八綱弁証でタイプ判定|「表裏」を決定する完全ガイド【宮崎県/漢方薬局ほどよい堂】

八綱弁証における「表裏」の判定は、中医学で体質や病の方向性を見極めるうえで欠かせない基本ステップです。

外から侵入した邪気が浅い段階にとどまっているのか(表)、それとも深部に入り込んで臓腑に影響を及ぼしているのか(裏)を見分けることで、適切な漢方薬の選択や養生法の方向性が決まります。

例えば、風邪の初期であれば「表証」として発汗法を中心に対応し、長引く胃腸の不調であれば「裏証」として脾胃を整える処方が求められるように、それぞれアプローチが異なります。

ほどよい堂では、こうした弁証論治に基づき、気血水・陰陽五行・土王説を組み合わせて一人ひとりに合ったオーダーメイドのご提案を行っています。

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目次

第1章|はじめに:なぜ最初に「表裏」を決めるのか

中医学の診断法である八綱弁証(はっこうべんしょう)は、病気や不調を8つの観点から整理する方法です。

その中でも最初に判断すべき軸が「表裏(ひょうり)」です。

これは単なる位置の違いではなく、治療方針を左右する大きな分岐点となります。

表裏を見誤ると、適切な漢方薬を選べず、症状が長引いたり悪化したりする危険もあるため、最初に「どこで病邪(びょうじゃ=病気の原因)が作用しているのか」を見極めることが重要です。

表裏は“戦略の入口”:処方・養生の分岐点

「表」と「裏」の判定は、中医学における戦略マップの入口にあたります。

  • 表証(ひょうしょう) … 風邪のひき始めのように、病邪がまだ体表や浅い部分にとどまっている状態
  • 裏証(りしょう) … 病邪が体内に入り、臓腑や気血津液の深部に影響している状態

たとえば風邪のような症状でも、表証であれば「発汗解表(汗をかかせて邪を追い出す)」が基本ですが、裏証であれば「清熱・温裏」など全く異なるアプローチになります。

八綱弁証の全体像と表裏の位置づけ

八綱弁証は下のように4組8要素で構成されます。

八綱判定軸主な意味代表的な判断材料
表/裏病位(浅いか深いか)体表か臓腑か発熱・悪寒・舌苔の厚薄・脈の浮沈
寒/熱性質冷えているか熱がこもっているか体感・口渇・便通・舌色
虚/実正気と邪気のバランス体力不足か、邪気の充満か脈の力・症状の強弱
陰/陽総括的な性質陰性(静・冷)か陽性(動・熱)か全体のまとめの視点

ここでわかるように、「表裏」は最初の診断軸として扱われます。

これは病邪の位置を間違えると、以降の寒熱・虚実・陰陽の判断すらズレてしまうためです。

本記事の使い方(チェックリスト&フロー活用)

この記事では、以下のステップで表裏を決定していきます。

  1. 用語整理:「表証」「裏証」「半表半裏」の違いを理解する
  2. 四診(望・聞・問・切)から表裏を見分ける指標を学ぶ
  3. チェックリストを使って自分の症状を仮判定
  4. ケーススタディで実際の生活場面に落とし込む
  5. 腸活・薬膳などセルフケアへの応用

読者の方は、セルフチェックでおおよその目安をつかみ、最終的には専門家に相談する流れを意識して読み進めてください。

第2章|用語整理:表証・裏証・半表半裏を一気に把握

中医学の八綱弁証のなかで「表裏」を理解するには、まず基本用語を正しく整理することが大切です。

ここを曖昧にすると、以降のタイプ判定や治療方針が誤ってしまいます。

表証とは:病邪が体表・浅い部分にある状態

「表証(ひょうしょう)」は、病邪がまだ浅い部分にとどまっているケースです。

代表的なのが風邪のひき始め

  • 発熱と悪寒が同時に出る
  • 首や後頭部がこわばる
  • 舌苔は薄く、脈は浮いている

といった特徴があります。

表証の段階では、「発汗解表」=汗をかかせて邪を外に追い出すことが重要で、薬膳でも葱白や生姜など発汗を助ける素材を用います。

裏証とは:臓腑・気血津液の内部に及んだ状態

「裏証(りしょう)」は、病邪が体の深い部分に入り込んでしまった状態です。

これは消化器や呼吸器などの臓腑、あるいは気血津液に影響します。

  • 高熱や便秘
  • 腹痛や下痢
  • 舌苔が厚く、色も黄や黒に変化
  • 脈が沈んで力強い、または細弱

など、より深部に問題があることを示します。

裏証では「清熱」「温裏」「健脾」などの調整が必要で、表証と同じ方法で対応すると悪化する危険があります。

半表半裏(少陽病):表裏の“あいだ”を見逃さない

「半表半裏(はんぴょうはんり)」は、その名の通り表と裏の中間にある状態です。

『傷寒論』では「少陽病(しょうようびょう)」と呼ばれ、特有の症候を示します。

  • 往来寒熱(寒気と発熱が交互に出る)
  • 胸脇苦満(脇腹の張り)
  • 口苦・咽乾・目眩
  • 舌は薄い苔でやや黄、脈は弦

このタイプを見逃すと、治療がうまくいかないケースが多いのが特徴です。

原則は「和解少陽」といって、体を“整える”方向での治療が中心になります。

表裏の違いを整理(比較表)

項目表証裏証半表半裏
病位浅い(体表・経絡・衛気)深い(臓腑・気血津液)中間(少陽、三焦)
発症急性、短期持続、慢性化しやすい反復・波のある経過
主症状発熱・悪寒・頭痛・項背部痛腹痛・下痢・便秘・高熱・咽渇往来寒熱・胸脇苦満・口苦
薄白苔厚苔(黄・黒など)薄苔でやや黄
浮・数・緊沈・実、または細・弱弦・数
治法発汗解表清熱・温裏・健脾など和解少陽

まとめ

「表証」「裏証」「半表半裏」は、八綱弁証のなかで最初に理解すべき重要な分類です。

  • 表証は表面戦(風邪のひき始め)
  • 裏証は内側戦(臓腑に及ぶ不調)
  • 半表半裏は境界戦(波のある症状)

この三つを区別することが、正しいタイプ判定の第一歩になります。


第3章|表裏を決定する四診のコア指標

中医学での診断は「四診(ししん)」と呼ばれる4つの観察法に基づきます。

表証・裏証を正しく判定するには、単一のサインではなく、四診を組み合わせて総合判断することが不可欠です。

望診(舌):舌質・舌苔で“深浅”を読む

舌は「内臓の鏡」といわれ、特に舌苔の厚さは表裏判定の重要な指標になります。

  • 表証:舌質は淡紅、苔は薄白苔が多い
  • 裏証:舌苔は厚く、黄や黒になることが多い
  • 半表半裏:薄い苔だがやや黄、苔が部分的に厚いことも

👉 舌診は毎朝のチェックで変化を把握しやすいため、セルフケアにも応用できます。

切診(脈・腹):浮沈・弦滑・数遅/腹満・拒按

脈診は、表裏判定において舌診と並ぶ大きな指標です。

  • 表証:脈が浮脈(皮膚に近い)で、数や緊を伴うことが多い
  • 裏証:脈が沈脈(深く押さえて感じる)で、実証なら沈実、虚証なら沈細
  • 半表半裏:脈はになりやすく、やや浮沈の中間

さらに腹診では、

  • 表証は「腹部は大きな異常なし」
  • 裏証は「腹満・便秘・下痢・拒按(押すと嫌がる)」

といった差が現れます。

問診:発症スピード・悪寒発熱・汗・疼痛の性質

問診では「症状の時間軸」と「全身の感覚」がヒントになります。

  • 表証:発症が急で、悪寒と発熱が同時に出る。頭痛・項背部痛。
  • 裏証:持続的で重症化しやすい。腹痛・下痢・便秘・高熱・精神症状。
  • 半表半裏:往来寒熱(寒気と熱感が交互に出る)。症状がはっきりしない。

聞診:声・咳・口臭・体臭からのヒント

聞診は「音や匂い」に注目する方法です。

  • 表証:声はかすれや鼻声。咳は浅い。
  • 裏証:声は重く、咳は深く痰が絡む。口臭や体臭が強まることも。
  • 半表半裏:声や咳が周期的に変化。

表裏判定の四診まとめ(比較表)

四診表証裏証半表半裏
望診(舌)淡紅舌・薄白苔厚苔(黄・黒)、紅舌薄苔だがやや黄、苔部分的に厚
切診(脈)浮脈・数脈・緊脈沈実脈 or 沈細脈弦脈・浮沈の中間
切診(腹)大きな異常なし腹満・便秘・下痢・拒按胸脇苦満
問診発症急・悪寒発熱慢性・重い内臓症状往来寒熱・波のある症状
聞診声かすれ・浅い咳重い声・深い咳・痰周期的に変化

ポイント

  • 舌と脈は「客観的指標」、問診と聞診は「主観的症状」
  • 4つを総合して一致度が高い方に傾けるのがコツ
  • 一部が一致しない場合、「半表半裏」や「表裏錯雑」を考える

第4章|まずはここから:表裏クイック判定チェックリスト

「表証なのか、裏証なのか」を迷ったとき、最初に役立つのがクイックチェックリストです。

もちろん最終的には四診を総合する必要がありますが、セルフケアの目安として非常に便利です。

24項目チェック(〇×式)で“仮説”を立てる

以下の質問に「はい(〇)」「いいえ(×)」で答えてみましょう。

表証を示すチェック項目(浅い段階)

  1. 悪寒と発熱が同時にある
  2. 発症が急である
  3. 首や後頭部がこわばる
  4. 脈が表面で触れる(浮脈)
  5. 舌苔は薄い
  6. 汗が出ない、または少ない

裏証を示すチェック項目(深い段階)

  1. 熱が高く続いている
  2. 冷えが体の深部まで及んでいる
  3. 便秘または下痢を繰り返す
  4. 腹が張る・痛む
  5. 舌苔が厚く、黄または黒
  6. 脈が深く沈んでいる

半表半裏を示すチェック項目(中間)

  1. 寒気と熱感が交互に出る
  2. 脇腹に張りや違和感がある
  3. 口が苦く、咽が乾きやすい
  4. めまい・ふらつきがある
  5. 舌は薄い苔でやや黄
  6. 脈が弦

全般症状(補足)

  1. 発症してから何日も経っているのに改善しない
  2. 症状が日によって強くなったり弱くなったりする
  3. 睡眠が浅く夢をよく見る
  4. 食欲が落ちている
  5. 体がだるく重い
  6. 汗の出方が不自然(寝汗や少しの動きで大汗)

判定の目安(スコア方式)

判定タイプチェック数の目安状態のイメージ
表証タイプ表証項目の〇が4個以上風邪の初期、浅い段階
裏証タイプ裏証項目の〇が4個以上内臓に影響、消化器や全身症状が強い
半表半裏タイプ半表半裏項目の〇が3個以上波のある症状、少陽病
混合タイプ表裏両方に〇が多い表裏錯雑(例:風邪をこじらせたケース)

自己判定のリスクと専門相談の目安

このチェックリストはあくまで仮説を立てるためのツールです。

  • 高熱(38.5℃以上)が続く
  • 血便・呼吸困難・激しい腹痛などがある
  • 妊娠中・小児・高齢者で症状が急変している

こうした場合は、自己判断を避けて速やかに医療機関へ受診してください。

一方で、慢性的な消化不良・不眠・だるさなど「裏証傾向の体質」は、漢方・薬膳・腸活で整える余地があります。その場合は、専門家に体質相談するのが安心です。

第5章|表証を深掘り:風寒・風熱・風湿の典型像

「表証」とひと口にいっても、その性質によって大きく3つのパターンに分けられます。

それが 風寒表証・風熱表証・風湿表証 です。

いずれも「体表に病邪がある」点では共通しますが、症状の出方や対応法が異なるため、正確な見極めが重要です。

風寒表証:悪寒が強く、汗が出ないタイプ

「風寒表証(ふうかんひょうしょう)」は、外からの冷え(寒邪)が体表に侵入したタイプです。

  • 悪寒が強く、発熱は軽度
  • 汗が出ない、あるいは非常に少ない
  • 頭痛・項背部痛(首や後頭部のこわばり)
  • 鼻水は透明でサラサラ
  • 舌苔は薄白、脈は浮緊

👉 治法は「発汗解表・散寒」。薬膳では生姜・葱白・桂枝など温めて発散させる素材を用います。

風熱表証:発熱が強く、咽喉の痛みを伴うタイプ

「風熱表証(ふうねつひょうしょう)」は、熱を持った病邪が侵入している状態です。

  • 発熱が強く、悪寒は軽度
  • 汗がやや出る
  • 咽の痛み、口渇、顔の赤み
  • 鼻水は黄色く粘稠
  • 舌は紅、苔は薄黄、脈は浮数

👉 治法は「辛涼解表・清熱」。薬膳では菊花・薄荷・桑葉・梨など清熱作用をもつ食材が有効です。

風湿表証:体が重だるく、関節痛が出るタイプ

「風湿表証(ふうしつひょうしょう)」は、湿気が加わったタイプです。

梅雨や夏場、湿気の多い環境で悪化しやすいのが特徴です。

  • 悪寒・発熱は軽度
  • 身体が重だるい
  • 関節痛や頭重感
  • 汗の出方がスッキリせず、べたつきやすい
  • 舌苔は白く厚い、脈は濡

👉 治法は「解表化湿」。薬膳では陳皮・藿香・生姜・ハトムギなど湿を取り除き巡りを助ける素材が適します。

3つの表証を比較(まとめ表)

項目風寒表証風熱表証風湿表証
主症状強い悪寒・軽い発熱強い発熱・軽い悪寒身体重だる・関節痛
出ない/少ない少し出るべたつく汗
鼻水透明・サラサラ黄・粘稠粘っこく量が多い
薄白苔紅・薄黄苔厚白苔
浮緊浮数
養生の食材例生姜・葱白・桂枝菊花・薄荷・桑葉陳皮・藿香・ハトムギ

まとめ

同じ「表証」でも、

  • 風寒=冷えで閉じ込められたタイプ
  • 風熱=熱で炎症を起こしているタイプ
  • 風湿=湿気で巡りが悪くなっているタイプ

と症状も対応法も異なります。

セルフケアではまずどの表証に当てはまるのかを整理し、食材選びや生活習慣に役立てることがポイントです。

第6章|裏証を深掘り:寒熱・虚実で整理する

「裏証(りしょう)」は、病邪が体の深部=臓腑・気血津液に及んでいる状態です。

表証より重く、長引きやすいのが特徴で、寒熱(冷えているか熱がこもっているか)、虚実(体力不足か邪気充満か)の観点で整理すると理解がスムーズです。

裏寒(虚寒/実寒):冷えが内臓まで及んだ状態

  • 裏寒実証(寒邪が強く侵入):腹痛・下痢・冷えの強い症状、脈は沈緊。
  • 裏寒虚証(脾腎の陽気不足):慢性的な冷え、倦怠感、尿量が多く透明、舌は淡白。

👉 治法は「温裏散寒」または「補陽健脾」。
薬膳では羊肉、生姜、桂皮、葱など温める食材が推奨されます。

裏熱(虚熱/実熱):熱がこもっている状態

  • 裏熱実証(邪熱が充満):高熱・煩渇・便秘・尿が濃い、舌は紅で厚い黄苔、脈は沈実数。
  • 裏熱虚証(陰虚による熱):微熱・ほてり・寝汗・口乾き、舌は紅少苔、脈は細数。

👉 治法は「清熱瀉火」または「滋陰清熱」。
薬膳では梨、百合、緑豆、麦門冬など潤しつつ冷ます食材が適します。

裏の虚実:正気と邪気のせめぎ合い

  • 虚証(きょしょう):体のエネルギー(気血津液)が不足 → 疲労・倦怠・虚弱体質。
  • 実証(じっしょう):邪気が停滞し、気血の流れが阻まれる → 痛み・痞え・便秘など。

👉 「虚なら補う、実なら瀉す」という原則が重要です。

誤汗・誤下を避ける要点

裏証の判定を誤ると、以下のようなリスクがあります。

  • 裏寒なのに清熱薬を用いてさらに冷やしてしまう
  • 裏熱なのに温補薬を用いて熱を助長してしまう
  • 実証なのに滋養を与えて邪気をこもらせる

👉 八綱弁証では、誤治を避けるための「表裏→寒熱→虚実」の順序が鉄則です。

裏証のタイプ比較表

分類主な症状舌診脈診養生の方向
裏寒実証腹痛・下痢・四肢冷・拒按白厚苔沈緊温裏・散寒
裏寒虚証慢性冷え・倦怠・多尿淡白舌沈細補陽・健脾腎
裏熱実証高熱・便秘・腹満・煩渇紅舌・厚黄苔沈実数清熱・瀉火
裏熱虚証微熱・寝汗・ほてり・乾燥紅舌・少苔細数滋陰・清熱

まとめ

「裏証」は深部に病邪が入り込んだサイン。

  • 寒熱の違いで“性質”を見極め、
  • 虚実の違いで“正邪の力関係”を見極める。

この2つを組み合わせることで、適切な処方・養生方針が明確になります。

第7章|半表半裏(少陽パターン)を見抜く

「表証」や「裏証」とは異なり、両者の中間に位置するのが半表半裏(はんぴょうはんり)です。

これは『傷寒論』における「少陽病(しょうようびょう)」に相当します。

診断を誤ると治療が進まず、長引くケースが多いため、特有のサインを見抜くことが重要です。

目印症候:往来寒熱・胸脇苦満・口苦・咽乾・目眩

半表半裏の典型症状は以下のとおりです。

  • 往来寒熱:寒気と熱感が交互に現れる
  • 胸脇苦満:脇腹の張りや違和感
  • 口苦(口の中が苦い)
  • 咽乾(のどの乾き)
  • 目眩(めまい)

👉 このパターンは「どちらかに決められない症状の揺らぎ」が最大の特徴です。

舌脈の傾向と誤治例

  • :苔は薄く、やや黄。時に部分的に厚くなる。
  • :弦脈が多く、浮沈の中間的。

誤治例としてよくあるのは、

  • 「発熱があるから」と誤って清熱剤だけを使う
  • 「悪寒があるから」と誤って温散剤だけを使う

この場合、症状が改善せず長引いてしまうことが多いのです。

方針の原則:和解少陽・三焦の通達

半表半裏では「和解少陽(わかいしょうよう)」が基本方針です。

これは、

  • 体の上下・内外の流れを調える
  • 三焦(上焦=呼吸、中焦=消化、下焦=排泄)の気機を通す

ことを意味します。

薬膳的には、苦味と芳香を併せ持つ素材(黄芩・柴胡・薄荷・大棗など)を用いてバランスを取ります。

半表半裏を整理した比較表

項目表証裏証半表半裏(少陽)
病位浅い(体表)深い(臓腑)中間(三焦・少陽)
発症急性・短期慢性・持続波があり、長引く
主症状悪寒+発熱、頭痛腹痛・便秘・下痢・高熱往来寒熱・胸脇苦満・口苦
薄白苔厚苔(黄・黒)薄苔やや黄
浮・数・緊沈実/沈細弦脈
治法発汗解表清熱・温裏和解少陽

まとめ

半表半裏は「表でも裏でもない、ゆらぎの状態」です。

  • 往来寒熱が出るかどうかが最大のチェックポイント。
  • 誤って表証・裏証の治法に寄せすぎると長引く。
  • 「和解少陽」によって気機を通し、上下内外の流れを整える。

第8章|表裏×寒熱×虚実のマトリクスで最短ルート判定

八綱弁証の最大の利点は、症状の混乱を整理してシンプルな判定に導けることです。

そのために用いるのが 表裏×寒熱×虚実のマトリクス

この組み合わせで8つの典型パターンに整理でき、診断から治療方針へ最短ルートを導きます。

8セル典型像の整理

タイプ主な症状舌・脈の特徴基本方針
表寒実証強い悪寒・軽度発熱・汗なし・頭痛舌淡・薄白苔、脈浮緊発汗解表・散寒
表熱実証強い発熱・咽痛・口渇・汗少し舌紅・薄黄苔、脈浮数辛涼解表・清熱
裏寒実証腹痛・下痢・四肢冷・拒按舌白厚苔、脈沈緊温裏散寒
裏寒虚証慢性冷え・倦怠・尿多・食欲低下舌淡白、脈沈細補陽健脾腎
裏熱実証高熱・煩渇・便秘・尿黄舌紅・厚黄苔、脈沈実数清熱瀉火
裏熱虚証微熱・寝汗・ほてり・乾燥舌紅少苔、脈細数滋陰清熱
表裏錯雑表症+裏症が混在、例:悪寒発熱と腹痛舌苔混在、脈浮沈錯雑先表後裏 or 先裏後表
半表半裏(少陽)往来寒熱・胸脇苦満・口苦舌薄やや黄苔、脈弦和解少陽

よくある誤判定とリスク

  • 表熱と裏熱を混同:喉の痛みと発熱=必ず表熱ではなく、裏熱(扁桃腺炎や肺炎の高熱)もある。
  • 裏寒虚証を見落とす:冷え性を「体質だから」と片付けると慢性化。
  • 虚実錯雑:虚弱体質なのに邪気が停滞しているとき、どちらを先に治すかで結果が変わる。

👉 原則は 「急性=表、慢性=裏」 を出発点にして、寒熱・虚実で枝分かれを確認すること。

是正のコツ:一次目標→二次調整の順序

  1. 病位(表裏)を決める
    → 浅いか深いかで大枠を絞る。
  2. 性質(寒熱)を判断する
    → 冷えか熱かで方向性を定める。
  3. 正邪の力関係(虚実)を評価する
    → 補うのか、瀉すのか。

この順序を守ることで、誤治(まちがった処方で悪化させること)を避けられます。

マトリクス活用イメージ(セルフ判定→専門相談)

  • ステップ1:セルフチェックで8セルのどこに近いかを把握する
  • ステップ2:薬膳・生活養生に反映(例:裏寒傾向なら温性食材)
  • ステップ3:改善が見られなければ専門家に相談し、処方レベルで調整

まとめ

八綱弁証は「複雑な症状を3つの軸に整理するツール」。

  • 表裏で浅深を見極め、
  • 寒熱で性質を把握し、
  • 虚実で力関係を確認する。

このマトリクスを活用すれば、自己判定の精度が上がり、専門相談の際もスムーズに話が進みます。

第9章|舌・脈の実例ギャラリー(テキスト解説版)

舌の色や形で体質を判断する舌診のイラスト図解【ほどよい堂】
健康・白苔・赤・紫・黄色・まだら・イチゴ舌・ひび割れ・デコボコ・口内炎など
舌の状態から体質を見極める漢方の基本

舌や脈の観察は、表裏を判定するうえで極めて重要です。

ここでは代表的な「表寒」「表熱」「裏熱」の舌・脈を解説し、セルフチェックにも役立つよう整理しました。

表寒の舌脈:薄白苔・浮緊

  • :淡紅色で、苔は薄く白い。体表に邪があるだけで内側はまだ大きく乱れていない状態。
  • :浮いていて、やや緊張感がある(浮緊脈)。寒邪が表に停滞しているサイン。

👉 典型例は「風寒感冒」=寒邪による風邪のひき始め。発汗解表のタイミングを逃さないことが大切です。

表熱の舌脈:薄黄苔・浮数

  • :紅色が強く、苔は薄く黄みがかる。外から入った熱邪が体表にある状態。
  • :浮いていて数が早い(浮数脈)。熱が体表にあって、体の防衛反応が強いときに現れる。

👉 典型例は「風熱感冒」。咽痛や口渇を伴いやすく、辛涼解表で清熱が必要。

裏熱の舌脈:黄厚苔・紅・数

  • :全体が紅く、苔は黄色く厚い。熱が内部にこもり、消化器や臓腑に影響しているサイン。
  • :沈んでいて数が速い(沈数脈)あるいは力強い(沈実数脈)。

👉 典型例は「裏熱実証」=高熱・便秘・腹痛などを伴う状態。清熱瀉火・潤下が中心となる。

舌と脈を総合するポイント

  • 舌診は「可視的に確認できる内臓の鏡」
  • 脈診は「体全体のバランス・正邪のせめぎ合いを映す」

両者を合わせることで「表証なのか裏証なのか」「寒なのか熱なのか」「虚なのか実なのか」が明確になります。

舌・脈のまとめ表

タイプ舌の特徴脈の特徴判定の目安
表寒淡紅舌・薄白苔浮緊風寒感冒など、冷えの表証
表熱紅舌・薄黄苔浮数風熱感冒、咽痛・口渇を伴う
裏熱紅舌・黄厚苔沈実数高熱・便秘・腹痛などの裏熱実証

まとめ

  • 舌は「色と苔」で判定する
  • 脈は「深さ(浮沈)と強さ(虚実)」で判定する
  • 表証なら「浮」、裏証なら「沈」と覚えると整理しやすい

第10章|現場で使える【問診テンプレ&判定フロー】

中医学の四診の中でも、日常的に最も取り入れやすいのが問診です。

表裏を判定するには、いくつかの決め手となる質問を順に整理すると迷いが少なくなります。

ここではセルフケアにも活用できる「問診テンプレ」と「判定フロー」をご紹介します。

問診テンプレ:主訴/誘因/緩解因子/便尿/睡眠

下記の項目を順にチェックすることで、表裏の判断がスムーズになります。

項目具体的な質問例表証の傾向裏証の傾向
主訴今一番つらい症状は?悪寒・発熱・頭痛腹痛・下痢・便秘・長引く熱
誘因いつから? どんなきっかけ?急な発症(風邪・外気変化)徐々に悪化・慢性化
緩解因子何をすると少し楽になる?温めると楽・汗をかくと軽減下痢や排便後に軽くなることも
便尿便や尿の状態は?大きな変化なし便秘・下痢・尿の異常
睡眠寝つき・夢・途中覚醒は?大きな変化なし浅眠・夢多・夜間トイレ

👉 問診では「急性か慢性か」「浅いか深いか」に注目すると、表裏の大枠が見えてきます。

判定フロー(文字図解)

以下のステップで整理すると、誤診を防ぎやすくなります。

  1. 発症スピードは?
    • 急性 → 表証を疑う
    • 慢性 → 裏証を疑う
  2. 悪寒と発熱の組み合わせは?
    • 悪寒>発熱 → 表寒
    • 発熱>悪寒 → 表熱
  3. 便・尿・消化の異常はあるか?
    • あり → 裏証の可能性大
    • なし → 表証の可能性大
  4. 舌苔・脈を確認
    • 薄白苔・浮 → 表
    • 厚苔・沈 → 裏

判定後の“試験的介入”と再評価

漢方の現場では、1回の判定で全てを決めるのではなく、試験的な介入と再評価を繰り返します。

  • 表証なら:発汗解表で様子を見る → 改善なければ裏証を再チェック
  • 裏証なら:清熱や温裏で様子を見る → 状態により補虚 or 瀉実を調整

👉 1週間程度の再評価が基本の目安です。セルフケアでも「3日で変化がなければ再判定」することが推奨されます。

まとめ

  • 問診は「急性か慢性か」「浅いか深いか」を基準に整理する
  • 判定フローを活用すれば、迷いが減り方向性が見えてくる
  • 介入後は必ず再評価し、誤治を防ぐことが大切

第11章|土王説×腸活:脾胃の強弱が“裏証”を左右する

宮崎県川南町にある漢方薬局「ほどよい堂」で行われる土王説に基づく漢方相談の様子
宮崎県川南町「ほどよい堂」での漢方相談
消化器を重視した土王説による丁寧なカウンセリング

裏証を考えるとき、カギとなるのが脾胃(消化器系)の働きです。

中医学では「土王説(どおうせつ)」といい、五行の中で「土=脾胃」が中心的な役割を持つと考えます。

これは現代の「腸活」ともリンクしており、腸内環境の乱れが裏証の状態を悪化させる要因となるのです。

脾=消化器系の視点で“裏寒・裏湿”を説明

  • 裏寒証は、脾胃の陽気不足により「消化力の低下・冷え・水分代謝不良」を起こす状態。
    → 冷え性、軟便、食欲不振、むくみ。
  • 裏湿証は、湿邪が脾胃を阻むことで「消化不良・体の重だるさ・痰湿の停滞」を起こす状態。
    → 胃もたれ、倦怠感、頭重感、湿疹や痰。

👉 つまり「裏証のベースには、しばしば脾胃の弱さ=腸の不調がある」といえます。

腸漏れ(リーキーガット)との関連仮説

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腸漏れ(リーキガット)を自然にケア
ほどよい堂の腸活漢方サポート

現代医学的にも「リーキーガット症候群」は、腸のバリア機能が壊れて炎症や免疫異常を引き起こすとされます。

中医学の「脾虚・裏湿」と重なる部分があり、以下のように考えられます。

中医学の病理現代腸活の視点
脾虚(消化吸収力の低下)腸内細菌叢の乱れ・消化不良
裏湿(湿邪の停滞)腸内炎症・腸粘膜の透過性亢進
気虚(エネルギー不足)栄養吸収不良による慢性疲労

👉 腸活で腸の粘膜や細菌環境を整えることは、裏証改善のサポートになるのです。

プレ・プロ・バイオジェニックスの位置づけ

中医学の「補脾健運(脾胃を補い働きを高める)」と、現代の腸活をつなぐと以下のように整理できます。

腸活素材中医学的解釈代表的な食材例
プレバイオティクス(腸内細菌のエサ)脾を養い、腸を潤す食物繊維(ごぼう、海藻、豆類)、オリゴ糖
プロバイオティクス(善玉菌そのもの)腸の気機を調える発酵食品(味噌、納豆、漬物、ヨーグルト)
バイオジェニックス(腸管を介さず作用)気血を養い免疫を正すβグルカン、乳酸菌生成物質、クロレラ

まとめ

  • 八綱弁証での裏証は脾胃の弱さが背景にあることが多い
  • 土王説に基づけば、脾胃=腸を整えることが全身の調和につながる。
  • 腸活(プレ・プロ・バイオジェニックス)は、中医学でいう「補脾・化湿・健運」に相当。

👉 つまり、八綱弁証の「裏証改善」には、薬膳や漢方と並んで腸活を取り入れることが非常に有効です。

第12章|薬膳の実践:表裏で食薬の選び方を変える

八綱弁証の「表裏」を決めたら、次のステップは食薬(薬膳食材)の選び方です。

体のどこで病邪が作用しているのかによって、取り入れる食材や調理法は大きく異なります。

表証(初期の風邪様症状)に:軽清・発散系

表証の段階では、まだ体表に病邪がとどまっているため、発汗を促して邪を外に追い出すことが基本です。

  • 風寒表証:生姜、葱白、桂枝 → 温めて発汗を助ける
  • 風熱表証:菊花、薄荷、桑葉 → 清涼感で熱を鎮める
  • 風湿表証:藿香、紫蘇、陳皮 → 芳香で湿を散らす

👉 調理法としては「薬膳スープ」「温かい粥」が適し、軽く汗ばむ程度に整えます。

裏寒に:温裏・健脾の食材

裏寒証では、脾胃の働きが低下して消化吸収が悪くなり、冷えや水分停滞を招きます。

  • 温める:生姜、桂皮、八角、山椒
  • 補う:もち米、羊肉、長ネギ、えび
  • 健脾:陳皮、山薬

👉 冷たい飲食・生もの・過剰な水分は控えるのが鉄則です。

裏熱に:清熱・生津の食材

裏熱証では、体内に熱がこもり、炎症や乾燥が目立ちます。

  • 清熱:苦瓜、緑豆、セロリ、ゴーヤ
  • 生津:梨、百合根、麦門冬
  • 解毒:蓮葉、金銀花

👉 辛いもの・油もの・アルコールは避け、のどを潤す果物やさっぱりした食材を取り入れます。

表裏別・食薬選びのまとめ表

タイプ主な食薬調理法のポイント
表寒生姜・葱白・桂枝温スープ、粥で発汗を助ける
表熱菊花・薄荷・桑葉お茶やスープで清熱発散
表湿藿香・紫蘇・陳皮芳香野菜を加えた粥・汁物
裏寒羊肉・もち米・桂皮煮込み料理で温める
裏熱梨・百合根・緑豆蒸し料理や冷やしスープ

まとめ

  • 表証=発汗で追い出す → 香り・温性・軽い粥
  • 裏寒=温め補う → 羊肉・生姜・煮込み
  • 裏熱=清熱潤す → 果物・百合・緑豆

👉 「どこで邪気が停滞しているか」に応じて食材を変えることが、薬膳の実践での大きなポイントです。

第13章|ケーススタディ(ペルソナ別・夜型生活にも対応)

理論を学んでも、「自分の場合はどのタイプに当てはまるのか?」がわからなければ実践にはつながりません。

ここでは4人のペルソナを例に、表裏タイプを判定し、どのような養生・薬膳が役立つのかを見ていきましょう。

① 夜職×不眠×胃もたれ:半表半裏+脾虚

ペルソナ

  • 25歳女性、キャバクラ勤務
  • 寝つきが悪く、昼夜逆転の生活
  • 食後の胃もたれ・膨満感が強い

判定

  • 往来寒熱(寒気と熱感が交互) → 半表半裏
  • 食欲不振・胃もたれ → 脾虚・裏証傾向

アプローチ

  • 和解少陽:柴胡・黄芩系の食材(セロリ、ミント)
  • 健脾:山薬、陳皮、はとむぎ
  • 夜は温かいお粥、朝は軽いスープで腸をリセット

② 風邪ひき始め:表寒 or 表熱の分岐

ペルソナ

  • 32歳男性、営業職
  • 昨晩から寒気と発熱
  • 咽に痛みはない、汗も出ない

判定

  • 悪寒>発熱、汗なし → 表寒証

アプローチ

  • 発汗解表:葱白、生姜、桂枝
  • 温かいスープ(ねぎ・しょうが入り味噌汁)
  • 発熱が強く咽痛が出たら、表熱への移行もチェック

③ 冷え×慢性便秘:裏寒実か虚寒か

ペルソナ

  • 40歳女性、事務職
  • 慢性的な冷え、便秘がち
  • 手足は常に冷え、腹が張る

判定

  • 腹満・便秘 → 裏証
  • 四肢冷・倦怠 → 裏寒虚証(陽虚)
  • 腹痛・拒按が強ければ裏寒実証の可能性も

アプローチ

  • 温裏健脾:羊肉・もち米・八角・生姜
  • 温灸(おへそ周囲)で陽気を補助
  • 冷たい飲食を避け、温かい飲み物を徹底

④ 花粉・鼻炎:表風熱×裏湿熱の併存

ペルソナ

  • 28歳女性、看護師
  • 春になると鼻づまり・目のかゆみ
  • 胃もたれ・軟便もあり

判定

  • 鼻炎・咽痛・発熱感 → 表風熱
  • 胃腸不良・軟便・頭重 → 裏湿熱

アプローチ

  • 表熱:菊花、薄荷、桑葉(お茶に)
  • 裏湿熱:ハトムギ、緑豆、蓮葉
  • ストレスケア(気滞改善)も並行

ケーススタディまとめ表

ペルソナタイプ判定養生の方向薬膳例
夜職女性半表半裏+脾虚和解少陽+健脾山薬粥+ミント茶
営業男性表寒発汗解表しょうが味噌汁
冷え女性裏寒虚証温裏健脾腎羊肉スープ
看護師女性表風熱+裏湿熱清熱解表+化湿菊花茶+緑豆粥

まとめ

  • ペルソナ設定で自分に近い症例を探すと理解が深まる
  • 八綱弁証は複数の軸が組み合わさるため、単純な「風邪=葛根湯」思考から卒業できる
  • 養生・薬膳は「表裏+寒熱+虚実」の組み合わせで最適化される

第14章|自宅ケアの限界・受診目安・禁忌

八綱弁証によるタイプ判定や薬膳・漢方セルフケアは大いに役立ちますが、すべてを自己判断で行うのは危険です。

特に「表裏を決定する」際には、見誤ると重症化や誤治につながります。

ここでは、自宅ケアの限界と受診すべき目安を整理します。

発熱・激痛・血便・呼吸困難などは直ちに医療機関へ

以下の症状は、表裏の判定に関わらず「緊急性が高い」ため、速やかに医療機関を受診してください。

  • 38.5℃以上の高熱が3日以上続く
  • 息苦しさ、呼吸困難
  • 激しい腹痛や胸痛
  • 血便、黒色便、嘔血
  • 意識がもうろうとする、強い倦怠感

👉 これらは裏熱実証や重度の裏寒など八綱弁証で説明できる部分もありますが、救急医療を優先すべき状態です。

妊娠・授乳・小児・高齢者の注意点

  • 妊娠中:表証の発汗解表でも、強い発汗作用を持つ生薬は避けることがある。
  • 授乳期:母乳に影響を与える食薬や漢方があるため注意。
  • 小児:体力が弱いため、裏証に移行しやすく、早めの受診が望ましい。
  • 高齢者:虚証傾向が強く、自己判断で清熱や瀉下を行うと体力をさらに損なう可能性。

👉 セルフケアよりも専門家の伴走が安全。

情報の扱い:YMYLと専門家の伴走

健康や医療に関する情報は、GoogleのYMYL(Your Money or Your Life)評価の対象でもあります。

つまり「人生や健康に大きな影響を与える領域」であるため、自己診断ではなく専門家と併走することが推奨されます。

  • セルフチェック:あくまで目安
  • 専門家相談:弁証論治による正確なタイプ判定
  • 医療機関受診:緊急症状・重症化リスクがある場合

まとめ表:自宅ケアと受診の境界

状況セルフケアで可専門家相談が必要医療機関受診が必須
軽い風邪症状(発熱37〜38℃、軽い悪寒)△(長引く場合)
慢性的な胃もたれ・冷え
38.5℃以上の高熱が持続
呼吸困難・激痛・血便
妊娠・授乳・小児・高齢者の体調不良○(症状次第)

まとめ

  • 自宅ケアは「軽度で一時的な症状」に限られる
  • 妊娠中・子ども・高齢者は特に注意
  • 重症サイン(高熱・呼吸困難・出血)は迷わず受診

👉 表裏判定はセルフケアのヒントになりますが、限界を知ることこそ安全な活用法です。

第15章|よくある質問(FAQ)

表裏の判定に関して、よくいただく質問をまとめました。

セルフチェックの参考にしてください。

Q1. 表裏は一日で変わることがありますか?

A. はい、変化します。
例えば風邪のひき始めは「表寒証」ですが、数日放置すると熱が内部に入り「裏熱証」に変化することがあります。

  • 表証 → 裏証への移行はよくあるパターン
  • 半表半裏を経て変化する場合もある
  • 舌苔や脈の変化を追うことで移行が把握できる

👉 「急性か慢性か」「舌苔の厚さ」を日々確認することがポイントです。

Q2. 汗をかけば必ず治りますか?

A. 汗をかけば良いとは限りません。

  • 表寒証では「発汗解表」で改善することが多いですが、
  • 裏熱証や裏寒証で無理に汗をかくと、逆に体力を消耗して悪化する可能性があります。

👉 汗の「質」と「状況」を見極めることが大切。

  • 風邪初期で寒気が強いとき → 軽く発汗は有効
  • 高熱や虚弱体質のとき → 発汗は危険

Q3. 舌苔が厚い=必ず裏証ですか?

A. 必ずではありません。

  • 厚苔は裏証のサインになりやすいですが、
  • 食後すぐや口内環境の影響でも一時的に厚くなることがあります。
  • 本当に裏証かどうかは「苔の色・性質」と「脈の深さ」を合わせて判定します。

👉 舌苔が 厚+黄+臭いあり+脈沈実 → 裏熱実証の可能性大。

Q4. 自分で判定するのは危険ですか?

A. 軽度の不調なら目安になりますが、重症は自己判断NGです。

  • 「セルフチェック=仮説づくり」程度に考えましょう。
  • 高熱・血便・呼吸困難などは、必ず医療機関を受診してください。

Q5. 表裏判定は薬膳や生活にどう活かせますか?

A. 食材選びや生活スタイルに直結します。

  • 表寒なら → 温かいスープ・しょうが
  • 表熱なら → 菊花茶・緑豆粥
  • 裏寒なら → 羊肉スープ・もち米
  • 裏熱なら → 梨・百合根・セロリ

👉 判定を「今日の食卓」に反映することが、日常での最も実用的な使い方です。

まとめ

  • 表裏は日々変化するもの → 舌と脈で追跡
  • 汗・舌苔は「質」を見極めることが大切
  • セルフ判定はあくまで目安 → 専門相談で最終確認

第16章|まとめ:今日からできる“表裏ファースト”3ステップ

八綱弁証における「表裏」の判定は、セルフケアから漢方相談までの最初の分岐点です。

ここを押さえるだけで、症状へのアプローチが驚くほど整理されます。

最後に、読者が今日から実践できる3ステップを提示します。

ステップ1:四診テンプレで仮説を立てる

  • 舌を観察:薄白苔=表、厚黄苔=裏の可能性
  • 脈を意識:浮=表、沈=裏の可能性
  • 発症スピードを見る:急性=表、慢性=裏

👉 日々のセルフチェックを習慣にすると、「自分は今どちら寄りか」が掴めます。

ステップ2:表裏→寒熱→虚実の順で微調整

判定は順序が大切です。

  1. 表裏=浅いか深いか
  2. 寒熱=冷えているか熱がこもっているか
  3. 虚実=体力不足か邪気充満か

👉 この順に整理すると、食材や養生の選び方が明確になります。

ステップ3:7日後に再評価・必要なら専門相談

  • セルフケアを1週間続けてみて、変化があれば方向性はおおむね合っている
  • 改善がなければ「裏証への移行」や「半表半裏」を疑う
  • 高熱や強い症状は自己判断せず、専門家や医療機関へ

👉 表裏判定は「仮説づくり」であり、最終判断は専門相談で行うのが安心です。

まとめ表:表裏ファースト実践法

ステップ内容ポイント
1四診で仮説を立てる舌・脈・発症スピード
2表裏→寒熱→虚実の順で整理判定の鉄則は順序
37日で再評価→必要なら相談長引く・重症は自己判断NG

最後に

「表裏を決める」ことは、中医学での診断の出発点であり、セルフケアの安全ラインを守る指標でもあります。

  • 表なら追い出す
  • 裏なら整える
  • 半表半裏なら和解する

👉 このシンプルな軸を意識することで、日々の養生や薬膳の選び方がブレなくなり、体調のセルフマネジメントがぐっと楽になります。

第17章|相談・アクセス(CTA)

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表裏を自己判定してみても、「本当に合っているのか?」「どの食薬や漢方がよいのか?」と迷うことは少なくありません。

そんなときは、一人で抱え込まずに専門家と一緒に確認することが大切です。

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宮崎・川南での来店相談も可能

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「直接話したい」「体質診断を受けたい」という方は、店舗でのご相談も可能です。

  • 住所:〒889-1301 宮崎県児湯郡川南町川南26197-1(峠の里内)
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👉 地元の方はもちろん、遠方からのご来店も歓迎いたします。

専門相談の流れ

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ご相談はこちらから

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まとめ

セルフチェックは「気づきの第一歩」。

でも、正確な判定と安全なケアには専門家との二人三脚が欠かせません。

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第18章|執筆者情報

この記事は、宮崎県川南町の漢方薬局 「ほどよい堂」 の薬剤師・中医薬膳師が執筆しています。

読者が安心して参考にできるよう、筆者の専門性や参考文献を明示します。

執筆者プロフィール

  • 名前:河邊甲介(代表薬剤師)
  • 資格
    • 薬剤師(国家資格)
    • 中医薬膳師
    • 薬膳素材専門士
    • ペットフーディスト
  • 専門領域
    • 八綱弁証をベースにした体質診断と養生アドバイス
    • 漢方薬選定と薬膳の実践指導
    • 腸活(プロバイオティクス・プレバイオティクス・バイオジェニックス)の活用
    • ペット向け和漢フードの提案

👉 八綱弁証を「陰陽・表裏・寒熱・虚実」の4軸でわかりやすく解説し、薬膳・腸活に結びつけることを得意としています。

参考古典・現代文献

  • 『黄帝内経』
  • 『傷寒論』
  • 『金匱要略』
  • 『中医臨床弁証学』
  • 日本中医学会 編『中医学入門』
  • 最新のPubMed論文(腸内細菌叢・リーキーガット・発酵食品と免疫に関する研究)

👉 古典理論と現代研究の両方を根拠に、バランスのとれた記事執筆を心がけています。

まとめ

「表裏を決定する」ことは八綱弁証の出発点であり、自己理解と専門相談をつなぐ架け橋です。

ほどよい堂では、漢方・薬膳・腸活を組み合わせ、中医学を現代のライフスタイルに活かす提案を行っています。

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■ 宮崎県川南町の自然の中で、自分を見つめ直す時間を【無料無料相談:漢方×薬膳×腸活】

『ほどよい堂』は、ただの漢方薬局ではありません。

山の風、鳥のさえずり、海の輝き――この自然豊かな環境そのものが、癒しの力を持っています。

ご来店された方が、心地よい空間でリラックスしながら、自分自身の身体と心の声に耳を傾けられるような“居場所”でありたいと願っています。

日常の喧騒から少し離れ、ゆったりとした時間を過ごすことで、自然と「整う」感覚を取り戻してみませんか?

■ アクセス・営業時間

店名:漢方・薬膳処 ほどよい堂
所在地:宮崎県児湯郡川南町(峠の里展望台近く)
※詳細なアクセスは公式ホームページをご覧ください。
営業時間:10:00~18:00(月曜日定休、火曜日は不定休)
駐車場あり/予約優先制

■ ご相談・ご予約はこちらから

・漢方相談(初回カウンセリングは約60分)
・薬膳アドバイス、食養生プラン作成
・オンライン相談(Zoom対応)

[ほどよい堂の漢方相談お問い合わせ方法]

ご相談は基本的にご予約制となっておりますが、時間的な余裕がある場合は飛び入りでの相談もお受けしております。

まずは、下記のいずれかの方法でご連絡ください。

次の予約サイト、LINE、電話のいずれかの方法からアクセスをお願いいたします。

▶予約サイト: https://coubic.com/kampo-hodoyoido

▶LINE: https://lin.ee/bfO3lv9

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著者プロフィール

河邊甲介 (薬剤師)

KOSUKE KAWABE

▷有資格

  • 薬剤師
  • 中医薬膳師:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
  • 薬膳素材専門士:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
  • ペットフーディスト

▷経歴

  • 福岡大学薬学部卒
  • 総合病院薬剤部・調剤薬局にて勤務
  • 2024年1月より宮崎県川南町(峠の里)にて漢方×薬膳×腸活のお店「ほどよい堂」を開局

身体とこころの安心をお届けします

薬剤師であり、漢方×薬膳×腸活の専門家として、「ほどよい堂」を運営しています。
中医学的体質診断を基に、個別に最適な健康アドバイスを提供し、無料相談も実施中。
健康に関するお悩みを漢方や薬膳、腸活でサポートし、体質改善を目指します。
健康維持や未病対策に関心のある方は、ぜひご相談ください。

お気軽にお問い合わせください。0983-32-7933受付時間 10:00-18:00 [ 月曜定休・火曜不定休 ]

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