2025年注目の“ガットフレイル”とは？─腸から始める未病ケア３ステップ
hodoyoido2025年のヘルスケア・キーワードに選ばれた「ガット（胃腸）フレイル」。
腸の機能低下が全身の虚弱化を招く——そんな最新知見を、中医学の視点で読み解き、ほどよい堂が提案する３つのセルフケアステップにまとめました。
検索・SNSでも話題の「腸からの未病ケア」をいち早く取り入れて、“いつまでもほどよく元気”を目指しましょう。
目次
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【ガットフレイルとは？】胃腸の虚弱化が招く病気・老化・生産性低下まで徹底解説！
医学界で注目される「フレイル」とは
「フレイル（frailty）」は健康と要介護状態の中間に位置する脆弱性を示す概念で、筋力・認知・社会参加など複数の機能低下が重なって発症します。
日本老年医学会が2014年に提唱して以降、国内外の研究で転倒・感染症・死亡率との関連が明らかになり、健康寿命延伸の鍵とされています。
“Gut Frailty”＝腸機能の衰えが全身フレイルを引き起こすメカニズム
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、栄養吸収・免疫・ホルモン産生を担う臓器です。
加齢や不適切な食習慣で腸内細菌叢（マイクロバイオータ）が乱れ、バリア機能が低下すると、腸由来の炎症性サイトカインが血流に乗って筋肉・骨・脳へ波及。
結果としてサルコペニア（筋肉量減少）、骨密度低下、認知症リスク上昇など全身フレイルを引き起こします。
この腸‐筋連関を背景に、2023年頃から「ガットフレイル（gut frailty）」という学術用語が登場し、Naito Y.らが概念整理を行いました。
ガットフレイル悪循環の例
①腸内細菌多様性↓ → ②短鎖脂肪酸産生↓ → ③上皮バリア脆弱化 → ④炎症性サイトカイン↑ → ⑤筋タンパク質分解↑ → ⑥運動量↓・咀嚼力↓ → ①へ戻る
日本の65歳以上人口と腸疾患の増加データ
| 年 | 65歳以上人口（万人） | 総人口に占める割合 | 機能性ディスペプシア有病率* |
|---|---|---|---|
| 2010 | 2,948 | 23.0% | ― |
| 2020 | 3,613 | 28.0% | 20.9% |
| 2024 | 3,625 | 29.3〜30.2% | 21.9% |
| 2025予測 | 3,700 | ≧30% | 22%超 |
*ディスペプシア有病率：JNM Journal 2024年報告より (jnmjournal.org)
**人口推計：総務省統計局・国連World Population Prospects 2024より (english.kyodonews.net, data.worldbank.org)
- 胃腸疾患の疾病負荷（DALY）は1990→2019年で高齢層を中心に約15%増と報告 (onlinelibrary.wiley.com)。
- 検診・保険請求データでも便秘薬・制酸薬の処方は65歳以上で顕著に増加。
なぜ2025年の話題になるのか？ ─ 医療費高騰・人生100年時代への危機感
2025年は、団塊の世代が全員75歳以上となり介護・医療需要が急増する「2025年問題」のピーク。
高齢者医療費は年間60兆円規模に達すると試算され、自治体も“転ばぬ先のフレイル予防”を最優先課題に掲げています。
胃腸機能の低下は食事量減少→低栄養→免疫低下へ直結するため、厚労省の啓発資料や学会シンポジウムで「ガットフレイル対策」と銘打ったセッションが急増。
メディアも「腸活×フレイル」を2025年トレンドとして取り上げ、SNS検索ワードが前年同月比で180%増を記録しました（Nikkei BP 調べ）。
ポイント：筋トレや栄養補給だけでなく、まず腸を整えることがフレイル予防のスタートライン——これが2025年のキーメッセージです。
【中医学×現代腸活】脾と脾気虚とは？ガットフレイルとの深い関係を解説
脾＝消化吸収の要、気血生化の源
中医学における「脾」は、西洋医学でいう小腸・大腸・膵臓・胃など消化吸収システムを統合した概念です。
食べ物（飲食物）を運化して、生命エネルギーである「気」と、血液や体液である「血」「津液」を生み出す中心臓腑――それが脾。
脾が健全であれば、口から入った飲食物は濁（排泄物）と清（栄養精微）に分けられ、清は肺・全身へ上昇し気血を補い、濁は大腸へ送られて排泄されます。
“脾主運化・統血”
- 運化：飲食物を気血津液へ変換する代謝機能
- 統血：血液を脈内に保持して漏れを防ぐ作用
脾気虚の代表的症状
| 症状 | 中医学的解説 | 日常で感じるサイン |
|---|---|---|
| 倦怠感 | 気不足により四肢へ栄養・酸素が届きにくい | 朝起きた瞬間から疲れている |
| 食欲不振 | 脾の運化低下で消化液分泌が不足 | 食事が進まない・満腹感が強い |
| 下痢・軟便 | 水湿をさばけず腸内に停滞 | 食後すぐ便意・未消化便 |
| むくみ | 脾が津液を捌けず水湿が皮下に留まる | 夕方の靴下跡・指輪がきつい |
| 舌淡胖・歯痕舌 | 気虚で舌筋緊張低下＋水湿過多 | 鏡で舌縁に歯型がくっきり |
チェックポイント：上記が2項目以上＋「胃腸が弱い家系」は脾気虚傾向。
五行でみる脾（土）とガットフレイルの関連
五行説では、脾は「土」に属し、“中央に位置し万物を育む”働きを司ります。
土が痩せると木（肝）・金（肺）・水（腎）・火（心）すべてに連鎖し、筋肉（木）や免疫（肺）の虚弱＝フレイル症状として現れます。
近年の研究で、腸内細菌多様性の低下が筋肉量・骨密度低下と相関することが示され、脾（土）虚⇄筋骨弱化の古典理論が科学的に裏付けられつつあります。
「土王説」と現代の腸活 ─ プレ/プロ/バイオジェニックスとの接点
江戸期の『黄帝素問』『医宗金鑑』等で説かれる「土王説」は「四季の土用、土が王となり万物を統括する」という理論。
現代に置き換えると、季節の変わり目やストレス時に腸がダメージを受けやすいことを示唆します。
| アプローチ | 中医学 | 現代腸活とのリンク |
|---|---|---|
| プレバイオティクス | 脾を補う甘温食材（山薬・はちみつ） | 食物繊維・オリゴ糖で善玉菌の餌を補給 |
| プロバイオティクス | 発酵食品・麹・五味調和 | 乳酸菌・ビフィズス菌が腸内環境を直接改善 |
| バイオジェニックス | 補中益気湯など補気方で“気”を足す | 短鎖脂肪酸やポリフェノールが全身シグナルを活性 |
まとめ：脾（土）を健やかに保つことは、腸内細菌叢という“土壌”を肥沃にし、全身のフレイルを防ぐ根本治療。プレ×プロ×バイオジェニックスを組み合わせ、四季の土用（土王期）には特に腸ケアを強化しましょう。
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【セルフチェック】あなたの脾気虚度を測る10の質問
チェック方法：各設問に「はい／いいえ」で回答し、「はい」を1点として合計してください。スマホ閲覧の場合は横スクロールで全項目を確認できます。
| 質 問 | はい | いいえ |
|---|---|---|
| 朝食を抜くことが多い | □ | □ |
| 食後すぐに眠くなる・だるくなる | □ | □ |
| 軟便・下痢しやすい | □ | □ |
| 夕方になると足や顔がむくみやすい | □ | □ |
| 疲労で集中力が続かない／頭がぼーっとする | □ | □ |
| 冷たい飲み物・アイスをよく摂る | □ | □ |
| 舌の縁に歯痕がある or 舌が白っぽい | □ | □ |
| 季節の変わり目に体調を崩しやすい | □ | □ |
| 甘い物や脂っこい物が好きでやめられない | □ | □ |
| 爪が割れやすい・皮膚が乾燥しやすい | □ | □ |
判定基準
- 0〜3点：脾気充実タイプ
現状キープ！土用期（季節の変わり目）に軽く養生を。 - 4〜6点：軽度脾気虚タイプ（予防が必要）
甘い物・冷飲食を控え、プレ＋プロバイオティクス食材を積極的に。 - 7点以上：要注意！ガットフレイル予備群
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養生食材＆おすすめ漢方薬 ─ 今日からできる腸活レシピ
脾を補う五大食材
| 食材 | 中医学的効能 | 栄養ハイライト | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|---|
| もち米 | 補気健脾・健胃 | ビタミンB1、レジスタントスターチ | 発芽もち米粥、腸活おにぎり |
| はとむぎ | 健脾滲湿・排膿 | たんぱく質、コイクセラノイド | 炊飯時に大さじ1混ぜる、薬膳茶 |
| さつまいも | 補中益気・通便 | 不溶性＋水溶性食物繊維、β‑カロテン | 皮ごとオーブン焼き、味噌汁の具 |
| 味噌・納豆 | 調和脾胃・解毒 | プロバイオティクス、ビタミンK2 | 毎日1杯の味噌汁、納豆キムチ和え |
| 黒ごま | 補血潤燥・養肝腎 | セサミン、カルシウム | すりごまをかける、黒ごまペースト |
| 山薬（長芋） | 補脾肺腎・生津 | ムチン、ビタミンC | とろろがけ丼、滋養スープ |
ポイント：味噌・納豆など発酵食で〈プロバイオティクス〉を、さつまいも・はとむぎで〈プレバイオティクス〉を同時に摂ると腸‐筋連関を強化しガットフレイル対策が加速！
ガットフレイル対策に使われる代表的漢方処方
| 処方名 | 構成生薬（要約） | 主な作用 | 適応の目安 |
|---|---|---|---|
| 六君子湯（りっくんしとう） | 人参・白朮・茯苓・甘草・陳皮・半夏・生姜・大棗 | 健脾益気・理気化痰 | 食欲不振・胃もたれ・げっぷ |
| 補中益気湯（ほちゅうえっきとう） | 黄耆・人参・白朮・当帰・陳皮・升麻・柴胡・甘草・生姜・大棗 | 昇陽挙陷・補気健脾 | 倦怠感・脱力感・低血圧 |
| 人参養栄湯（にんじんようえいとう） | 十全大補湯＋陳皮・遠志・五味子 | 補気養血・健脾補肺 | 術後回復・虚弱体質・息切れ |
レシピ例 ─ “食べて整える”簡単2品
A. はとむぎと長芋の滋養スープ（2人分）
材料：はとむぎ大さじ2（洗って浸水30分）／長芋100g（角切り）／鶏むねひき肉80g／生姜みじん小さじ1／だし汁400 ml／塩・白胡椒少々／小口ねぎ適量
- 小鍋にだし汁＋はとむぎを入れ、弱火で15分煮る。
- ひき肉と生姜を加えアクを取り、さらに5分。
- 長芋を加え2分煮て、とろみが出たら塩胡椒で味を調整。
- 器に盛り、小口ねぎを散らす。
効能：補脾腎・強筋骨・免疫アップ／タンパク質＋発酵性食物繊維で短鎖脂肪酸産生をサポート。
B. 黒ごまと味噌の腸活ソース（作りやすい量）
材料：黒すりごま大さじ3／味噌大さじ2／米酢小さじ2／はちみつ小さじ1／水大さじ1〜2（濃度調整）
- ボウルで材料をすべて混ぜるだけ！
- 茹でブロッコリーや鶏ハムにかけて召し上がれ。
効能：補血潤燥・調和脾胃／黒ごまのセサミン＋味噌菌が肝機能サポート＆腸内フローラ改善。
実践のコツ
- 一物全体＆身土不二：地元産の旬食材を皮ごと調理しミネラル摂取UP。
- 30回咀嚼で唾液・消化酵素を十分に混ぜ、脾の負担を軽減。
- 土用（土王期）強化プラン：土用入りの1週間前から本レシピ＋補中益気湯で先制ケア。
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■ アクセス・営業時間
店名：漢方・薬膳処 ほどよい堂
所在地：宮崎県児湯郡川南町（峠の里展望台近く）
※詳細なアクセスは公式ホームページをご覧ください。
営業時間：10:00～18:00（月曜日定休、火曜日は不定休）
駐車場あり／予約優先制
■ ご相談・ご予約はこちらから
・漢方相談（初回カウンセリングは約60分）
・薬膳アドバイス、食養生プラン作成
・オンライン相談（Zoom対応）
[ほどよい堂の漢方相談お問い合わせ方法]
ご相談は基本的にご予約制となっておりますが、時間的な余裕がある場合は飛び入りでの相談もお受けしております。
まずは、下記のいずれかの方法でご連絡ください。
次の予約サイト、LINE、電話のいずれかの方法からアクセスをお願いいたします。
▶予約サイト： https://coubic.com/kampo-hodoyoido
▶LINE： https://lin.ee/bfO3lv9
▶電話：0983-32-7933
※ご来店、オンライン相談に関わらず漢方的な体質診断が必要ですので、予め問診の提出をお願い致します。
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著者プロフィール
河邊甲介 （薬剤師）
KOSUKE KAWABE
▷有資格
- 薬剤師
- 中医薬膳師：本草薬膳学院（学長：辰巳洋）にて資格取得
- 薬膳素材専門士：本草薬膳学院（学長：辰巳洋）にて資格取得
- ペットフーディスト
▷経歴
- 福岡大学薬学部卒
- 総合病院薬剤部・調剤薬局にて勤務
- 2024年1月より宮崎県川南町（峠の里）にて漢方×薬膳×腸活のお店「ほどよい堂」を開局
身体とこころの安心をお届けします
薬剤師であり、漢方×薬膳×腸活の専門家として、「ほどよい堂」を運営しています。
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