冬の災害、その冷えは命に関わるかも|避難所で低体温症を防ぐ寒さ対策【薬剤師解説】

薬剤師が解説|冬の災害・避難所・停電への備え

冬の地震、台風、大雨、停電では、暖房が止まり、 雨や汗で濡れた衣類、冷たい床、風、食事不足によって、 想像以上に体温を奪われることがあります。

災害時の寒さ対策で最初に行いたいのは、 手足だけを温めることではありません。

「濡れ・風・冷たい床」を防ぎ、胸・背中・お腹などの体幹から熱を逃がさない。

この記事では、低体温症を疑う危険サイン、避難所での防寒、 カイロ・湯たんぽの安全な使い方、温かい食事、 漢方・クロレラ・玄米×麹を含めた平常時の備えを、 宮崎県川南町の漢方薬局ほどよい堂が解説します。

家族が飲料水や防災バッグを準備して避難生活に備えているイラスト
災害が起きてから探すのではなく、寒さ対策用品と常備薬を平常時からまとめておきましょう。

低体温症を疑う危険サイン

低体温症は、体の中心部の温度が低下し、 脳や心臓などの働きに影響が及ぶ状態です。 寒い屋外だけでなく、暖房のない室内、避難所、車内、 雨や汗で濡れた状態でも起こる可能性があります。

  • 激しく震えている
  • 強い疲労感があり、動きたがらない
  • 受け答えが不自然、混乱している
  • ろれつが回らない
  • 手先がうまく使えない
  • ふらつく、まっすぐ歩けない
  • 不自然なほど眠そうにしている
  • 呼びかけへの反応が鈍い
  • 呼吸が弱い、遅い、普段と違う
「震えが止まったから安心」とは限りません。
強い寒さの中で震えが弱くなり、反応や意識も低下している場合は、 状態が進んでいる可能性があります。

本人が「大丈夫」と言っていても、低体温になると判断力が低下することがあります。 周囲の人が、会話、歩行、手の動き、呼吸、眠気を確認してください。

災害時に体温が奪われる4つの原因

洪水、土砂災害、台風、地震、津波、火災など複数の災害を示すイラスト
洪水・台風・地震・停電など、災害の種類が違っても「濡れ・風・床・体力低下」が寒さのリスクになります。

1濡れた衣類

雨、雪、汗、浸水などで衣類が濡れると、 水分が蒸発するときに体の熱が奪われやすくなります。

可能であれば、下着や靴下まで乾いたものへ交換します。

2

風に当たり続けると、皮膚表面の温かい空気が入れ替わり、 体の熱が逃げやすくなります。

レインウェア、シート、段ボールなどで風を遮ります。

3冷たい床・地面

体育館、車内、コンクリート、土の上では、 体の下側から熱が奪われます。

掛け物だけでなく、体の下へ段ボールやマットを重ねることが重要です。

4栄養・睡眠・体力の不足

食事量の低下、睡眠不足、緊張、持病などが重なると、 体内で熱を作る力が落ちやすくなります。

高齢者、乳幼児、体調不良の人は、周囲による定期的な確認が必要です。

寒さ対策の優先順位は「避難・乾燥・遮断・体幹」

低体温症を防ぐためには、温める用品を増やす前に、 これ以上、体温を奪われない環境を作ることが大切です。

寒さ・雨・風を避けられる場所へ移動する 建物、避難所、暖房のある場所などへ移動します。 移動できないときは、シートや段ボールで風を遮ります。
濡れた衣類を取り除く 可能な範囲で乾いた下着、衣類、靴下、手袋へ交換します。 乾いた服がない場合は、水分を拭き取り、乾いた毛布や衣類で包みます。
冷たい床との間に空気の層を作る 段ボール、新聞紙、断熱マット、毛布、座布団、衣類などを重ね、 体を床から離します。
乾いた衣類を重ねて風を防ぐ 肌側は乾きやすい衣類、中間はフリースなどの保温着、 外側は風や雨を防ぐ上着にします。
胸・背中・腹部など体幹を保温する 毛布や寝袋で体幹を中心に包みます。 カイロは衣類の上から補助的に使用し、肌へ直接貼らないでください。
会話・歩行・呼吸・眠気を確認する 低体温症を疑う変化がある場合は119番へ連絡し、 必要以上に歩かせたり、激しく体を動かしたりしないでください。
軽く寒いだけで、意識・会話・歩行に問題がない場合は、 足首をゆっくり動かす、肩を回す、無理のない範囲で歩くことが、 熱を作る助けになります。低体温症が疑われる人へ運動を勧めてはいけません。

カイロ・湯たんぽ・暖房器具の安全な使い方

カイロや湯たんぽは便利ですが、 同じ場所へ長時間当てると低温やけどを起こすことがあります。 とくに就寝中、高齢者、乳幼児、糖尿病などで温度感覚が鈍い人は注意が必要です。

カイロを使うときの注意点
  • 肌へ直接貼らず、必ず衣類の上から使用する
  • 腹巻きやベルトで強く押しつけない
  • 同じ場所へ長時間貼り続けない
  • 就寝中は体へ接触させたまま使用しない
  • 熱い、痛い、かゆい、違和感がある場合はすぐに外す
  • 感覚が鈍い人は、周囲が皮膚の状態を確認する

災害時は、手足だけでなく胸・背中・腹部など、 体幹を毛布や衣類で保温したうえで、カイロを補助的に使います。

湯たんぽ・ペットボトル湯たんぽの注意点
  • 容器が熱湯に対応しているか確認する
  • 熱湯を直接入れず、製品の説明に従う
  • タオルや専用カバーで包む
  • 長時間、同じ場所へ当て続けない
  • 就寝前に寝具を温め、就寝時には体から離す
  • 容器の変形、ひび、漏れがないか確認する

タオルで包んでいても、長時間触れ続ければ低温やけどを起こす可能性があります。

停電時の暖房・発電機・火気の注意点

七輪、炭、練炭、バーベキューコンロ、屋外用発電機などを、 閉め切った室内や車内で使用してはいけません。

火災だけでなく、無色・無臭の一酸化炭素による中毒の危険があります。 暖房器具は取扱説明書を守り、必要な換気を確保してください。

  • カセットコンロを暖房代わりにしない
  • 発電機は屋外の十分に離れた場所で使用する
  • 車の排気口が雪や物で塞がれていないか確認する
  • 眠気、頭痛、吐き気、ふらつきがある場合は新鮮な空気の場所へ移動する

温かい食事と栄養の備え|「作る力」も守る

本人の意識がはっきりしており、むせずに飲み込める場合は、 白湯、温かいお茶、スープ、薄めの味噌汁などを少量ずつ取り入れます。

温かい汁物は、水分や塩分を補いやすく、 冷たく乾いた非常食が続いた胃腸にも取り入れやすい方法です。 ただし、意識が悪い人や飲み込みに問題がある人へ、 無理に飲ませてはいけません。

アルコールは寒さ対策になりません。
飲んだ直後は温かく感じることがありますが、判断力も低下するため、 災害時の防寒目的では使用しないでください。

非常食が炭水化物だけに偏らないようにする

避難生活では、パン、菓子、カップ麺、おにぎりなどが中心となり、 カロリーは取れていても、タンパク質、良質な脂質、 ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しやすくなります。

ほどよい堂では、このような 「エネルギーは足りても、細胞を作る材料が足りない状態」を、 新型栄養失調という言葉で分かりやすく説明しています。

毎日の基本

  • 具だくさんの味噌汁・野菜スープ
  • 海藻、きのこ、豆、魚、卵など
  • 常温保存できるタンパク源
  • ひと口30回を目安によく噛む

よく噛むことは、食べ物を細かくし、 消化の準備を整える「脾を助ける習慣」になります。

食品で不足を補う選択肢

  • 緑のまるごと食品であるクロレラ
  • 玄米と麹を取り入れた携帯しやすい食品
  • 北海道産大豆などの植物性タンパク源
  • 発酵食品・食物繊維を取り入れた腸活用品

健康食品は主食、水、通常の食事の代わりではなく、 不足しやすい部分を補う位置づけで利用します。

クロレラと玄米×麹を備蓄へ取り入れる考え方

クロレラ、とくにバイオリンクは、 タンパク質、クロロフィル、ビタミン・ミネラル、 食物繊維、多糖体などを含む 「緑のまるごと食品・細胞の基礎食」として、 非常食で不足しやすい栄養を補う選択肢になります。

玄米×麹の食品は、携帯しやすく、 玄米を丸ごと取り入れながら「よく噛む」習慣にもつなげやすい食品です。 どちらも災害時に初めて使うのではなく、 平常時から少量で体調を確認し、食習慣の中へ取り入れておきましょう。

中医学で考える災害時の冷え

体を抱えて寒さに震える冷え性の女性を描いたイラスト
中医学では、同じ冷えでも「温める力不足」「エネルギー不足」「冷えと湿気」などに分けて考えます。

災害時は、最初に避難、保温、救急要請などの安全確保を行います。 状態が安定した後の養生では、中医学の体質整理も役立ちます。

陽虚タイプ

陽虚=温める力不足タイプ

手足やお腹が冷える、朝がつらい、軟便、むくみ、 温めると楽になりやすい傾向があります。

治則は「温陽=温める力を支える」を基本に考えます。

気虚タイプ

気虚=エネルギー不足タイプ

疲れやすい、声に力がない、食欲が落ちる、 少し動くと息切れする傾向があります。

治則は「補気=回復のエネルギーを補う」と考えます。

寒湿タイプ

寒湿=冷えと余分な湿気が重なるタイプ

体が重い、むくむ、胃がもたれる、軟便、 関節が重だるい傾向があります。

治則は「散寒・化湿=冷えを除き湿をさばく」と考えます。

あなたの冷えは、どの体質タイプ?

陽虚、気虚、血虚、気滞、瘀血、痰湿など、 今の体質傾向を無料セルフチェックで確認できます。

真武湯など漢方薬を防災用品へ加える際の考え方

白い小皿に盛られた複数の生薬や薬膳素材
漢方薬は「寒いから一律に同じもの」ではなく、症状と体質に合わせて選びます。
漢方薬は低体温症の応急手当ではありません

受け答えがおかしい、強い眠気、歩行困難、呼吸の異常などがある場合は、 漢方薬を飲んで様子を見ず、119番へ連絡してください。

真武湯が検討される証

真武湯は、中医学では 陽虚=温める力不足と、 水滞=水分代謝の偏りが重なる証に用いられる方剤です。

体力が低下して冷えがあり、次のような症状が重なる場合に検討されます。

  • 手足やお腹の冷えが強い
  • 冷えると下痢や腹痛が出やすい
  • めまい、ふらつきがある
  • むくみ、重だるさがある
  • 疲れやすく、温めても回復しにくい

一方、強いほてり、口渇、熱感、便秘、炎症感などがある人には、 合わない場合があります。漢方薬は商品ごとに効能・用法が異なるため、 添付文書を確認し、平常時に医師または薬剤師へ相談してください。

常備薬は「自分専用の防災セット」にする

  • 日常的に服用している処方薬
  • お薬手帳または薬の一覧
  • アレルギー・既往歴を記したメモ
  • 自分の体質に合うことを確認した漢方薬
  • 連絡先、かかりつけ医・薬局の情報
防災用の漢方薬を、必要な分だけ確認

ほどよい堂では、体質や症状を確認したうえで、 対応可能な漢方薬を1包からご用意しています。 持病や服用薬がある方は、購入前にご相談ください。

冬の防災バッグ|寒さ対策チェックリスト

防災用品は、保管して終わりではありません。 季節の変わり目に開封し、衣類のサイズ、薬の期限、 電池、容器の破損などを確認しましょう。

衣類・防寒用品
  • 防水袋に入れた下着・靴下
  • 帽子、ネックウォーマー、手袋
  • レインウェア、防風性のある上着
  • 毛布または寝袋
  • アルミシート
  • 段ボールまたは断熱マット
  • 使い捨てカイロ
  • 乾いたタオル
食事・水分・栄養
  • 飲料水
  • 温かい汁物を作れる安全な備品
  • 主食となる保存食
  • 魚・大豆・卵などの保存可能なタンパク源
  • 海藻、きのこ、豆類を使った保存食
  • 普段から利用しているクロレラや玄米×麹の食品
医薬品・健康管理用品
  • 処方薬とお薬手帳
  • 体質に合うことを確認した常備薬
  • 体温計
  • マスク、手指衛生用品
  • 持病・アレルギー・緊急連絡先のメモ
アルミシートは風や放熱を抑える助けになりますが、 冷たい床への対策は別に必要です。 段ボール、マット、新聞紙、毛布などを体の下へ重ねましょう。

ほどよい堂の防災養生|栄養・循環・吸収の3本柱

① 栄養

細胞は食べたもので作られます。 非常食でも、主食だけでなく、 タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルを意識します。

② 循環

栄養と酸素は血流によって全身へ届きます。 状態が安定している人は、軽い運動、保温、休養を組み合わせます。

③ 吸収=腸活

食べるだけでなく、吸収できる胃腸を守ることが大切です。 中医学では脾=土を整えることが、全身の気血水の土台になります。

避難生活では、体だけでなく心も緊張し続けます。 睡眠、温かい食事、軽い運動、人やペットとのつながり、 情報を見る時間を決めることなど、 複数の休養方法を組み合わせてください。

災害時の寒さ対策|よくある質問

カイロは、どこへ貼ればよいですか?

まず毛布や乾いた衣類で胸・背中・腹部などの体幹を保温し、 カイロは衣類の上から補助的に使用します。 肌へ直接貼ったり、就寝中に同じ場所へ当て続けたりしないでください。

寒いときは、体を動かした方がよいですか?

意識、会話、呼吸、歩行に問題がなく、 軽く寒さを感じる程度であれば、無理のない運動が熱を作る助けになります。

混乱、ろれつが回らない、強い眠気、歩行困難などがある人を、 運動させたり歩かせたりしてはいけません。

温かい飲み物は誰にでも飲ませてよいですか?

本人の意識がはっきりしており、むせずに飲み込める場合に限り、 少量ずつ取り入れます。 意識が悪い人や飲み込みに問題がある人へ、無理に飲ませないでください。

漢方薬を飲めば低体温症を防げますか?

漢方薬は低体温症の応急手当や救急要請の代わりにはなりません。 漢方薬は、状態が安定しているときに、 個人の体質や症状に合わせて使う選択肢です。

クロレラや玄米×麹だけで非常食になりますか?

主食、飲料水、タンパク源、通常の食事の代わりにはなりません。 非常食で不足しやすい栄養を補う食品として、 平常時から体調を確認しながら取り入れます。

まとめ|災害時は「濡れ・風・床・体幹」を確認

  • 寒さと風を避けられる場所へ移動する
  • 濡れた衣類を取り除く
  • 冷たい床と体の間へ断熱材を重ねる
  • 胸・背中・腹部などの体幹を保温する
  • 会話、歩行、眠気、呼吸を確認する
  • 異常があれば119番へ連絡する

「いつもの冷え」と「命に関わる低体温症」を分けて考えることが、冬の防災では大切です。

カイロ、湯たんぽ、温かい飲み物、軽い運動、漢方薬、 クロレラや玄米×麹の食品は、状態が安定している人の補助的な備えです。

まずは3日分の防災用品を確認し、 次に家族の服用薬や体質を整理し、 季節ごとに防災バッグを見直しましょう。

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参考情報

※本記事は一般的な健康情報です。個別の診断や治療を目的とするものではありません。 強い症状、意識や呼吸の異常がある場合は、救急要請または医療機関への相談を優先してください。

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本記事の信頼性を高めるため、監修者情報と免責事項をまとめています。 体質の整理(中医学)と、現代の栄養学・生活習慣の視点を両輪で扱い、誠実な表現を心がけています。

Supervisor / Reviewer

監修者情報

ほどよい堂|漢方×薬膳×腸活のトリプルメソッド(監修者紹介イメージ)

監修:河邊 甲介(薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト)
漢方薬局「ほどよい堂」代表

宮崎県川南町にて、漢方 × 薬膳 × 腸活のトリプルアプローチによる健康相談を行っています。 体質の言語化と、日常で“続く整え方”をセットでご提案しています。

  • 栄養:細胞は“食べたものでしか作られない”
  • 循環:巡りが整うと、酸素・栄養が届きやすくなる
  • 吸収(腸活):食べるだけでなく“吸収できる腸”を育てる
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所在地:〒889-1301 宮崎県児湯郡川南町川南26197-1(峠の里内)
TEL:0983-32-7933
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