避難生活で口内炎・肌荒れが治らない方へ|栄養不足のサインと対処法を薬剤師が解説

薬剤師が解説|災害時の口と肌の養生

避難生活で口内炎・口角炎・肌荒れが起きたら、栄養不足だけに決めつけず、水分・食事・口腔ケア・休養を一緒に見直しましょう。

災害後は、おにぎりやパン、麺類などの主食に食事が偏りやすく、タンパク質、ビタミン・ミネラル、食物繊維が不足しやすくなります。一方、口内炎や肌荒れには、乾燥、睡眠不足、ストレス、口の中の傷、衛生環境、持病や服用薬なども関係します。

執筆・監修:河邊甲介(薬剤師・中医薬膳師・薬膳素材専門士) 更新:2026年7月13日
避難所で不安を抱える家族と防災用品のイラスト
避難生活では、食事の偏りに加えて、乾燥・睡眠不足・ストレスなど複数の要因が重なります。

この記事の結論

  • 発災直後は、まず安全な水分と食べられる食品でエネルギーを確保します。
  • 数日以上続く場合は、主食に魚・大豆・海藻・乾物などを「1品足す」ことから始めます。
  • 口腔ケアは少ない水でも続け、治りにくい口内炎やしこり、出血は医療機関を優先します。
  • クロレラや玄米酵素は、通常の防災食を整えたうえで、食べ慣れた補助食品として備えます。

避難生活で口内炎・肌荒れが起きたら、まず確認したい5つ

水分を取れているか トイレを気にして飲水を控えると、口・唇・皮膚が乾燥しやすくなります。医師から水分制限を受けている方を除き、少量ずつこまめに補います。
主食だけの食事が続いていないか エネルギー確保は大切ですが、パン・麺・おにぎりだけが続く場合は、魚・肉・豆・海藻などを少し足します。
口の中を清潔に保てているか 歯ブラシ、口腔ケア用シート、少量の水など、使える方法で汚れを減らします。
睡眠と休養が取れているか 音、光、寒暖差、余震への不安、情報疲れなどを分けて考え、短い休息・深呼吸・軽い運動を組み合わせます。
長引く症状や全身症状がないか 治りにくい、繰り返す、発熱や強い痛みがある場合は、栄養だけで様子を見続けないことが大切です。
農林水産省は、大規模災害時に野菜・果物が不足し、ビタミン、ミネラル、食物繊維を取りにくくなることで、便秘や口内炎に悩んだ例があると紹介しています。食事全体の偏りを確認する目安として活用しましょう。

口内炎・口角炎・唇の乾燥・肌荒れは分けて考えます

口内炎の痛みを示す人物のイラスト
「口が痛い」と感じても、口内炎、口角炎、乾燥、歯や入れ歯による傷では対処が異なります。

口内炎

口の中の粘膜に炎症や潰瘍ができ、食べ物・飲み物・歯ブラシが触れるとしみる状態です。口の中をかんだ傷、乾燥、疲労、ストレス、感染症、栄養の偏りなど、原因は一つとは限りません。

口角炎

口の両端が赤くなり、切れたり、かさぶたができたりする状態です。乾燥や唾液の刺激、入れ歯、細菌・真菌、栄養状態などが関係することがあります。

唇・口の乾燥

飲水不足、口呼吸、空調、薬の影響、緊張などで起きやすくなります。唾液が少ないと、口の中の自浄作用も低下しやすくなります。

肌荒れ

乾燥、摩擦、入浴や洗濯の制限、ほこり、睡眠不足、精神的ストレス、持病などが重なります。栄養だけでなく、皮膚を清潔にして保湿する視点も必要です。

栄養不足と断定しないことが大切です。
口内炎は「栄養の偏りを見直すサイン」にはなりますが、症状だけからビタミンや鉄の不足を特定することはできません。繰り返す場合は、貧血、消化器疾患、薬の影響なども含めて医療機関へ相談しましょう。

避難生活で口と肌のトラブルが起きやすい5つの背景

洪水、土砂災害、地震、津波など災害の種類を示すイラスト
災害の種類にかかわらず、断水・停電・物流停滞・環境変化が食事と口腔ケアに影響します。
1.食事が炭水化物中心になりやすい

災害直後は保存しやすく配布しやすい主食が中心になります。まずエネルギーを確保する意味では重要ですが、数日以上続くと、タンパク質、ビタミン・ミネラル、食物繊維、良質な脂質が不足しやすくなります。

カロリーは足りていても、細胞の材料や調整に必要な栄養素が不足する状態を、ほどよい堂では「新型栄養失調」の視点で整理します。

2.水分を控え、口の中が乾きやすい

トイレへの不安や飲料水の不足から水分を控えると、口腔内・唇・皮膚の乾燥、便秘、体調不良につながることがあります。水分制限が必要な病気がある場合は、医療スタッフの指示を優先してください。

3.歯磨きや入れ歯の清掃が難しくなる

断水時でも、歯ブラシがある場合は少量の水で磨き、汚れた歯ブラシをティッシュなどで拭き取りながら続けます。日本歯科医師会は、約30mLの水を少しずつ使う方法を紹介しています。

歯ブラシがない場合は、口腔ケア用シートや濡らした清潔な布で、歯・歯ぐき・舌を傷つけないように拭きます。

4.睡眠不足と複数のストレスが重なる

疲れの原因を、物理的ストレス(音・寒暖差)、化学的ストレス(煙・におい)、生物的ストレス(感染)、心理的ストレス(不安)、社会的ストレス(役割・人間関係)に分けると、対策を考えやすくなります。

短い睡眠、深く息を吐く、軽いストレッチ、人やペットとのつながり、音楽、情報を見る時間の制限など、複数の休養パターンを組み合わせます。

5.持病、服用薬、感染症などが影響する

糖尿病、貧血、消化器疾患、自己免疫疾患などがある場合や、一部の薬を服用している場合は、口や皮膚の症状が起きやすくなることがあります。薬は自己判断で中止せず、お薬手帳を持って医療スタッフへ相談してください。

発災後の食事は、時間軸で優先順位を変えます

1発災直後

安全な水分とエネルギーの確保を優先します。食欲がない場合は、おかゆ、ゼリー状食品、ビスケット、ようかん、バナナなど、少量でも食べやすいものを利用します。

2数日以上

主食にタンパク質・海藻・豆・乾物・果物を一品ずつ足します。全部を一度に整えず、入手できる食品から始めます。

口内炎が痛むときの食べ方

  • 熱すぎるもの、辛いもの、酸味や塩味が強いもの、硬いものは控えめにします。
  • おかゆ、豆腐、茶碗蒸し、柔らかい煮物、スープなど、刺激の少ないものを選びます。
  • 普段は1口30回を目安に噛みますが、痛みが強いときは回数にこだわらず、柔らかくして少量ずつ食べます。
  • 甘い飲み物を使う場合は場面と回数を決め、可能なら水やお茶も一緒に取り、口の中に糖分を残しにくくします。
味噌汁やスープは「使える条件」で活用
水と熱源があり、塩分・水分制限に問題がなければ、味噌汁やスープは水分と食品を一緒に取りやすい方法です。豆、海藻、きのこ、卵、高野豆腐などを加えると、一物全体に近い食べ方を取り入れやすくなります。

非常食は「禁止」より、主食に1品足す

避難生活で毎食を理想的に整えるのは難しいものです。まずは、手元にある主食へ一つ足す発想で、細胞を「つくる・守る・巡らす」材料を増やします。

補いたいもの備蓄しやすい食品例取り入れ方
タンパク質サバ・イワシ・ツナ缶、肉缶、豆缶、高野豆腐、魚肉ソーセージ、常温保存豆乳、大豆食品おにぎりやパンだけの食事に、1品添えます。
ミネラル・食物繊維焼き海苔、乾燥わかめ、ひじき、切り干し大根、干しきのこ、豆、雑穀汁物やレトルト食品に少量ずつ加えます。
良質な脂質・エネルギーナッツ、すりごま、魚缶、個包装の油脂食品少量でエネルギーを補いやすいため、食欲が低いときにも活用します。
食べ慣れた補助食品クロレラ、玄米酵素など通常の食事の代わりではなく、ローリングストックの補助として使います。

腸活と中医学の「脾=土」から、吸収できる土台を考える

中医学では、食べ物を気・血・津液へ変える消化吸収の働きを「脾」と表現します。脾は五行では「土」。土が整うことで、栄養や潤いを全身へ届ける土台ができると考えます。

栄養 細胞は食べたものでつくられます。タンパク質、良質な脂質、ビタミン・ミネラル、食物繊維を確保します。
循環 血液が巡ることで、栄養と酸素が必要な場所へ届きやすくなります。長時間同じ姿勢を避け、可能な範囲で体を動かします。
吸収=腸活 食べるだけでなく、消化し、吸収できる胃腸を守ります。よく噛み、温かく柔らかい食事を選びます。

腸ケアは「3点セット+バリア」の視点

  • プロバイオティクス:善玉菌を含む食品
  • プレバイオティクス:菌のエサになる食物繊維・オリゴ糖
  • バイオジェニックス:発酵などで生まれる有用成分
  • 腸管バリア:睡眠、ストレス、食事の偏りにも配慮する

ただし、避難生活の肌荒れを腸内環境だけで説明することはできません。水分、口腔・皮膚のケア、睡眠、持病の管理も同時に確認します。

クロレラ・玄米酵素は「普段から食べ慣れた補助食品」として備える

最初に確認: クロレラや玄米酵素は食品であり、口内炎や肌荒れを治療するものではありません。飲料水、主食、タンパク源、日持ちする野菜・果物、海藻、豆など、基本の防災食を優先してください。
栄養=細胞の材料

クロレラ(バイオリンク)

ほどよい堂では、クロレラを「緑のまるごと食品・細胞の基礎食」と位置づけています。タンパク質、クロロフィル、ビタミン・ミネラル、食物繊維、多糖体などを含む食品として、食事が偏りやすい時期の補助に使います。

純国産のチクゴ株、一貫管理、研究報告、消化吸収への配慮などを確認し、体調に合わせて維持量・しっかり整える量を段階的に考えます。

注意:ワルファリン服用中の方は、ビタミンKの影響があるため自己判断で摂取せず、必ず医師・薬剤師へ相談してください。

クロレラを薬剤師に相談する
吸収=脾・腸の土台

玄米酵素(玄米×麹)

玄米と麹を取り入れた食品は、普段の食事と組み合わせながら、食物繊維や発酵由来の成分を取り入れる選択肢です。避難時だけ急に始めるのではなく、平常時から味・量・お腹との相性を確認しておきます。

胃腸が弱い方は、いきなり多く取らず、少量から様子を見ることが大切です。持病、アレルギー、服用薬がある方は事前に相談してください。

玄米酵素の特徴と始め方を見る
ローリングストックで失敗しにくくする4つの確認
  1. 平常時から食べ、味と体調への相性を確認する
  2. 開封後の保存方法と賞味期限を確認する
  3. 水がなくても摂れるか、飲み込みに問題がないか確認する
  4. 持病、アレルギー、妊娠・授乳、服用薬がある場合は専門家へ相談する

中医学では、症状だけでなく「証」を組み立てます

口内炎という一つの症状でも、寒熱・虚実・胃腸の状態・ストレス・乾燥の程度によって養生は変わります。以下は避難生活で重なりやすい代表的なパターンです。

脾気虚タイプ|消化吸収力が落ちたタイプ

証の目安:食欲低下、食後の眠気、胃もたれ、疲れ、軟便、顔色がすぐれない。

背景:脾=土の働きが弱り、食べ物を気・血へ変える力が落ちている状態です。

治則・養生:補気健脾(胃腸を支えてエネルギーを補う)を基本に、温かく柔らかい食事を少量ずつ。冷たい飲食や脂っこい食品を取りすぎないようにします。

血虚・陰虚タイプ|栄養・潤い不足タイプ

証の目安:唇・肌・口の乾燥、顔色が白い、めまい、眠りが浅い、ほてり。

背景:血=栄養と、陰=潤いが不足し、粘膜や皮膚を養いにくい状態です。

治則・養生:養血滋陰(血と潤いを補う)を基本に、魚、大豆、ごま、海藻、卵などを無理のない範囲で取り入れます。

肝鬱化火タイプ|ストレスで熱がこもるタイプ

証の目安:イライラ、不安、寝つきの悪さ、赤く痛む口内炎、顔のほてり、胸や喉のつかえ。

背景:気の巡りが滞り、ストレスが熱へ変化した状態として考えます。

治則・養生:疏肝理気・清熱(気を巡らせ、余分な熱を冷ます)を基本に、深く息を吐く、短時間歩く、情報から離れる時間をつくります。

漢方薬は「口内炎だからこの処方」と一律には選びません。
漢方薬を検討する場合は、舌・便通・食欲・冷え・熱感・睡眠・服用薬などを確認して、どの証に用いる方剤かを整理します。

セルフケアより医療機関・救護所を優先したい症状

  • おおむね2週間たっても治らない、または何度も繰り返す
  • 強い痛みで水分や食事が取れない
  • 発熱、強いだるさ、広範囲の発疹、水ぶくれを伴う
  • 口内炎が多数ある、急に増えた
  • 硬いしこり、ただれ、白色・赤色の変化、しびれがある
  • 出血が続く、飲み込みにくい、話しにくい
  • 顔や唇の急な腫れ、息苦しさがある

口の中の気になる症状は、歯科、歯科口腔外科、耳鼻咽喉科などへ相談します。息苦しさや急な腫れなど緊急性がある場合は、救急要請を優先してください。

3日・3週間・3か月で「防災栄養」を習慣にする

まず3日

水、食べられる主食、タンパク源、歯ブラシ・口腔ケア用品をそろえます。症状の改善を保証する期間ではなく、行動を立て直す最初の区切りです。

次の3週間

魚・豆・海藻・きのこ・乾物、玄米酵素やクロレラなど、家族が食べられる食品を日常で試し、ローリングストックにします。

3か月

年齢、持病、アレルギー、嚥下機能、服用薬、ペットの備蓄まで見直し、家庭ごとの防災食を更新します。

からだは常に入れ替わる動的平衡のシステムです。短期間で結果を急がず、3日で行動、3週間で習慣、3か月で土台を見直す考え方で、無理なく続けます。

避難生活の口内炎・肌荒れでよくある質問

Q1.口内炎ができたら、栄養不足と考えてよいですか?

栄養の偏りは一因になり得ますが、それだけではありません。口の中の傷、乾燥、ストレス、睡眠不足、感染症、持病、薬の影響なども考えます。繰り返す・長引く場合は医療機関へ相談してください。

Q2.水が少ないときも歯磨きは必要ですか?

可能な範囲で続けることが大切です。日本歯科医師会は、約30mLの水で歯ブラシを濡らし、汚れをティッシュで拭き取り、少量ずつ2~3回に分けてすすぐ方法を紹介しています。

Q3.口内炎が痛いとき、何を食べればよいですか?

おかゆ、豆腐、茶碗蒸し、柔らかい煮物、刺激の少ないスープなどを少量ずつ選びます。熱いもの、辛いもの、酸味・塩味の強いもの、硬いものは痛みを強める場合があります。

Q4.クロレラや玄米酵素で口内炎は治りますか?

どちらも食品であり、口内炎を治療するものではありません。基本の防災食、水分、口腔ケアを優先し、食事が偏りやすいときの補助として、平常時から食べ慣れたものを備えます。

Q5.どのくらい治らなければ受診すべきですか?

一般的な口内炎は1~2週間程度で落ち着くことがありますが、おおむね2週間以上治らない、硬いしこり、出血、しびれ、飲み込みにくさなどがある場合は、早めに歯科・歯科口腔外科・耳鼻咽喉科へ相談してください。

Q6.漢方薬は1包だけでも相談できますか?

ほどよい堂では、体質や服用薬を確認したうえで、漢方薬を1包から相談できます。口内炎という症状だけで決めず、寒熱・虚実・胃腸・乾燥・ストレスなどを整理して選びます。

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ほどよい堂|漢方×薬膳×腸活のトリプルメソッド(監修者紹介イメージ)

監修:河邊 甲介(薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト)
漢方薬局「ほどよい堂」代表

宮崎県川南町にて、漢方 × 薬膳 × 腸活のトリプルアプローチによる健康相談を行っています。 体質の言語化と、日常で“続く整え方”をセットでご提案しています。

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  • 循環:巡りが整うと、酸素・栄養が届きやすくなる
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