食欲を制御する重要なホルモン(グレリンとレプチン)とその影響!やせ薬が出来る可能性が⁉

食欲の調整
グレリンとレプチンの役割

体重管理のカギ
グレリンとレプチンのバランス

グレリンとレプチン
食欲のメダリスト

グレリンとレプチン
食欲と健康の相関関係

食欲亢進させるホルモン「グレリン」ってなに?

グレリンは主として胃内分泌細胞で産生され、食欲亢進や体重増加、消化管機能調節などエネルギー代謝調節に重要な作用をもっています。今まで知られている中で唯一の末梢で産生される食欲促進ペプチドです。

グレリンは脳と消化管で産生され,かつ両者を機能的に連係してエネルギー代謝を調節していることが分かってきました。

空腹時に分泌されたあと、脳の視床下部の食欲中枢が刺激されて食欲亢進されるのですが、大好物を見ることでもグレリンが分泌されるようです。

「○○は別腹」という言葉がありますが、これはグレリンのせいかもしれませんね!

食欲を抑えるホルモン「レプチン」ってなに?

脂肪細胞から分泌されるレプチンは,脳の視床下部に働いて摂食を強力に抑制します。肥満により脂肪組織が肥大するに従ってレプチンの分泌量が増加するため,レプチンによる食欲制御機構は動物の体重を一定に保つシステムとして機能していると考えられています。

それでは、太ると食欲を抑えるレプチンが増えるから痩せるのではと思うのですが、肥満が続くと,レプチンが視床下部(センサー)に作用しにくくなるレプチン抵抗性が生じることで肥満が解消しにくくなるというのが、痩せない理由みたいです。

食欲を操るレプチンとグレリン!体重管理への影響とは

レプチンが見つかった当初はレプチンをやせ薬として使うことで世界中の肥満がなくなると期待されたのですが、太るとレプチンが効きにくくなる「レプチン抵抗性」と呼ばれる現象が生じることが分かり、レプチンをやせ薬として使用する夢はついえたようです。

一方で,レプチン抵抗性を解消できる方法が見つかれば肥満を改善できると考えられます。

このため,レプチン抵抗性の形成メカニズムについて精力的な解析が続けられています。

最新の研究では、PTPRJの活性阻害剤が肥満症および糖尿病の新規の治療薬となることが期待されるところまできているようです。

やせ薬が出来るかもしれませんね!

食欲関連ホルモンのバランスを整えるおすすめの方法とは

レプチンやグレリンは、ストレスの影響を受けることが分かっています。ストレスが増加したり、睡眠不足や季節・気候の影響等で自律神経が乱れたりすると、レプチンが減少しグレリンが増加します。

健康的な食事と適度な運動は、グレリンとレプチンのバランスを整えるのに役立ちます。また、十分な睡眠やストレス管理も重要です。

食欲があり過ぎるのも大変ですが、
食欲がなくて悩んでいる人もいます…

食欲不振は心身のバランスを乱し、栄養不足や体力低下を招いてしまいます。

原因はストレス、病気、薬剤、精神的要因など多岐にわたります。

食事を楽しむ環境づくりや栄養バランスの取れた食事、適度な運動やリラックス法の実践が有効な解決法ですが、なんと、漢方薬に食欲を改善してくれるものがあります。

その代表が『六君子湯(りっくんしとう)』です!

『六君子湯』は、「人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、大棗(たいそう)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)、半夏(はんげ)、陳皮(ちんぴ)」の8種の生薬から構成されています。

構成面では『四君子湯(しくんしとう)』『二陳湯(にちんとう)』合方とも言えます。

この六君子湯の作用に食欲増進ホルモンの「グレリン」が関与していることが分かっています。

六君子湯はこの「グレリン」の分泌を促進するだけでなく、さらにその標的分子である「グレリン受容体」の感受性を上げるなど、相加・相乗的に「グレリンシグナル」を増強することで食欲不振を改善することがわかってきました。

その他、消化管に働くペプチドホルモンのグレリンが、心臓においては心房の炎症や線維化を抑制し、心房細動の発症を抑制する可能性が示唆されています。

漢方薬の六君子湯はグレリン分泌薬であり、この作用が心房筋の線維化を抑制し、心房細動の発症を抑制する効果があることが大分大学医学部教授の中川幹子氏によって世界で初めて立証されました。

六君子湯は心房細動の予防薬として、健康長寿を実現する手段の一つとなり得る可能性があるようです。

漢方薬はなにがどう効いているのかわからないので、怪しいという意見もありますが、次々と科学的にその作用機序が解明されてきています。

用語解説

  • PTPRJ(脱リン酸化酵素)
    基礎生物学研究所・統合神経生物学研究部門の新谷隆史准教授、東覚大学院生、及び野田昌晴教授らは、PTPRJという酵素分子がレプチンの受容体の活性化を抑制していることを発見しました。肥満にともなって摂食中枢でPTPRJの発現が増えること、そのためにレプチンが効きにくくなり、これがレプチン抵抗性の要因となっていることを明らかにしました。

参考文献

・Ghrelin : An orexigenic peptide discovered from stomach/第 124 回日本医学会シンポジウム
・DOI: 10.1271/kagakutoseibutsu.56.725:体重を一定に保つ分子機構と肥満、新谷隆史
・基礎生物学研究所
・【30年で3万人の肥満治療をした、肥満外来専門医が指南】 ダイエット最大の敵「食欲コントロール」に意志の強さは無関係!:佐藤桂子
・漢方処方解説(8)六君子湯:名城大学
・グレリンシグナリングを介した六君子湯の心房細動アップストリーム治療の有用性:大分大学医学部教授、中川幹子
薬剤師
河邊甲介

宮崎県の川南町にある峠の里からの絶景を眺めながら、漢方と薬膳を組み合わせた腸活相談が受けられる「薬局×セレクトショップ」です。

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