不眠に悩む方へ|漢方薬剤師が体質別に解説する眠れない夜の整え方
「寝つけない」「夜中に目が覚める」「朝起きても疲れが残る」。 そんな不眠の悩みは、ストレスだけでなく、胃腸の弱り、気血不足、ほてり、冷え、年齢変化、生活リズムの乱れなどが重なって起こることがあります。
眠りは、心だけでなく
胃腸・血流・栄養・自律神経の土台から整える。
不眠は「眠れない」という症状だけで判断するよりも、体質・胃腸・ストレス・冷えのぼせ・服用中のお薬・生活習慣を合わせて見ることが大切です。 漢方薬局ほどよい堂では、今の状態に合わせて、漢方薬・薬膳茶・腸活・食養生を組み合わせた整え方をご提案しています。
目次
不眠とは?「眠れない」だけでなく日中の不調も大切なサイン
不眠は、単に睡眠時間が短いことだけを指すわけではありません。 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚める、眠りが浅いなどの状態が続き、日中のだるさ、集中力低下、気分の落ち込み、イライラ、胃腸不調などにつながる場合は、体からのサインとして見直すことが大切です。
```よくある睡眠の悩み
- 布団に入ってもなかなか眠れない
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝早く目が覚めて再び眠れない
- 夢が多く、眠りが浅い
- 朝起きても疲れが抜けない
早めに相談したいサイン
- 不眠が数週間以上続いている
- 日中の眠気や集中力低下が強い
- 気分の落ち込みや不安が強い
- いびき・無呼吸を指摘された
- 睡眠薬や服用中の薬との関係が気になる
睡眠の悩みが強い場合や、日中の生活に大きな支障が出ている場合は、医療機関での確認も大切です。 漢方・薬膳・腸活は、医療を否定するものではなく、体質と生活の土台を整える選択肢のひとつとして考えます。
現代医学で大切にされる不眠対策
現代医学では、不眠に対して薬だけに頼るのではなく、まず「眠れる条件」を整えることが重視されています。 生活リズム、朝の光、運動、カフェイン、アルコール、寝る前のスマホ、寝室環境などを見直すことは、睡眠の土台づくりになります。
```まず3日だけ試したい睡眠習慣
- 朝起きたらカーテンを開けて光を浴びる
- 朝食を軽くでもよいので同じ時間帯にとる
- 日中に軽く歩く、階段を使うなど体を動かす
- 夕方以降のカフェインを控えめにする
- 寝る直前のスマホ・仕事・考えごとを減らす
- 寝酒を「眠るための習慣」にしない
まずは完璧を目指さず、ひとつだけ変えることが大切です。 中医学でいう「気の巡り」と、現代医学でいう自律神経・体内時計は、日々の小さな習慣から整いやすくなります。
睡眠薬との付き合い方
睡眠薬は、医師の判断のもとで正しく使用すれば、つらい不眠の時期を支える大切な選択肢です。 一方で、自己判断で増量・中止したり、アルコールと併用したりすることは避ける必要があります。
漢方薬や健康食品を併用したい場合は、服用中のお薬、年齢、体質、日中の眠気、持病などを確認したうえで検討しましょう。
眠れない時にやりがちなNG習慣
- 眠れないまま布団の中で長時間スマホを見る
- 夜遅くに甘い飲み物やカフェインをとる
- 寝る直前に脂っこい食事や大量の食事をとる
- 「眠らなければ」と焦って余計に緊張する
- 休日だけ大きく寝だめして生活リズムが乱れる
「完全にやめる」よりも、まずは頻度を減らす、時間を早める、代わりに温かいお茶や味噌汁に置き換えるなど、続けやすい工夫が大切です。
漢方では不眠をどう考える?
中医学では、不眠を「心・肝・脾・腎」と「気・血・津液」のバランスから考えます。 眠りは心だけの問題ではなく、ストレスで気が滞る、胃腸が弱って気血が作れない、潤い不足で熱がこもる、年齢とともに腎の力が弱るなど、背景によって整え方が変わります。
```ほどよい堂が大切にする3つの土台
① 栄養
細胞は食べたものでしか作られません。睡眠の材料となるタンパク質、ビタミン、ミネラル、良質な脂質を整えます。
② 循環
血が巡ることで、栄養・酸素・体温が全身に届きます。冷え、瘀血、肩こり、緊張も睡眠と関係します。
③ 吸収=腸活
食べるだけでなく、吸収できる腸を育てることが大切です。中医学でいう脾=胃腸の土台を整える視点です。

不眠は、心・胃腸・血流・栄養のつながりから整えていきます。
不眠の5タイプ|体質別に見る漢方・薬膳・養生
不眠といっても、合う漢方薬や養生は人によって異なります。 ここでは、漢方相談でよく見られる不眠タイプを5つに分けて整理します。
```心脾両虚タイプ|考えすぎ・胃腸虚弱・眠りが浅い
考えごとが多い、疲れているのに眠れない、夢が多い、眠りが浅い、食後に眠くなる、胃もたれしやすい。 このタイプは、心を落ち着かせる「血」と、体を支える「気」が不足している状態と考えます。
治則
補気養血・健脾安神。気血を補い、胃腸を立て直し、心を穏やかに整えます。
代表的な漢方薬
- 酸棗仁湯:心身が疲れて眠りが浅い、虚証寄りの不眠に用いられる方剤。
- 帰脾湯:胃腸虚弱、疲れ、考えすぎ、不安、眠りの浅さが重なる心脾両虚に用いられる方剤。
薬膳素材
なつめ、龍眼肉、酸棗仁、陳皮、甘草など。
養生ポイント
夕食を軽めにし、温かい味噌汁や野菜スープで胃腸を休ませましょう。 1口30回を目安によく噛むことは、消化のスイッチを入れ、脾を助ける基本です。
肝鬱気滞タイプ|ストレス・緊張・寝つきが悪い
ストレスが強い、イライラする、ため息が多い、胸やみぞおちがつかえる、寝る前に考えが止まらない。 このタイプは、肝の疏泄、つまり気をのびやかに巡らせる働きが滞っている状態と考えます。
治則
疏肝解鬱・理気安神。気の巡りを整え、緊張をゆるめ、眠りに入りやすい状態を目指します。
代表的な漢方薬
- 加味逍遥散:ストレス、イライラ、のぼせ、PMS、更年期傾向を伴う不眠に用いられる方剤。
- 抑肝散加陳皮半夏:神経の高ぶり、怒りっぽさ、胃腸の弱さを伴うタイプに用いられる方剤。
薬膳素材
玫瑰花、合歓皮、陳皮、菊花、薄荷など。
養生ポイント
寝る30分前だけでも、照明を落とし、スマホを離し、温かい薬膳茶を飲む時間をつくると、眠る準備に入りやすくなります。
陰虚火旺タイプ|ほてり・寝汗・更年期の不眠
寝汗、ほてり、口の渇き、手足のほてり、夜に目が冴える、便が硬め。 このタイプは、体を潤し冷ます「陰」が不足し、相対的に熱が強くなって眠りを妨げている状態と考えます。
治則
滋陰清熱・養心安神。潤いを補い、余分な熱を冷まし、心を落ち着けます。
代表的な漢方薬
- 天王補心丹:心陰虚による動悸、不安、寝つきの悪さ、中途覚醒に用いられる方剤。
- 知柏地黄丸:陰虚火旺によるほてり、寝汗、口渇などに用いられる方剤。
薬膳素材
百合根、麦門冬、玉竹、桑の実、クコの実、女貞子など。
養生ポイント
辛いもの、アルコール、夜更かしは、内側の熱を強めやすい習慣です。 完全に禁止ではなく、まずは「夜だけ控える」「週の回数を決める」など、現実的に減らすことから始めましょう。
痰熱内擾タイプ|食べすぎ・胃もたれ・頭が重い不眠
脂っこい食事、甘いもの、夜遅い食事が多い。 胃もたれ、口のねばつき、頭重感、寝苦しさがある。 このタイプは、胃腸に余分な湿や熱がこもり、心が落ち着きにくくなっている状態と考えます。
治則
化痰清熱・和胃安神。余分な湿熱をさばき、胃腸を軽くして、眠りやすい状態をつくります。
代表的な漢方薬
- 温胆湯:痰熱が心を乱し、不安、不眠、胃の不快感を伴うタイプに用いられる方剤。
- 半夏瀉心湯:胃腸のつかえ、みぞおちの不快感、ストレス性の胃腸不調を伴うタイプに用いられる方剤。
薬膳素材
陳皮、ハトムギ、山査子、決明子、とうもろこしのひげなど。
養生ポイント
夕食は「寝るための準備食」と考えます。 揚げ物や甘い飲み物を減らすなら、具だくさん味噌汁、海藻、きのこ、豆腐、野菜スープを定番にするのがおすすめです。
心腎不交タイプ|年齢変化・中途覚醒・足腰の弱り
夜中に目が覚める、眠りが浅い、耳鳴り、足腰のだるさ、物忘れ、ほてり、不安感。 年齢とともに増えやすい不眠タイプです。
治則
滋腎養心・交通心腎。腎を養い、心を落ち着け、上下のバランスを整えます。
代表的な漢方薬
- 天王補心丹:心腎の潤い不足による不眠、不安、動悸に用いられる方剤。
- 六味丸系:腎陰虚による足腰のだるさ、ほてり、口渇などに用いられる方剤。
薬膳素材
クコの実、桑の実、黒豆、女貞子、百合根など。
養生ポイント
睡眠は夜だけで作るものではありません。 朝の光を浴び、日中に軽く体を動かし、夜は早めに休む準備をすることで、心腎のバランスを整えやすくなります。
不眠は、複数の体質が重なっていることも少なくありません。 「ストレスもあるけれど胃腸も弱い」「ほてるのに足元は冷える」など、複雑な状態ほど個別の見立てが大切です。
薬膳茶で眠る前のリラックス習慣をつくる
薬膳茶は、体質に合わせて素材を選ぶことで、眠る前のリラックス習慣として取り入れやすい方法です。 ただし、冷えタイプに冷ます素材ばかり、ほてりタイプに温める素材ばかりを使うと、体質に合わない場合があります。
```心を落ち着けたい方に
なつめ、龍眼肉、酸棗仁、百合根、合歓皮など。
考えすぎ、眠りの浅さ、夢の多さ、不安感が気になる方に使いやすい素材です。
巡りを整えたい方に
玫瑰花、陳皮、菊花、薄荷など。
ストレス、イライラ、緊張、胸のつかえ、ため息が多い方に使いやすい素材です。

薬膳茶は、眠る前のリラックス習慣として取り入れやすい養生です。
ほどよい堂では、体質チェックをもとに、今の状態に合わせたオーダーメイド薬膳茶をご提案しています。 毎日の「眠る前のひと息」を、体を整える時間に変えていきましょう。
腸活と睡眠|脾を整えて、眠りの材料をつくる
中医学では、胃腸の働きを「脾=土」として大切にします。 脾は、食べたものを消化吸収し、気血をつくり、全身へ巡らせる土台です。 土が整うと、心身が落ち着きやすくなり、眠りの土台も整いやすくなります。
現代の腸活では、善玉菌を補うプロバイオティクス、善玉菌のエサになるプレバイオティクス、菌が作る有用成分であるバイオジェニックスを組み合わせて考えます。 さらに、腸のバリア機能を守る視点も大切です。
睡眠の土台を支える毎日の食養生
- 味噌汁や野菜スープを毎日の定番にする
- 海藻・きのこ・豆類・発酵性食物繊維を意識する
- 甘い飲み物は水・お茶・薄い味噌汁へ少しずつ置き換える
- カロリーだけでなく、タンパク質・良質脂質・ビタミン・ミネラルを意識する
- 1口30回を目安によく噛み、消化のスイッチを入れる
3日・3週間・3ヶ月で考える睡眠養生
体は常に入れ替わっている動的なシステムです。 ほどよい堂では、睡眠の養生も「3日・3週間・3ヶ月」の時間軸で考えます。
```3日:体感の変化を観察する
朝の光、夕方以降のカフェイン調整、寝る前のスマホ時間を減らすなど、すぐに取り組めることから始めます。
3週間:習慣の変化をつくる
寝る前の薬膳茶、夕食の見直し、よく噛む習慣、軽い運動を続け、体内時計と胃腸のリズムを整えます。
3ヶ月:体質の土台を整える
栄養・循環・吸収の土台を見直し、気血水が巡りやすい体づくりを目指します。 慢性的な不眠ほど、焦らず土台から整えることが大切です。
休養も「戦略的に設計する」
眠れない方ほど、「休まなければ」と思いながら、実は心身が休めていないことがあります。 休養は、睡眠だけではありません。 軽い運動、栄養の立て直し、人やペットとのつながり、趣味、創作、環境や情報から離れる時間も、回復を支える大切な要素です。
```疲れの背景を5つに分けて考える
- 物理的ストレス:暑さ寒さ、光、音、寝具、姿勢など
- 化学的ストレス:アルコール、カフェイン、甘い飲み物、栄養不足など
- 生物的ストレス:感染、炎症、腸内環境の乱れなど
- 心理的ストレス:不安、怒り、考えすぎ、緊張など
- 社会的ストレス:仕事、人間関係、役割、情報過多など
どのストレスが強いかによって、必要な休養の形は変わります。 「寝る」だけでなく、食べる・巡らせる・ゆるめる・離れる・楽しむことを組み合わせましょう。
ほどよい堂でできること
宮崎県川南町の漢方薬局ほどよい堂では、漢方薬・薬膳茶・腸活・食養生を組み合わせて、睡眠の悩みに寄り添います。 店頭相談だけでなく、LINE相談やオンライン相談にも対応しています。
```
宮崎県川南町の漢方薬局ほどよい堂では、体質に合わせた漢方相談を行っています。
よくある質問
```不眠に漢方薬はすぐ効きますか?
体質や不眠の背景によって異なります。 緊張や胃腸の不調が強い方では比較的早く変化を感じることもありますが、慢性的な不眠では生活習慣・食事・ストレス・腸内環境を含めて整えることが大切です。
睡眠薬と漢方薬は併用できますか?
併用できる場合もありますが、服用中のお薬、年齢、持病、眠気の持ち越しなどを確認する必要があります。 睡眠薬を自己判断で中止・増量することは避け、医師や薬剤師に相談してください。
更年期の不眠にも漢方は使われますか?
更年期の不眠では、ほてり、寝汗、イライラ、不安、動悸、冷えなどが重なりやすくなります。 中医学では、陰虚、肝鬱、瘀血、気血不足などを見立てて整えます。 症状が強い場合は婦人科での確認も大切です。
薬膳茶だけでも始められますか?
始められます。 薬膳茶は、寝る前のリラックス習慣として取り入れやすい方法です。 ただし、冷えタイプか、ほてりタイプか、胃腸が弱いタイプかによって合う素材が変わるため、体質に合わせて選ぶことが大切です。
不眠の相談はオンラインでもできますか?
はい。ほどよい堂では、LINEを使った無料漢方相談やオンライン相談に対応しています。 宮崎県外の方も、体質や生活習慣を確認しながらご相談いただけます。
不眠は、心の問題だけではありません。 胃腸、栄養、血流、ストレス、年齢変化、生活リズムが重なって起こることがあります。 あなたの体質に合わせて、できることから一緒に整えていきましょう。
漢方薬局ほどよい堂について
漢方薬局ほどよい堂は、宮崎県児湯郡川南町にある、漢方・薬膳・腸活の相談薬局です。 からだを「壊れて終わり」ではなく、常に入れ替わっている動的なシステムとして捉え、栄養・循環・吸収の3本柱から、無理なく続けられる養生をご提案しています。
不眠、疲れ、胃腸不調、冷え、更年期、ストレス、体質改善などでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
本記事は、漢方薬局ほどよい堂による健康情報の提供を目的とした内容です。 漢方薬・薬膳茶・健康食品の選択は、体質や服用中のお薬、持病によって適切な内容が異なります。 症状が強い場合や長引く場合は、医療機関での診察もご検討ください。
監修者・免責事項
本記事の信頼性を高めるため、監修者情報と免責事項をまとめています。 体質の整理(中医学)と、現代の栄養学・生活習慣の視点を両輪で扱い、誠実な表現を心がけています。
Supervisor / Reviewer
監修者情報

監修:河邊 甲介(薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト)
漢方薬局「ほどよい堂」代表
宮崎県川南町にて、漢方 × 薬膳 × 腸活のトリプルアプローチによる健康相談を行っています。 体質の言語化と、日常で“続く整え方”をセットでご提案しています。
- 栄養:細胞は“食べたものでしか作られない”
- 循環:巡りが整うと、酸素・栄養が届きやすくなる
- 吸収(腸活):食べるだけでなく“吸収できる腸”を育てる
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療・処方の代替ではありません。 症状が強い/長引く/不安が大きい場合は、医療機関・専門家へご相談ください。
- 体質・状態・既往歴により、最適な対処は異なります。
- 妊娠中・授乳中・服薬中・通院中の方は、自己判断での実施を避け、必ず確認してください。
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