高血圧と漢方:症状別のおすすめ処方と中医学的な考え方
高血圧は自覚症状が少なく、気づかないうちに進行するため「サイレントキラー」とも呼ばれます。
放置すると動脈硬化や心臓病、脳卒中のリスクが高まり、健康を脅かします。
西洋医学では降圧剤による対症療法が一般的ですが、漢方では「気・血・津液」の流れを整え、体全体のバランスを整えることで根本からの改善を目指します。
本記事では、中医学の視点から高血圧を引き起こす体質や原因を分析し、それぞれのタイプに適した漢方処方をご紹介します。
自分の症状に合った漢方薬を知り、未病の段階から健康管理を始めましょう。

目次
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高血圧とは?未病の段階から整える中医学的アプローチ

高血圧は、自覚症状が少ないため放置されがちですが、放っておくと動脈硬化や心臓病、脳卒中などのリスクが高まります。
西洋医学では降圧剤で血圧をコントロールしますが、漢方では体全体のバランスを整えることで、根本から改善していくことを目指します。
漢方では「気・血・津液」の流れを整えることが重要です。
特に、五臓六腑のバランスが乱れると、血圧が上昇しやすくなります。
この記事では、高血圧の症状に応じた漢方処方を中医学の視点から解説していきます。
高血圧のサインを見逃すな!基準値・原因・リスクを徹底解説【必読】
高血圧は、持続的に血圧が上昇する病態です。
一般的に、診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます12。
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことを指します。
これは以下の要因によって決定されます:
- 心臓が血液を押し出す力
- 血管の拡張度
- 血管の弾力性
また、血圧は腎臓、神経系、内分泌系、血管内皮からの物質など、多くの因子によって調整されています3。
血圧は常に変動しており、以下のような特徴があります:
血圧は最高血圧(収縮期血圧)と最低血圧(拡張期血圧)の2つの値で表されます:
- 最高血圧:心臓の収縮時に動脈の血圧が最高に達したときの値
- 最低血圧:心臓の拡張時に動脈の血圧が最低に達したときの値3
高血圧の基準は、測定場所によって異なります:
- 家庭血圧:135/85mmHg以上
- 診察室血圧:140/90mmHg以上4
高血圧は自覚症状がほとんどないため「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれます。
しかし、放置すると動脈硬化を引き起こし、心臓、眼底、脳、大動脈、腎臓など全身の循環器臓器に障害を起こす可能性があります12。
血圧が高くなる理由を東洋医学で解明!心と体の乱れを整えよう

「血圧が高い」と言われると、塩分の摂りすぎや運動不足を思い浮かべがちですが、東洋医学ではそれだけが原因とは考えません。
体のバランスの乱れが、血圧の上昇を引き起こしていることも多い んです。
例えば、ストレスや緊張が続くと「気」の巡りが悪くなり、血管が収縮して血圧が上がることがあります。
また、血(けつ)が不足すると、血の流れが悪くなり、心臓に負担がかかることで血圧が高くなることも。
そして、体に余分な水分(湿邪)が溜まると、血流を妨げてしまい、むくみやだるさと一緒に血圧上昇につながることもあるんです。
でも大丈夫。
生活習慣を少し見直すだけで、心と体のバランスを整え、血圧を安定させることができます!
今すぐ始められる東洋医学の視点からの改善法をご紹介します。
症状のタイプ | 病証 | 主な症状 | おすすめの漢方薬 |
---|---|---|---|
ストレスでイライラし血圧が上がる | 肝鬱化火証 | ストレスで血圧上昇、イライラ、のぼせ、便秘、頭痛 | 大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯 |
いつも怒りっぽく、顔が赤い | 肝火上炎証 | 怒りやすい、頭痛、めまい、目の充血、皮膚炎 | 竜胆瀉肝湯、釣藤散 |
胃腸が弱く、むくみやめまいがある | 痰濁中阻証 | 軟便・下痢、水分過剰で体が重い、めまい、頭痛 | 半夏白朮天麻湯 |
のぼせがひどく、足が冷える | 血於阻絡証 | 顔がのぼせ、足は冷える、生理前悪化(女性)、化粧のノリが悪い | 桂枝茯苓丸 |
睡眠不足でほてりが強い | 肝腎陰虚証 | 不規則な生活、皮膚・目の乾燥、夕方からのほてり | 六味地黄丸、釣藤散 |
疲労時に動悸・息切れが出る | 気陰両虚証 | 動悸、息切れ、多汗、喉の渇き、心臓病の持病 | 炙甘草湯 |
冷え性で膀胱炎を起こしやすい | 脾腎陽虚証 | 疲れ・冷えで頻尿、手足や腰の冷え、寒がり | 八味丸+人参湯 |
ストレスでイライラすると血圧が上がるタイプ(病証:肝鬱化火証)
▶特徴的な症状
- 仕事や人間関係のストレスで血圧が上がる
- イライラしやすく、怒ると顔が赤くなる
- のぼせや充血、頭痛、肩こりがある
- 便秘気味で、お腹に張りを感じる
▶おすすめの漢方薬
- 大柴胡湯(だいさいことう):ストレスで肝の気が滞り、熱を持つ状態を改善。便秘や肥満気味の人にも。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):不安感が強く、イライラしやすい人に適する。
いつも怒りっぽく、顔が赤いタイプ(病証:肝火上炎証)
▶特徴的な症状
- すぐにカッとなる、怒りやすい
- 頭痛、めまい、耳鳴りがある
- 目の充血、顔の赤みが強い
- 皮膚の湿疹や炎症が出ることも
▶おすすめの漢方薬
- 龍胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):熱を冷まし、炎症を抑える。皮膚症状がある場合にも有効。
- 釣藤散(ちょうとうさん):興奮が強く、不眠や神経過敏の人に。
胃腸が弱く、むくみやめまいがあるタイプ(病証:痰濁中阻証)
▶特徴的な症状
- 胃腸が弱く、軟便や下痢になりやすい
- 水分を摂りすぎると体が重だるくなる
- めまいや頭痛が出やすい
▶おすすめの漢方薬
- 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):水分代謝を改善し、めまいや頭痛を軽減。
のぼせがひどく、足が冷えるタイプ(病証:血於阻絡証)
▶特徴的な症状
- 顔がのぼせやすいが、足は冷える
- 生理前に症状が悪化し、生理後に軽くなる(女性)
- 化粧のノリが悪い
▶おすすめの漢方薬
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):血の巡りをよくし、のぼせと冷えを改善。
睡眠不足でほてりが強いタイプ(病証:肝腎陰虚証)
▶特徴的な症状
- 夜間勤務や不規則な生活で睡眠不足
- 皮膚や目の乾燥が目立つ
- 夕方以降、手足や顔のほてりがひどくなる
▶おすすめの漢方薬
- 六味地黄丸(ろくみじおうがん):肝と腎を補い、ほてりや疲労感を改善。
- 釣藤散(ちょうとうさん):血圧上昇時に使用し、頭痛やめまいを和らげる。
疲労時に動悸・息切れが出るタイプ(病証:気陰両虚証)
▶特徴的な症状
- 疲れると動悸や息切れがする
- 多汗や喉の渇きがある
- 心臓病の持病があることが多い
▶おすすめの漢方薬
- 炙甘草湯(しゃかんぞうとう):動悸や息切れを改善し、心臓の働きを助ける。
冷え性で膀胱炎を起こしやすいタイプ(病証:脾腎陽虚証)
▶特徴的な症状
- 疲れたり冷えるとトイレが近くなる
- 手足や腰が冷え、寒がり
- 冷たいものを摂ると体調を崩しやすい
▶おすすめの漢方薬
- 八味丸(はちみがん)+人参湯(にんじんとう):体を温め、冷えによる不調を改善。
【症例報告】血圧が安定した実例紹介!漢方でできる高血圧対策

高血圧は自覚症状が少ないものの、放置すると脳卒中や心疾患のリスクを高めるため、早めの対策が重要です。
一般的に降圧薬が処方されますが、「薬を減らしたい」「体質から改善したい」と考える方も多いのではないでしょうか?
漢方医学では、高血圧の原因を「肝火」「腎陽虚」「内風」などの証(体質)に分類し、個々の状態に応じた治療を行います。
本記事では、実際に漢方で血圧を安定させた症例を紹介し、体質別の治療アプローチや改善のポイントを解説します。
自然な方法で血圧をコントロールしたい方、漢方の可能性を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
症例1
▶患者情報:
- 50代女性
- 健康診断で高血圧と診断され、降圧薬を服用開始
- 頭痛があり、特に早朝に締め付けられるような痛みが出現
- 疲労感が強く、ふらつきや耳鳴りを伴うこともある
- 胃腸が弱く、最近は食欲も減退
▶中医学的分析:
この患者は、頭痛やふらつき、耳鳴りがあることから「内風」が存在すると考えられる。また、疲労の蓄積による自律神経の不調が影響している。これを「肝陽化風」といい、情緒の不安定さや風のように揺れ動く症状が特徴的である。
▶処方:
- 釣藤散(ちょうとうさん):肝陽の動きを安定させ、頭痛やふらつきを改善
▶経過:
3か月の服用で頭痛が軽減し、ふらつきも消失。血圧も安定し始めた。
症例2
▶患者情報:
- 60代男性
- 5年前から血圧上昇し、上160〜170mmHg、下90mmHg程度
- 降圧薬を服用中で血圧は安定
- 慢性的な肩こりがある
- 顔色がやや赤く、のぼせやすい
- 目の充血、イライラしやすく、不眠傾向
- 便秘がちで、便は硬い
- 舌は赤く、黄色い舌苔あり
▶中医学的分析:
顔の赤み、のぼせ、目の充血などの症状から「熱邪」が影響していると考えられる。さらに、イライラしやすく、不眠傾向があることから、「肝火」が亢進している状態と判断。
▶処方:
- 大柴胡湯(だいさいことう):肝の機能を改善し、熱を冷ます。便秘に対する瀉下作用もあり。
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう):清熱作用が強く、熱証の改善に有効
▶経過:
3か月で顔の赤みや目の充血が改善し、睡眠の質も向上。5か月後には血圧が低下し降圧薬を半量に調整。その後6か月間で降圧薬を中止し、漢方薬も約1年間で終了。血圧はその後も安定。
症例3
▶患者情報:
- 70代女性
- 60歳頃から徐々に血圧が上昇し、降圧薬を開始
- ふらつきや耳鳴りがあり、足腰が冷え、だるさを感じる
- 気持ちが落ち着かず、理由もなくイライラすることがある
- 舌は白っぽい
▶中医学的分析:
加齢により「腎」の機能が衰え、「腎陽虚」による高血圧と判断される。腎陽虚は、耳鳴りやふらつき、足腰の冷えやだるさのほか、めまい、腰痛、排尿異常などの症状が現れる。
▶処方:
- 八味地黄丸(はちみじおうがん):腎陽を補い、加齢による血圧上昇を改善
- 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)(場合により):利尿作用が強く、降圧効果を高める
▶経過:
1年間の服用で血圧が安定し、症状も緩和。足腰の冷えやだるさも改善。
総括
日本人の高血圧の大部分は本態性高血圧であり、その原因は明確でない場合が多い。
しかし、漢方では個々の体質や症状に基づいて処方を決定し、体全体のバランスを整えることで血圧の安定を図ります。
高血圧症において漢方治療を導入する際は、
- 患者の体質や症状の詳細な聞き取りを行う
- 血圧の数値だけでなく、全身のバランスを考慮する
- 漢方薬を用いる際は、自己判断で降圧薬を中断しないよう指導する
漢方は、西洋薬のような即効性はないが、長期的に全身の調和を取り戻すことで血圧を安定させることができます。
患者ごとの体質や証に応じた適切な処方を行うことが、より良い治療結果につながることが多いです。
まとめ:漢方で高血圧の根本改善を目指す

高血圧は西洋薬でコントロールすることも大切ですが、漢方では体全体のバランスを整えて根本改善を目指します。
生活習慣の見直しとともに、自分に合った漢方薬を取り入れることで、健康な体を維持しましょう。
高血圧のタイプは人それぞれ異なりますので、自己判断せず、専門家と相談しながら適切な漢方を選ぶことが重要です。
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河邊甲介
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著者プロフィール
河邊甲介 (薬剤師)
KOSUKE KAWABE
▷有資格
- 薬剤師
- 中医薬膳師:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- 薬膳素材専門士:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- ペットフーディスト
▷経歴
- 福岡大学薬学部卒
- 総合病院薬剤部・調剤薬局にて勤務
- 2024年1月より宮崎県川南町(峠の里)にて漢方×薬膳×腸活のお店「ほどよい堂」を開局
身体とこころの安心をお届けします
薬剤師であり、漢方×薬膳×腸活の専門家として、「ほどよい堂」を運営しています。
中医学的体質診断を基に、個別に最適な健康アドバイスを提供し、無料相談も実施中。
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