉末、海藻、乾燥野菜、 きのこ、オートミール、雑穀などがあります。
ただし、強い腹痛、嘔吐、お腹の張りがあるときは、 食物繊維を無理に増やさず、医療者へ相談してください。
4.安全な範囲で少し体を動かす
足踏み、背伸び、屈伸、ラジオ体操など、 数分の軽い運動でも腸への刺激や気分転換につながります。
体を動かすことは、夜の睡眠リズムを整える助けにもなります。
5.一口ずつ、よく噛んで食べる
よく噛むことは、唾液の分泌を促し、 食べ物を細かくして胃腸の負担を軽くする「消化のスイッチ」です。
食べられる状態であれば、一口30回を目安にしながら、 無理のない範囲でゆっくり食べましょう。
下痢・嘔吐があるとき|最優先は脱水を防ぐこと
下痢や嘔吐の原因には、感染、食事変化、冷え、緊張など、さまざまな可能性があります。 原因を自己判断する前に、まず水分状態を確認します。
- 一度にたくさん飲ませない
- スプーン一杯程度から少量ずつ試す
- 数分おきに、飲める範囲で繰り返す
- 下痢・嘔吐が続く場合は、可能なら経口補水液を利用する
- 飲めない、吐き続ける、尿が出ない場合は早めに相談する
食事は無理に食べさせない
吐き気が強いときは、食べることを急がせる必要はありません。 落ち着いてきたら、おかゆ、やわらかいうどん、スープ、バナナなど、 普段から食べ慣れているものを少量ずつ試します。
甘い清涼飲料、脂っこいもの、刺激の強いものを一度に多く与えることは控えます。
感染を広げないための衛生管理
- トイレ後や食事前に手洗いをする
- 吐物や便を処理したあとは、手指を清潔にする
- タオルや食器の共用をできる範囲で避ける
- 避難所の衛生ルールに従う
経口補水液は脱水時の水分・電解質補給を目的とするものです。 クロレラ、玄米酵素、漢方薬、一般の健康食品は、 経口補水液や必要な医療処置の代わりにはなりません。
避難所で眠れないとき|眠らせるより安心して休める環境を
災害後の子どもは、疲れていても緊張が続き、寝つけないことがあります。 「早く寝なさい」と急かすよりも、 眠れなくても横になって休めればよいと考えましょう。
いつもの寝る前の流れを再現する
- いつもの絵本を読む
- 歯みがきをする
- 同じ言葉で「おやすみ」を伝える
- お気に入りのタオルやぬいぐるみを持たせる
- 背中をゆっくりさする
小さな習慣の繰り返しが、「今日も大丈夫」という安心につながります。
夜は光と音をできる範囲で減らす
スマートフォンや動画の視聴を長引かせず、 タオル、フード、アイマスクなどを利用して光を和らげます。
耳栓は年齢や安全性を考慮し、必ず保護者の管理下で使用してください。
朝の光と日中の軽い運動を意識する
朝に光を浴びることは、体内時計を整える手がかりになります。 日中に安全な場所で遊ぶ、歩く、体操をすることも、 緊張の発散と夜の睡眠につながります。
災害後の子どもにみられる心と体の反応
子どものストレスは、「怖い」と言葉で表現されるとは限りません。 行動、睡眠、食欲、腹痛や頭痛として現れることがあります。
- 急に甘える、保護者から離れたがらない
- 一人でトイレに行けなくなる
- 指しゃぶりやおねしょなどの赤ちゃん返り
- 怖い夢、夜泣き、寝つきの悪化
- 災害に関する遊びを繰り返す
- イライラして怒りやすくなる
- 無口になる、元気がなくなる
- 腹痛、頭痛、食欲低下を訴える
親ができる3つの安心ケア
毎日の流れをつくる
起床、食事、遊び、就寝を、できる範囲で同じ時間帯に寄せます。
小さな選択を渡す
「どちらの服にする?」「水とスープ、どちらにする?」など、 自分で決められる機会をつくります。
気持ちを否定しない
「怖かったね」「泣いても大丈夫」「ここにいるよ」と伝え、 無理に詳しい話を聞き出さないようにします。
遊びと居場所を確保する
遊びは単なる娯楽ではなく、感情を表現し、 自分のペースを取り戻すための大切な時間です。

中医学で見る子どもの避難生活|4つの体質パターン
避難生活中の不調は、一つの原因だけでなく、 胃腸の弱り、冷え、緊張、睡眠不足などが重なって起こることがあります。
胃腸が弱っているタイプ
- 食欲がない
- 疲れやすい
- 軟便になりやすい
- 顔色がすぐれない
治則:脾を補い、消化吸収の土台を支えます。
温かく消化しやすい食事を少量ずつ摂り、よく噛みます。
緊張が体に出るタイプ
- ため息が多い
- イライラする
- 腹痛の場所が変わる
- 寝つきにくい
治則:滞った気を巡らせ、緊張をゆるめます。
会話、遊び、深呼吸、軽い運動などを組み合わせます。
冷えで働きが落ちるタイプ
- 手足やお腹が冷たい
- 冷えると腹痛や下痢が起こる
- 元気がなく横になりたがる
治則:体を守る温かさを補い、胃腸の働きを助けます。
濡れた衣類を替え、首・お腹・足元を冷やさないようにします。
不安と胃腸の弱りが重なるタイプ
- 食欲がない
- 眠れない
- 不安が強い
- 疲れやすい
治則:胃腸を補いながら、心を落ち着かせる土台を整えます。
温かい食事、安心できる環境、休養、人とのつながりを組み合わせます。
お子さまの体質を知ることから始めませんか
体質は一つに決めつけるものではなく、 複数の傾向が重なっている場合があります。
相談だけでもご利用いただけます。商品の購入は任意です。
非常食で不足しやすい栄養をどう補うか
避難生活では、おにぎり、パン、麺、菓子類などに食事が偏り、 エネルギーは摂れていても、たんぱく質、良質な脂質、 ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足する 「新型栄養失調」に近い状態になることがあります。
まずは食べ慣れた食品を優先する
- 味噌汁や野菜スープ
- 豆、豆腐、魚や肉の缶詰
- 海藻、きのこ、乾燥野菜
- 雑穀、オートミール、玄米加工食品
- 常温保存できる果物や果物加工品
子どもが食べられるもの、食べ慣れているものを基本にし、 一度に完璧な栄養を整えようとせず、少量ずつ追加します。
クロレラ・玄米酵素は「食事を補う選択肢」
クロレラは、たんぱく質、葉緑素、ビタミン、ミネラル、 食物繊維などを含む「緑のまるごと食品」として、 食生活の不足を補う選択肢です。
非常食が炭水化物中心になった際の栄養補助として備える場合は、 平時から少量を試し、体調や便の状態を確認しておきます。
玄米や麹を利用した食品は、 主食に不足しやすい栄養や食物繊維を補う選択肢になります。
水分が少ない状態で粉末や繊維の多い食品を急に増やすと、 お腹が張る場合があるため、少量から始めます。
クロレラ、玄米酵素などは医薬品ではなく、食生活を補う食品です。 年齢、体格、アレルギー、持病、服用中の薬、商品の表示を確認し、 乳幼児や治療中のお子さまは、医師・薬剤師へ相談してから使用してください。
下痢、嘔吐、発熱、脱水が疑われる急性期は、 健康食品を増やすことよりも、水分状態の確認と必要な医療対応を優先します。
防災用品は、災害が起きてから初めて食べるのではなく、 平時から少量を試し、味、飲み込みやすさ、アレルギー、 お腹の反応を確認しておくことが大切です。
子どもの薬を防災袋に入れるときの注意点
災害時の薬は、「どの薬を入れるか」だけでなく、 薬の名前、用量、アレルギー、持病などの情報を一緒に備えることが重要です。
| 備えるもの | 確認するポイント |
|---|---|
| 常用薬 | 薬品名、服用回数、1回量、保管条件、残量 |
| お薬手帳 | 紙の写しとスマートフォンの写真を用意 |
| アレルギー情報 | 薬、食べ物、過去に起きた症状 |
| 持病・既往歴 | ぜんそく、けいれん、糖尿病などを記録 |
| 連絡先 | かかりつけ医、薬局、緊急連絡先 |
| 医療証・保険情報 | 原本とは別に写しや画像データも保管 |
| 体温計・衛生用品 | 電池、使用期限、子どもが使える規格を確認 |
小児用量は体重だけで一律に決めない
小児の服用量は、製品ごとに定められた年齢別の用法・用量、 剤形、症状、体格などを確認する必要があります。
大人用の薬を自己判断で分けたり、 すべての薬を単純に体重換算したりせず、 添付文書と専門家の指示に従ってください。
漢方薬も「症状+体質」で選びます
葛根湯はどのような証に使う方剤ですか?
葛根湯は、比較的体力があり、汗があまり出ず、 悪寒や首・肩のこわばりがある 風寒表実タイプなどに用いられる方剤です。
すべての発熱や風邪に適するわけではありません。 脱水、強い消耗、呼吸困難、意識変化がある場合は医療対応を優先します。
五苓散はどのような証に使う方剤ですか?
五苓散は、口が渇くのに水分がうまく巡らず、 尿量低下、むくみ、頭痛、吐き気などがみられる 水滞タイプなどに用いられる方剤です。
単なる「むくみの薬」ではなく、症状や水分状態を確認して選びます。
小建中湯はどのような証に使う方剤ですか?
小建中湯は、胃腸が虚弱で疲れやすく、 冷えると腹痛を起こしやすい 脾胃虚寒タイプなどに用いる方剤です。
急性の感染性下痢、血便、激しい腹痛、繰り返す嘔吐がある場合は、 自己判断で使用せず医療者へ相談します。
家族の体質に合った漢方を、平時から確認
ほどよい堂では、年齢、体格、普段の体質、持病、 アレルギー、服用中の薬を確認しながらご案内します。
症状が強い場合や緊急時は、オンライン相談を待たず医療機関へご相談ください。
3日・3週間・3か月で考える子どもの回復
からだは一度整えたら終わりではなく、 食事、睡眠、活動、安心できる環境の影響を受けながら、 日々入れ替わっている動的なシステムです。
命と体調を守る
- 水分が飲めているか
- 尿が出ているか
- 呼吸や意識に異常がないか
- 安全に休めているか
生活のリズムを戻す
- 起床・食事・睡眠の時間
- 排便しやすい環境
- 遊びと軽い運動
- 味噌汁やスープの習慣
体質の土台を見直す
- 胃腸の吸収力
- 栄養の偏り
- 冷えや疲れやすさ
- 不安や睡眠の継続状態
不安、不眠、腹痛、食欲低下などが長く続く場合は、 災害前からの体質や生活環境も含めて見直します。
栄養を補うこと、血流と活動を保つこと、 食べたものを吸収できる胃腸を育てること。 栄養・循環・吸収の3本柱で、回復を長い目で支えていきましょう。
子どもの避難生活についてよくある質問
避難所で子どもが便秘になったら、最初に何をすればよいですか?
まず、水分が摂れているか、腹痛や嘔吐がないかを確認します。 そのうえで、安心してトイレへ行ける環境をつくり、 水分、温かい汁物、軽い運動を無理のない範囲で取り入れます。
下痢のときは水だけを飲ませればよいですか?
下痢や嘔吐が続く場合は、水分だけでなく電解質も失われます。 可能であれば経口補水液を少量ずつ使用します。 飲めない、吐き続ける、尿が少ない場合は、早めに医療者へ相談してください。
災害後に甘えや夜泣きが増えました。問題がありますか?
大きな環境変化への一時的な反応として現れることがあります。 無理に自立させようとせず、抱っこ、声かけ、日課、遊びなどで安心を支えます。 長く続く、生活が難しい、自傷・他害などがある場合は専門家へ相談してください。
クロレラや玄米酵素は災害時の食事代わりになりますか?
食事や水分の代わりではなく、不足しやすい栄養を補うための食品です。 主食、たんぱく源、水分、塩分などを基本にしながら、 年齢や体調に合わせて少量から使用します。
防災用に漢方薬を準備できますか?
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「どの漢方を備えればよいか分からない」
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参考情報
- 厚生労働省 :災害時の健康管理・感染症対策に関する情報
- 内閣府 防災情報のページ :避難生活・子どもの支援に関する情報
- こども家庭庁 :災害時の子どもの居場所・支援に関する情報
- 日本小児科学会 :災害時の小児医療・健康管理に関する情報
監修者・免責事項
本記事の信頼性を高めるため、監修者情報と免責事項をまとめています。 体質の整理(中医学)と、現代の栄養学・生活習慣の視点を両輪で扱い、誠実な表現を心がけています。
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監修者情報

監修:河邊 甲介(薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト)
漢方薬局「ほどよい堂」代表
宮崎県川南町にて、漢方 × 薬膳 × 腸活のトリプルアプローチによる健康相談を行っています。 体質の言語化と、日常で“続く整え方”をセットでご提案しています。
- 栄養:細胞は“食べたものでしか作られない”
- 循環:巡りが整うと、酸素・栄養が届きやすくなる
- 吸収(腸活):食べるだけでなく“吸収できる腸”を育てる
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- 妊娠中・授乳中・服薬中・通院中の方は、自己判断での実施を避け、必ず確認してください。
- 記事内容は、予告なく更新・変更する場合があります。

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