高血圧対策の最新ガイドライン!漢方薬と食事で効果的に改善する方法
高血圧は自覚症状が乏しいため、気づかないうちに進行することが多く、放置すると頭痛や腎臓のトラブル、さらには動脈硬化や心筋梗塞などの重大な合併症を引き起こすリスクがあります。
高血圧の基準は年々変わっており、2024年の最新ガイドラインでは140/90 mmHg以上が高血圧と定義されています。
この高血圧の原因には、塩分の過剰摂取、ストレス、運動不足、遺伝などが挙げられますが、漢方では個々の体質に基づいた治療法が推奨されています。
漢方は高血圧の根本原因を改善し、体全体のバランスを整えるアプローチを取ります。
特に高血圧の症状として現れる頭痛や随伴症状を緩和する漢方薬が多く使用されています。
また、食事療法も重要で、塩分を控え、体を温める食材を積極的に取り入れることが推奨されます。
西洋医学の降圧薬と異なり、漢方薬は長期的な体質改善を目指し、副作用が少ないため、自然な方法で高血圧を改善する効果が期待されます。
目次
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高血圧とは?原因と症状、治療法を徹底解説
高血圧は、日本人に非常に多い疾患であり、約4300万人が患っているとされています。
自覚症状が少ないため、検診で初めて気づく人も多いです。
一般的な治療法は降圧剤を使用した血圧管理ですが、多くの人ができる限り薬を使わずに血圧を下げたいと考えています。
高血圧は血管に常に負担をかけ、血管の内壁に傷をつけるほか、動脈硬化や脳卒中、心疾患、慢性腎臓病といった重大な病気に繋がるリスクもあります。
近年の研究では、血圧が高いほど脳卒中の発症率が高まることが明らかになっています。
高血圧の背景と原因:心臓と血管への影響とは
血圧は、心臓が送り出す血液量と、血管内の抵抗によって調節されます。
高血圧の原因には、以下の要素が関与しています。
- 精神的ストレス
- 過労
- 過剰な塩分摂取
- 喫煙やアルコールの過剰摂取
- 運動不足
- 遺伝的要因
- 加齢
これらの要因が、心臓や血管に負担をかけ、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスク
高血圧の診断基準が2024年4月に変更!今後の治療方針と最新対策とは?
以下に、令和6年度版「標準的な健診・保健指導プログラム」に基づく血圧の基準と対応を、不等号を用いて表にまとめ直しました。
この表は、血圧の値に応じた対応を、肥満者と非肥満者に分けて示しています。
血圧の値 | 肥満者の場合 | 非肥満者の場合 |
---|---|---|
≥160/100 mmHg | すぐに医療機関を受診する | すぐに医療機関を受診する |
140 mmHg ≤ 収縮期血圧 < 160 mmHg 90 mmHg ≤ 拡張期血圧 < 100 mmHg | 生活習慣を改善し、数値が改善しない場合は医療機関を受診する | 生活習慣を改善し、数値が改善しない場合は医療機関を受診する |
130 mmHg ≤ 収縮期血圧 < 140 mmHg 85 mmHg ≤ 拡張期血圧 < 90 mmHg | 特定保健指導を積極的に活用し、生活習慣を改善する | 生活習慣を改善する |
<130/85 mmHg | 今後も継続して健診を受診する | 今後も継続して健診を受診する |
年齢とリスクで異なる降圧目標!あなたに合った血圧コントロール法とは?
以下に、降圧目標を年齢やリスク別に表にまとめました。
この表は、年齢や持病、リスク要因に応じて異なる降圧目標を示しています。
対象グループ | 診察室血圧目標 | 家庭血圧目標 |
---|---|---|
・75歳未満の成人 ・脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし) ・冠動脈疾患患者 ・CKD患者(蛋白尿陽性) ・糖尿病患者 ・抗血栓薬服用中 | 130/80 mmHg未満 | 125/75 mmHg未満 |
・75歳以上の高齢者 ・脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価) ・CKD患者(蛋白尿陰性) | 140/90 mmHg未満 | 135/85 mmHg未満 |
高血圧治療薬の効果と副作用を知る!安心して治療を続けるための基礎知識
以下に、高血圧治療薬の種類とその作用、副作用を表にまとめました。
この表は、各種類の高血圧治療薬の薬品名、効果、および副作用を簡潔にまとめたものです。
薬の種類 | 薬品名 | 効果 | 副作用 |
---|---|---|---|
ACE阻害薬 | セタプリル、ゼストリル、タナトリル、コバシル、エースコール、カプトプリル、レニベース、アデカット、ロンゲス、チバセン、コナン、オドリック、プレランなど | アンジオテンシンⅡの生成を防ぎ、血管を広げることで血圧を下げる。 | 空咳、のどの違和感、むくみ |
ARB | ミカルディス、ディオバン、ブロプレス、ニューロタン、オルメテック、イルベタン、アバプロなど | アンジオテンシンⅡが受容体に結合するのを防ぎ、血管を拡張させることで血圧を下げる。 | 軽い動悸、めまい |
カルシウム拮抗薬 | ノルバスク、アムロジン、ニフェジピン、ヘルベッサー、バイミカード、バイロテンシン、ニバジール、カルスロット、アテレック、カルブロック、コニールなど | カルシウムイオンの細胞内流入を抑え、血管を拡張させることで血圧を下げる。 | 顔のほてり、むくみ、頭痛、動悸、便秘 |
利尿薬 | ナトリックス、アルダクトン、フルイトラン、ラシックス、ルプラックなど | 腎臓での塩分と水分の排出を促進し、血圧を下げる。 | 脱水、低カリウム血症、糖尿病、痛風 |
α(アルファ)遮断薬 | カルデナリン、デタントール、エブランチル、ハイトラシン、バソメット、ミニプレスなど | 血圧を上げる神経の働きを抑え、血管を広げて血圧を下げる。 | 立ちくらみ、めまい |
β(ベータ)遮断薬 | テノーミン、メインテート、ロプレソール、インデラルなど | 血圧を上げる神経の働きを抑え、心拍出量を減少させたり、血管の収縮を弱めたりして血圧を下げる。 | 脈拍数減少、手足の冷え |
高血圧と漢方:伝統的なアプローチで血圧をコントロールする方法
漢方では、高血圧の原因を「血行不良」や「臓腑の乱れ」に求めます。特に「心」「肝」「腎」の機能低下が血圧に影響を与えると考えられています。
生活習慣の見直しとともに、漢方薬を使って体質を改善し、高血圧になりにくい体を作ることを目指します。
高血圧改善に向けた漢方アプローチ:体全体のバランスを整える方法
漢方は血圧を直接的に下げるのではなく、体全体のバランスを整えることで血圧を安定させる治療を行います。
具体的には、血流を良くし、肥満を改善し、自律神経を整える効果を重視しています。
高血圧に対する漢方治療は、体質に合わせた個別のアプローチが必要です。
1. 瘀血(おけつ)タイプの高血圧
「瘀血」とは血流が悪く、血が滞っている状態を指します。
このタイプの高血圧は、特に毛細血管の血行不良が原因となります。
肩こりや頭痛、手足のしびれが見られ、血管が硬くなり動脈硬化のリスクも高まります。
治療には、血流を改善する『冠元顆粒』や『血府逐瘀丸』、『冠心Ⅱ号方』などが用いられます。
2. 肝火(かんか)タイプの高血圧
自律神経の乱れや精神的なストレスによって「肝火」が上昇し、血圧が不安定になるタイプです。
このタイプの高血圧には、イライラや頭痛、めまい、口の渇きなどが伴います。
治療には、『降圧丸』や『抑肝散』、『柴胡加竜骨牡蠣湯』などが使われます。
3. 陰虚(いんきょ)タイプの高血圧
加齢や慢性的な体力の消耗による「陰虚」が原因となるタイプです。
この場合、体が熱っぽく、ほてりや寝汗、めまい、耳鳴りなどの症状も見られます。
治療には、腎陰を補う『六味地黄丸』や『杞菊地黄丸』、『瀉火補腎丸』が用いられます。
漢方と西洋医学の高血圧治療:根本的なアプローチの違い
西洋医学では、まず生活習慣を見直し、それでも血圧が下がらない場合は降圧薬を使用します。
これに対し、漢方では個々の体質に合わせた治療を行い、根本的な体質改善を目指します。
特に瘀血や自律神経の乱れ、陰虚といった原因を取り除くことで、未病を防ぎます。
小まとめ
高血圧は、日本の食習慣や生活習慣病の影響で多くの人が抱える疾患です。
漢方では、個々の体質に基づき、根本からの改善を図ることで、降圧剤に頼らず自然な形で血圧をコントロールすることが可能です。
生活習慣の見直しと漢方薬の併用により、高血圧リスクを軽減し、健康的な体作りを目指しましょう。
高血圧対策に人気の漢方処方を紹介!副作用の少ない治療法
高血圧は、心臓や血管に大きな負担をかける疾患であり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高めます。
漢方医学では、高血圧は体質や生活習慣、根本原因によって異なるタイプが存在し、それに応じた漢方処方が推奨されます。
高血圧治療における漢方薬の活用法:長期的な体質改善を目指す
漢方薬は根本的な体質改善を目的とするため、即効性を求めるのではなく、長期的に取り組むことが重要です。
既に降圧薬を使用している場合でも、自己判断で中止することは避け、漢方薬と併用しながら徐々に体質を整えていくことが推奨されます。
高血圧に効果的な漢方処方とは?よく使われる漢方薬を徹底解説
- 釣藤散(ちょうとうさん)
精神的ストレスが原因で起こる高血圧に効果的。めまいや頭痛を伴う場合に用いられます。 - 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
胃腸の機能低下による水分代謝の異常から生じる高血圧に適応。むくみや食欲不振がある場合に使用されます。 - 大柴胡湯(だいさいことう)
肥満や脂肪肝が原因の高血圧に。体力があり、便秘やイライラを伴うケースに効果的です。 - 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
肝の炎症による高血圧に対して。顔のほてりや口の渇きが強い場合に用いられます。 - 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
体内の「熱」や炎症を抑える効果があり、血圧上昇とともに、イライラや不眠を伴うタイプに。 - 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
精神的ストレスが主な原因の高血圧に。心悸亢進や不眠を伴う場合に使用されます。 - 八味地黄丸(はちみじおうがん)
加齢や腎の機能低下による高血圧に。冷えや足腰のだるさがある場合に効果的です。 - 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
腎臓の機能を高め、体内の水分バランスを整えることで血圧を安定させます。 - 冠心Ⅱ号方
心臓の血流を改善し、血圧のコントロールに有効。心筋梗塞のリスクを軽減します。 - 七物降下湯(しちもつこうかとう)
七物降下湯は「血虚生風」の症状—血液不足による頭痛やふらつき—に対処し、体力を補いながら高血圧を改善するための処方です。
七物降下湯の成分解説:高血圧改善に役立つ漢方薬の秘密
七物降下湯は昭和の著名な漢方医、大塚敬節が生み出した漢方薬です。
この処方は、大塚先生自身の高血圧症による眼底出血や頭痛の治療を目的に開発されました。
既存の漢方薬では症状が改善せず、新たに開発されたこの薬は成功を収め、視界の狭まりや脳出血を防ぐのに役立ちました。
七物降下湯の構成は次の通りです。
- 四物湯(地黄、芍薬、当帰、川芎):血虚を改善し、止血効果を狙います。
- 黄柏:胃もたれを防ぎ、虚熱を抑えます。
- 黄耆:体力を向上させ、血圧を降下させます。
- 釣藤鈎:脳血管のけいれんを防ぎ、内風による頭痛やふらつきを鎮めます。
高血圧治療の違い:西洋医学と漢方医学のアプローチを徹底比較
高血圧は、日本において多くの人が抱える生活習慣病の一つです。
西洋医学と漢方医学では、その治療方法やアプローチに違いがあります。
西洋医学は主に降圧薬を用いて、血圧を直接的に下げることを目指しますが、根本的な原因にはフォーカスしません。
一方、漢方医学は、個々の体質や生活習慣に合わせて、身体全体のバランスを整えることに重点を置きます。
西洋医学が即効性を持つ一方で、漢方は自然な改善を目指し、体質から血圧をコントロールします。
高血圧治療における西洋医学のアプローチ:降圧剤の役割と効果
西洋医学では、高血圧の症状を緩和するために降圧剤が使用されます。以下の薬が代表的です。
- 末梢血管拡張薬:血管を広げて血圧を下げる。
- 交感神経抑制薬:神経の興奮を抑制し血圧を下げる。
- 利尿剤:体内の水分を排出し、血圧を下げる。
これらの薬は症状の対処療法として有効ですが、根本的な体質改善には繋がりません。多くの場合、生涯にわたり薬を服用し続ける必要があります。
高血圧治療における漢方のアプローチ:体質改善とバランス重視
一方、漢方では体質や生活習慣、根本原因に基づいて処方が決まります。
高血圧の背景にある体質改善を目指し、症状だけでなく、体全体のバランスを整えることが重視されます。
即効性は低いものの、長期的には健康の根本から改善することが期待できます。
結論 / 高血圧に対する漢方のアプローチ:個人の体質に応じた治療法
高血圧は日本における生活習慣病の一つで、多くの人が日常的に抱えている疾患です。
高血圧は、主に不規則な食習慣や運動不足、肥満、ストレスなどが原因で引き起こされます。
これにより、血圧が高くなり、さまざまな症状や健康リスクをもたらします。
例えば、高血圧の症状としては頭痛やふらつき、浮腫、不整脈、頻尿などが挙げられ、腎臓への負担も大きくなります。
2024年の高血圧基準では、より厳格な数値が設定されていますが、生活習慣の見直しが重要です。
特に、塩分過多や高カロリーな食事が高血圧を悪化させるため、高血圧食事の改善が必要です。
食事改善に加えて、適度な運動やストレス管理も欠かせません。
漢方医学では、個々の体質や症状に応じた治療が行われます。
高血圧の原因は人それぞれ異なり、例えば気の流れが滞ることで血圧が上昇する「気滞」、陽虚により血圧が不安定になる場合もあります。
漢方薬は、これらの体質や状態に応じた薬剤を使用し、根本的な改善を図ることで、降圧剤に頼らずに血圧をコントロールすることが可能です。
また、高血圧の放置や不適切な対応は、心血管疾患や脳卒中などのリスクを増大させるため、早期の対策が重要です。
生活習慣の改善と漢方治療の併用により、高血圧のリスクを軽減し、より健康的な体作りを目指しましょう。
高血圧の自覚症状をしっかり把握し、定期的なチェックを行うことで、健康維持に努めることが大切です。
高血圧の治療には、西洋医学の即効性のある治療と、漢方の体質改善を組み合わせることが有効です。
自分の体質や症状に合った漢方薬を選ぶために、漢方専門家への相談が重要です。
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著者プロフィール
河邊甲介 (薬剤師)
KOSUKE KAWABE
▷有資格
- 薬剤師
- 中医薬膳師:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- 薬膳素材専門士:本草薬膳学院(学長:辰巳洋)にて資格取得
- ペットフーディスト
▷経歴
- 福岡大学薬学部卒
- 総合病院薬剤部・調剤薬局にて勤務
- 2024年1月より宮崎県川南町(峠の里)にて漢方×薬膳×腸活のお店「ほどよい堂」を開局
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薬剤師であり、漢方×薬膳×腸活の専門家として、「ほどよい堂」を運営しています。
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