陰虚体質に最適な漢方的養生法とは?健康を守るためのポイント

私たちの体は、日々の生活やストレス、年齢によって影響を受けています。

中でも、陰虚体質という状態は、潤いが足りず、様々な不調を考えてしまいます。

例えば、どのフキや皮膚の乾燥、便秘などの症状に悩まされることが多いです。

漢方では、体質に合った食材や生活習慣が健康を守るための鍵となります。

陰虚体質に適した食事や、さらにはリラックス法まで、実践することで体調を整えることができます。

健康維持のためのポイントをしっかり押さえて、日常生活に取り入れましょう

薬剤師
河邊甲介

漢方的には体質は8つに分することが出来ます!
体質ごとに養生法は異なります。
それぞれの体質(タイプ)別に解説していきます。

目次

「陰虚」とは? 身体に必要な潤い不足の状態を解説

体に必要な潤いが不足すると、体内の熱を冷ますことができなくなり、微熱や乾燥といった症状があらわれやすくなります。

このような状態を ”陰虚” といいます。

潤いは加齢とともに不足していきますが、睡眠不足や慢性病が原因となることもあるので注意が必要です。

陰虚体質とは血虚に ”ほてり・のぼせ(虚熱)” が加わった状態ということも出来ます。

陰虚のタイプ

  • 肝陰虚:肝血虚によって、目のかすみ・頬が赤いなどの症状が特徴。
  • 心陰虚:心血虚によって、動悸・不眠・顔が赤いなどの症状が特徴。
  • 肺陰虚:肺の津液不足によって、空咳・声がかすれる・痰に血が混ざるなどの症状が特徴。
  • 腎陰虚:腎虚での陰液の潤す力が低下することによって、足腰がだるい・めまい・耳鳴り・不眠・悪夢・生理の量が少ない・便秘などの症状が特徴。

陰虚による乾燥症状を理解する:皮膚・粘膜・便に潜むトラブル

  • のどが渇いて水分を飲みたくなる
    陰虚になると、様々な場所の粘膜が乾燥し、潤いを失います。
    漢方では“粘膜は潤いを好み、乾燥を嫌う”と言われています。
    呼吸器が乾燥するとのどがイガイガする、のどがむずがゆくなる、せきが出る、呼吸がしにくくなるなどのトラブルが出やすくなると考えられています。
    咳は「コンコン」と乾いた咳で、痰は無いか出ても少ないのが特徴で「空咳」と呼ばれています。

  • 口や鼻の粘膜が乾燥する
    口の粘膜も乾燥しやすくなり、口が乾燥する(ドライマウス)、口臭が強いなどのトラブルが起こりやすくなると漢方では考えています。
    また唇も乾燥しやすく、唇がカサカサする、唇が割れやすくなります。
    また、鼻の粘膜も乾燥しやすくなり、ひどいときには鼻血が出やすくなります。

  • 皮膚が乾燥してカサカサになる
    皮膚も粘膜同様に潤いを好み、乾燥を嫌うと漢方では考えられています。
    カサカサする、艶がなくなる、キメが荒くなる、粉をふく、かゆみが出る(乾燥性皮膚搔痒)などのトラブルが起こりやすくなると漢方では言われています。

  • 便が硬くなる・尿が少なく濃い
    腸の粘膜の潤いがなくなると、便が乾燥して硬くなり、排便困難、排便痛、さらにはコロコロした兎糞便など便秘になります。
    陰虚になると体内の水分が少ないため、尿として排出される水分が減少し、尿量も少なくなり、色も濃くなります。

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陰虚タイプ必見!効果的な養生法で健康を語る方法

津液不足を防ぐ!激しい運動やサウナの影響とその対策

「津液(潤い)」や「腎陰」を不足させないためには、身体から失われないようにすることが大切です。

津液は汗として失われるため、陰虚体質のひとは、激しい運動やサウナなどで汗をかきすぎるのは避けなければいけません。

過労と徹夜が陰に及ぼす影響:健康を守るための注意点

過労など心身を酷使する活動は「腎陰」を消費してしまうために注意が必要です。

徹夜などは腎陰が過度に消費され、睡眠によって補われるチャンスを奪われるために最悪のパターンです。

こまめな水分補給を!(飲み過ぎに注意)

こまめに水分を補給して、カラダに潤いを与えてあげましょう!

ただし、一度に多量の水分を摂ったり、摂り過ぎるのは禁物です。

陰虚の場合は漢方でいう ”気” も弱っていることが多いために、巡りが悪く津液が偏って体に悪影響が出る場合があります。

陰虚タイプに最適な食材:潤いを引き出す選択ガイド

陰虚タイプの方には、からだの水分を増やす食材が適しています。

逆に香辛料など乾燥させたり、熱を強めるような食材はNGです。

また、香味野菜など巡りを良くする食材も、潤いが足りない状態では空回りしてしまうので注意が必要です。

陰虚タイプに最適!健康を支えるおすすめ食材一覧

分類食材
中薬桑の実(桑椹)、麦門冬、沙参、枸杞子、黄精、玉竹、女貞子、亀板、鼈甲
穀物・豆・種子類黒ごま、白ごま、アワ、ヒマワリの種
野菜・きのこ類ゆり根、小松根、黒きくらげ、白きくらげ、白菜、山芋、アスパラガス
果物類梨、柿、枇杷、アンズ、いちご
肉・魚介類馬肉、兎肉、鴨肉、豚肉、猪肉、スッポン、卵、チーズ、ホタテ貝、アワビ、ムール貝、牡蠣
調味料・薬味ハチミツ、オリーブオイル
飲み物百合松の実豆乳茶、五汁茶

豚肉・鶏肉・鶏卵で作る健康レシピ:タンパク質を効率よく摂取しよう

タンパク質では、豚肉・馬肉・鶏卵などがおすすめです。

羊肉はダイエットに良いと言われるラム肉にはアミノ酸の一種「L-カルニチン」が含まれています。

脂肪を燃焼し、エネルギーに変える働きを促進するといわれる成分ですが、陰虚タイプの方には ”熱性” ですのでお勧めできません。

松の実・ゆり根・やまいも・れんこん・豆腐・白きくらげ / 薬膳の知恵:白い食材が肺と粘膜に与える影響

白色の食材は薬膳では五行の帰経が ”肺” にあたりますので、(鼻・のど・気管支などの呼吸器系、皮膚、粘膜、大腸など)」の働きを助けると考えられています。

ネバネバ食材の力:糯米・オクラ・山芋でカラダの潤いを

薬膳ではネバネバした食べものはカラダの潤いを補うと考えられています。

山芋はできるだけ「とろろ」で食べるのがおすすめです。

山芋は加熱してホクホクした状態になると、気を補う働きを助ける作用に変化してしまうと言われています。

『陰虚タイプ』に最適な漢方薬:体内の陰を補う方法とは

陰虚タイプの体質は、体内の陰の不足により、体力の低下や不調が見られる傾向があります。

このタイプに適した漢方薬は、体内の陰を補い、調和を取り戻すことを目指します。

陰虚タイプの漢方薬は身体のどの部分を中心に潤すかによって、使用する方剤が変わります。

全身の健康をサポート!『六味丸(ろくみがん)』の特性と効果を徹底解説

加齢に伴う排尿障害、足腰の機能低下、皮膚のかゆみにおすすめの漢方薬が六味丸ろくみがんです。

熱感を訴える場合や暑がりの人に使用されることが多い漢方薬です。

下半身から身体深部から始まって全身に作用します。

『知柏地黄丸(ちばくじおうがん)』の効果:熱証を伴う慢性疾患に最適な漢方薬

『六味丸』の構成成分で腎陰を補い、「知母ちも」と「黄柏おうばく」で虚火を冷ますことにより、熱証を伴う慢性疾患を治療する際に使用されます。

清熱作用があるので、脾陽虚や腎陽虚には使用を避ける方がよい。

身体深部から身体上部に作用します。

『杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)』で目の疲れを改善! 肝腎陰虚に効く漢方薬

杞菊地黄丸こぎくじおうがん』は、「肝腎陰虚・肝陰虚」で目の症状が強い場合に使用します。

PCや携帯など、目を使い過ぎて目に栄養が届きにくく、目が疲れやすい状態におすすめです。

六味丸がベースとなっているので、疲れると手や足の裏がほてる、イライラしやすい、口が渇く、排尿困難などを伴う方に用います。

身体深部と目に作用します。

咳の原因を探る:『滋降陰火湯(じいんこうかとう)』の効果的な使用法と体験談

気管支炎・慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、"コンコンと乾いた咳(空咳)" におすすめの漢方薬が滋陰降火湯じいんこうかとうです。

『滋陰降火湯』は、”就寝時の咳など体が温まると咳がでる” ような場合におすすめです。

身体深部から上半身(肺)にかけて作用します。

『温清飲(うんせいいん)』の効果:皮膚疾患から婦人科症状まで幅広く対応

皮膚疾患・婦人科領域・精神神経症状など様々な症状に使用う出来るおすすめの漢方薬が温清飲うんせいいんです。

皮膚がカサカサして色つやが悪いひとに使用されることが多い漢方薬です。

尋常性乾癬やベーチェット症候群の口内炎などの粘膜疾患にも使用されることがあります。

身体深部とともに皮膚に作用します。

『麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)』を使った咳のケア方法とその効果について

気管支炎・気管支喘息などにおすすめの漢方薬が麻杏甘石湯まきょうかんせきとうです。

ゼロゼロした咳に使用されることが多い漢方薬です。

肺や皮膚に作用します。

『当帰飲子(とうきいんし)』で慢性湿疹を改善! 乾燥肌に効く漢方薬の効果

分泌物が少なく乾燥傾向の慢性湿疹におすすめの漢方薬が当帰飲子とうきいんしです。

虚弱体質で冷え性傾向の高齢者に使用することが多い漢方薬です。

『当帰飲子』は ”老人性乾皮症” にも効果が期待できる漢方薬です。

皮膚に作用します。

口や目の乾燥が気になる方に!『麦門冬湯(ばくもんどうとう)』の効果を徹底解説

少しの刺激でもむせるように咳き込む時に、おすすめの漢方薬が麦門冬湯ばくもんどうとうです。

気道疾患全般に使用され、気道の慢性的な炎症にともなう「気道過敏性亢進」を改善します。

『麦門冬湯』は口や目の乾燥がつらい「シェーグレン症候群」の改善にも効果が期待できる漢方薬です。

肺や胃に作用します。

便秘症のファーストチョイス『麻子仁丸(ましにんがん)』で心身の健康を補充そう

”便秘症” のファーストチョイスに、おすすめの漢方薬が麻子仁丸ましにんがんです。

女性に多い辛い便秘症には漢方薬がおすすめです。

『麻子仁丸』は便秘だけではなく、色々な体の不調も一緒に改善することもあります。

腸に作用する方剤です。

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薬剤師
河邊甲介

宮崎県の川南町にある峠の里からの絶景を眺めながら、漢方と薬膳を組み合わせた腸活相談が受けられる「薬局×セレクトショップ」です。

「中医薬膳師×薬膳素材専門士×ペットフーディスト」の資格を有する薬剤師が、体調不良、ダイエットやアトピーなどの悩みにも親身に対応します。

無料の漢方相談も行っております。

また、ペットの腸活アドバイスなども行っています。

お店の特徴を活かし、人とわんこの心と身体の健康をサポートします。

宮崎県川南町「ほどよい堂」では、「漢方×薬膳×腸活」に関する様々な商品を揃えています。

気軽に一度、ご相談にお越しください!

著者プロフィール

河邊甲介 (薬剤師)

KOSUKE KAWABE

▷有資格

  • 薬剤師
  • 中医薬膳師:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
  • 薬膳素材専門士:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
  • ペットフーディスト

▷経歴

  • 福岡大学薬学部卒
  • 総合病院薬剤部・調剤薬局にて勤務
  • 2024年1月より宮崎県川南町(峠の里)にて漢方×薬膳×腸活のお店「ほどよい堂」を開局

身体とこころの安心をお届けします

薬剤師であり、漢方×薬膳×腸活の専門家として、「ほどよい堂」を運営しています。
中医学的体質診断を基に、個別に最適な健康アドバイスを提供し、無料相談も実施中。
健康に関するお悩みを漢方や薬膳、腸活でサポートし、体質改善を目指します。
健康維持や未病対策に関心のある方は、ぜひご相談ください。