乗り物酔いを漢方で乗り切る!車・船・飛行機での旅を快適にするコツ / 旅行漢方
乗り物酔いは、多くの人が旅行や移動中に経験する不快な症状ですが、漢方薬がその解消に効果的な方法として注目されています。
車、船、飛行機などの移動手段に関わらず、漢方の知識を活用すれば、自然な形で乗り物酔いを軽減し、快適な旅を楽しむことができます。
本記事では、漢方薬の選び方や使用方法、そして移動中に気を付けるべきポイントを詳しく解説し、乗り物酔いの対策をサポートします。
旅行がもっと楽しくなる漢方の力を活用しましょう。
目次
乗り物酔いと漢方の深い関係を解明:体質別の対策法とおすすめ処方
バスや車での移動時、乗り物酔いに悩む方は少なくありません。
漢方の視点では、乗り物酔いの原因を「水毒」に求めることができます。
水毒とは、体内に余分な水分が滞留し、胃腸に不調をもたらす状態を指します。
この状態が続くと、乗り物酔いを引き起こしやすくなります。
ここでは、乗り物酔いを引き起こす3つの主要な体質「水毒(痰湿)」「気虚」「気鬱」と、それぞれに対応する漢方薬の選び方、服用方法を詳しく解説します。
水毒(痰湿)とは?乗り物酔いとの関連性
漢方でいう水(津液)は、体内の水分、すなわち体液全体を指します。
胃腸に滞った水が逆流すれば、吐き気やムカムカといった乗り物酔いの症状が現れます。
この余分な水分を取り除くには、漢方の「利水薬」が有効です。
代表的な処方として『五苓散』があり、体内の水分バランスを整えることで、乗り物酔いを予防できます。
特に、乗車30分前に服用することで、効果が高まります。
水毒(痰湿)タイプは、水分代謝が滞り、余分な水分が体内に溜まりやすい体質です。
このタイプの方は、めまいやむくみ、体の冷え、胃もたれなどが特徴で、乗り物酔いになりやすい傾向があります。
普段から『五苓散』やその他の利水薬を使用することで、体内の水分代謝を改善し、乗り物酔いを予防します。
以下に、痰湿におすすめの漢方薬を、表形式でまとめました。
漢方薬名 | 特徴と適応症状 |
---|---|
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) | 胃腸の働きを改善し、余分な水分を減らして水分バランスを整えます。水太りやむくみ、多汗症、疲れやすさ、関節痛に効果的。 |
麦門冬湯(ばくもんどうとう) | 気管を潤し、口やのどの乾燥を改善します。痰がからむ場合や咽頭の乾燥感、気管支炎や咽頭炎にも適応。 |
小青竜湯(しょうせいりゅうとう) | 体の冷えを改善しながら水分代謝を促進。鼻水や鼻づまり、鼻炎、くしゃみを抑えます。花粉症や気管支炎、気管支喘息にも用いられます。 |
二陳湯(にちんとう) | 胃腸の痰湿を取り除き、咳や痰の改善に効果的。胸や腹部の膨満感、消化不良にも対応。 |
六君子湯(りっくんしとう) | 胃腸の働きを助け、食欲不振や消化不良を改善します。体力があり、さらに痰湿が気になる場合に適応。 |
五苓散(ごれいさん) | 体内の水分バランスを調整し、むくみや体のだるさを軽減します。胃腸の不快感や吐き気、風邪の初期症状にも効果的。 |
気虚タイプの乗り物酔い:エネルギー不足を補う
気虚タイプは、生命活動のエネルギーである「気」が不足している状態です。
疲れやすく、体力が低下している方に多く見られ、疲労やストレスがたまると乗り物酔いを引き起こしやすくなります。
このタイプには、気を補う漢方薬とともに、気分が悪くなる前に『五苓散』を服用することが推奨されます。
以下に、気虚におすすめの漢方薬を表形式でまとめました。
各漢方薬の特徴と適応症状を簡潔に示しています。
漢方薬名 | 特徴と適応症状 |
---|---|
四君子湯(しくんしとう) | 胃腸が非常に弱く、食欲がない場合に使用。気力が低下し、体力が落ちているときに効果的。 |
六君子湯(りっくんしとう) | 胃腸が弱く、食欲がない場合に使用。四君子湯に比べ、さらに消化不良や嘔吐などの症状を伴う場合に適応。 |
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) | 食欲不振に加え、全身の倦怠感や虚弱体質を改善。体力をつけたい方におすすめ。 |
清暑益気湯(せいしょえっきとう) | 夏バテによる食欲不振や疲労感に効果的。暑さに弱く、夏に体調を崩しやすい方に適応。 |
帰脾湯(きひとう) | 食欲・気力が低下し、不眠や精神的な疲労を伴う場合に適応。心身のバランスを整え、リラックス効果も期待できる。 |
気鬱タイプの乗り物酔い:ストレスと不安を和らげる
乗り物に対する不安やストレスを抱えやすい気鬱タイプの方は、特に飛行機や長距離の移動で酔いやすくなります。
気鬱タイプは、精神的なストレスによって気の巡りが停滞し、吐き気や腹部膨満感を引き起こします。
このタイプの方には、気を巡らせる漢方薬や、乗車前の『五苓散』の服用が効果的です。
以下に、気滞におすすめの漢方薬をSEO対策を意識して表形式でまとめました。各漢方薬の特徴と適応症状を簡潔に示しています。
漢方薬名 | 特徴と適応症状 |
---|---|
香蘇散(こうそさん) | 体力に自信がない方におすすめ。気滞による軽い風邪やストレスに伴う症状を改善。 |
加味逍遥散(かみしょうようさん) | 体力に自信がない方に適応。ストレスによるイライラや更年期障害に効果的。 |
抑肝散(よくかんさん) | 体力に自信がない方に適応。ストレスや神経症、睡眠障害に効果を発揮。 |
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ) | 抑肝散に陳皮と半夏を加え、消化器系の不調を伴う場合におすすめ。 |
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう) | 体力が低下している方に適応。冷えや胃腸の不調、気滞による不安感に効果的。 |
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) | ある程度体力がある方に適応。気滞によるのどの詰まりや胸のつかえ感に効果的。 |
女神散(にょしんさん) | ある程度体力がある方に適応。ストレスや緊張による月経不順や頭痛に効果的。 |
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) | ある程度体力がある方に適応。ストレスや不安からくる動悸や不眠に効果を発揮。 |
五苓散の応用:飛行機での航空中耳炎対策にも有効
五苓散は、気圧の変化による体調不良にも効果的です。
飛行機の乗機中に起こる「航空中耳炎」の予防にも役立ちます。
特に、『柴苓湯』は、『五苓散』と『小柴胡湯』が合わさった処方で、耳の詰まり感や痛みを軽減します。
さらに、温かいおしぼりで耳周りを温めることで、血行不良を改善し、症状を和らげることができます。
航空性中耳炎とは?
飛行機の離着陸時、耳に不快感や痛みを感じることがあるでしょうか?
これは「航空性中耳炎」と呼ばれる症状で、飛行機の気圧変化に耳が適応できないために起こります。
この記事では、航空性中耳炎の原因、予防法、治療法について詳しく解説します。
航空性中耳炎の原因
航空性中耳炎は、飛行機の急激な気圧変化が原因です。
地上の気圧が1気圧とすると、飛行機が高度約10,000メートルを飛行している際の気圧は約0.8気圧に低下します。
この変化が短時間で起こるため、耳の中にある中耳の空気が膨張し、鼓膜が内側から外側に押されます。
通常は飲み込む動作などで耳管を通じて中耳の空気が鼻へ抜け、症状が緩和されます。
しかし、風邪やアレルギーによる鼻詰まりがある場合、耳管の機能が低下し、中耳内の空気が排出されず、鼓膜に圧力がかかり痛みが生じます。
離陸時の影響
離陸時、飛行機が上昇する際に気圧が急激に下がることで、中耳の空気が膨張し、鼓膜が内側から押されます。
耳が詰まった感覚や痛みを感じる場合がありますが、飲み込む動作やあくびをすることで、耳管を通じて空気が抜け、症状が改善されます。
着陸時の影響
着陸時には逆に気圧が上昇し、鼓膜が内側に引っ張られます。
この際、耳管を通じて中耳に空気を送り込む「耳抜き」が必要になりますが、鼻詰まりや耳管の腫れがあると、耳抜きがうまくできず、鼓膜に強い圧力がかかり航空性中耳炎を引き起こします。
航空性中耳炎の予防法
- 耳抜きを行う:
飛行機の上昇や下降時には、飲み物を飲む、あくびをする、ガムを噛むなどして耳抜きを行い、耳管を開通させることが重要です。 - 風邪やアレルギーの治療:
飛行機に乗る前に、鼻詰まりや風邪症状がある場合は、医師の指導のもとで鼻炎薬や抗アレルギー薬、漢方薬を使用することが推奨されます。 - 温める:
耳まわりを温めることで血行を促進し、耳の痛みを和らげる効果が期待できます。飛行機内では温かいおしぼりなどを利用すると良いでしょう。
小まとめ
航空性中耳炎は、飛行機の離着陸時に生じる気圧の変化による耳の不快感や痛みが主な症状です。
耳管の機能を保つために耳抜きや、風邪・アレルギーの治療が有効です。
特に鼻詰まりがある場合は、事前の対策が重要です。
飛行機に乗る機会が多い方は、これらの予防策を取り入れて、快適な空の旅を楽しんでください。
犬猫も乗り物酔いするって知っていますか?原因と対策を徹底解説
お出かけが楽しい季節になり、車や電車での移動が増える方も多いでしょう。
実は、犬や猫も私たちと同じように「乗り物酔い」をすることがあります。
楽しいお出かけを気持ちよく過ごすために、犬猫の乗り物酔いについて正しい知識を持っておくことが大切です。
ここでは、犬猫が乗り物酔いする原因や症状、そして効果的な対策についてご紹介します。
犬猫の乗り物酔いとは?
「乗り物酔い」とは、車や船、飛行機などの乗り物に乗ったときに、揺れや振動が原因で起こる症状です。
専門的には「動揺病(どうようびょう)」とも呼ばれます。
犬や猫も人間と同様に、乗り物の揺れにより気持ち悪くなり、場合によっては嘔吐などの症状が現れます。
犬猫が乗り物酔いを起こす原因
犬猫の乗り物酔いの主な原因は、以下の通りです。
- 内耳の敏感さ:揺れや振動が内耳に影響し、バランスを崩してしまうことで酔いが生じます。
- ストレス:慣れない環境や移動がストレスとなり、酔いやすくなることがあります。
- 消化器系の問題:車の揺れや緊張が原因で、胃腸の動きが不安定になり、吐き気が生じます。
乗り物酔いの症状
犬猫が乗り物酔いをした場合、以下のような症状が見られます。
- よだれが増える:酔いによって唾液の分泌が増えることがあります。
- 落ち着きがなくなる:不安や不快感から、普段よりも落ち着かなくなることがあります。
- 嘔吐:酔いがひどくなると、吐き気を催し、嘔吐することがあります。
犬猫の乗り物酔い対策
愛犬や愛猫の乗り物酔いを防ぐための対策として、以下を試してみてください。
- 慣れさせる:車に少しずつ慣れさせ、短時間のドライブから徐々に時間を延ばしていくことで、酔いにくくなります。
- 空腹または満腹を避ける:お出かけ前の食事は軽めにして、満腹や空腹を避けるようにしましょう。
- 酔い止め薬の使用:獣医師に相談して、酔い止め薬を使用することも検討してみてください。
犬の乗り物酔い対策に効果的な酔い止め薬と漢方薬
お出かけが楽しい季節、愛犬と一緒にドライブを楽しみたいと考える飼い主さんも多いことでしょう。
しかし、犬も乗り物酔いをしてしまうことがあります。
今回は、犬の乗り物酔いに効果的な酔い止め薬と漢方薬についてご紹介します。
① 犬用の酔い止め薬「セレニア」とジェネリック「マロピタット」
2007年、世界初の犬の乗り物酔い予防薬「セレニア」が発売されました。
有効成分はマロピタントで、これにより犬の乗り物酔いによる嘔吐の予防が大幅に改善されました。
最近では、ジェネリック製剤「マロピタット」も登場し、さらに手軽に使用できるようになっています。
「マロピタット」はフレーバー錠となっており、犬が美味しく服用できるよう工夫されています。
錠剤は投与してから約1時間で効果が現れるため、乗り物に乗る1時間以上前に投与することが推奨されています。
マロピタントの特徴は、鎮静成分を含んでいないため、服用後に眠くなったり、元気がなくなったりすることがない点です。
これにより、旅先でも愛犬が元気に楽しく過ごすことができるのがメリットです。
② 漢方薬『五苓散』
乗り物酔いには、漢方薬も効果を発揮します。
特に『五苓散(ごれいさん)』は、乗り物酔いの予防や改善に用いられる漢方薬の一つです。
『五苓散』は、体内の水分バランスを整え、余分な水分を排出する作用があり、吐き気やむくみを改善する効果があります。
まとめ:漢方で乗り物酔いを予防し、快適な旅を実現
乗り物酔いと言えば、多くの方が西洋薬を思い浮かべるかもしれませんが、実は漢方薬も体質改善を通じて、乗り物酔いの予防に効果的です。
漢方は、からだ全体のバランスを整えることで、乗り物酔いしにくい体質へと導きます。
また、西洋薬と比較して、のどの渇きや眠気といった副作用が少ないのも特徴です。
漢方で乗り物酔いの予防を
行楽シーズンや遠足、修学旅行など、移動が増える季節には特に乗り物酔いが心配です。
漢方薬はお子さまでも安心して服用できるものがあり、体に優しい自然の力で乗り物酔いを防ぐことができます。
体質に合った漢方を取り入れることで、旅行やイベントをもっと楽しく過ごせるでしょう。
乗り物酔いに効果的な漢方薬の選び方
漢方薬は個々の体質や症状に合わせて処方されます。
例えば、吐き気やめまいを抑える『半夏瀉心湯』『小半夏加茯苓湯』や、胃腸の調子を整える『小柴胡湯』『平胃散』など、さまざまな漢方があります。
自分に合った漢方を選ぶには、専門家のアドバイスを受けることが大切です。
漢方薬のメリット
- 副作用が少ない:漢方薬は自然由来の成分を使用しており、副作用が少なく、のどの渇きや眠気も起こりにくいです。
- 体質改善に役立つ:長期的に体質を整え、乗り物酔いしにくい体を作る効果があります。
- お子さまでも安心:優しい成分で作られているため、子どもでも安心して使用できます。
まとめ
乗り物酔いの予防に漢方薬を取り入れることで、副作用の心配なく快適に過ごすことができます。
特に行楽シーズンや学校行事が増える時期には、漢方を取り入れて、楽しい時間を邪魔されないようにしましょう。
お子さまでも服用できる漢方薬もあるので、乗り物酔いにお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
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著者プロフィール
河邊甲介 (薬剤師)
KOSUKE KAWABE
▷有資格
- 薬剤師
- 中医薬膳師:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- 薬膳素材専門士:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- ペットフーディスト
▷経歴
- 福岡大学薬学部卒
- 総合病院薬剤部・調剤薬局にて勤務
- 2024年1月より宮崎県川南町(峠の里)にて漢方×薬膳×腸活のお店「ほどよい堂」を開局
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薬剤師であり、漢方×薬膳×腸活の専門家として、「ほどよい堂」を運営しています。
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