発酵を促す微生物の魔法:発酵食品がもたらす健康への効果とは

麹菌もカビの一種

酵母×アルコール

細菌は小さな微生物

微生物の力で作られる
発酵食品が
腸内環境を整える

麹菌もカビの一種、「コウジカビ」は「国菌」に認定!

カビは、さまざまな形態や機能を持つ「糸状細胞の微生物」です。胞子を飛ばして拡散し、菌糸と呼ばれる糸状の細胞を伸ばして広がります。

味噌や醤油、甘酒づくりに欠かせない「麹菌」も実はカビの一種です。ほかにブルーチーズで知られる「青カビ」、かつお節をつくる際に使われる「カツオブシカビ」などがあります。

日本の麹菌は「コウジカビ」と言って、日本の「国菌」にも認定されています。

酵素の力で栄養素倍増!麹菌のはたらきとは

麹菌はたんぱく質をアミノ酸に分解する「プロテアーゼ」や、でんぷんを糖に分解する「アミラーゼ」、脂質を分解する「リパーゼ」をはじめ、たくさんの酵素を生成します。

これらの酵素の力によって、食べ物の中のでんぷんやたんぱく質が分解され、体内での消化・吸収が効率よくできるようになったり、酵素によって生み出されるオリゴ糖をエサに腸内の善玉菌が活性化し、腸内環境が良くなるのです。

さらに、麹菌は豊富なビタミンやミネラルなどの栄養素をつくり出します。

ビタミンは主に三大栄養素の代謝を助け、免疫力を上げたり、疲労回復させたりします。

ミネラルは、骨や歯(カルシウム、リン、マグネシウム)、血液や筋肉(鉄、亜鉛など)などの構成成分となります。また、ナトリウムや塩素、カリウムなどは体液を調整する役割があり、マグネシウムや鉄、銅、亜鉛などは、代謝の働きを促進する酵素の役割があります。

アルコールを作り出す微生物!酵母の特徴とは

糖をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物のことを「酵母」と呼んでいます。球形や楕円形をした単細胞の微生物で、出芽によって増殖します。

酵母はアルコールをつくるときには欠かせない菌で「ビール酵母」「ワイン酵母」「清酒酵母」などがあります。

また、パンを膨らませるのも酵母(イースト)のはたらきによるものです。「天然酵母」というワードを耳にすると思いますが、これは穀物や果物など自然にある酵母を育てたもので、乳酸菌やほかの菌も混ざっています。「イースト」はパン専用の酵母として基本的に1種類の酵母を培養させたものです。

発酵食品の風味において、発酵過程で香り成分を生み出すのも、酵母のはたらきによるものです。

酵母は糖質を体内で吸収される前に分解することで、糖質の過剰な吸収を抑制して肥満を予防したり、血糖値の上昇を抑制する効果があります。

酵母は糖質を体内で吸収される前に分解することで、糖質の過剰な吸収を抑制して肥満を予防したり、血糖値の上昇を抑制する効果があります。

また、酵母には食物繊維が多く含まれており、腸内フローラの改善が期待できます。さらにβグルカンという成分が含まれているこため、免疫力の向上にも期待ができます。

乳酸菌・酢酸菌・納豆菌の健康効果とは

糖類を分解して乳酸を主に生成する細菌を「乳酸菌」といいます。乳酸菌の種類も様々で、ビフィズス菌、ガセリ菌、ブルガリクス菌、シロタ菌などによって、いろいろなヨーグルトが出来るのです。

酢酸菌とは、アルコールを酢酸に変える細菌の総称で、お酢をつくるのに欠かせない存在です。お米から作る「純米酢」、大麦などから「麦芽酢(モルトビネガー)」、玄米などから「黒酢」、りんごから「りんご酢」、ぶどう果汁から「ぶどう酢(ワインビネガー)」がつくられます。

納豆菌とは、枯草菌(こそうきん)という細菌の一種で、納豆をつくるのに欠かせないものです。

納豆菌は芽胞と呼ばれる殻(胞子)をつくるのが特徴で、このため、熱や乾燥、強酸に耐性があり、生きたまま腸内にたどり着きます。

その他、発酵させる過程でできる「ナットウキナーゼ」というたんぱく質分解酵素は血栓を溶かして、血液をサラサラにするはたらきがあります。

納豆菌は骨の形成促進に深く関わる「ビタミンK2」を多く生み出します。脳梗塞や心筋梗塞の予防目的で処方される薬剤にワーファリン®があるのですが、ビタミンKによって効果が減弱してしまいます。そのため、ワーファリン服用の際は納豆は絶対に食べてはいけません。納豆を1度食べることで、PT-INRは低下し、摂取前のレベルに戻るまで10日以上の期間を要したというデータがあります。※1

用語解説

  • β-グルカン
    キノコや酵母に多く含まれる多糖類の一種で、食物繊維の仲間です。
    免疫力を高め、ガンに対する予防改善効果があるとされています。
    数あるキノコの中でも特に、サルノコシカケ科、シメジ科、ハラタケ科のキノコに多く含まれるβ-D-グルカンという成分は、ガン細胞の抑制に働くといわれています。

  • PT-INR
    血の固まりにくさをあらわす数値で試薬との反応によって血液が固まるのに掛かる時間が、基準の何倍であるかを示したものです。
    基準値は1.0前後で、これが2.0の場合、血液が固まるのに通常の約2倍、時間が掛かる状態と見なせます。
    つまり、普通のヒトの 2 倍血が固まりにくいということを示しています。

  • ワーファリン
    血液を固まりにくくする薬(抗凝固剤)。
    一般名ワルファリン。
    ビタミンK類似構造のクマリン誘導体で、ビタミンKに拮抗し、肝臓においてビタミンKが関与する血液の凝固因子が作られるのを抑えて、血液を固まりにくくし、血栓ができるのを予防する薬。

参考文献

・NPO法人/発酵文化推進機構
・公益財団法人/日本心臓財団/心臓病用語集
・わかさの秘密
・※1:ワルファリン療法時のPT-INR値に対する納豆摂取の影響の経時的シミュレーション/10.50993/jsptsuppl.43.0_4-C-O13-1
薬剤師
河邊甲介

宮崎県の川南町にある峠の里からの絶景を眺めながら、漢方と薬膳を組み合わせた腸活相談が受けられる「薬局×セレクトショップ」です。

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