腸内細菌が倍増してしまう病気!「小腸内細菌異常増殖症:シーボ(SIBO)」ってなに?
目次
シーボ(SIBO)の治療法
腸内生態系のバランスを
取り戻そう!
小腸で細菌が異常に増殖し、腸管にガスが増えて消化器トラブルを起こしてしまう「シーボ(SIBO)」ってなに?
SIBOは、小腸内細菌異常増殖症(small intestinal bacterial overgrowth)の略称です。
小腸で細菌が異常に増殖し、腸管にガスが増えて消化器トラブルを起こしてしまう疾患で、次のような症状があらわれます。
- 少ししか食べていないぼにおなかが張って苦しい
- ゲップが異常に出る
- 胃酸が逆流する
- 下痢と便秘を繰り返す
小腸内に水素ガスを発生する腸内細菌が多い場合は下痢になりやすく、メタンガスを発生する腸内細菌が多い場合は便秘になりやすいと言われています。
ちなみに消化液が多い胃や十二指腸では菌が少ない(1グラムあたり1万個以下)ですが、小腸(空腸~回腸)になると、1グラムあたり1000万個以上の菌が、大腸は小腸の100倍の菌がいると言われています。
呼気で判定!SIBOの診断方法とは
特定の糖(ブドウ糖またはラクツロース)を水に混ぜた液体を飲んだ後、4時間にわたり1時間毎に採取バッグに息を吐き出し、その中の呼気を分析します。腸内に菌が増殖している場合には、メタンガスや水素が検知されます。
見逃されがちな病気!SIBOを発症する3つの原因とは?
SIBOを発症する主な3つの原因は次の通りです。
- 小腸の動きが悪くなる
- 胃酸の減少
- 食物繊維や発酵食品のとりすぎ
①小腸の動きが悪くなることで、食べ物が小腸に留まる時間が長くなり腸内細菌が増殖しやすくなります。
②胃酸は強酸であり、菌にとっては住み心地が悪いのですが、胃酸が減ることで小腸に細菌が増殖しやすくなります。
③通常では食物繊維や発酵食品は腸内細菌を元気にしてくれるものなのですが、多すぎると、何らかのきっかけで腸内細菌が増殖しやすくなります。
SIBOの治療方法とは
- 増殖した細菌を抗菌剤で除菌する
- 食事の見直しをする
- 腸のぜん動運動を促進する
- ストレスを減らす
①大半の人では、抗菌薬を10~14日内服すると改善します。
②炭水化物により腸内細菌の異常増殖が速くなるため、脂肪が豊富で、炭水化物と食物繊維をあまり含まない食事に変更する。低FODMAP(フォドマップ)食が良い。
③④軽い運動をする。楽しいと思えることをする。自分がリラックスできる方法を見つける。日光を浴びる。湯船にゆっくりつかる。ストレッチ、ヨガ、瞑想をする。ヘンテコな動きをする。不安やイライラを書き出す。腹式呼吸をする。ペットに癒やされる。
シーボと食物繊維の関係 ~潰瘍性大腸炎と腸内細菌~
悪化する潰瘍性大腸炎との関連性
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)は、慢性的な炎症性腸疾患(IBD)の一種で、大腸と直腸の内側に炎症と潰瘍が発生する病気です。
主な症状には、腹痛、下痢、血便などがあり、これらが悪化すると生活の質が大きく低下します。
シーボ(SIBO)と潰瘍性大腸炎の関連性
シーボ(Small Intestinal Bacterial Overgrowth、SIBO)は、小腸内で細菌が過剰に増殖する状態を指します。
シーボと潰瘍性大腸炎には密接な関連があることが研究によって明らかにされています。
- シーボによる炎症の増加:
シーボが発生すると、小腸内の細菌が異常に増殖し、これが大腸にまで影響を及ぼすことがあります。
潰瘍性大腸炎の患者は既に腸内に炎症を抱えているため、シーボがこれをさらに悪化させるリスクが高まります。 - 腸内バリアの破壊:
シーボは腸内バリアの機能を低下させ、腸内細菌や毒素が腸壁を通過しやすくなります。
これが潰瘍性大腸炎の炎症を助長し、症状を悪化させる一因となります。 - 消化不良と栄養吸収の問題:
シーボによって小腸内の消化と栄養吸収が阻害されると、潰瘍性大腸炎の患者にとって必要な栄養素が不足し、免疫力の低下や全身の健康状態の悪化を招きます。
シーボの診断と治療
潰瘍性大腸炎の管理において、シーボの診断と治療は重要な役割を果たします。
以下に、シーボの診断方法と治療法について説明します。
- 呼気テスト:
シーボの診断には、呼気テストが一般的に用いられます。
このテストでは、特定の糖類を摂取した後に呼気中の水素やメタンガスの濃度を測定し、小腸内の細菌過剰増殖を確認します。 - 抗生物質治療:
シーボの治療には、リファキシミンなどの抗生物質が使用されます。
これらの薬剤は小腸内の細菌を減少させることで、症状の改善を図ります。 - 食事療法:
シーボの患者には、特定の食事療法(低FODMAP食など)が効果的です。
これは、発酵性の炭水化物を制限することで、シーボによる症状を緩和します。
小まとめ
潰瘍性大腸炎とシーボは、密接に関連しており、シーボが潰瘍性大腸炎の悪化を引き起こす可能性があります。
適切な診断と治療を行うことで、シーボによる影響を最小限に抑え、潰瘍性大腸炎の症状を管理することが重要です。
シーボの治療には、呼気テストや抗生物質、食事療法などが含まれます。
医師の指導のもと、適切な対策を講じて、健康な生活を維持しましょう。
砂糖と腸内細菌の関係
砂糖の摂取と腸内細菌の変化
砂糖の摂取は、腸内細菌に大きな影響を与えることが知られています。
腸内細菌は私たちの健康に重要な役割を果たしており、消化、免疫機能、そして精神的な健康にまで影響を及ぼします。
過剰な砂糖摂取は、腸内の有害な細菌の増殖を促し、健康に悪影響を与える可能性があります。
有害な細菌の増殖
砂糖の過剰摂取は、腸内の有害な細菌の増殖を助長します。
砂糖は、有害な細菌や酵母菌のエサとなり、これらの微生物が増殖する環境を提供します。
特に、クロストリジウムやカンジダなどの有害な菌は、砂糖をエサにして増殖しやすくなります。
これにより、腸内フローラのバランスが崩れ、消化不良や腹痛、ガスなどの症状が現れることがあります。
善玉菌の減少
砂糖の過剰摂取は、善玉菌の数を減少させることもあります。
善玉菌は腸内環境を整え、有害な細菌の増殖を抑制する役割を果たしています。
しかし、砂糖が多い食事は、善玉菌のエサとなる食物繊維などの摂取を妨げるため、結果的に善玉菌の数が減少します。
これにより、腸内環境が悪化し、免疫機能の低下や炎症のリスクが高まります。
梅肉エキスの消化器官への影響
梅肉エキスは、梅の果実を加工して作られる濃縮エキスであり、古くから日本で健康食品として愛用されています。
特に消化器官に対する効果が注目されていますが、その秘密は梅肉エキスの成分にあります。
以下では、梅肉エキスの消化器官への影響について、クエン酸、血液の流動性促進、炎症反応の抑制作用というキーワードに基づいて詳しく解説します。
クエン酸に起因する抗菌作用
梅肉エキス成分であるクエン酸は、強力な抗菌作用を持つことで知られています。
クエン酸は、消化器官内の有害な細菌の繁殖を抑制し、健康な腸内環境を維持するのに役立ちます。
この抗菌作用は、食中毒や胃腸炎の予防にも効果的です。
クエン酸の抗菌作用によって、以下のような消化器官への影響が期待できます。
- 胃腸の健康維持:有害な細菌の増殖を抑え、胃腸内の善玉菌のバランスを保つことで、健康な消化器官の維持に寄与します。
- 消化不良の予防:胃酸の分泌を促進し、消化酵素の働きを助けることで、消化不良を防ぎます。
梅肉エキスが血液の流動性を促進する
梅肉エキスには、血液の流動性を促進する効果もあります。
これは、梅肉エキスに含まれるクエン酸や他の有効成分が、血液をサラサラにし、血行を良くする働きを持っているためです。
血液の流動性が向上することで、消化器官への血流も改善され、消化機能が向上します。
具体的な効果としては以下のものが挙げられます。
- 消化器官の機能向上:血流が良くなることで、消化器官に十分な酸素と栄養が供給され、消化機能が正常に働きます。
- 代謝の促進:血液循環が改善されることで、新陳代謝が活発になり、消化器官の細胞の修復や再生がスムーズに行われます。
炎症反応に対する抑制作用を有する有効物質
梅肉エキスには、炎症反応を抑制する有効物質が含まれており、これが消化器官の健康に影響を与えていることが示唆されました。
これらの成分は、体内の炎症を抑制し、消化器官の健康を維持するのに役立ちます。
これによって以下のような効果が期待できます。
- 胃腸の炎症軽減:胃炎や腸炎などの消化器官の炎症を抑え、症状の緩和に寄与します。
- 腸内環境の改善:抗炎症作用により、腸内の炎症を軽減し、腸内フローラのバランスを整えます。
小まとめ
梅肉エキスは、クエン酸に起因する抗菌作用、血液の流動性促進、そして炎症反応に対する抑制作用という三つの主要な効果を通じて、消化器官の健康をサポートします。
これらの作用によって、胃腸の健康維持、消化機能の向上、そして炎症の軽減が期待できるため、日常的な健康管理に梅肉エキスを取り入れることは非常に有益です。
健康な消化器官を維持するために、梅肉エキスの摂取を検討してみてはいかがでしょうか。
食事療法の効果的な実践方法
食物繊維と腸内細菌の関係
イヌリンなどの水溶性食物繊維の一種で、腸内細菌のエサとして知られています。
多くの人にとってイヌリンなどの食物繊維は腸内環境を整えるのに役立ちますが、一部の人には向かない場合があります。
特に、食物繊維の多い食事や発酵食品を摂取した後に、2〜3時間でお腹がガスで張ったり、下痢をしてしまう人は注意が必要です。
SIBO(小腸内異常細菌増殖症)の影響
こうした症状を示す人は、「SIBO(小腸内異常細菌増殖症)」という特殊な病態の可能性があります。
SIBOは、大腸にいるはずの腸内細菌が小腸にまで上がってきてしまう疾患で、腸活に良いとされる食品が逆効果になることがあります。
SIBOがある場合、イヌリンや他の発酵性食物繊維は、小腸内で過剰なガスを発生させ、不快な症状を引き起こします。
効果的な食事療法の実践方法
SIBOの可能性がある場合でも、適切な食事療法を実践することで腸内環境を改善することが可能です。
以下のポイントに注意しながら食事療法を進めましょう。
- 低FODMAP食を試す:
低FODMAP食とは、発酵性オリゴ糖、二糖、単糖、ポリオール(FODMAP)を制限する食事法です。
これにより、SIBOによるガス生成や腹部膨満感を軽減することができます。
具体的には、玉ねぎ、ニンニク、リンゴ、小麦製品などを避けることが推奨されます。 - プレバイオティクスの摂取に注意:
イヌリンやその他のプレバイオティクスは、SIBOの人には逆効果になることがあります。
プレバイオティクスの摂取は控えめにし、食事療法の進行に伴って徐々に増やしていくことが賢明です。 - 消化酵素の利用:
食事と一緒に消化酵素サプリメントを摂取することで、消化プロセスを助け、ガスや膨満感の発生を抑えることができます。 - 抗菌療法の検討:
医師の指導のもとで、抗菌療法を行うこともあります。
リファキシミンなどの抗菌剤は、小腸内の異常な細菌増殖を抑えるのに効果的です。
日常生活での注意点
SIBOや腸内環境の問題に対処するためには、以下の日常生活のポイントにも注意しましょう。
- 定期的な食事: 規則正しい食事のタイミングを守り、小腸の運動を促進することで、細菌の異常な増殖を防ぎます。
- ストレス管理: ストレスは消化器官の機能に悪影響を与えるため、リラックス法や運動を取り入れてストレスを管理することが大切です。
- 適度な運動: 適度な運動は、消化機能を改善し、腸内環境を整えるのに役立ちます。ウォーキングやヨガなどの軽い運動を日常に取り入れましょう。
小まとめ
イヌリンなどの食物繊維の多い食事は、腸内細菌にとって良いエサとなりますが、SIBOの可能性がある人には注意が必要です。
効果的な食事療法を実践するためには、低FODMAP食、消化酵素の利用などが重要です。
日常生活での注意点を守りながら、健康な腸内環境を維持することで、消化器官のトラブルを防ぎ、全体的な健康をサポートしましょう。
食物繊維の豊富なイヌリンとはどのようなもの?
イヌリンと難消化性デキストリンの違い
「イヌリン」は主に野菜から抽出される天然の食物繊維で、「難消化性デキストリン」はトウモロコシのでんぷんから人工的に作られるものです。
イヌリンは摂取量の全てが腸内細菌のエサになるのに対し、難消化性デキストリンは摂取量の半分程度がエサとなります。
この違いは、SIBOの食事療法において重要なポイントです。
イヌリンを多く含む食材
イヌリンは、以下の食材に豊富に含まれています。
- 菊芋:約20%
- チコリ:15~20%
- ニンニク:9~16%
- ニラ:3~10%
- 玉ねぎ:2~6%
- ゴボウ:3.5~4%
食物繊維の発酵性と利用率
腸内細菌は、異なる種類の食物繊維を利用します。
その発酵性と利用率は以下の通りです。
- イヌリン:100%
- ペクチン・グアーガム:75~100%
- 難消化性デキストリン:50%
- セルロース・寒天・アルギン酸ナトリウム:25%未満
このように、食物繊維の種類によって腸内細菌の利用率が異なるため、多様な食物繊維をバランスよく摂取することが重要です。
多様性のある食事が腸内環境を改善します
腸内環境を良くする鍵は「多様性」です。
野菜や海藻、きのこ類、豆類、ナッツ類、穀類、芋類には、それぞれ異なる種類の食物繊維が含まれています。
これらを組み合わせて摂取することで、腸内細菌の多様性を促進し、健康な腸内環境を維持することができます。
食物繊維の摂取目安
健康な人の場合は、食物繊維の摂取目安は、日々の不足分を補う目的で5〜10g程度が推奨されますが、シーボの際には過剰摂取は避け、適量を心掛けることが大切です。
シーボ改善の実践方法
- 低FODMAP食:FODMAP(発酵性オリゴ糖、二糖、単糖、ポリオール)を制限する食事法は、SIBOの症状を軽減するのに効果的です。具体的には、玉ねぎやニンニクなど高FODMAP食材を避けます。
- 適切な食物繊維の選択:イヌリンや難消化性デキストリンなどの発酵性食物繊維を適切に選び、過剰摂取を避けます。
- 消化酵素の利用:食事と一緒に消化酵素サプリメントを摂取し、消化プロセスを助けます。
- 定期的な食事:規則正しい食事のタイミングを守り、小腸の運動を促進します。
小まとめ
シーボ食事療法を効果的に実践するためには、イヌリンや難消化性デキストリンの特性を理解し、食物繊維の多様性を意識したバランスの良い食事が重要です。
低FODMAP食、適切な食物繊維の選択、プロバイオティクスの利用、消化酵素の利用などを組み合わせることで、SIBOの症状を効果的に管理し、健康な腸内環境を維持することができます。
参考文献
・MSD マニュアル
・小腸内細菌異常増殖(SIBO)における診断と治療の標準化を目指して/10.32264/shocho.3.0_45_1
・図解ストレス解消大全 科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました
・Microbiome. 2022 07 29;10(1);114. doi: 10.1186/s40168-022-01307-x.
・Critical Reveiews in Food Science and Nutrtion, 35(6):525-552(1995)
実験的潰瘍性大腸炎に対する梅肉エキスの医学的効果:紀州梅効能研究会HP
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著者プロフィール
河邊甲介 (薬剤師)
KOSUKE KAWABE
▷有資格
- 薬剤師
- 中医薬膳師:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- 薬膳素材専門士:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- ペットフーディスト
▷経歴
- 福岡大学薬学部卒
- 総合病院薬剤部・調剤薬局にて勤務
- 2024年1月より宮崎県川南町(峠の里)にて漢方×薬膳×腸活のお店「ほどよい堂」を開局
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