ビタミンDが関係している⁉ 免疫×腸内細菌とは⁉

免疫調節と食物繊維

免疫調節とビタミンD

がんを予防とビタミンD

ビタミンDの
驚くべき効果とは⁉

ビタミンDと関係がある健康関連事象

食事から摂取されたビタミンDは、体内で2段階の代謝を受けて活性型ビタミンDとなりCa代謝調節などの生理作用を発揮しています。

また、活性型ビタミンDの前駆物質であり重要な栄養指標となる25-ヒドロキシビタミンD(25OHD)の血中レベルが骨代謝や心血管系、免疫系、脂質代謝に影響し、最近ではCOVID-19の重症化に関与する可能性も報告されています。

25OHDはビタミンDの栄養状態を最もよく反映し、血中半減期が約3週間と長く、通常、10~30 ng/mL付近の濃度で血中に存在しています。

定常状態に至るまでには薬物の半減期の4~5倍の時間がかかると計算されます。つまり、(25OHD)/ビタミンDの血中濃度半減期である3週間の4倍⇒12週間でやっと血中濃度が定常状態に達することになります。

これは、ビタミンDは12週間服用して、やっと安定して効果が発揮できる状態になるということなのです。

食事と日光浴からビタミンDの供給と代謝

食品に含まれるビタミンDには、きのこ類に含まれるビタミンD2と魚類に多く含まれるビタミンD3があります。

日本人が摂取するビタミンDは、その90%以上は魚から摂取されるビタミンD3で、卵から3%、肉類から1.7%、きのこ類から摂取されるビタミンD2は4.4%です。

一方で、生体内ではプロビタミンD3である7-デヒドロコレステロール(7-DHC)が皮膚に存在し、これに日光の紫外線が照射されるとステロイド骨格B環が開裂し、プレビタミンD3となり熱異性化を経てビタミンD3が生成します。

食事や皮膚から供給されたビタミンD(ビタミンD2・D3を含む)は、肝臓で代謝され、その大部分が25OHDとなり、さらに腎臓で代謝され、核内のビタミンD受容体(VDR)との結合を介して生理作用を発揮します。

ビタミンDの免疫調節機能が花粉症予防に!

免疫担当細胞の調整がうまく作動することで自己免疫疾患・アレルギー疾患・感染症を予防することが出来ます。

この免疫担当細胞の調整に関係しているのが「ビタミンD」なのです。

ビタミンDの活性代謝産物であるカルシトリオールは単球、樹状細胞、胸腺や末梢のT細胞やB細胞に発現しているVit D受容体(VDR)に結合して免疫を制御することが分かっています。※1

このように、ビタミンDには免疫力のバランスをうまく調節してくれる作用があります。

アレルギー疾患である「花粉症」は免疫が過剰に働いている状態ですので、過剰になった免疫を抑えることで花粉症の症状が改善されるのです。

また、免疫が暴走するとリウマチ、膠原病などの自己免疫疾患が発症したり、アレルギーが出やすくなります。

逆に免疫が低下すると、細菌やウイルスによる感染症にかかりやすくなったり、がん細胞を排除することができず、がんを発症してしまいます。

ビタミンDと腸内細菌の多様性の関係!特に酪酸菌が優位に!

米国カリフォルニア大学サンディエゴ校からの研究報告によって、年配の男性において腸内細菌叢の構成が、骨の健康と免疫に重要な活性型ビタミンDのレベルと関連していることが明らかになりました。

解析の結果、腸内細菌叢の多様性が活性型ビタミンDレベルの高さと相関していることを発見し、12種類の特定の細菌が、活性ビタミンDの多い男性の腸内細菌叢に頻繁に出現することが示唆されました。この12種の細菌のほとんどが酪酸生成菌だったというのです。※2

つまり、ビタミンDを摂取することで腸内細菌の多様性が高まり、免疫がうまく調整される可能性があるということなのです。

ビタミンDと日光浴(UV-B)の関係!どれくらいの日光浴で十分なの?

日光(太陽光)に含まれる紫外線がビタミンDの生成に関わっています。

紫外線は、波長の長さによって「UV-A・UV-B・UV-C」の3つに分けられます。

UV-BはUV-Aに比べると波長が短く、ガラスなどを通過できないため屋内で浴びることはありませんが、屋外では日焼けの原因となります。

ビタミンDの生成に関わるのはUV-Bで、皮膚がUV-Bを浴びると、皮膚に存在する7-デヒドロコレステロールという物質を材料にしてビタミンDが生成されます。

そのため、ビタミンDの生成のためには屋外での日光浴が必要です。

ビタミンD生成に必要な日照時間は、季節や地域の紫外線の強さによって異なり、10㎍(マイクログラム)のビタミンD生成に必要な時間は、夏季(7月の12時)で那覇は5分、つくばは6分、札幌では8分というデータがあります。

紫外線は皮膚がんの原因以外にも、皮膚のシミやしわ、紫外線角膜炎、翼状片、白内障などの目の病気にも関連しています。

日光の浴びすぎは危険です。

毎日の15〜30分程度の効果的な日光浴が、ビタミンDやセロトニンを生成してくれ心身の健康に寄与してくれます。

ビタミンDの免疫反応のメカニズム(マクロファージとサイトカイン)

食品に含まれる一般的なビタミンD3に比べて3倍速く血中ビタミンD濃度を引き上げる代謝型ビタミンD3製剤「ampli-D」を販売しているオランダRoyal DSM社によって次の事が報告されています。

ビタミンDが病原体の排除を促進して過剰な炎症反応を抑制する免疫機能を発揮するメカニズムとして次の6点が挙げられていました。

(1)自然免疫機能を促進する
(2)単球やマクロファージ内での抗菌ペプチド(カテリシジンとディフェンシン)の生合成を促進する
(3)免疫寛容が機能するように獲得免疫反応を調整する
(4)Th2サイトカインをTh1サイトカインに比べ優位にする
(5)ミエリン樹状細胞の抗原提示を抑制する
(6)ビタミンD受容体を持つB細胞の抗体生成を抑制する。

ビタミンDと妊活!不妊治療を考えている女性は必見!

ビタミンDは不妊治療においても重要な栄養素です。

女性の場合、血中ビタミンDの濃度が十分な場合に妊娠率が高まるという結果が報告されています。

その他、ビタミンDを十分に摂取できていることが男性の精子の運動能力、受精能力を高めるという結果が報告されています。

蓄積するビタミンDは過剰に注意!高カルシウム血症で腎結石や血管の石灰化も!

ビタミンDは、脂溶性ビタミンであり、からだに蓄積するため過剰摂取による健康障害が知られています。

ビタミンDをとりすぎると、高カルシウム血症が起こり、血管壁や腎臓、心筋、肺などに多量のカルシウムが沈着します。

そのため腎機能障害や食欲不振、嘔吐、神経の興奮性の亢進などの症状が現れます。

腎結石の頻度が増す可能性もあります。

過剰の日光暴露は、体が生成するビタミンDの量を制限するので、ビタミンD中毒の原因にはならないとされています。

ビタミンDの単位

ビタミンDは、重量(μg)とビタミンD効力(国際単位:IU)で表示されることがあります。

  • 『μg』は『㎎』の1/1000です。例)25μgは0.025㎎
  • 『μg』から『IU』へ変換する場合は『μg×40』
  • 『IU』から『μg』へは『IU×0.025』

ビタミンDの食事摂取基準(μg/日)

日本人の食事摂取基準(2020年版)では1日の摂取の目安量が、18歳以上の男女ともに8.5㎍(マイクログラム)、耐用上限量が100㎍

参考文献

化学と生物 Vol.59,No.12,2021/日本人のビタミンD不足・欠乏の実態/津川尚子
※1:Takami M, et al. J Immunol. 2015 Sep 15
※2:Thomas、RL、Jiang、L.、Adams、JS他高齢男性のビタミンD代謝物と腸内微生物叢。 Nat Commun 11 , 5997 (2020)
薬剤師
河邊甲介

宮崎県の川南町にある峠の里からの絶景を眺めながら、漢方と薬膳を組み合わせた腸活相談が受けられる「薬局×セレクトショップ」です。

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