漢方医学でのニキビ治療法:自然なアプローチで美肌を手に入れる
現代社会において、多くの人々が悩まされるニキビ。
一般的なスキンケアや薬用クリームだけでは解消できない場合も少なくありません。
そんな中、漢方医学は自然なアプローチでニキビを治療する方法として注目を集めています。
漢方医学は体全体のバランスを整えることにより、肌トラブルを根本から改善することを目指します。
この記事では、漢方医学に基づくニキビ治療法について詳しく解説し、美肌を手に入れるためのポイントを紹介します。
自然な方法で健康的な肌を目指す方にとって、漢方医学は有力な選択肢となるでしょう。
目次
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ニキビとは?原因から予防・治療法までの徹底ガイド
ニキビは、皮膚科学では「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」、漢方では「粉刺(ふんし)」と称される、毛嚢と皮脂腺の慢性炎症による皮膚疾患の一つです。
皮脂の過剰分泌や毛孔の角化が原因で、顔面、胸部、背部、肩部などに炎症が発生しやすくなります。
ニキビは、毛嚢に一致して生じ、発展過程において面皰、丘疹、膿皰、結節、瘢痕、痘痕などが見られるため、臨床では様々な段階のニキビが同時に存在することがあります。
思春期から青年期にかけて発症しやすいことから、青春のシンボルとも呼ばれますが、20代、30代でも続いたり、新たに発生したりする「大人ニキビ」に悩まされることも少なくありません。
医学的には「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」という病名が付いていますが、思春期のものは「ニキビ」、成人後のものは「吹き出物」と呼ばれます。
ニキビ跡を残さないためには、白ニキビや黒ニキビの段階から早期治療を行うことが重要です。
ニキビの皮膚科学上の分類とは?主要タイプと特徴
分類 | 説明 |
---|---|
面皰(めんぽう) | 毛穴に皮脂が詰まって粟粒大で円錐型の硬い皮疹ができる状態。ニキビの初期段階。 |
- 黒色面皰(黒ニキビ) | 表面が開いて黒く見えるもので、「開放性粉刺」とも呼ばれる。 |
- 白色面皰(白ニキビ) | 表面が塞がっていて白く見えるもので、「封閉性粉刺」とも呼ばれる。 |
丘疹 | 面皰の中にさらに皮脂がたまり、脂腺が壊れて炎症が起こり、赤く腫れて皮膚から盛り上がった状態。 |
膿皰 | 丘疹に細菌感染が加わり、毛孔に膿がたまった状態。 |
結節 | 毛孔周辺に炎症が広がり、堅くしこって盛り上がった状態。 |
瘢痕 | 膿が排出された後に色素沈着が起こり、シミのように黒くなった状態。 |
痘痕 | 瘢痕が消えず、皮膚が凸凹になった状態。 |
漢方医学の観点から見たニキビの発生原因と治療戦略
漢方医学で見るニキビの発生原因とその改善対策
ニキビの発生原因は多岐にわたり、漢方では以下のように考えられます。
発生原因 | 詳細 |
---|---|
外的な刺激 | 風邪、寒邪、湿邪、熱邪などの外部からの刺激 |
飲食の不摂生 | 暴飲暴食、油っこい物、甘い物、味の濃い物、辛い物、生もの、冷たい物の摂りすぎ、過度の飲酒 |
精神的ストレス | イライラ、不安などの精神刺激 |
肉体的・精神的疲労 | 肉体疲労、精神疲労、房事過多などによる正気(気・血・津液・精)の虚損 |
二次的な病理的産物 | 痰飲や瘀血など、上記原因に伴う病理的産物 |
ニキビの発生部位 | 詳細 |
---|---|
思春期ニキビ | 皮脂分泌が活発なTゾーン(おでこ、眉間、鼻すじ) |
大人ニキビ | 皮脂の少ないUゾーン(あご、ほほ、口の周り、首、胸、背中) |
女性ホルモンバランスとニキビ:漢方でのアプローチと治療法
漢方では、ホルモンバランスの崩れ(腎虚、気滞)を整え、熱毒を取り除くことを中心に治療を行います。
生理前に大人ニキビが出やすくなるのは、女性ホルモンや月経周期と深く関係しています。
特に、生理前の一週間ほどは黄体ホルモンが上昇し、体に熱がこもりやすくなる時期です。
このホルモンの変動が、ニキビの発生を促す主な要因となります。
また、生理前には便秘やイライラしやすくなるなどの症状(PMS)が現れることが多く、これもニキビを悪化させる要因となります。
さらに、Tゾーンや鼻、ほほ、あご周りでは皮脂分泌が活発になり、オイリー肌となるため、ニキビが出やすくなります。
これらの原因を理解し、適切なスキンケアや生活習慣の改善が大人ニキビ対策には重要です。
ホルモンバランスを整える漢方薬・生薬
- 逍遥散(しょうようさん)
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
- 瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
- 六味丸(ろくみがん)
- 紫河車(しかしゃ)
ニキビの発生メカニズムを漢方視点で解明し、効果的なケア方法を提案
漢方におけるニキビの発生の仕組みと効果的な対策
漢方医学では、ニキビの発生には「脾主肌肉(脾は肌肉を主る)」という考え方が重要です。
脾胃(消化機能)を中心に、皮脂の分泌調節には肝の疏泄(自律神経)や腎の虚火(ホルモンの失調)も考慮されます。
皮膚疾患は、長期にわたる場合、正気の虚(気・血・津液・精)を考慮することが重要です。
ニキビを効果的に改善するためには、新しくできるニキビをできるだけ少なくすることが大切です。
まずは、既存のニキビに対して清熱解毒薬(せいねつげどくやく)を使用し、炎症や膿を抑え、体内のデトックスを行うことが推奨されます。
この方法で、ニキビの原因となる体内の熱や毒素を取り除き、肌の状態を改善していきます。
思春期ニキビの原因とその対策法を完全ガイド
思春期のニキビは、身体の成長と共に正気(気・血・津液・精)の生成が活発になるため、脾胃(消化機能)がオーバーワークし、胃熱や脾胃湿熱が発生しやすくなります。
特に女子は月経開始により血熱も起こりやすくなります。
このような胃熱や脾胃湿熱によるニキビは、大きくて赤く、熱感を伴うことが多いです。
成人のニキビ原因と最適な対策方法
1. 飲食の不摂生
飲食の不摂生により脾胃に寒・熱・湿などが停滞し、脾の(陽)気を損傷することでニキビが発生します。
特に脾胃湿熱から肝胆湿熱を伴うことがあります。
2. ストレスによる精神刺激
ストレスは肝の疏泄(自律神経機能)を失調させ、肝脾不和(自律神経失調が消化に影響)を引き起こします。
この結果、胃熱や脾胃湿熱が発生し、ニキビが生じます。
このタイプのニキビは、イライラすると悪化しやすく、女性では月経前に悪化することが多いです。
3. 過労など
肉体疲労や精神疲労、房事過多などにより正気(気・血・津液・精)を損傷し、気血両虚や腎虚が生じると、ニキビなどの皮膚疾患を引き起こします。
赤みの強いニキビはあまり見られず、過労や睡眠不足で悪化します。
4. 瘀血の形成
ニキビが長期化すると、気滞・寒凝・血熱・痰飲・気虚・気血両虚などにより血の流れが悪くなり、漢方でいう「瘀血」が形成されることがあります。
暗褐色や青紫色のニキビが見られ、部位があまり移動せず、月経前に悪化しやすいです。
ニキビの種類と原因、効果的な対策法完全ガイド
赤く痛みのあるニキビ(赤ニキビ)
▷赤ニキビの特徴:
赤ニキビは、炎症が強く、見た目も痛々しいブツブツしたニキビです。暴飲暴食後や生理前後にひどくなりやすく、普段から肉や辛いもの、甘いものが好きな方に多いのが特徴です。
▷お肌以外の出やすい症状:
便秘気味、口の乾き、イライラしやすい、目の充血などがあります。これらの症状は血に熱がこもった「血熱」の状態です。
▷漢方薬と対策:
漢方薬では、十味敗毒湯、排膿散及湯、黄連解毒湯などで清熱解毒や血熱をとっていきます。女性の場合、血熱のこもりやすい生理前は、ストレスを溜めないようにし、辛いものや脂っこいもの、チョコレートなどの甘味を控えることがポイントです。
黄色く膿んでいるニキビ(黄ニキビ)
▷黄ニキビの特徴:
黄ニキビは赤ニキビ同様に腫れて化膿が進み、熱っぽさと痛みを伴います。オイリー肌でニキビ跡が残りやすく、ファーストフードや揚げ物、ジュースなどの甘い飲み物が好きな方に多いタイプです。
▷お肌以外の出やすい症状:
便秘気味、イライラしやすい、暑がり、のぼせ、女性では黄色いおりものが増えるなど、体に「湿熱毒」が溜まった状態です。
▷漢方薬と対策:
漢方薬では、黄連解毒湯などで湿熱毒をとります。
白く小さなニキビ(白ニキビ)
▷白ニキビの特徴:
白ニキビは皮膚色から白色に近く、小さいが数が多く治療に時間がかかります。押すと黄白色の角栓(コメド)が出て、額や小鼻の辺りのTゾーンに出やすいです。
▷お肌以外の出やすい症状:
のどや鼻が乾燥しやすく、よく咳き込み、普段から風邪をひきやすいなど、肺(呼吸器系)が弱く、体の皮膚に「肺熱」がこもりやすい状態です。
▷漢方薬と対策:
漢方薬では、清上防風湯などで肺熱をとります。
紫~黒色でゴリゴリ硬いニキビ(黒・紫ニキビ)
▷紫ニキビの特徴:
紫ニキビは紫から赤黒い色で、触ると硬く芯のあるニキビです。このニキビの色は、体内の血の巡りの悪さや、老廃物の溜まりやすさを表しています。
▷お肌以外の出やすい症状:
肩こり、頭痛、生理痛などの痛みの症状、顔のくすみやくま、唇の色が暗紫色、婦人科系のトラブル(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、経血に塊が多いなど)、太りやすいなど。これらは、血と津液(水)の巡りが悪く熱がこもった状態です。
▷漢方薬と対策
漢方薬では、田七人参茶、温胆湯、桂枝茯苓丸などで血行を改善し代謝を良くします。紫ニキビの改善は、婦人病の予防や改善にも繋がります。
ニキビタイプ別漢方一覧
ニキビの種類 | 漢方薬 | 効果・適応症 |
---|---|---|
白ニキビ | 清上防風湯 | 皮脂分泌が多く、顔面の熱や炎症を抑える効果があります。白ニキビや脂ぎった症例に用います。 |
黒ニキビ | 桂枝茯苓丸 | 顔面が赤いか、ややくすみのある場合や青黒いニキビに適しています。生理不順や生理痛、頭痛などを伴う症例にも効果的です。 |
赤ニキビ | 十味敗毒湯 | 皮膚の赤みや痒みを発散し、腫れや化膿を抑えます。体質改善も期待できます。 |
赤・黄ニキビ | 黄連解毒湯 | 顔面の赤みや炎症が強い場合のニキビに適応します。 |
赤ニキビ | 排膿散及湯 | 赤みや腫れを伴った化膿症、瘍、面疔に使います。 |
特定の症状に応じた漢方薬
漢方薬 | 効果・適応症 |
---|---|
当帰芍薬散 | 冷え性で艶のないニキビに適応。色白で冷え症、やせ型の体力がない人向けです。 |
半夏瀉心湯 | 不摂生な食事や胃腸障害を伴う口周りのニキビに適応します。 |
芍薬甘草湯 | 高アンドロゲン血症に関連するニキビに使用。テストステロンを抑制し、皮脂分泌を減少させます。 |
補助的な漢方薬
漢方薬 | 効果・適応症 |
---|---|
人参湯、六君子湯、補中益気湯 | ニキビがなかなか改善しない場合に脾胃の改善を目的として併用します。 |
主な漢方薬の効果
漢方薬 | 効果・適応症 |
---|---|
十味敗毒湯 | 皮膚の赤みや痒み、腫れや化膿を抑える。 |
黄連解毒湯 | 顔面の赤みや炎症を抑える。 |
清上防風湯 | 顔面の熱や炎症を抑える。 |
排膿散及湯 | 化膿症、瘍、面疔に効果的。 |
当帰芍薬散 | 冷え性で艶のないニキビに適応。 |
桂枝茯苓丸 | くすみや青黒いニキビに効果的。 |
半夏瀉心湯 | 胃腸障害を伴うニキビに適応。 |
芍薬甘草湯 | テストステロンを抑制し、皮脂分泌を減少させる。 |
ニキビの生活習慣治療:効果的なポイントと実践法
1. 洗顔の重要性:肌を守るための正しい洗顔方法とは?
- 専用の洗顔料使用:毎日、専用の洗顔料で顔を洗い、肌を清潔に保ちましょう。洗顔は外用剤よりも効果的な場合が多いです。
- 摩擦を避ける:炎症や痒みを悪化させる原因になるため、泡で包むように優しく洗いましょう。
- 潰さない:指でニキビを潰すと、瘢痕や痘痕などのニキビ跡ができやすいので注意が必要です。
2. ストレス管理がニキビ改善のカギ!精神的ストレスを軽減する方法
- 精神的ストレス:イライラや精神的ストレスはニキビの重要な悪化要因です。漢方薬などでストレスを軽減しましょう。
- 便秘解消:便秘もニキビの悪化要因になるため、適切な対策を講じましょう。
3. 栄養バランスの重要性:ニキビを防ぐための食事療法ガイド
- 食事療法:栄養バランスのとれた食事が重要です。最近では、間違った食事療法によりニキビが悪化するケースも多く見られます。
4. 女性のための漢方薬:月経周期に合わせた調整が重要な理由
- 漢方薬の調整:月経周期に影響されやすい場合は、周期に合わせて漢方薬を調整することが有効です。
まとめ / ニキビ改善のためのトータルケア:洗顔、ストレス解消、食事法、漢方薬
- 専用の洗顔料を使用し、優しく洗顔することで肌を清潔に保ちます。
- 摩擦を避け、指で潰さないように注意します。
- ストレスや便秘を漢方薬で解消し、ニキビの悪化を防ぎます。
- 栄養バランスのとれた食事を心がけ、正しい食事療法を実践します。
- 月経周期に応じた漢方薬の調整が効果的です。
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著者プロフィール
河邊甲介 (薬剤師)
KOSUKE KAWABE
▷有資格
- 薬剤師
- 中医薬膳師:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- 薬膳素材専門士:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- ペットフーディスト
▷経歴
- 福岡大学薬学部卒
- 総合病院薬剤部・調剤薬局にて勤務
- 2024年1月より宮崎県川南町(峠の里)にて漢方×薬膳×腸活のお店「ほどよい堂」を開局
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薬剤師であり、漢方×薬膳×腸活の専門家として、「ほどよい堂」を運営しています。
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