田七人参(でんしちにんじん)は、「止血」と「活血」という一見矛盾する作用を併せ持つ、極めて稀有な生薬です。
中医学では古くから「金不換(金に換え難い宝)」と呼ばれ、戦場の傷薬から婦人科疾患、術後の回復まで幅広く用いられてきました。
本記事では、田七人参の基本情報や中医学的効能に加え、臨床における具体的な症例、さらに近年明らかになってきた現代医学的研究結果までを網羅的に解説します。
その多彩な効果と実用性を、体系的に理解していただける内容です。
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田七人参とは何か?効果・歴史・主成分を中医学と現代研究から解説|基本情報まとめ

学名と分類
田七人参(でんしちにんじん)は、ウコギ科(Araliaceae)に属する多年生植物で、学名は Panax notoginseng F.H. Chen。
「三七人参」「田三七」「田七」などの別名をもち、同じウコギ科である高麗人参と同属(Panax)ではありますが、薬効や形状には大きな違いがあります。
使用部位は根で、乾燥させると非常に硬く、こぶのような独特の形状をしています。
この根の部分こそが、古来から「金不換(きんふかん)」と称される貴重な薬材とされてきました。
生育地と栽培条件
田七人参は、中国の雲南省・広西省など、海抜1,200~2,000mに位置する険しい山岳地帯に自生・栽培されます。
気候や土壌、標高など非常に厳しい条件が揃った土地でしか育たないため、非常に希少です。
栽培には通常3~7年かかり、収穫まで長い年月を要します。
しかも一度田七人参を栽培した土地は、栄養を吸い尽くされるため、その後10年以上は他の作物を育てることができないとも言われています。
このように、田七人参の栽培には多くの労力と時間を要するため、高品質なものは非常に高価で流通量も限られています。
歴史
田七人参の名が初めて登場したのは、明代末期から清代初期にかけて編集された中国の薬学書『本草綱目拾遺(ほんぞうこうもくしゅうい)』。
この中で、田七人参は「止血の要薬」として高く評価され、「高麗人参が補気の王であれば、田七人参は補血の王」と記されています。
また、田七人参はその優れた止血作用から、古くは戦場でも兵士の常備薬として用いられていました。
傷口に直接振りかけて止血と治癒を促したとされる逸話は有名で、実際に現代でも外用・内服の両面で活血化瘀や止血の目的で使用されています。
日本では昭和30年代にようやく紹介され始めた比較的新しい生薬でありながら、近年ではその薬効の研究が進み、漢方薬やサプリメントへの配合が増えています。
田七人参の効能を中医学で読み解く|止血・活血・定痛の薬効と応用例

田七人参は、中医学において「活血化瘀(かっけつけお)」「止血(しけつ)」「定痛(ていつう)」などの作用を持つとされ、血の巡りを良くしながらも出血を止めるという、相反する効能をあわせ持つ点が最大の特徴です。
性味・帰経
中薬学における田七人参の基本的な性質は以下のとおりです。
- 性味(しょうみ): 甘・微苦、温性
- 帰経(きけい): 肝経・胃経
「甘」は緩和や補益を、「微苦」は清熱や活血を、「温」は寒冷による痛みや冷えに対応する性質を持ちます。
また、「肝」は血の流れを主り、「胃」は後天の精(飲食から得られるエネルギー)の源であるため、田七人参は血液や消化吸収のバランスを整える方向に作用すると理解されます。
主な効能
中医薬学の古典や実践の中では、田七人参の効能は以下のように記されています。
- 化瘀止血(かおしけつ): 瘀血(血液の滞り)を除きながら、過剰な出血を止める
- 活血定痛(かっけつていつう): 血流を改善し、痛みを鎮める
この「止血」と「活血」を同時に行える点が非常に珍しく、出血を抑えつつ、血の滞りを残さないという使い勝手の良さが特徴です。
臨床応用(弁証論治における使用)
田七人参は、以下のような弁証で用いられます:
- 外傷・打撲・捻挫などの瘀血: 活血によって腫れや痛みを緩和し、同時に止血作用で早期の修復を促進
- 婦人科疾患(子宮筋腫・月経過多など): 活血しながら止血・補血することで、血瘀による腫瘤・出血に対応
- 脳卒中後遺症・虚血性心疾患: 冠状動脈の血流を改善しつつ、血管の脆弱化による出血を防ぐ
- 手術後・出産後の出血や瘀血残存のケア: 傷の回復を早め、血瘀による痛みを防ぐ
また、現代的な症状分類では以下のような方に応用されます:
症状 | 適応の中医学的見立て |
---|---|
内出血、血尿、鼻出血 | 血熱あるいは脈絡脆弱 |
打撲・捻挫の腫痛 | 気滞血瘀、寒湿阻絡 |
月経過多・子宮筋腫 | 血瘀阻滞、衝任不調 |
術後の回復 | 気血両虚、血瘀阻絡 |
配合例と相性の良い生薬
- 帰脾湯+田七人参: 出血傾向と気血両虚に対応
- 生脈散+田七人参: 術後や虚脱状態からの早期回復
- 香蘇散+田七人参: 血瘀+気滞タイプの情緒不安定、冷え、腹部膨満などに
- 補中益気湯+田七人参: 術後体力低下時の補益と血流改善を兼ねる
注意点と禁忌
田七人参は温性であるため、以下のタイプには注意が必要です。
- 陰虚火旺(口渇・寝汗・ほてりなどが強い人): 滋陰涼血薬との併用を検討する
- 妊娠中・授乳中: 血流への影響があるため使用を避けるか慎重に
また、ワルファリンなどの抗凝固薬を服用中の方は、使用前に医師への相談が必要です。
このように、田七人参は中医学において「活血・止血・鎮痛」という極めてバランスの取れた作用を持ち、かつ体力の弱った方にも応用しやすい生薬として重宝されます。
田七人参の有効成分とは?サポニン・フラボノイドなど現代薬理作用を徹底解説

田七人参は、伝統的な中医学だけでなく、現代栄養学・薬理学の観点からも高く評価されています。
とくに近年は、その有効成分に関する研究が進み、多くの生理作用が科学的に解明されてきました。
本章では、田七人参の主な成分とその働きについて詳しく紹介します。
主な有効成分
■ サポニン(ジンセノサイド類)
田七人参に含まれる代表的な有効成分で、高麗人参の約4~7倍の含有量があるとされます。
体内の代謝、免疫、循環機能に幅広く作用することがわかっています。
■ デンシチン(Denchitin)
田七人参に特有のアミノ酸の一種で、止血作用に関与する成分。高麗人参や他の人参類には含まれず、田七独自の成分とされています。
■ フラボノイド
血管を強化し、抗酸化作用・毛細血管の弾力維持に役立つとされます。
抗動脈硬化、血流改善に貢献。
■ アルギニン
血管拡張作用のある一酸化窒素(NO)を増やすアミノ酸で、冷えや血流不良、更年期症状の緩和にも寄与します。
■ 有機ゲルマニウム
インターフェロンの産生を促進し、免疫調節・抗ウイルス作用を発揮。
NK細胞の活性化にも関与。
■ ビタミン・ミネラル類
微量栄養素として、田七人参にはカルシウム、亜鉛、マグネシウム、ビタミンEなどが含まれています。
それぞれの薬理作用
1. 肝機能の保護と再生促進
- サポニンは肝細胞の再生を助け、過酸化脂質を除去
- 動物実験では、70%切除された肝臓の再生促進効果が報告されている
2. 免疫力の向上
- 有機ゲルマニウム → インターフェロン誘導
- サポニン → NK細胞の活性化
- アルギニン → マクロファージの活性化
- 臨床では風邪予防、慢性疲労改善などに応用される
3. 血流改善と動脈硬化予防
- フラボノイドやサポニンが血管内皮を保護し、血管弾力を回復
- 血中の中性脂肪、LDLコレステロールの分解促進
- 血栓形成抑制作用あり(抗血小板作用)
4. 血糖値の調整
- 含有成分パナキサトリオール(ジンセノサイドの一種)は、筋肉への糖取り込みを促進
- 2型糖尿病への予防的作用が期待されている
5. 抗酸化作用によるアンチエイジング効果
- 活性酸素の除去 → 疲労、老化、生活習慣病の予防
- サポニンやビタミンEによる細胞保護効果
科学的エビデンス
◉ 肝機能改善
田七人参末2g/回を1日3回(3ヶ月間)服用したところ、血清GOT・GPTが有意に低下(軽度肝機能障害者)
◉ 抗ストレス・疲労改善
1日2,000mgの田七人参を4週間投与 → 好塩基球・単球増加、自覚症状(倦怠・ストレス)改善
◉ 血液凝固への影響
ラット実験にて、血小板凝集抑制・出血時間の延長が確認される
◉ 脂質代謝改善
ブタノール抽出物投与により、ラットのLDL・中性脂肪・血糖の低下が確認される
サポニンの多彩な効果まとめ
効果 | 内容 |
---|---|
肝機能改善 | 肝細胞の再生、脂質の代謝促進 |
免疫賦活 | NK細胞・マクロファージ・インターフェロンの活性化 |
抗酸化 | 活性酸素の除去、老化防止 |
血行促進 | 血栓予防、冷え改善、動脈硬化抑制 |
血糖コントロール | 筋肉の糖代謝改善 |
更年期ケア | 血行・ホルモンバランスのサポート |
田七人参の効果を感じやすい人の特徴
- お酒や脂肪分の多い食事を摂ることが多い
- 疲労感・倦怠感が抜けない
- 冷え性・低体温・血行不良を自覚している
- 更年期による不調(のぼせ・動悸・冷え)を抱えている
- 免疫力の低下(風邪をひきやすい、治りが遅い)
- 健康診断で肝機能や血糖値が気になる
田七人参の臨床応用と症例紹介|中医学と現代医療での実際の使い方とは?

田七人参は「止血」「活血」「定痛」というバランスの取れた作用により、様々な臨床現場で応用されています。
本章では、田七人参の働きと中医学的な解釈を交えてご紹介します。
子宮筋腫による全摘術前後の対応
◆使用処方
- 田七人参末(術前から継続して服用)
- 補中益気湯、帰脾湯 などを併用
- 術直前・直後も田七人参を増量して服用(医師から「自己判断でOK」と許可あり)
◆臨床経過
- 同日に同じ手術を受けた患者よりも回復が早く、術後の出血量も極端に少なかった。
- 担当医が「なぜここまで出血が少ないのか」と驚いたという。
- 術後も体調良好。現在は**補腎薬(六味地黄丸など)**を中心に、更年期ケアを継続中。
◆考察
筋腫は血瘀が原因となる代表疾患。
活血化瘀と同時に出血制御が可能な田七人参は、術前・術後管理に非常に有効。
更に、補気・補血の処方と併用することで、全身状態の安定と術後の早期回復を実現。
使用上の臨床ポイント
使用目的 | 処方例 | 中医学的解釈 |
---|---|---|
術後の止血・回復 | 生脈散+田七人参末 | 気陰両虚+血瘀 |
慢性出血と貧血 | 帰脾湯+田七人参 | 脾不統血・気血両虚 |
月経過多・筋腫 | 補中益気湯+田七人参 | 血瘀+脾虚気陷 |
精神不安・動悸・疲労 | 香蘇散+田七人参 | 気滞+血虚 |
症例から得られる臨床的教訓
- 田七人参は「補薬」ではなく、「動かして整える薬(行血薬)」
→ それゆえ、瘀血が絡む虚実混在の疾患に最適。 - 弁証論治に基づき、補気薬や補血薬と組み合わせることで、体力の弱った高齢者・女性にも安全に使用できる。
- 単に「血を止める」薬ではなく、「止めて流す」両面の使い方を理解することが、最大のポイント。
田七人参の成分は科学的に有効?肝機能・免疫・血流への作用を研究報告で解説

田七人参は、古くからの伝統的な知見に加え、近年ではさまざまな科学的研究によって、その薬効が裏付けられつつあります。
肝機能改善、免疫調整、血糖・脂質代謝の正常化など、生活習慣病への効果が期待される点に注目が集まっています。
本章では、国内外の研究文献をもとに、田七人参の有効性を現代医学的に解説します。
肝機能の改善と保護作用
■ 研究報告①
- 対象:軽度肝機能障害の男性18名(22~72歳)
- 方法:田七人参末2gを毎食後、1日3回、計3ヶ月服用
- 結果:5名でGOT(AST)、GPT(ALT)値が明確に低下
👉 考察:田七人参のサポニンには、肝細胞の再生促進作用があると考えられ、肝障害の保護・修復に寄与します。肝機能マーカーの改善が見られたことから、脂肪肝やアルコール性肝炎の予防にも有用とされています。
免疫力の向上とストレス軽減
■ 研究報告②
- 対象:疲労感・倦怠感・食欲不振などの自覚症状がある成人51名(平均年齢49.9歳)
- 方法:田七人参末を1日2,000mg、4週間服用
- 結果:
- 好塩基球・単球の割合が増加(免疫賦活)
- 自覚的なストレス・疲労感が軽減
👉 考察:田七人参に含まれる有機ゲルマニウムが、免疫細胞(NK細胞、マクロファージ)やインターフェロン産生を活性化。免疫バランスの正常化と抗ウイルス作用が期待され、慢性疲労や風邪予防にも有効と推定されます。
血液凝固と循環改善作用
■ 研究報告③(Ex vivo)
- 方法:ラットに田七人参を与え、血小板凝集と出血時間を測定
- 結果:血小板の凝集が抑制され、出血時間が延長された
👉 考察:田七人参は出血を止める一方で、病的な血液凝集(血栓)を抑える「両方向性」の作用を持つことが科学的に裏付けられました。この特性は、脳血管障害・狭心症・下肢静脈瘤などの血瘀関連疾患に適応可能です。
血糖・血中脂質の改善作用
■ 研究報告④
- 方法:ラットに田七人参のブタノール抽出物を投与
- 結果:
- 血中コレステロール、LDL、血糖の濃度が濃度依存的に低下
■ 研究報告⑤
- 方法:田七人参(43mg/kg/日)を28日間ラットに投与
- 結果:総コレステロール・トリグリセリド・フィブリノーゲンが有意に減少
👉 考察:田七人参に含まれるパナキサトリオールやフラボノイドが、血糖代謝を改善し、同時に脂質異常(高コレステロール血症、高中性脂肪)を抑制する働きを示しました。糖尿病・高脂血症・動脈硬化予防に期待できます。
活性酸素の抑制と抗老化効果
- サポニンやフラボノイドの抗酸化作用により、過酸化脂質の発生を防止
- 肝臓・血管・脳など、加齢による細胞機能低下を防ぐ可能性
👉 考察:酸化ストレスは生活習慣病の根本原因のひとつ。田七人参は抗酸化物質としての機能も持ち、アンチエイジングや慢性炎症疾患の予防にも有効です。
現代的応用まとめ
作用 | 科学的裏付け | 対象疾患・状態 |
---|---|---|
肝機能改善 | AST/GPT低下 | 脂肪肝・アルコール性肝炎 |
免疫賦活 | 白血球増加・IFN誘導 | 慢性疲労・風邪・免疫不全 |
抗凝固作用 | 出血時間延長・血小板抑制 | 脳梗塞予防・狭心症 |
脂質・糖代謝改善 | LDL・血糖低下 | 糖尿病・高脂血症 |
抗酸化 | 活性酸素除去 | 老化・生活習慣病 |
田七人参の剤型・選び方・安全性を徹底解説|粉末・錠剤・液体の違いと使い分け
田七人参はその特性から、さまざまな剤型で製品化されています。
使用目的や体質、ライフスタイルに応じて最適な形状を選ぶことが大切です。
また、品質に大きなバラつきがあるため、選び方にも注意が必要です。
本章では、田七人参の剤型の種類・特徴、安全性、選び方のポイントを詳しく解説します。
田七人参の主な剤型(形状)と特徴
剤型 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
原末(粉末) | 田七人参の根をそのまま粉砕 | 止血・活血の効果が最も高い | 独特の苦味・においがあり、飲みにくい |
顆粒(エキス顆粒) | 有効成分を抽出・加工し飲みやすくした形 | 味やにおいがマイルド、携帯性◎ | 熱処理により一部作用が低下することも |
錠剤・カプセル | 粉末やエキスを固形化 | 匂いや味が気にならず、継続しやすい | 添加物が多い製品もある |
液剤(ドリンクタイプ) | 成分を抽出し液体にしたもの | 吸収が速く即効性あり | 保存性が低い、価格が高い傾向 |
煎じ薬(刻み生薬) | 根を刻み煎じて服用 | 中医学的には理想的 | 手間がかかり現代生活では不向きな場合も |
👉 補足:「止血作用を最大限に活かしたい」なら原末(粉末)が最適とされます。逆に、日常的な健康維持や飲みやすさ重視であれば、顆粒や錠剤が向いています。
適切な摂取量と方法
■ 通常の摂取量(成人目安)
- 粉末(原末): 1回1~3g、1日2~3回まで
- 顆粒・錠剤: 製品表示に従う(多くは1日2~5g相当)
■ 飲み方の工夫
- 原末は水や白湯とともに服用(食間がおすすめ)
- お湯に溶かして「田七茶」として飲むのも可
- 粉末は「味噌汁」や「野菜スープ」に入れて摂取も可能(ただし加熱し過ぎると止血効果が落ちる)
質の良い田七人参を見分けるポイント
■ 「頭数(とうすう)」で品質を判断
- 頭数とは:500gの乾燥田七を作るのに必要な個数
- 30頭:大型・高品質
- 120頭:小型・成分含有量が低め
👉 頭数が少ない=1個が大きく、サポニン含有量も多い
■ 信頼できる製品の選び方
- 国産製造(日本国内で管理・検査)
- 無農薬・重金属検査済み
- 成分含有量の明記
- 老舗漢方メーカー製造
- 極端に安価な製品には注意(葉や茎を混ぜた粗悪品の可能性)
田七人参を摂取する際の注意点
■ 副作用(まれなケース)
- 口渇、動悸、不眠、発疹、胃もたれ、悪心
- 温性のため、「陰虚火旺タイプ(ほてり、寝汗、口渇が強い)」には不向き
→ 滋陰薬(麦門冬・天門冬など)との併用を検討
■ 禁忌と注意が必要なケース
- 妊娠中・授乳中:血流への影響が懸念されるため、原則使用は避ける
- 出血性疾患のある方:医師と相談の上で使用を
- 抗凝固薬(ワルファリン等)を服用中の方:併用による出血傾向のリスクに留意
田七人参の効果を発揮しやすい体質・症状タイプと日常での活かし方

田七人参は、中医学的にも現代医学的にも「血」に関わる機能を総合的に整える生薬です。
補血・止血・活血・抗炎症・抗酸化といった多面的な効能から、特に効果を発揮しやすい体質や症状があります。
本章では、田七人参の使用に適した体質・症状、そして日常的な活用方法について詳しくご紹介します。
中医学的にみた田七人参が合うタイプ
■ 基本的なキーワード:「瘀血」「気血両虚」「肝血虚」「脾虚出血」
体質タイプ | 主な症状 | 弁証例 | 田七人参の働き |
---|---|---|---|
血瘀体質(けつおたいしつ) | 冷え、肩こり、しこり、月経痛 | 瘀血阻滞、寒凝血瘀 | 活血化瘀、定痛作用 |
気血両虚タイプ | 疲れやすい、顔色が悪い、めまい | 気虚生瘀、脾不統血 | 補気・補血と活血作用の併用 |
肝血虚タイプ | 更年期の不調、情緒不安、目の疲れ | 肝血不足 | 補血活血による気分安定と循環改善 |
脾虚出血タイプ | 慢性的な出血傾向(歯ぐき・鼻・婦人科) | 脾不統血 | 補脾止血、瘀血を残さず調える |
現代医学的にみた田七人参が有効なケース
■ 日常で多い「血のめぐり」・「肝機能」・「更年期」の問題にマッチ
生活背景・悩み | 背景要因 | 期待できる作用 |
---|---|---|
お酒をよく飲む | 肝臓に負担、脂肪肝リスク | 肝細胞再生、過酸化脂質抑制 |
疲れやすい・だるい | 肝機能低下・免疫低下 | 肝機能改善、免疫賦活 |
冷え性・肩こり・手足のしびれ | 血行不良・血瘀 | 活血作用・血流改善 |
更年期の女性 | 血虚・血瘀・ホルモン低下 | 補血・抗酸化・自律神経調整 |
術後の体力低下 | 血失・気虚 | 補気補血・止血・修復促進 |
高血圧・高脂血症気味 | 血液粘性の上昇 | 中性脂肪・LDL低下、抗酸化 |
日常生活での田七人参の取り入れ方
■ 目的別の摂取タイミング
目的 | タイミング | 補足 |
---|---|---|
疲労回復・肝機能対策 | 食後または就寝前 | 夕方〜夜に肝臓の代謝が活発になるため効果的 |
術後・止血目的 | 食間または空腹時 | 吸収が高く効果が出やすい |
更年期・冷え改善 | 朝夕の2回 | 日内リズムに合わせた服用で安定性UP |
食養生と組み合わせるとさらに効果的
中医学では「薬食同源」が基本。
田七人参の活血・補血作用を活かすために、以下のような薬膳的食材と組み合わせると効果が高まります。
食材 | 性味と効能 | 組み合わせ例 |
---|---|---|
黒きくらげ | 甘・平/活血・止血 | 味噌汁・炒め物に |
なつめ | 甘・温/補中益気・補血 | お茶、煮込み料理に |
ほうれん草 | 甘・涼/養血・潤燥 | お浸し、胡麻和えなど |
ごま(黒) | 甘・平/補腎・補血 | 黒ごまペーストで補陰補血 |
サバ・青魚類 | 活血・抗酸化 | 脂肪酸EPAと協働して血流改善に寄与 |
👉 特に田七+味噌汁・野菜スープなど、「腸活」や「脾の補養」と連動させた食養生は、中医的にも理にかなっています。
避けたい習慣(せっかくの効果を打ち消す要因)
- 過剰な飲酒や脂質の摂りすぎ → 肝臓に余計な負担をかける
- 冷飲冷食の摂りすぎ → 脾胃虚弱となり、補血補気作用が落ちる
- 夜更かし・寝不足 → 肝血の回復時間を奪い、疲労や瘀血を悪化させる
田七人参が「続けてこそ」実感できる理由
- 血液や肝臓など「代謝を調える」効果は即効性より積み重ね型
- 3日〜1週間:疲労感・胃腸の軽さに変化
- 2週間〜1ヶ月:冷え、めまい、出血傾向に改善感
- 3ヶ月以上:血圧・血糖・体質傾向にまで変化が現れる
👉 3ヶ月単位での継続服用が基本的な目安
(※弁証・体質によっては中止や休薬期間も必要なため、専門家の指導下が望ましい)
田七人参の全体像を総まとめ|効果・成分・活用法まで完全ガイド

田七人参(でんしちにんじん)は、古代中国より「金不換(金にも換えられない宝)」と称され、王侯貴族から兵士の常備薬に至るまで、幅広く用いられてきた貴重な生薬です。
本記事では、田七人参の 中医学的効能 と 現代医学的な薬理作用 を統合しながら、その全体像を明らかにしてきました。
ここで、改めて重要なポイントを整理します。
田七人参の基本プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
学名 | Panax notoginseng F.H. Chen |
科名・属名 | ウコギ科・人参属 |
主な産地 | 中国・雲南省/広西省の高地(1200〜2000m) |
有効成分 | サポニン、デンシチン、フラボノイド、アルギニン、有機ゲルマニウムなど |
主な作用 | 化瘀止血、活血定痛、肝保護、抗酸化、免疫賦活、血糖・脂質調整など |
性味・帰経 | 甘・微苦、温/肝・胃経 |
中医学的な強み
- 「止血」と「活血」の両作用を持つ希少な生薬
- 瘀血体質・虚弱体質・手術後・更年期など、複雑な証にも対応可能
- 補気・補血薬と組み合わせて「全身調整薬」として活躍
現代医学が証明する主な効果
- 肝機能を守り、細胞再生を促進(サポニン)
- 免疫力を上げ、抗ウイルス作用を発揮(有機ゲルマニウム)
- 中性脂肪・コレステロールを下げる(脂質代謝改善)
- 血糖コントロールに寄与(筋肉の糖取り込み促進)
- 抗酸化・抗老化(活性酸素除去)
適応する人・症状の例
- 慢性的な疲労、冷え、貧血傾向
- 術後・産後の回復
- 高血圧・脂質異常・糖尿病の予防
- 更年期の不定愁訴や月経トラブル
- 血行不良・肩こり・しこり・瘀血による疼痛
使用に際しての注意点
- 温性であるため、陰虚火旺(のぼせ・口渇・寝汗)には注意
- 妊娠中・授乳中は原則使用を控える
- 抗凝固薬を服用中の方は専門医と相談
賢く活かすための実践ポイント
- 自分の体質(弁証)を理解する
→ 血虚・血瘀・脾虚など、自分の弱点に対して使うことで最大効果 - 目的と状況に合わせて剤型を選ぶ
→ 止血重視なら粉末、飲みやすさ重視なら顆粒や錠剤を - 3ヶ月を目安に継続服用し、効果を見極める
→ 急性の症状には短期的、体質改善には長期的な視野が必要 - 食生活と睡眠習慣の改善も同時に
→ 特に「脾胃」の養生、「肝血」の補充を意識
最後に|田七人参は「調える生薬」
田七人参は、単なる「血止め」や「補血薬」ではなく、流れを良くして、血を守り、全身を整える生薬です。
- 血の滞り(瘀血)を除きつつ
- 必要なところでは血を補い、気を回復させ
- 体の中から回復力と抵抗力を底上げする
このバランスの良さこそが、田七人参が「中医薬の中でも特別な存在」であり続ける理由です。
✅ 田七人参の活用を始める前に
田七人参は、非常に汎用性の高い生薬ですが、適切な使い方をすることでその効果を最大限に引き出せます。
症状に応じて、専門家の弁証論治のもとで処方されるのが理想です。
漢方薬剤師・薬膳指導士・中医学の専門家などにご相談いただき、自身の体質に合った「田七人参との付き合い方」を見つけてください。
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著者プロフィール
河邊甲介 (薬剤師)
KOSUKE KAWABE
▷有資格
- 薬剤師
- 中医薬膳師:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- 薬膳素材専門士:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- ペットフーディスト
▷経歴
- 福岡大学薬学部卒
- 総合病院薬剤部・調剤薬局にて勤務
- 2024年1月より宮崎県川南町(峠の里)にて漢方×薬膳×腸活のお店「ほどよい堂」を開局
身体とこころの安心をお届けします
薬剤師であり、漢方×薬膳×腸活の専門家として、「ほどよい堂」を運営しています。
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