”陽虚” の漢方的養生法!【体質別養生法】

薬剤師
河邊甲介

漢方的には体質は8つに分することが出来ます!
体質ごとに養生法は異なります。
それぞれの体質(タイプ)別に解説していきます。

”陽虚” とは
どのような状態なの?

陽虚とは、かただを温める力が不足した状態です。

体内の陽気が不足しているため、温煦おんく作用・推動すいどう作用・気化きか作用などが低下している状態となります。

身体にとってとても大切な「熱」を蓄えるのが五臓でいう「腎」なのです。

漢方では「腎」は成長・発育・生殖に深く関係する臓腑として考えられています。

心陽虚:陽虚+「心」の機能低下

※陽虚(冷え)に心気虚が加わった状態です。

心気虚の代表的な症状は次の通りです。

  • 動悸・息切れ・胸苦しい(疲労感を伴い動くと悪化することが多い)
  • 不安感
  • めまい感
  • 冷や汗

脾陽虚:陽虚+「脾」の機能低下

※陽虚(冷え)に心気虚が加わった状態です。

心気虚の代表的な症状は次の通りです。

  • 食欲不振・食が細い
  • 下痢や軟便傾向
  • お腹が張る
  • 吐き気や嘔吐
  • 手足がだるい
  • 倦怠感がある

腎陽虚:陽虚+「腎」の機能低下

※陽虚(冷え)に腎気虚が加わった状態です。

腎気虚の代表的な症状は次の通りです。

  • 下肢の痛み・腰痛
  • かゆみ
  • 加齢によるかすみ目
  • むくみ
  • 排尿困難・夜間頻尿
  • 耳鳴り・難聴

陽虚になる主な原因は次の通りです!

  • 体質が虚弱(先天的な人生不足)
  • 慢性病
  • 老化・加齢
  • 気虚が悪化
  • 過労

”陽虚タイプ” に
おすすめの養生法とは?

身体を冷やさない様な服装を!

暖かくて保温性の高い衣類が必要です。

重ね着で空気を含ませ、体温を逃がさないようにしましょう。

防風・防水性のあるアウターを利用し、特に手足や首元を重点的にカバーすることが重要です。

保温性の高い素材如羊毛やフリースを選び、厚手の靴下や手袋も活用します。

ヘッドギアで頭部を保護し、体全体を包み込むような着こなしで寒さから身を守りましょう。

身体を冷やす食材・冷たい飲食物を避ける

薬膳においては、生ものは身体を冷やすと考えます。

生野菜・刺身・果物などはなるべく控えるようにしましょう!

野菜を摂る場合は、野菜スープやみそ汁などがおすすめです。

身体を冷やす食材

牡蠣、ひじき、蕎麦、ナス、きゅうり、もやし、トマト、スイカ、バナナ、麦茶、緑茶、牛乳など

積極的に体を動かす

ウォーキング

積極的な運動は、体温を上昇させる主要な要因です。

運動により筋肉が収縮し、エネルギーが発生する過程で体温が上昇します。

血液が全身に行き渡り、代謝が活発化することで熱が発生し、身体が温まります。

また、運動により心臓が効率的に血液を送り出すため、体温調節がより効果的に行われます。

これにより冷え性の改善や寒冷地での適応力向上が期待できます。

定期的な運動は体温維持だけでなく、全身の健康促進にも寄与します。

睡眠時間を長めに確保する

過度な肉体労働や精神疲労は五臓でいう「腎」を傷めてしまいます。

腎は生命力と深い関係があり、負担をかけると熱の不足を招いてしまいます。

きちんと睡眠時間を確保して、腎の働きを回復させてあげることが大切です。

また、漢方的には性行為も腎に負担をかけると考えます。

過剰な性行為も控えるようにしましょう。

”陽虚タイプ” に
おすすめの食材とは?

薬膳的には、ニンニク、ニラ、ブロッコリー、タコ、鮭、カツオ、鰻、エビ、羊肉、クルミ、桃、味噌、杜仲茶などが熱・温属性の食べ物で身体を温めてくれます。

陽虚タイプは、身体を温める飲食物、余分な水分を少なくする飲食物、筋骨を強め関節の痛みを取る食材を選ぶようにしましょう!

”陽虚タイプ” に
おすすめの漢方薬

熱が不足している「陽虚タイプ」に向いた漢方薬は、腎陽を増強する作用がある生薬が含まれているものがおすすめです。

代表的な生薬は次の通りです。

  • 附子ぶし
  • 桂皮けいひ
  • 乾姜かんきょう
  • 細辛さいしん
  • 呉茱萸ごしゅゆ
  • 五味子ごみし

八味地黄丸(はちみじおうがん)

老化からくる泌尿器症状や、足腰の運動器症状に効果的なおすすめの漢方薬が八味地黄丸はちみじおうがんです。

『八味地黄丸』は加齢にともなう諸症状に効果が認められています。

「アンチエイジング」・「ウイズエイジング」効果が期待できる漢方薬です。

桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

胃腸が弱く、体質的に虚弱傾向のひとで関節痛・神経痛・しびれ感がある場合におすすめの漢方薬が桂枝加朮附湯けいしかじゅつぶとうです。

『桂枝加朮附湯』は体質的には胃腸虚弱で冷え性などの ”陰虚証” といわれる場合が使用の目安になります。

『桂枝加朮附湯』の効果は生薬的には「附子」「蒼朮」が鎮痛作用・抗炎症作用を示していると考えられています。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

年齢を重ねてきて、少し体力などが落ちてきていると感じてきている方に、おすすめの漢方薬が牛車腎気丸ごしゃじんきがんです。

足腰の衰えや、尿漏れなどの泌尿器系の衰えにも効果があります。

『牛車腎気丸』の構成生薬は、『八味地黄丸』「牛膝」「車前子」を加えた方剤です。

この2種の生薬が加わることで、『八味地黄丸』に比べて、利尿作用・鎮痛作用が強化されると考えられています。

真武湯(しんぶとう)

冷え性の虚弱体質のひとの慢性の下痢におすすめの漢方薬が真武湯しんぶとうです。

体内の水分の異常による浮腫み、めまいなどにも効果があります。

冷え性で、代謝機能が低下したひとの様々な状態を改善する漢方薬です。

”陰虚証の水毒” に用いるとよいとされています。

慢性の下痢、浮腫み、めまい、低体温などが使用の目標になります。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯

寒冷などによって、手足の先が冷えてつらい思いをしている方におすすめの漢方薬が当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとうです。

呪文・早口言葉のようなネーミングの漢方薬ですね!

”四逆” の「四」とは四肢、「逆」とは逆冷のことを指していて、体の末端から冷えが上がっていくことを意味します。

冬場であれば、「しもやけ」などに、夏場であれば、「クーラーでの冷え」などに使用されます。

血行をよくして冷えた体を温め、冷えによる痛みをとります。

薬剤師
河邊甲介

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