炙甘草とは?生甘草との違い・効能・使い分け・注意点を漢方薬剤師がわかりやすく解説

ほどよい堂|漢方薬局の養生コラム

炙甘草とは?生甘草との違い・薬理作用・使い分け・注意点をやさしく解説

「補う甘草」として知られる炙甘草を、古典・現代研究・養生の視点から整理しました。

炙甘草(しゃかんぞう)は、甘草を加工した生薬です。生甘草は清熱解毒寄り、炙甘草は補脾益気・緩急止痛寄りというのが大きな使い分けです。 ほどよい堂では、単に「どちらが良いか」ではなく、今の体質が虚証か、熱証か、脾=土(胃腸)の弱りがあるかを見ながら考えることが大切だと考えています。

炙甘草のイメージ ほどよい堂
炙甘草は「補う・調和する・ゆるめる」を担いやすい甘草です。
先に要点
  • 生甘草は、のどの熱感・炎症感・解毒を意識する場面で使い分けられやすい生薬です。
  • 炙甘草は、脾気虚(胃腸の元気不足タイプ)や心気不足(動悸しやすく疲れやすいタイプ)で重視されやすい生薬です。
  • 現代研究では、加工により成分構成が変わり、抗痙攣・止痛・抗不整脈方向の働きが強まる可能性が報告されています。
  • ただし、甘草由来の偽アルドステロン症リスクがゼロになるわけではないため、自己判断の長期連用には注意が必要です。

炙甘草とは?

炙甘草は、甘草を加工した生薬です。中医学では補脾益気(脾胃を助けて気を補う)緩急止痛(こわばりやひきつれをゆるめて痛みを和らげる)調和諸薬(配合全体のバランスを整える)の働きで語られることが多く、 虚証寄りの処方で使われやすいのが特徴です。

なお、炙甘草の加工法は地域差があります。日本漢方では「煎った甘草」として扱われ、 中国では蜂蜜で炒る「蜜炙」が中心に語られることが多いため、 文献によって炙甘草の説明に少し幅があります。 そのため記事では、古典的な使い分け・日本での実務・現代研究をつなげて整理しています。

漢方薬と薬膳のイメージ
「同じ甘草でも、生か炙か」で役割の重心が変わります。

生甘草と炙甘草の違い

いちばんわかりやすい違いは、生甘草は“熱や毒をさばく方向”炙甘草は“弱った土台を補って調和する方向”に使い分けられやすいことです。 ほどよい堂では、胃腸が弱っているか、疲れやすいか、動悸やひきつれを伴うかを見ながら考えます。

比較項目生甘草炙甘草
中医学的な重心清熱解毒(熱や炎症をさばく)・利咽・瀉火寄り補脾益気(胃腸と気を補う)・緩急止痛・復脈寄り
向きやすい体質熱証・実証寄り、のどの腫れや炎症感が目立つとき虚証寄り、疲れやすい・息切れしやすい・ひきつれやすいとき
臨床でのイメージのどの不快感、熱咳、炎症感が前に出る場面脾胃虚弱、倦怠感、動悸、脈の乱れ、四肢の攣急
土王説でみると熱を冷ます補助脾=土の弱りを支え、全身の気血水の巡りを助ける補助
ひとことで言うと「さばく甘草」「補う甘草」

炙甘草の薬理作用をどう考える?

現代研究では、炙甘草は加工によりフラボノイドやサポニンの構成が変化し、 生甘草とは違う働き方を示す可能性が報告されています。 ただし、ここは主に加工研究・細胞実験・動物実験が中心です。 そのため、ヒトでの体感や臨床評価にそのまま置き換えず、落ち着いて読むことが大切です。

抗痙攣・止痛方向の研究

炙甘草は、四肢の攣急やひきつれをゆるめる生薬として古典でも重視されてきました。 現代の比較研究でも、加工後の炙甘草が抗痙攣・止痛方向で生甘草より優れる可能性が示されています。

中医学の言葉で言えば、緩急止痛の「急=ひきつれ・こわばり・張り」をやわらげる方向です。 足がつりやすい、緊張が抜けにくい、疲れるとこわばる、といった訴えがある方では、 炙甘草の役割を考えやすくなります。

抗不整脈・復脈方向の研究

炙甘草は古典で復脈(脈の乱れを整える方向)に結び付けられてきた生薬です。 動物実験でも、生甘草より炙甘草のほうが不整脈モデルに対して有利な結果を示した報告があります。

そのため、心気不足(心のエネルギー不足タイプ)や気血両虚(エネルギーと栄養の不足タイプ)で、 動悸・息切れ・疲労感が目立つ場面では、炙甘草を含む処方が選ばれることがあります。

加工で成分がどう変わるのか

加工により、甘草のフラボノイドやサポニンは少しずつ姿を変えます。 文献では、炙甘草で甘草苷(リクイリチン)などの増加甘草酸の低下傾向などが報告されており、 これが補う方向の違いに関わるのではないかと考えられています。

ただし、ここで大切なのは「甘草酸が減る=安全性の問題が完全になくなる」ではないことです。 炙甘草を含む方剤でも、甘草由来の注意点は残るため、長期使用や重複には慎重さが必要です。

生薬素材のイメージ
加工で役割の重心が変わるのが、炙甘草のおもしろさです。

中医学でみる炙甘草が合いやすいタイプ

炙甘草は、単に「甘くてやさしい生薬」ではありません。 どの証(体質の偏り)に当てはまるかで、意味が変わります。 ほどよい堂では、次のようなタイプで考えることが多いです。

脾気虚(ひききょ=胃腸の元気不足タイプ)

食欲にムラがある、疲れやすい、食後に眠い、便がゆるみやすい、考えすぎると胃腸にくる。 こうした方では、まず脾=土を立て直す視点が大切です。

養生の軸:よく噛む、温かい汁物、味噌汁、消化しやすい主菜、冷たいものを減らす。

気血両虚(きけつりょうきょ=エネルギーと栄養不足タイプ)

顔色が冴えない、だるい、動悸しやすい、息切れしやすい、疲れると回復に時間がかかる。 補う力が必要な場面で、炙甘草の「調和する力」が活きやすくなります。

養生の軸:たんぱく質、鉄・亜鉛などの微量栄養素、睡眠、無理のない循環づくり。

心気不足(しんきぶそく=心の働きが弱りやすいタイプ)

緊張するとドキドキしやすい、体力が落ちると息が上がる、少しの無理で消耗しやすい。 こうした方では、炙甘草を含む処方が選ばれることがあります。

養生の軸:刺激を減らす、深呼吸、寝不足を避ける、頑張りすぎない予定設計。

攣急しやすいタイプ

足がつりやすい、こわばりやすい、疲労時に筋肉が張る、緊張で体が固まりやすい。 炙甘草の緩急止痛を活かす考え方がしやすい場面です。

養生の軸:ミネラル補給、発酵性食物繊維、入浴、軽いストレッチ、脱水予防。

炙甘草湯との関係

炙甘草という生薬を知るうえで、よく一緒に名前が挙がるのが炙甘草湯です。 炙甘草湯は、虚証の動悸・息切れ・疲れやすさに使われる代表的な処方のひとつで、 現在の添付文書でも「体力がおとろえて、疲れやすいものの動悸、息切れ」が適応として示されています。

ただし、炙甘草湯は炙甘草だけではなく、地黄・麦門冬・人参・大棗・阿膠など複数の生薬で成り立つ処方です。 そのため、「炙甘草に興味がある」=「炙甘草湯がそのまま合う」ではありません。 動悸があっても、痰湿(余分な水分や重だるさ)が強い、熱が強い、胃もたれが強い場合には、別の見立てが必要です。

炙甘草を試す前に、体質から見直しませんか?

「疲れやすいから補えばいい」とは限りません。虚証か、熱が強いのか、胃腸の弱りが先なのかで選び方は変わります。 迷うときは、まず体質チェックやLINE相談から入るのがおすすめです。

注意したいポイント

甘草だからやさしい、とは言い切れません

炙甘草は補う方向の生薬ですが、甘草由来の副作用には注意が必要です。 とくに長期連用、多量使用、ほかの甘草含有製剤との重複、利尿薬との併用では注意が必要です。

  • 偽アルドステロン症:むくみ、血圧上昇、体重増加、低カリウム血症など
  • ミオパチー:脱力感、四肢のけいれん、筋力低下など
  • 重複注意:芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散など甘草を含む処方との併用
  • 自己判断の長期連用は避ける:とくにむくみや高血圧傾向がある方

動悸・息切れがある場合でも、循環器や呼吸器の評価が優先されるケースがあります。症状が強い場合は医療機関での確認をおすすめします。

ほどよい堂が大切にしている炙甘草の考え方

ほどよい堂では、炙甘草を「ただ補う生薬」として単独で見るのではなく、 ①栄養 ②循環 ③吸収=腸活の3本柱の中で位置づけます。 脾=土が弱ると、食べても作れない、巡らない、回復しにくい、という流れが起こりやすくなります。

① 栄養

細胞は食べたものでしか作られません。カロリーは足りていても、 たんぱく質・良質脂質・ビタミンミネラル・食物繊維・フィトケミカルが不足すると、 いわゆる新型栄養失調に近い状態になりやすくなります。

② 循環

補うだけでは届きません。血が巡ってこそ、栄養も酸素も全身に届きやすくなります。 冷え、こわばり、緊張、睡眠不足が続くと、補ったものが活きにくくなります。

③ 吸収=腸活

胃腸が弱っていると、せっかく良いものを入れても吸収しにくくなります。 よく噛むこと、味噌汁や野菜スープ、海藻・きのこ・豆、発酵性食物繊維を毎日の定番にすることが、 土台作りの近道です。

3日・3週間・3ヶ月でみる

体は動的平衡の中で入れ替わっています。3日で体感の変化、3週間で習慣の変化、3ヶ月で体質の土台の変化を目安に、 食事・休養・漢方を重ねていくと整えやすくなります。

薬膳と養生のイメージ
炙甘草は、養生の土台があってこそ活きやすい生薬です。

こんな方は、購入前に相談がおすすめです

疲れやすいけれど、同時にむくみやすい・血圧が高め
動悸があるけれど、病院ではまだ詳しく相談していない
甘草入りの漢方をすでに他にも飲んでいる
足がつる・筋肉が張るが、脱水やミネラル不足も気になる
胃腸が弱い、食欲の波が大きい、下痢しやすい
炙甘草を、今のあなたの体質に合わせて選ぶために

まずは商品を確認したい方も、体質から相談したい方も、下のボタンからどうぞ。 EC購入・体質チェック・LINE相談をひとつにまとめました。

よくある質問

炙甘草と生甘草は、どちらを選べばいいですか?

のどの熱感や炎症感が前に出るなら生甘草、疲れやすさや脾胃虚弱、攣急、動悸など虚証寄りなら炙甘草を考えやすくなります。 ただし自己判断ではなく、体質全体で見ることが大切です。

炙甘草は動悸に良いですか?

漢方では、虚証の動悸や息切れに使われることがあります。代表処方が炙甘草湯です。 ただし動悸は循環器疾患などの確認が必要なこともあるため、症状が続く場合は医療機関での評価が優先です。

炙甘草は安全ですか?

加工により成分構成は変わりますが、甘草由来の注意点がなくなるわけではありません。 むくみ、血圧上昇、低カリウム血症などのリスクに注意し、長期連用や重複使用は避けるのが基本です。

胃腸が弱い人にも向いていますか?

脾気虚タイプでは炙甘草の考え方が合いやすいことがあります。 ただし、胃もたれ・吐き気・食欲不振が強い場合は別の見立てが必要なこともあるため、相談しながら選ぶのが安心です。

ほどよい堂ではどんな相談ができますか?

炙甘草に限らず、漢方的な体質の見立て、食事や薬膳、腸活、休養の整え方まで含めて相談できます。 「何を選ぶか」だけでなく、「なぜ今それが必要か」を一緒に整理していきます。

漢方薬局ほどよい堂からひとこと

炙甘草は、派手さはなくても、補う・調和する・ゆるめるという大事な役割を持つ生薬です。 だからこそ、「なんとなく良さそう」で使うより、今の体質に合っているかを見極めることが大切です。

疲れやすさ、動悸、胃腸の弱り、攣急しやすさが気になる方は、 まずは体質チェックやLINE相談からご利用ください。

漢方薬局 ほどよい堂|宮崎県児湯郡川南町川南26197-1(峠の里内)|電話 0983-32-7933

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本記事の信頼性を高めるため、監修者情報と免責事項をまとめています。 体質の整理(中医学)と、現代の栄養学・生活習慣の視点を両輪で扱い、誠実な表現を心がけています。

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ほどよい堂|漢方×薬膳×腸活のトリプルメソッド(監修者紹介イメージ)

監修:河邊 甲介(薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト)
漢方薬局「ほどよい堂」代表

宮崎県川南町にて、漢方 × 薬膳 × 腸活のトリプルアプローチによる健康相談を行っています。 体質の言語化と、日常で“続く整え方”をセットでご提案しています。

  • 栄養:細胞は“食べたものでしか作られない”
  • 循環:巡りが整うと、酸素・栄養が届きやすくなる
  • 吸収(腸活):食べるだけでなく“吸収できる腸”を育てる
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療・処方の代替ではありません。 症状が強い/長引く/不安が大きい場合は、医療機関・専門家へご相談ください。

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