肉食のわんこに食物繊維は必要⁉ 野菜・きのこ・果物・穀類…
目次
犬の食事における
食物繊維の役割と効果!
肉食の犬には食物繊維は必要⁉
「犬の祖先は肉食獣のオオカミなので穀類や野菜はいらない」という論調もありますが、どうなのでしょうか?
その理由に挙げられているいるのは、犬は草食動物の3分の1という短い消化管しか持ち合わせていないため、穀類・野菜をうまく消化することができないというのです。
確かにその通りですが、消化できないから不要とはなりません。
これらの食材に含まれている食物繊維(特に水溶性食物繊維)は腸内細菌のエサとなり腸内環境を改善してくれる作用があります。
また、不溶性食物繊維も水分を吸収することで排便を改善したり、老廃物の除去などのメリットもあります。
犬に相性のよい食物繊維・相性の悪い食物繊維を比較解説!
食物繊維は必要といっても、食物繊維の種類によって犬との相性があります。
その理由は、犬の肉食性の強さです。
犬には犬なりの食物繊維の種類とバランスがあります。
人と同じではありません。
犬に合うタイプの食物繊維は、「水溶性食物繊維」「発酵性食物繊維」「ガム類」などです。
代表的なものに「ペクチン」「大麦などイネ科植物の種子に由来するβグルカン」「難消化性炭水化物(レジスタントスターチ)」などがあります。
あまり、たくさん摂ると消化器に負担をかけるなどデメリットになりやすいのが不溶性食物繊維です。
代表的な不溶性食物繊維は「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」です。
ただし、適切な量の不溶性食物繊維は排便を改善したり、老廃物の除去などのメリットもあります。
食物繊維と犬の病気の関係とは(腸疾患・血糖値)
胃や小腸に病気がある犬の場合は、胃や小腸に負担をかけにくい消化しやすいタイプの食事・ドッグフードが好ましいケースが多いです。
そのため、特に不溶性の食物繊維量は控えめに設計することが一般的です。
大腸に病気がある犬の場合は、高食物繊維の食事・ドッグフードが推奨されています。
食物繊維により、腸の炎症を和らげたり、大腸の運動を改善することなどが期待されています。
犬の糖尿病では、血糖値を急に高めない食後過血糖を予防する食事が望まれます。
そこで、食物繊維により糖質の吸収スピードを緩やかにすることができます。
手作り食における犬への食物繊維の与え方の注意ポイント!
食物繊維を含む食素材として一般的に使用する食材には、野菜・果物・穀物・イモ類・キノコ・海藻などがあります。
犬と相性の良い穀物(白米・玄米)・イモ類(サツマイモ・ジャガイモ)を中心に、キノコ・海藻・野菜を適量ミックスする感じがおすすめです。
りんご・イチゴなどの果物も、ペクチンなどの食物繊維が含まれており、カロリーに注意しておやつとして与えてもOKです。
野菜に含まれている不溶性食物繊維は硬いため、しっかり茹でるようにしましょう。
野菜を茹でる際に出た茹で汁には、結石の原因となる「シュウ酸」が含まれているためシュウ酸結石が出来やすい体質の犬の場合は茹で汁は捨てた方が無難です。
ドッグフードに配合されている食物繊維
- ビートパルプ:
ビートとは甜菜(てんさい)という植物です。砂糖大根とも呼ばれており、国産砂糖の約80%はこのビートから作られています。
ビートパルプとはビートから砂糖をしぼった後の残渣(ざんさ)です。タンパク質の含有量はトウモロコシとほぼ同量の約9.5%、そして総繊維量はおよそ65%も含んでいます。
そして、その食物繊維の内訳は水溶性(20%)、不溶性(80%)という割合です。ビートパルプは水溶性繊維(ペクチン)と不溶性繊維(セルロース)をバランスよく含み、かつ安価であるという優れた特徴をもつフード原料と言えます。
- ペクチン:
ペクチンとは植物や果物に含まれる糖の仲間。果物を煮詰めるとトロミが出てくるのは、このペクチンが水に溶け出してゲル化させるはたらきがあるためです。
※ペクチンを多く含む素材:リンゴ・イチゴ・キャベツ・ダイコンなど
※イチゴにはキシリトール(犬には禁忌)が含まれているが微量で問題ない。(中毒症状は、キシリトールを食べて30分から1時間以内に見られる)
- サイリウム:
イランやインド原産のオオバコ種子や種皮に含まれる。
サイリウム種皮は、水溶性と不溶性の両方の食物繊維を含んでいます。
一般的な水溶性繊維は腸内細菌によって発酵するが、サイリウムは発酵性が低いため、その性質を保ったまま排泄されるという特徴をもっています。
- 難消化性炭水化物(レジスタントスターチ):
正確には食物繊維ではありませんが、難消化性炭水化物は、サツマイモや玄米などに多く含まれています。
消化されないでんぷんで小腸内で消化されず大腸まで届き、腸内細菌のエサになります。
- セルロースパウダー:
セルロースは植物細胞の細胞壁の主成分で不溶性繊維。
トウモロコシや小麦フスマ、他には紙の原料であるパルプ等に含まれています。
セルロースパウダーとはこのパルプを精製・粉砕したものです。
炭水化物と置き換えることでカロリー摂取おさえる目的でダイエットや糖尿病療養食として使用されている。
- 小麦ふすま(小麦ブラン)・米ぬか(ライスブラン)・豆腐粕(おから):
ヘミセルロースが豊富な食物繊維。ブランはミネラル含量が高いためミネラル源としても使用されます。
ビタミンB・Eも含まれている。
- 大麦・オーツ麦・燕麦:
βグルカン源として利用されることが多い。
消化管内容物の粘度が増すことで、胃内滞留時間の延長により血糖コントロールが期待されている。
- 野菜・果物パウダー:
ペクチン含有量が多めで、腸内環境の改善が期待できる。
タンパク質消化率が低下する可能性があるため、配合量は注意が必要。
- 酵母・酵母細胞壁:
パン酵母・ビール酵母・トルラ酵母などがあります。
タンパク質・アミノ酸・核酸などの含有量が多いため嗜好性が高いフード原料になります。
プリン体が多いが犬は尿酸排泄能が高いためこの点はあまり問題とならないことが多い。
※ダルメシアンは尿酸排泄能が低めなので注意は必要。
- オリゴ糖:
ドッグフードではフラクトオリゴ糖を使用していることが多い。
腸内細菌によってオリゴ糖から生成される短鎖脂肪酸ある酢酸は肝臓で代謝され、筋肉でエネルギーとして使われるほか、プロピオン酸も肝臓で代謝されて、アミノ酸代謝、アンモニアの解毒分解などに活用されます。
また、酪酸は腸の蠕動運動のエネルギー源になっています。
増粘安定剤としての食物繊維
- ペクチン:ペクチンとは植物や果物に含まれる糖の仲間。
- カラギナン:肉感を出させる特徴からウェットフードに使用されることが多い。紅藻由来の酸性多糖類。
- ガラクトマンナン:イナゴマメ種子由来のローカストビーンガム、グア種子由来のグァーガム、タラ種子由来のタラガムが良く使用されている。
- キサンタンガム:トウモロコシを発酵して生産する酸性増粘性多糖類。
- 寒天:紅藻由来のゲル化剤。
参考文献
ペット栄養学会誌 第21巻 第3 号(2018年10月)/ペットフードで使用される主な食物繊維・オリゴ糖源原料:迫田順哉
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