災害時の便秘、どう防ぐ?避難生活で困らない水分・食事・トイレ・便秘薬の備え【薬剤師解説】
災害時の便秘は、水分・トイレ・食事・運動・ストレスが重なって起こりやすくなります。
災害や停電、断水による避難生活では、普段は便秘でない方でも、排便のリズムが崩れやすくなります。
「トイレに行きたくないから水分を減らす」「パンやおにぎりだけで食事を済ませる」「人目が気になって便意を我慢する」といった小さな変化が、便の硬さや出にくさにつながります。
- 今すぐ医療相談を考えたい危険な症状
- 避難生活で便秘になりやすい原因
- 水分・食事・トイレ・運動・便秘薬の備え
- 中医学で考える災害時の便秘タイプ
- クロレラ・玄米酵素を備える際の考え方

目次
なぜ避難生活では便秘が起こりやすいのか
災害時の便秘は、単純に「野菜が足りないから」だけで起こるものではありません。
断水やトイレへの不安、食事量の減少、炭水化物中心の非常食、運動不足、冷え、睡眠不足、緊張など、複数の条件が重なることで便が硬くなり、排便のリズムが乱れやすくなります。

- トイレを避けるために水分を控える
- 便意があっても我慢する
- 食事量そのものが少なくなる
- パン・麺・おにぎりなどに偏る
- 豆・海藻・きのこなどの食物繊維が減る
- 座ったままの時間が増える
- 緊張、不安、睡眠不足、寒さが続く
中医学では、胃腸の消化吸収機能を「脾=土」と考えます。
土が弱ると、食べたものから気・血・津液を作る力が落ちやすくなり、便を作る材料、便を運ぶ力、腸を潤す水分のいずれも不足しやすくなると考えます。
災害時の便秘対策|優先したい5つの行動
全部を一度に変える必要はありません。まず1つ変えるなら、トイレを心配して水分を控えすぎないことから始めてください。
水分を少量ずつ、こまめに取る
避難所では、トイレの数や清潔さを心配して水分を控えがちです。しかし、水分不足は便を硬くするだけでなく、脱水や深部静脈血栓症などのリスクにもつながります。
- 一度に大量ではなく、少量を回数多く飲む
- 起床時や食事のときに一口ずつ加える
- 水やお茶のほか、温かい味噌汁やスープも活用する
- 甘い飲料やカフェイン飲料だけに偏らない
心臓病・腎臓病などで水分制限を指示されている方は、自己判断で摂取量を増やさず、医療スタッフへ確認してください。
安心して排泄できる環境を先に作る
水分や食事を控えないためには、「トイレを使える」という安心感が欠かせません。
災害用トイレは、食料や飲料水と同じく健康を守る備蓄です。内閣府の案内では、成人の平均排泄回数を1日5回として、1人当たり1週間35回分の備蓄が推奨されています。
- 携帯トイレ・凝固剤
- 防臭袋・大きめのごみ袋
- トイレットペーパー
- ウェットティッシュ・手指消毒用品
- 小型ライト・ヘッドライト
- 目隠し用ポンチョや大判ストール
食物繊維だけでなく、食事量と栄養の質を守る
災害時には、パン・おにぎり・麺・菓子類など、主食中心の食事になりやすくなります。
カロリーは取れていても、タンパク質、良質な脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、フィトケミカルなどが不足する「新型栄養失調」に近い状態へ傾くことがあります。
- 魚・肉・大豆の缶詰やパウチ
- 豆類・大豆加工品
- 乾燥わかめ・のりなどの海藻
- 乾燥きのこ・乾燥野菜
- オートミールや全粒穀物
- 常温保存できる味噌汁・スープ
食物繊維は、水分が極端に不足した状態で一度に増やすと、お腹の張りが強くなる場合があります。水分と一緒に、少量ずつ取り入れることが基本です。

短時間でも体を動かす
避難所や車中泊では、座ったままの時間が増えやすくなります。安全を確認したうえで、数分でも体を動かしましょう。
- 足首を左右10回ずつ回す
- かかとの上げ下げを10回行う
- 膝をゆっくり曲げ伸ばしする
- 息を吐きながら背中と腰を伸ばす
- 安全な場所を5~10分歩く
軽い運動は腸のリズムだけでなく、血流低下やエコノミークラス症候群への備えという意味でも重要です。
普段の便秘薬とお薬手帳を備える
日常的に便秘薬を使用している方は、災害時に急に中断しないよう、処方薬とお薬手帳を一緒に備えましょう。
- お薬手帳またはスマートフォン内の薬の写真
- 薬剤情報提供書
- 現在服用している薬の一覧
- アレルギー歴・副作用歴のメモ
- かかりつけ医療機関・薬局の連絡先
酸化マグネシウムは便秘に広く使用されますが、高齢者や腎機能が低下している方では、高マグネシウム血症に注意が必要です。自己判断で量を増やさず、医師または薬剤師へ相談してください。
漢方薬は「便秘」という症状名だけでなく、冷え・乾燥・緊張・体力などの証を確認して選びます。
非常食で不足しやすい栄養をどう補う?
ほどよい堂では、災害時の健康管理を「栄養・循環・吸収=腸活」の3本柱で考えます。
細胞は食べたものでしか作られません。主食だけでなく、タンパク質・ミネラル・食物繊維も意識します。
水分を取り、体を軽く動かすことで、栄養と酸素を全身へ届ける巡りを守ります。
食べるだけでなく、消化し、吸収し、自分の力に変えられる胃腸の土台を守ります。
非常食は急いで飲み込みがちですが、1口30回を目安によく噛むことで、唾液の分泌を促し、消化のスイッチを入れやすくなります。
中医学では、よく噛むことは「脾=土」の負担を減らし、食べたものから気血を作る土台を助ける養生と考えます。

野菜を十分に確保できないときの現実的な選択肢
生鮮食品が届きにくい災害時には、普段の食事を完全に再現することは困難です。そのため、保存しやすい食品や栄養補助食品を「食事の代わり」ではなく、食事の不足を補う備えとして準備しておく方法があります。
クロレラ・バイオリンク
クロレラは、タンパク質、クロロフィル、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを含む食品です。
ほどよい堂では、野菜や海藻、タンパク源が不足しやすい状況で「つくる・守る・巡らす」を支える細胞の基礎食としてご案内しています。
災害時に初めて大量に摂取するのではなく、平常時から少量で相性を確認しておくことが大切です。
クロレラの選び方を見る玄米酵素
玄米酵素は、玄米・胚芽・表皮を麹菌で発酵させた玄米発酵食品です。
主食中心になりやすい時期に、玄米由来の食物繊維などを補う選択肢となります。中医学では、脾=消化吸収の土台を意識した食養生と組み合わせやすい食品です。
水分と一緒に取り、味噌汁、豆、海藻などの保存食と組み合わせましょう。
玄米酵素を詳しく見る北海道産大豆食品
大豆は、植物性タンパク質、脂質、食物繊維などを含みます。主食だけに偏りやすい非常食へ「タンパク質を足す」選択肢として備えやすい食品です。
そのまま食べられるものや、水を多く使わずに摂取できるものを選ぶと、非常時にも活用しやすくなります。
北海道産大豆食品を見る腸活アイテム
プロバイオティクス=善玉菌、プレバイオティクス=善玉菌のエサ、バイオジェニックス=菌が作る有用成分という3つの視点から、日頃の腸活を考えます。
備蓄するときは、常温保存の可否、開封後の管理、水の必要量、普段から食べ慣れているかを確認しましょう。
腸活アイテムを見る- 健康食品は便秘を治療する医薬品ではありません。
- 飲料水、食事、必要な医薬品の代わりにはなりません。
- 災害が起きてから初めて試すのではなく、平常時に相性を確認します。
- 服薬中・治療中・妊娠中・授乳中の方は、医師や薬剤師へ相談してください。
- クロレラはワルファリン服用中など、薬との関係に注意が必要な場合があります。
中医学で考える災害時の便秘タイプ
便秘といっても、便が硬い人、緊張で出ない人、冷えて動きにくい人、排便する力が弱い人では、養生の方向が異なります。
中医学では、症状だけでなく、寒熱・虚実・気血津液の状態を組み合わせて「証」を考えます。

気滞タイプ|緊張して便意が出にくい
気滞=気の巡りが滞る緊張タイプです。避難生活の不安や人目、騒音などにより、排便のリズムが崩れやすくなります。
- 便意はあるのに出にくい
- お腹が張る、ガスが多い
- ため息、げっぷ、胸のつかえがある
- イライラや不安が強い
治則・養生:気を巡らせ、体を緩める。長く息を吐く呼吸、軽い歩行、温かい飲み物、安心できるトイレ環境を優先します。
津液不足・陰虚タイプ|潤い不足で便が硬い
津液不足・陰虚=体を潤す水分が不足するタイプです。水分摂取量が減りやすい高齢者や、乾燥しやすい方にみられます。
- コロコロした硬い便
- 口、唇、皮膚が乾燥する
- 寝汗やほてりがある
- 尿の量が少ない
治則・養生:潤いを補う。少量ずつの水分、温かい汁物、やわらかく戻した海藻などを活用します。
気虚・脾虚タイプ|排便する力が弱い
気虚=エネルギー不足タイプ、脾虚=消化吸収力の弱りタイプです。
- 便は極端に硬くないが出しにくい
- 排便後に疲れる
- 食欲がない、食後に眠くなる
- 手足がだるい
治則・養生:脾を助け、気を補う。温かい味噌汁、やわらかいご飯、魚や大豆を少量ずつ取り、1口30回を目安によく噛みます。
陽虚・寒凝タイプ|冷えで腸の動きが鈍い
陽虚=温める力が弱いタイプ、寒凝=冷えによって巡りが滞る状態です。
- 手足やお腹が冷える
- 温めるとお腹が楽になる
- 朝が弱く、疲れやすい
- むくみやすい
治則・養生:冷やさず、やさしく温める。腹巻き、靴下、ネックウォーマー、温かい汁物などを活用します。
漢方薬を使うときの考え方
漢方薬は「便秘だから同じ方剤」ではなく、証に合わせて選びます。
例えば、乾燥して硬い便、冷えを伴う便秘、腹部の張りを伴う便秘、体力低下を伴う便秘では、用いる方剤が異なります。
強い腹痛、嘔吐、血便、便もガスも出ない場合は、漢方薬を自己判断で服用する前に医療相談を優先してください。
相談だけでも大丈夫です。商品の購入は任意です。
3日・3週間・3か月で考える「腸の防災」
体は壊れて終わりではなく、日々入れ替わる動的平衡のシステムです。災害が起きてから急に整えようとするのではなく、平常時から小さく備えておきましょう。
- 水分を控えすぎない
- 携帯トイレを確保する
- 普段の薬とお薬手帳を確認する
- 危険な腹痛・嘔吐・血便を見逃さない
- 水、食品、携帯トイレをローリングストックする
- 魚、豆、海藻、きのこを含む保存食を試食する
- 玄米酵素やクロレラは平常時に相性を確認する
- 家族で薬、連絡先、避難場所を共有する
- 1口30回を目安によく噛む
- 味噌汁や野菜スープを毎日の定番にする
- 豆・海藻・きのこ・発酵性食物繊維を続ける
- 軽い運動と睡眠のリズムを整える
- 自分の通常の排便回数・便の状態を知る
災害時のストレスは、寒さ・騒音などの物理的ストレス、食事や水分不足などの化学的ストレス、感染症などの生物的ストレス、不安などの心理的ストレス、役割や集団生活による社会的ストレスに分けて考えられます。
睡眠、深呼吸、軽い運動、温かい食事、人やペットとのつながり、音楽、読書など、複数の休養パターンを組み合わせましょう。
災害時の便秘に関するよくある質問
何日便が出なければ医療相談が必要ですか?
日数だけでは判断できません。普段の排便リズムとの差、お腹の痛み、吐き気、腹部の張り、食欲、水分摂取、便やガスが出ているかを合わせて確認します。
強い腹痛、嘔吐、血便、著しい腹部膨満、便もガスも出ない場合は、日数にかかわらず早めに医療スタッフへ相談してください。
便秘だから食物繊維を多く取ればよいですか?
食物繊維は大切ですが、水分不足の状態で急に増やすと、お腹の張りや不快感が強くなる場合があります。
少量ずつの水分、食事量の確保、運動、トイレ環境を一緒に整えましょう。強い腹痛や嘔吐がある場合は、食物繊維を追加する前に医療相談を優先してください。
携帯トイレは何回分必要ですか?
目安は1人1日5回、1週間で35回分です。4人家族であれば、5回×4人×7日=140回分が目安になります。
凝固剤だけでなく、便袋、防臭袋、トイレットペーパー、ライト、手指衛生用品も一緒に備えましょう。
クロレラや玄米酵素は便秘薬の代わりになりますか?
便秘薬の代わりにはなりません。いずれも健康食品であり、災害時に不足しやすい栄養や食物繊維を補う選択肢として考えます。
普段から少量で相性を確認し、水分、食事、必要な医薬品と組み合わせて使用してください。
避難所でも便秘薬を自己判断で増やしてよいですか?
自己判断による増量は避けてください。脱水、食事量、腎機能、併用薬などにより、安全な薬や量が変わります。
特に高齢者や腎機能が低下している方が酸化マグネシウムを使用している場合は、医師または薬剤師へ確認しましょう。
子どもや高齢者も同じ対策でよいですか?
基本は水分・食事・トイレ・運動ですが、子どもや高齢者は脱水に気づきにくく、薬の量や種類にも注意が必要です。
食事が取れない、尿が少ない、元気がない、嘔吐があるなどの場合は、早めに避難所の医療スタッフへ相談してください。
自分の便秘タイプが分からない方へ
便秘は、単に「出す」ことだけを考えるのではなく、冷え、乾燥、緊張、食欲、体力、服薬状況まで確認することが大切です。
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参考情報・公的資料
- 厚生労働省・医薬基盤・健康・栄養研究所・日本栄養士会 「避難生活を少しでも元気に過ごすために」
- 厚生労働省 「避難生活で生じる健康問題を予防するための栄養・食生活について」
- 内閣府 防災情報 「トイレ備蓄忘れていませんか?」
- 日本消化器病学会 「便秘薬の上手な使い方を教えてください」
- 日本消化器病学会 「慢性便秘症の食事・運動・薬物療法に関する一般向け情報」
公的情報や医学的知見は更新される場合があります。実際の災害時は、自治体、避難所、医療機関から発信される最新情報をご確認ください。
監修者・免責事項
本記事の信頼性を高めるため、監修者情報と免責事項をまとめています。 体質の整理(中医学)と、現代の栄養学・生活習慣の視点を両輪で扱い、誠実な表現を心がけています。
Supervisor / Reviewer
監修者情報

監修:河邊 甲介(薬剤師/中医薬膳師/薬膳素材専門士/ペットフーディスト)
漢方薬局「ほどよい堂」代表
宮崎県川南町にて、漢方 × 薬膳 × 腸活のトリプルアプローチによる健康相談を行っています。 体質の言語化と、日常で“続く整え方”をセットでご提案しています。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療・処方の代替ではありません。 症状が強い/長引く/不安が大きい場合は、医療機関・専門家へご相談ください。
- 体質・状態・既往歴により、最適な対処は異なります。
- 妊娠中・授乳中・服薬中・通院中の方は、自己判断での実施を避け、必ず確認してください。
- 記事内容は、予告なく更新・変更する場合があります。

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