玄米のGABA・γ-オリザノールとは?認知症・物忘れと食生活の関係を薬剤師が解説
ほどよい堂|薬剤師が解説する食生活と脳の健康
玄米のGABA・γ-オリザノールとは?
物忘れが気になるときに知っておきたい
食事と生活習慣
「最近、人の名前がすぐに出てこない」 「物忘れが増えたような気がする」 「年齢とともに、脳の健康が気になってきた」
そんなとき、食生活や睡眠、 運動などを見直したいと考える方も 多いのではないでしょうか。
玄米には、米ぬか・胚芽に由来する γ-オリザノールなどの成分が含まれ、 GABA(ギャバ)も米の種類や加工条件によって 含有量が異なることが知られています。
ただし、 玄米や玄米×麹を食べることで 認知症を予防・改善できるという 十分な根拠があるわけではありません。
この記事では、玄米の成分を正しく理解しながら、 脳の健康を考える食事、 腸脳相関、中医学的な養生、 物忘れの受診目安まで整理します。
- 玄米のGABA
- γ-オリザノール
- 脳と腸の関係
- 食事・運動・休養
- 玄米×麹

玄米は、ぬか層と胚芽を残した穀物。 食事の選択肢として特徴を知っておきましょう。
FIRST|最初に確認
物忘れが気になるときは、食事だけで判断しないことが大切
物忘れは、年齢による変化だけでなく、 睡眠不足、ストレス、薬の影響、 うつ状態、内科的な病気などが関係する場合もあります。
「物忘れ=認知症」と決めつける必要はありませんが、 変化が続くときは原因を確認することが大切です。
- 同じ質問を何度も繰り返すようになった
- 予定や薬の管理が難しくなってきた
- 慣れた場所で道に迷うことがある
- 金銭管理や家事に支障が出ている
- 家族や周囲の人が以前との違いを感じている
こうした変化がある場合は、 かかりつけ医や、もの忘れ外来などにご相談ください。
突然の混乱、片側の手足の麻痺、 ろれつが回らない、激しい頭痛、 急な意識の変化などがある場合は、 脳卒中や急性の病気の可能性もあるため、 119番など緊急の医療対応を優先してください。
公的な相談窓口については、 厚生労働省「認知症に関する相談先」 も参考になります。
BRAIN HEALTH
脳の健康を考えるなら、食品ひとつより生活習慣全体を
認知機能の健康については、 食事・運動・睡眠・社会的なつながり・ 生活習慣病の管理など、 複数の要素を組み合わせて考えることが大切です。
WHOの認知機能低下と認知症のリスク低減に関する ガイドラインでも、 健康的な食生活や身体活動、 血圧・血糖などの管理が重視されています。
① 食事
野菜、魚、豆、全粒穀物などを 取り入れたバランスのよい食事。 特定の成分に偏らないことが基本です。
② 運動・循環
体調に合わせて歩く、 座りっぱなしを減らすなど、 無理のない身体活動を続けること。
③ 休養・人とのつながり
睡眠時間を確保し、 人と話すことや趣味など、 日常生活の活動を大切にすること。
玄米も、健康的な食生活を構成する 食品のひとつです。 それだけに認知症予防を期待するのではなく、 普段の食事全体の中で考えましょう。
BROWN RICE COMPONENTS
玄米のGABA・γ-オリザノールとは?成分と研究を正しく理解する
玄米には、米ぬかや胚芽に由来する さまざまな成分が含まれます。
ただし、「成分に関する研究」と 「その食品を食べた人への効果」は 区別して考える必要があります。
① GABA(ギャバ)とは?
GABAは、γ-アミノ酪酸と呼ばれるアミノ酸の一種です。 脳内では抑制性の神経伝達物質として働き、 神経活動の調節に関わっています。
GABAは食品にも含まれ、 米では品種や発芽・加工条件などによって 含有量が変わることがあります。
ただし、 食品として摂取したGABAが、 脳内で働くGABAと同じように作用するとは限りません。
玄米や玄米×麹を食べることで、 物忘れが改善する、認知症を予防するといった 効果は保証されていません。
② γ-オリザノールとは?
γ-オリザノールは、 米ぬかや米胚芽などに由来する 脂溶性成分の一群です。
抗酸化などに関する基礎研究が行われており、 米由来成分のひとつとして注目されています。
一方、基礎研究で観察された性質が、 そのまま通常の食事による 人の認知機能への効果を意味するわけではありません。
食品に含まれるγ-オリザノールによって 認知症が改善・予防されるとは言えません。
③ 食物繊維やビタミンB群について
玄米には、ぬか層や胚芽に由来する 食物繊維・ビタミン・ミネラルなどが含まれます。
これらは食生活全体の栄養バランスを 考えるうえで大切な要素です。
しかし、特定のビタミンや食物繊維を 多く摂れば認知症を防げるというものではありません。
栄養素は、必要量や不足の有無を考えながら バランスよく摂取することが基本です。
④ 発酵によって成分はどう変わる?
麹菌などの微生物を利用した発酵では、 原料に含まれる成分の形や量が 変化することがあります。
ただし、発酵の条件や加工方法によって 変化は異なります。
「発酵しているからすべての栄養素が増える」 「必ず消化吸収がよくなる」 と考えることは適切ではありません。
玄米×麹の加工食品を選ぶときは、 個々の製品の原材料・栄養成分表示を 確認しましょう。
GABAやγ-オリザノールは研究対象となっている成分ですが、 玄米や玄米×麹の加工食品について 認知機能への効果を保証する根拠にはなりません。
DAILY NUTRITION
脳の健康を意識した食事|まずは3つの栄養習慣から
① 主食を見直す
ごはんを食べるときは、 白米だけでなく、 玄米・分づき米・雑穀なども 選択肢にできます。
いきなり玄米100%を目指す必要はありません。 食感や胃腸の状態に合わせて、 無理なく続けられる方法を選びましょう。
② タンパク質と良質な脂質も意識
魚、肉、卵、大豆製品などの タンパク質源を毎日の食事に組み合わせます。
青魚やナッツなどを適量取り入れ、 脂質の種類にも目を向けましょう。
ただし、特定の食品や脂質を摂ることで、 認知機能の改善が保証されるわけではありません。
③ 野菜・海藻・きのこ・豆を食卓に
毎日の食事では、 野菜や豆類、海藻、きのこなど 複数の食品を組み合わせることを意識しましょう。
例えば、具だくさんの味噌汁や野菜スープなら、 日々の献立に取り入れやすくなります。
朝食の例
ごはん、卵または納豆、 野菜の入った味噌汁、 季節の果物など。
夕食の例
玄米を混ぜたごはん、 焼き魚、きのこや海藻の副菜、 温かい汁物など。
朝か夜の食事に、 具だくさん味噌汁や野菜スープを一杯。 噛む回数も少し意識してみましょう。 1口30回は無理のない目安です。
GUT & BRAIN
脳と腸は関係している?腸脳相関をやさしく解説
腸と脳は、神経、免疫、ホルモン、 腸内細菌がつくる代謝物などを介して 相互に関係していると考えられています。
これを腸脳相関と呼びます。
腸内細菌と気分・ストレス・認知機能などの 関係は研究されていますが、 腸活によって認知症が予防・改善するという 結論には至っていません。
腸活を考える3つの視点
プロバイオティクス
適切な量で摂取したときに 健康上の利益をもたらす生きた微生物。 菌の種類や量によって性質が異なります。
プレバイオティクス
腸内の微生物に利用される成分。 特定の食物繊維やオリゴ糖などが代表例です。
バイオジェニックス
微生物由来の成分や 発酵によって生じる成分などに着目する考え方。 食品によって内容は異なります。
腸のバリア機能も大切な研究テーマ
腸管には、必要な栄養素を取り込みながら、 不要なものの侵入を抑えるバリア機能があります。
いわゆるリーキーガットという言葉が 使われることもありますが、 さまざまな不調を すべて腸のバリア機能だけで説明することはできません。
腸内環境については、 食事の多様性、適切な食物繊維摂取、 睡眠やストレスとの関係を 総合的に考えることが大切です。
玄米、野菜、豆類、発酵食品を 普段の食事に組み合わせ、 無理なく続けられる形を探しましょう。
TRADITIONAL FOOD CARE
中医学ではどう考える?脾・腎・心・肝と日々の養生
中医学では、 心身の状態を気・血・津液、 陰陽、寒熱、虚実などの観点から捉えます。
また、伝統的な理論では 「脳は髄の海」と表現され、 腎・脾・心・肝などの働きとの関係を考えます。
ただし、これらは伝統医学の概念です。 現代医学における認知症の原因や 診断と同一視するものではありません。
脾気虚|消化吸収の働きが弱りやすいタイプ
食欲や食事量にむらがある方は、 温かい汁物、規則正しい食事、 食べやすい主食などを意識します。
腎虚|加齢や消耗を意識するタイプ
伝統的な養生では、 無理な活動を続けず、 食事・睡眠・休養を大切にすることを考えます。
心脾両虚|気血不足と休養の偏りを考えるタイプ
食事が不規則で休養も不足しがちな場合は、 食事の回数や睡眠、 生活リズムを振り返ります。
気滞・痰湿|ストレスや食習慣の偏りを考えるタイプ
急いで食べる習慣、 運動不足、夜食、睡眠不足などを振り返り、 できるところから調整します。
治則・養生の考え方
- 健脾:胃腸をいたわる食事を考える
- 養血:食事の内容と栄養バランスを見直す
- 理気:気分転換や適度な運動を取り入れる
- 補腎:休養を確保し、無理な消耗を避ける
漢方薬を検討する場合は、 体質や既往歴、服薬状況を確認し、 適切な証に基づいて選択します。 物忘れや認知症が疑われる状態について、 漢方薬だけで診断や治療を代替するものではありません。
※体質セルフチェックは中医学的な傾向を整理するもので、 認知機能の検査や医学的診断ではありません。
MEDICAL CHECK
物忘れの検査とは?MMSE・MoCAと受診の準備
物忘れが気になる場合、 医療機関では問診や必要な検査を組み合わせ、 認知機能や日常生活の状態を確認します。
MMSEとは?
MMSEは、記憶・見当識・注意・言語などを 確認する認知機能検査のひとつです。
検査の結果は、年齢や教育歴、 体調なども踏まえて専門家が解釈します。 点数だけで認知症を診断するものではありません。
MoCAとは?
MoCAは、記憶、注意、実行機能、 視空間認知などを確認する検査です。
必要に応じて医療機関などで実施され、 他の情報と合わせて評価されます。
家族が気づいた変化はどう伝える?
いつ頃から、どのような場面で、 どのくらいの頻度で変化が起きたのかを 具体的に記録しておくと、 受診時の情報整理に役立ちます。
服薬状況、睡眠、食欲、 日常生活で困っていることも 伝えられるようにしておきましょう。
①いつから気になるか
②実際に困ったこと
③家族から見た変化
④服用している医薬品
⑤睡眠・食事・体調の変化
相談先がわからない場合は、 かかりつけ医や地域包括支援センター、 認知症疾患医療センターなどが窓口になります。
参考: 厚生労働省|認知症に関する相談
BROWN RICE × KOJI
毎日玄米を炊くのが難しい方へ|玄米×麹という食生活の選択肢
玄米を普段の食事に取り入れたいと思っても、 毎日炊く手間や食感、 家族との食事の違いなどが 気になることがあります。
そのようなときは、 玄米を白米に混ぜる方法や、 分づき米を利用する方法などがあります。
また、玄米と麹を組み合わせた 加工食品を利用することも、 食生活の選択肢のひとつです。

玄米と麹を組み合わせた加工食品は、 製品ごとに原材料や栄養成分が異なります。
玄米ごはん
主食として食べる方法。 炊き方や混ぜる割合を調整して 日々の献立に取り入れられます。
玄米×麹の加工食品
原材料や食べ方を確認し、 普段の食生活に加えるかどうかを 検討する方法です。
玄米×麹の加工食品は、 認知症や物忘れの治療・予防を目的とした 医薬品ではありません。 主食や野菜、タンパク質の代わりになるとも限りません。
購入前に確認したい5項目
- 原材料とアレルギーに関する表示
- 内容量と栄養成分
- 食品の形状と食べ方
- 価格・送料・定期購入の条件
- 服薬状況や食事制限との相性
嚥下機能に不安がある方、治療中の方、 食事制限が必要な方は、 食べ方や製品の適否を医療専門職に確認してください。
DAILY HABITS
3日・3週間・3か月で考える、無理のない生活習慣
ここで示す期間は、 認知機能の変化や健康効果が現れるまでの 期間ではありません。 生活習慣を振り返るための目安です。
最初の3日
できることを1つ試す
具だくさん味噌汁を用意する、 甘い飲み物の一部をお茶に替える、 朝の散歩を始めるなど、 無理のないことから。
3週間
生活の中に定着させる
主食・主菜・副菜をそろえる回数や、 運動・睡眠・人との交流などを 振り返ります。
3か月
自分に合う方法を選び直す
食事内容、体調、続けやすさ、 費用などを確認し、 今後も続けたい習慣を考えます。
休養も積極的に取り入れる
休養には、睡眠やリラックスだけでなく、 軽い運動、人やペットとの交流、 趣味、創作活動など、 さまざまな方法があります。
疲れの背景に合わせて、 負担を減らす方法と 自分が心地よいと感じる活動を 組み合わせましょう。
食事・運動・休養を無理なく組み合わせ、 体調や生活環境に合わせて調整していきましょう。
FAQ
玄米・GABA・物忘れについてのよくある質問
Q1. 玄米を食べると認知症を予防できますか?
玄米を食べることで認知症を 予防できると断定することはできません。
認知機能の健康については、 食事・運動・生活習慣病の管理など 複数の要素を総合的に考えることが大切です。
Q2. GABAを食べると記憶力がよくなりますか?
GABAは脳内で神経活動に関わる物質ですが、 食品として摂取したGABAが 記憶力を改善するとは限りません。
玄米や玄米×麹による 記憶力の改善を保証するものではありません。
Q3. γ-オリザノールは脳によい成分ですか?
γ-オリザノールについては、 基礎的な研究が行われています。
ただし、玄米から摂取することで 認知症を予防・改善するという 効果が確立されているわけではありません。
Q4. 腸活で物忘れを改善できますか?
腸内細菌と脳の関係は研究されていますが、 腸活によって物忘れや認知症が 改善するとは言い切れません。
物忘れが続く場合は、 食品やサプリメントだけで対応せず、 医療機関へご相談ください。
Q5. 玄米×麹は毎日食べたほうがよいですか?
毎日摂取することが すべての人に必要とは限りません。
商品ごとに原材料・栄養成分・目安量が 異なるため、 購入先の表示を確認してください。
主食、野菜、タンパク源などを 含む普段の食生活を基本に考えましょう。
Q6. 物忘れが心配ですが、何科を受診すればよいですか?
まずはかかりつけ医に相談できます。 必要に応じて、 もの忘れ外来や神経内科などの 専門医療機関につながることがあります。
急な神経症状や意識の変化がある場合は 救急対応を優先してください。
Q7. ほどよい堂では何を相談できますか?
REFERENCES
参考資料・情報の確認先
WHO|認知機能低下と認知症のリスク低減ガイドライン(2026年版)
Risk reduction of cognitive decline and dementia:
WHO guidelines, second edition
WHO|認知症に関するファクトシート
Dementia
厚生労働省|認知症に関する相談先
認知症に関する相談について
なお、GABAやγ-オリザノールに関する 成分の研究結果は、 特定の玄米×麹商品の臨床効果を 示すものではありません。


