腸活を東洋医学的に考えてみた!【五臓六腑と現代医療】

陰陽五行思想

五行相関図

現代医学×東洋医学

健康な未来への架け橋
東洋医学と現代医学の
インテグレーション

人間の免疫細胞の70%(小腸に50%、大腸に20%)が腸に集中していると言われています。

つまり、腸内環境を整えることで、私たちは多くの恩恵を受けることが出来るのです。

バランスの取れた腸内環境は消化や栄養吸収を助け、免疫機能を強化し、心身の健康にも良い影響を与えます。

また、健康な腸内環境は、炎症を軽減し、アレルギーや自己免疫疾患のリスクを低減させてくれます。

「腸脳相関」という言葉があるようにメンタルヘルスにも重要であり、腸内細菌が生み出すセロトニンの原料となるトリプトファンなど化学物質は心の健康に影響を与えます。※1

バランスの取れた腸内環境は、体全体の調和を保ち、健康な生活をサポートしてくれるのです。

今回は、「腸活」×「東洋医学」という視点でお話さていただきます。

バランスを重視する東洋医学とは

東洋医学は、中国や日本などの東アジア地域で発展した伝統的な医学体系です。

その根本には体のバランスやエネルギーの流れを重視し、自然療法や漢方薬、鍼灸、気功などの治療法を用います。

東洋医学では病気を体全体の不均衡と捉え、症状の根本原因を探求します。

治療には個々の状態に合わせた総合的なアプローチが特徴であり、食事、運動、精神的な側面も考慮されます。

近年、西洋医学との統合や相補的な利用が進み、健康維持や疾患治療の選択肢として広く受け入れられています。

東洋医学の基本概念とは【陰陽五行説】

東洋医学の基礎理論である陰陽五行説は、自然界のエネルギーを陰と陽の二つの要素に分類し、五つの要素(木、火、土、金、水)に関連付けています。

健康はこれらの要素のバランスに依存し、病気はその不均衡から生じると考えられます。

治療は、体の不調和を調整し、バランスを取り戻すことに焦点を当てます。

陰陽五行説は東洋医学の中核をなし、漢方薬、鍼灸、気功などの治療法に基づいて病気の治療や健康の維持に応用されます。

五行色体表を利用して、オーダーメイドの漢方的養生を実践!

五行色体表とは、五行(木・火・土・金・水)と万物の関係を表した表です。

それぞれの要素が五行のどれに当てはまるのか、どの臓腑(ぞうふ)と関係しているのかが分ります。

ここで、五行色体表からも五腑の「小腸」は五臓の「心」と関係が深く、五腑の「大腸」は五臓の「肺」と関係が深いことが分かります。

漢方でいう「肺」と「大腸」の関係とは

五臓六腑の「肺と大腸の関係」で考えていききます。

漢方でいう「肺」は難しく言うと「肺は宣発(せんぱつ)・粛降(しゅくこう)を主り、水道を通調する」とされています。

すなわち、空気を取り込み、体内に酸素を供給し、二酸化炭素を排出する呼吸機能を担います。

また、肺は水の代謝も司り、水の循環に関与します。

精神的には、悲しみや喜びと関連付けられ、感情の安定に影響を与えると考えられています。

肺の機能が正常であることは、体のエネルギーの流れを円滑にし、免疫機能を強化し、感情の安定を促進します。

東洋医学では、肺の健康を維持するためには適切な呼吸法や運動、バランスの取れた食事が重要であるとされています。

漢方でいう「肺」が弱ると次のような症状があらわれます。

  • 喉や鼻の具合が悪くなる(風邪をひきやすくなる)
  • アレルギー症状が出る(花粉症・アトピーなど)
  • ニキビが出来やすくなる

漢方では五臓の「肺」は「大腸」と経絡でつながっていると考えているので、肺の不調は大腸にあらわれ、大腸の不調は肺にあらわれると考えるのです。

ここで、現代医学で提唱されている「腸内細菌は免疫の7割を担っている」「皮膚腸相関(skin-gut axis)」という点とつながってくるのです。

免疫力が低下すれば細菌・ウイルスに感染して風邪をひきやすくなりますし、免疫力が暴走すれば花粉症・アトピーなどのアレルギー疾患の発症につながります。

昔の人は経験的・感覚的にこのようなことが分かっていたのですね!

漢方でいう「心」と「小腸」の関係とは

今度は、五臓六腑の「心と小腸の関係」で考えていききます。

漢方でいう「心」は難しく言うと「心は血脈を主り、心は神明を主る」とされています。

東洋医学では、心は「君主」と呼ばれ、全体の指揮を担います。

心は情緒や思考、意識の中心であり、血の循環と関連付けられます。

また、心は五臓の中で唯一霊魂を宿すとされ、感情や精神的なバランスに大きな影響を与えます。

東洋医学では、心の健康を保つためには適切な生活習慣やストレス管理、心身の調和が重要視されます。

ここでも、漢方では五臓の「心」は「小腸」と経絡でつながっていると考えているので、心の不調は小腸にあらわれ、小腸の不調は心にあらわれると考えるのです。

また、現代医学でいう「腸脳相関/脳腸相関」につながりましたね!

本当に昔の人は凄いと思います!

最近は、脳×腸×皮膚の3つが深く関連しているということで「脳腸皮膚相関」という言葉も使用されるようになっています。

薬膳的に「肺」「心」におすすめな食材を帰経から選んでみた!

薬膳は、食材を組み合わせて特定の帰経(五臓六腑)に働きかける食事法です。

帰経は東洋医学の理論で、体の臓器や経絡に対応します。

薬膳は、食材の性質や味を組み合わせて体のバランスを整え、健康をサポートします。

例えば、冷え性の人には温かい性質の食材を取り入れ、消化器官に不調がある人には消化を助ける食材を選びます。

薬膳は食事を通じて体の調和を促し、健康を維持するための重要な手段です。

「肺」「心」におすすめの薬膳素材

  • ゆり根(百合):帰経(肺・心・胃)、働き(養陰潤肺止咳・清心安神)
  • 霊芝:帰経(心・肺・肝・腎)、働き(養心安神・止咳平喘・補気養血)
  • 合歓皮:帰経(心・肝・肺)、働き(解鬱安神・活血消腫・止痛生肌)
  • 三つ葉:帰経(心・肺)、働き(去風止咳・利湿解毒・活血止痛)
  • 松の実:帰経(肺・肝・大腸)、働き(潤腸通便・潤肺止咳・養陰平肝熄風)

用語解説

  • 腸脳相関/脳腸相関
    脳と腸は自律神経系や液性因子(ホルモンやサイトカインなど)を介して密に関連していることが知られている。この双方向的な関連を“脳腸相関(brain-gut interaction)”または“脳腸軸(brain-gut axis)”と言う。つまり、消化管の情報は神経系を介して大脳に伝わり、腹痛・腹部不快感とともに、抑うつや不安などの情動変化も引き起こす。そして、これらの情動変化が副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF: corticotrophin releasing factor)や自律神経を介して消化管へ伝達され、さらに消化管の運動異常を悪化させることになる。
  • 皮膚腸相関/腸皮膚相関
    腸と皮膚の関係は皮膚腸相関(skin-gut axis)あるいは腸皮膚相関(gut-skin axis)と呼ばれている。腸内細菌やその代謝物が腸管の免疫細胞や神経細胞に及ぼす作用の解析も進み、最近では、microbiota-gut-skin axisなど腸内細菌叢の重要性を強調する名称も使われるようになっている。腸内細菌叢と皮膚の関連では、アトピー性皮膚炎のほか、ざ瘡や乾癬などの炎症性の皮膚疾患の発症に腸内細菌叢の異常が関与し、プロバイオティクス摂取によるこれらの皮膚疾患の改善や予防の効果が複数の動物およびヒトを対象とする研究により報告されている。
  • 神(しん)
    神とは感情・思考・意識・判断など、全ての精神活動を意味しています。神の不調は主に目にあらわれると言われている。

参考文献

・※1:公益財団法人/腸内細菌学会
・一語でわかる中医用語辞典
薬剤師
河邊甲介

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