どうしても出なくてつらい便秘の時には「メンタ湿布」が最適解⁉冷えは腸の天敵!
目次
温熱刺激と嗅覚刺激で
蠕動運動UP!
メンタ湿布(温罨法)とは?
メンタ湿布…?聞きなれないワードですよね!
メンタ湿布とは、温かいタオルにミント精油を吸わせたものをお腹に当てる「温罨法(おんあんぽう)」のことです。
温熱刺激を体の一部に与えることで血管、筋、神経系に作用させ、血液やリンパ液の循環を促進したり、老廃物の排出を促したり、筋肉の緊張や疼痛を緩和するなどに効果が期待できます。
温罨法のポイントは、「心地よい全身の温かさ」です。
温熱刺激で加温された血液が拡張した血管をゆっくりと循環することで、保温効果が生じます。
ペパーミントの効能効果
▷呼吸器系:
鼻に抜けるスーッとした爽快感のあるメントールには、抗炎症、抗感染症、、抗アレルギー、抗ウイルス、去痰などの作用があり、喉の不快感、呼吸器系の不調などに働きかけ症状の緩和などを行ってくれます。
▷消化器系:
ペパーミントには胃腸の機能調節作用があるため、食欲の減退、消化不良、吐き気、乗り物酔い、胃痛、便秘などの改善が期待できます。
▷メンタル系:
メントールの清涼感は頭をクリアにしてくれます。頭の働きを活発にしてくれ気分をリフレッシュしてくれます。
メントールは「冷たい」と脳を錯覚させている
ペパーミントは体感温度を4℃下げるというデータがあります。
ペパーミントの「涼感効果」に大きな役割を果たしているのが、主成分である「l-メントール」です。
体の中には、低温を感じ取る「冷感受容体」というものが存在します。
この受容体が活性化することで、「冷たい」という情報が脳に伝えられ、脳は「冷たい」と感じます。
この受容体は、実際に冷たいものに触れたときだけでなく、メントールでも活性化するのです。
そのため、メントールの成分を含むものを食べたり、飲んだり、触ったりすると脳は「冷たい」と錯覚し、冷たいものに触れた時と似たような感覚になるのです。
ボディローションやヘアケア製品、汗ふきシートなどの商品ににはメントールが含まれているのはこのためです。
簡単!メンタ湿布の作り方
作り方はいたって簡単です!
洗面器にミント精油を熱めのお湯に2、3滴たらしてよく混ぜてからタオルにしみ込ませるだけで出来上がり!
10分程度お腹の上にのせてリラックス!
これだけで、直接的にお腹を温めるとともにミントの爽やかな香りで自律神経が整うので、総合的に腸のぜん動運動が刺激されると考えられています。
妊娠・授乳中は、子宮収縮作用があるためペパーミント精油の使用は控えるようにしてください。
ペパーミント精油は小児、乳幼児の顔(特に鼻)に使わないでください。
小児、乳幼児の舌の痙攣や呼吸停止を引き起こすことがあります。
ペパーミントオイル「コルペルミン」:欧州でIBS治療に用いられる長年の実績
ペパーミントオイルを有効成分とする薬剤は、欧州で過敏性腸症候群(IBS)の治療に長年にわたって使用されてきた実績のある薬剤です。
これを日本で商品化したものが「コルペルミン」です。
ペパーミントオイルの有効成分が腸内の筋肉をリラックスさせ、IBSによる痛みや不快感を軽減する効果が期待されています。
本記事では、コルペルミンの特長とその使用方法について詳しく解説します。
コルペルミンの効果とは?ペパーミントオイルがもたらす腸内リラックス効果
- 有効成分:ペパーミントオイル
コルペルミンの主成分であるペパーミントオイルは、天然由来の成分であり、長年にわたって消化器系のトラブルに対する効果が認められています。 - 腸内筋肉のリラックス
ペパーミントオイルには、腸の平滑筋をリラックスさせる働きがあります。これにより、IBSの症状である腹痛や痙攣を軽減することができます。 - 欧州での長年の使用実績
コルペルミンは欧州各国で広く使用されており、その効果と安全性が多くの臨床研究で確認されています。長年にわたる使用実績があるため、信頼性の高い製品と言えます。
ペパーミントオイルの評価:日本消化器病学会のガイドラインでの位置づけ
日本消化器病学会による「機能性消化管疾患診療ガイドライン2020──過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)」では、ペパーミントオイルは補完代替医療として「有用であり、使用することを提案する」とされています。
これは、日本の医療現場においてもその効果が認められ、広く使用されていることを示しています。
コルペルミンの正しい摂取方法:カプセル型OTC薬の服用ガイド
- 摂取方法
コルペルミンはカプセル型のOTC薬として提供され、通常、食前又は食間に水と一緒に服用します。具体的な服用量や頻度については、製品の説明書や医師の指示に従ってください。 - 副作用と注意点
一部のユーザーには、副作用として軽度の胃の不快感や胸焼けが生じることがあります。また、アレルギー反応が出る可能性もあるため、初めて使用する際は注意が必要です。
小まとめ
ペパーミントオイルのOTC薬「コルペルミン」は、欧州でIBS治療に長年使用されてきた実績のある信頼できる製品です。
ペパーミントオイルの腸内筋肉をリラックスさせる効果により、IBSの不快な症状を軽減することが期待できます。
使用に際しては、必ず適切な摂取方法を守り、副作用に注意しながら使用してください。
コルペルミンは、IBSの症状に悩む方々にとって、自然由来の有効なサポートとなるでしょう。
ぜひ、日々の健康管理に取り入れてみてください。
停滞腸とは?冷えは腸の天敵です!漢方でも脾は冷やさないようにといわれています
冷えは腸の大敵です!
からだが冷えると、交感神経が優位になり、腸管の運動が抑えられ、血管が収縮して腸に向かう血液量も少なくなるため、腸の働きが悪くなります。
この状態を「停滞腸」と言います。
停滞腸になると、消化・吸収・排泄がうまく行われなくなり、腸内環境も悪化してしまします。
蠕動運動が活発なら、宿便にならず、便と一緒に悪玉菌のエサになるタンパク質の残りかすや、悪い脂なども排出されるので、悪玉菌が腸内で極端に増殖することはありません。
また、蠕動運動が活発だと、腸壁から「ムチン」という物質が分泌されて、善玉菌のエサになるので、善玉菌が増えていきます。
腸内環境が整うことで免疫力が正常に保たれます。
この冷えによる停滞腸で便秘になっている場合には、漢方ではお腹を温めてくれる『大建中湯(だいけんちゅうとう)』が良く効いてくれます。
『大建中湯』は3つの生薬「山椒、乾姜、人参」で構成されています。
人参には滋養強壮作用があり、山椒と乾姜は体を内から温める作用が強く、腹の冷えと痛みに有効です。
また、『大建中湯』は大腸がん手術後の腸閉塞の予防・改善のための薬として広く用いられていますが、最近の研究で「炎症性腸疾患」にも効果があることが、理化学研究所(理研)生命医科学研究センター粘膜システム研究チームの石箏箏大学院生リサーチ・アソシエイト、佐藤尚子専任研究員、大野博司チームリーダーらの研究チームによって解明されました(※1)。
そのメカニズムは、大建中湯が大腸において特定の腸内フローラ(腸内細菌叢)の増加を促し、そのフローラにより産生される代謝物プロピオン酸が大腸上皮を介して免疫細胞の一つである3型自然リンパ球(ILC3)に作用することで大腸を健全に保ち、炎症から腸管を保護するというものです。
参考文献
※1:Zhengzhen Shi, Tadashi Takeuchi, Yumiko Nakanishi, Tamotsu Kato, Katharina Beck, Ritsu Nagata, Tomoko Kageyama, Ayumi Ito, Hiroshi Ohno and Naoko Satoh-Takayama, "A Japanese herbal formula, Daikenchuto, alleviates experimental colitis by reshaping microbial profiles and enhancing group 3 innate lymphoid cells", Frontiers in Immunology, 10.3389/fimmu.2022.903459
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著者プロフィール
河邊甲介 (薬剤師)
KOSUKE KAWABE
▷有資格
- 薬剤師
- 中医薬膳師:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- 薬膳素材専門士:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- ペットフーディスト
▷経歴
- 福岡大学薬学部卒
- 総合病院薬剤部・調剤薬局にて勤務
- 2024年1月より宮崎県川南町(峠の里)にて漢方×薬膳×腸活のお店「ほどよい堂」を開局
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