手足の冷えやむくみは、体質だけでなく毛細血管の巡り低下が関係していることがあります。
血流が末端まで届きにくくなる原因を整理しながら、日常で整えたい「巡り」の考え方とケアのポイントを解説します。
はじめに:冷え・むくみは「末端からのSOS」かも

手足の冷え、夕方の靴下跡、指輪がきつい、顔がむくむ…。
こうしたサインは“血の巡り”だけでなく、水分代謝(体液のさばき)や自律神経(緊張・ストレス)、さらに腸=吸収(脾=土)の影響が重なって起こりやすいと考えられます。
そこで役立つヒントが、指先の毛細血管の観察。
※毛細血管観察は医療診断ではなく、生活習慣を見直す「気づき」の材料です。
冷え・むくみの背景は「循環×水分代謝×自律神経」

冷え・むくみは、だいたい次の3つが絡みます。
1)循環:末端まで“届く力”が落ちる
- 血流が細いところ(指先)まで届きにくい
- デスクワーク・運動不足・筋力低下で、巡りのポンプが弱くなる
- 肩首こり、呼吸が浅い、睡眠不足も影響しやすい
2)水分代謝:体液が“さばけず溜まる”
- 塩分・甘い飲み物・冷たい飲食が多い
- タンパク不足(血管やアルブミン=体液バランスに関与)
- 腸の状態が落ちると、吸収の偏りや炎症が起こりやすい
3)自律神経:緊張が続くと“末端が締まる”
- ストレス・過労で交感神経優位が続く
- 血管が収縮し、冷えやこわばりが出やすい
- 眠りが浅いほど、回復の時間が短くなる
中医学でみるとどのタイプ?

中医学では、冷え・むくみを「気血津液(きけつしんえき)」と「脾・腎・肝」の働きから整理します。
ここでは代表的な3タイプを紹介します。
陽虚=温め不足タイプ(陽虚=あたためる力不足)

✅サイン例
- 手足が冷える、寒がり、温かい飲食で楽
- 朝が弱い、トイレが近い、下半身が冷える
✅背景イメージ
- “燃料(熱)”が足りず、巡りのエンジンが弱い
脾虚=消化吸収の弱りタイプ(脾虚=胃腸のはたらき低下)

✅サイン例
- むくみやすい、だるい、食後眠い
- 胃もたれ、軟便気味、甘い物がやめられない
✅背景イメージ
- 脾=土が弱ると、体液を“さばく”力が落ち、余分が溜まりやすい
痰湿=余分がたまりやすいタイプ(痰湿=余分な水分・脂っぽい停滞)

✅サイン例
- 体が重い、頭がぼーっとする、ベタつきやすい
- 夕方にむくむ、梅雨や雨の日に不調
✅背景イメージ
- 余分な湿(=体の中の“濁り”)が巡りを邪魔しやすい
※複合タイプ(例:脾虚+痰湿、陽虚+脾虚)もよくあります。
毛細血管の観察がヒントになる理由

毛細血管は、栄養と酸素を細胞に届け、老廃物回収にも関わる“最前線”。
指先の観察で、次のような視点が持てます。
- 形(整い・ねじれ・短さ):負荷や巡りのクセのヒント
- 流れ(スムーズさ):疲労・睡眠・ストレスの影響を受けやすい
- 周囲の見え方(クリアさ):体液バランスやコンディションの目安
※ただし、室温・直前の飲食・睡眠・緊張・生理周期などでも見え方は変わります。
まず1つ変えるなら(現実的ステップ)

「全部は無理」でも大丈夫。1つだけでOKです。
目安は 3日で体感の変化/3週間で習慣の変化/3ヶ月で土台。
味噌汁・野菜スープを毎日の定番に
- 温かい汁物は、冷え・むくみの人の“土台”になりやすい
- 具は「根菜+きのこ+海藻」が相性◎
- 朝が難しければ、夜だけでもOK
✅おすすめ具材例
- 玉ねぎ・にんじん・大根・かぼちゃ
- しめじ・えのき・しいたけ
- わかめ・ひじき(入れすぎ注意で少量から)
海藻・きのこ・豆で発酵性食物繊維
腸活は プロバイオティクス(菌)+プレバイオティクス(エサ)+バイオジェニックス(菌の産物) の三位一体。
- 海藻・きのこ・豆:腸の“エサ”になりやすい
- 味噌・ぬか漬け:菌のサポート
- まずは「毎日ちょい足し」が続きます
1口30回を目安に“脾のスイッチ”
よく噛む=消化のスイッチ。
- 胃腸(脾=土)が助かる
- 食べ過ぎ抑制にもつながりやすい
- まずは最初の一口だけ“丁寧に”でもOK
さらに整えたい人へ:巡りを底上げする3本柱

ほどよい堂の養生の軸に合わせて、整え方を整理します。
①栄養:材料が足りると、めぐりが育ちやすい
- タンパク質を毎食少しずつ(卵・豆腐・魚・肉少量でも)
- 鉄・亜鉛・ビタミンB群など“巡りの材料”を欠かさない
- 「カロリーは足りるのに栄養が薄い」新型栄養失調に注意
②循環:軽い運動がいちばん効率的
- ふくらはぎ=第2の心臓。かかと上げ20回×2から
- 1駅だけ歩く、湯船に浸かる、首肩を回す
- “頑張る運動”より“毎日できる運動”が勝ち
③吸収=腸活:土(脾)が整うと、全身が回りやすい
- 冷たいものを“減らすなら、温かいものに置き換える”
- 甘い飲み物はゼロじゃなく、頻度を決める
- お腹が張る人は、食物繊維も少量から増やす
受診の目安(大切)

次のような場合は、早めに医療機関へ。
- 片脚だけの急なむくみ・痛み・熱感
- 息切れ、胸痛、動悸が強い
- むくみが急に悪化、体重が短期間で増える
- 高血圧・腎臓・心臓の持病がある、妊娠中など
よくある質問

Q. 毛細血管の観察は痛い?採血する?
A)採血はせず、指先をそっと置いて観察する方式が一般的です(店舗の案内に沿ってご確認ください)。
Q. 1回見れば十分?
A)体調・睡眠・ストレスで変化しやすいので、“今の状態”を知るのに向きます。生活を整えた後に再チェックすると変化がわかりやすくなります。

薬剤師 河邊
冷え・むくみの“原因探し”を、ひとりで抱え込まないために。
